2007.Sept.24

センチメンタル下町ジャンキー

谷中の土地を去ってから、3週間が経ちました。
今は横浜市旭区というところにある実家から本厚木駅近くの職場へ通っています。
というわけで、東京に行くこと自体が通常無くなってしまっています。
それでどうなったかと言いますと、東京が恋しくて堪らないという状態になってしまいました。
今は実家に居るわけだから、逆ホームシックとでも呼べば良いのだろうか?

今までは一時期を除いて職場はずうっと東京でした。
社会人になって随分長いこと実家から東京に通っていました。
そして、あの素晴らしい谷中に住むこと5年、最早横浜よりも、東京が自分の中に根付いてしまったことに最近気付きました。
自分の中に何かが足りない、ある種の飢餓感のようなものが常に私に付き纏っている、そんな状態がここのところ続いています。
そんな状態に矢も盾も堪らず、まずは、散々飲み倒したあの聖なる土地、立石へと向かいました。
飲兵衛の聖地立石は、相変わらず私をやさしく迎えてくれました。
旨い!そして安い!
この感覚は何物にも変え難いものです。
たった数週間振りに関わらず、もう懐かしさで涙が出そうでした。

そして、5年間住んだ元の住処のあたりを訪ねました。
もう駄目です!
たった3週間振りなのに、この土地に住んだ記憶が走馬灯のように走り、懐かしさが溢れて、もうどうにも形容しようのない、切なさが私の胸を締め付けるのでした。
私の住んでいた部屋は綺麗にリニューアルされており、すぐにでも戻っておいで!と語りかけて来るかのようでした。

私は今とても今切ない気持ちです。
改めて、私は大きな喪失感を味わっているのです。
それは確実にある季節が私の中で終わったということです。

それは他愛も無い、下町への愛着であったり、そこで培った人間関係であったりですが、改めてこれらがとてもかけがえの無いものであったと痛感しています。

思えばこの5年間、諸事情により東京に住むことになり、その間本当に様々楽しいことばかりの日々でありました。
一人だけの時間、空間を持つことの何と楽しいことか!
初めて住む東京のしかも谷中という土地で味わったこと、感じたこと、培ったもの、全てがあまりにも素晴らしいものでありました。

それゆえ、この大きな喪失感はしばらくは消えることがないでしょう。
気障な言い方をすれば、楽しすぎた5年間からの卒業を迎えた、ということでしょうか?
さらば、愛しの谷根千よ!

Sakabomb

投稿者 TEH Editors : 17:32 | 雑記&お知らせ | comments (0) | trackbacks (0)

2007.Sept.9

アヒルと鴨のコインロッカー

 ずっと忙しくて見られなかった映画を、やっと見てきました。

 あれほど特異な文体を持っている人なのに、伊坂幸太郎の映画化は、不思議と成功するなぁ、と思いました。『陽気なギャングが地球を回す』もそれなりの出来だったし。
 こちらも、あの登場人物たちを演じられる役者がいるんだろうか、と心配したけれど、全体的にみな好演で、唯一、不満があるとしたら「琴美ちゃん」があまり魅力的に撮られていなかったことかな。まあ、文章と違って生身の役者が演じると、事件が起こっているにもかかわらず、あんなに淡々としてはいられないのでしょうが。

 冒頭、映画のロケ地が、自分のイメージとあまりに違うのに驚きました。主人公のアパートは床がフローリングの小綺麗なとこだし、本屋は広い駐車場のある、郊外型の書店だし。でも原作を見直してみると、やはりどちらも、映画よりは古い感じの描写ですね。自分の勝手な思いこみではなかったようです。
 あと、映画で絶対に採用されると思った「自転車倒し」のエピソードがありませんでした。これはちょっと意外でした。

 私が特に気になっていたのは、原作の「問題の部分」をどう映像化するのか、ってことですが、いや〜 いとも簡単に「ミステリ界の不文律」を破ってくれています。
 いわゆる「作者は読者に対して、大事なことを隠すのはいいが、嘘をついてはいけない」というアレです。
 でも、あれで正解だったと思います。下手にあの部分に神経質になると、腫れ物に触るような脚本になっただろうしね。

 わざわざ劇場まで見に行ったかいがありました。

 来年は『死神の精度』と『重力ピエロ』の映画化が控えているそうですが… 『死神』はともかく、『重力ピエロ』はどうだろう? 不安が半分、といったところです。

kaji

投稿者 TEH Editors : 00:09 | 映画&TV&演劇 | comments (6) | trackbacks (0)

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