東京都発着⇔大阪府・福島県  200710   2007114日 公開)

 

 今回は、大阪府や福島県といったよくある行動範囲であり、とりわけ旅行記として目新しいものではなく、旅行日記といったものだ。そうは言うものの、生後数ヶ月の赤ちゃんを連れているなど、特殊な状況下での移動なので記しておこう。

 

今回の主なテーマは、

「寝台急行銀河号」

・乳幼児に配慮した旅程……鳳停車の「特急くろしお号」 / 新幹線の多目的室

高齢者に配慮した旅程……東京都⇔福島県間は、鉄道ではなく自家用車

 

 

 

★★★当初の予定★★★

 1013日(土)と14日(日)は所用で関西に向かう事になった。そこで、14日に東京へと戻る際に関西から親族1名を連れて来て、翌週末の20日(土)にはその親族を連れて福島県須賀川市に行くというのが当初の予定であった。

 東京の自宅から福島県須賀川市へは私の車で向かう事にし、東京都区内からの関西方面への往復乗車券1組と、関西から東京への往復乗車券1組、および1014日の新幹線自由席特急券2枚を用意していた。

 JRの運賃は片道600kmを超えると往復割引になる。つまり東京都区内⇔大阪市内のきっぷを片道ずつ買うよりも、東京都区内から和歌山までの往復乗車券を買った方が安いのである。また、南海沿線にも用事があるので一応和歌山市までという事で用意しておいた。

 また、新幹線は新大阪始発の列車に乗り込めば2人分の席ぐらいは余裕で確保できるので、時間に縛られない自由席券という事にしておいた。

 

★★★予定変更★★★

 しかし、その当該親族の孫の父親の仕事の都合により、急遽、当該親族とその孫とその母親の3人が同時にやってくる事になった。生後数ヶ月の赤ちゃんを連れて大阪から東京まで移動するという、ものすごい緊張を強いられる事態に直面する事になったのである。余談だが、子育て支援という意味で、全員の交通費は私が負担する事にした。

 乗り物に乗っている時間を短くする為に飛行機にしようかと申し出たが、赤ちゃんの母親が列車の方がいいと言うのでそのようにした。

 

★★0歳の赤ちゃんを連れている場合の旅程の工夫 その1……鳳停車の「特急くろしお号」★★

 私以外の3人は、なかもずから地下鉄御堂筋線で新大阪まで乗り換え無しで行くとか言っていた。当日は御堂筋パレードがあるので、自家用車で新大阪駅まで送ってもらう事は困難だから、大阪府堺市の自宅からなかもず駅まで送ってもらうとの事であった。

 なかもずからなら新大阪まで乗り換え無しでいけるとの事だ。赤ちゃんを連れて移動する為にみんないろいろ考えているようだが、それはいかにもシロウトの発想だ。

 そこで鳳停車の「特急くろしお号」である。「特急くろしお号」が新大阪に直通していなかった頃の末期、198611月から1日に3往復が鳳に停車するようになった。これらは昼頃までに南紀方面へと出発し、夕方に南紀方面から戻ってくる旅客需要を見込んで停車列車が設定されている。我々は今回、その鳳から新大阪までの約30kmを特急指定席に乗るというわけだ。ちなみに、阪和線内の途中駅で初めて「特急くろしお号」が停車するようになった駅こそが、この鳳なのである。

 なかもず→新大阪間の地下鉄運賃は360円である。一方、「特急くろしお号」の場合は、鳳→新大阪間の運賃はすでに往復乗車券の経路に含まれているので、追加の出費は特急券の570円だけである。360円出して気忙しい地下鉄に約40分間乗るのと、わずか570円出して快適な特急指定席に約30分間落ち着いて乗るのとでは、どちらが賢明かは言うまでも無いだろう。

 

 

 

★★★私1人が関西へと出発★★★

 当初の予定では、1012日(金)のうちに関西の実家に帰り着く予定であった。その日は仕事を定時に終わるように事前に調整もしていた。

 しかし、この日は仕事で痛い失敗があり、意識が別のところに飛んでしまった。そのようなわけで俊敏に行動できなくて、その日のうちに帰り着く新幹線には間に合わない時間帯になってしまった。

 旅行会社にきっぷを買いに行っても、いつものようにうまく注文できなくてダメダメ状態になってしまった。

 

★用意したきっぷ、および、旅行会社での恥ずかしいやりとり★

1014()の「特急くろしお30号」 鳳→新大阪 乗継割引特急券3人分

 いきなりここで2つ失敗した。

 鳳という地元民以外はすんなりと読めないような駅名については、もう数秒早く申し出ればよかったと思った。鳳の読み方を示すぐらいの配慮を予定していたのだが、別の項目を記入していてこれを言い忘れたのだ。少し遅くなったが、「阪和線のオオトリから新大阪までです。」と言っておいた。今回も担当してくれた旅行会社の美人の○○さんが「オオトリからですね」と言って時刻表を閉じていたぐらいなので、もっと早くこちらから言うべきであった。状況を察する事ができないキモい客だと思われている事だろう。

 「当日新幹線に乗り継ぎますか?」と尋ねられてしまった。あぁ、なんという失敗…私とあろうものが乗継割引と示し忘れてしまった。この時点で動転してきた。

1014()の新幹線自由席2席からの変更、および新規購入⇒「のぞみ156号」指定席12号車 ABC

 号車や席番の話はしたものの、申し込み用紙に発車時刻だけ書いて「のぞみ何号」かを記入するのを忘れた。ハズカシイ…。

 これについては後にもう一つの失敗に気づく事になる。

 なお、大人3人が往復に使える6枚つづりの「のぞみ指定席回数券」がある事は知っているが、阪和線方面との乗継などを考慮すると、その回数券にはうまみが無いのである。

★関西から東京への往復乗車券を1人分追加

 これは普通に買えた。私の手持ちのきっぷが多いので、きっぷを入れる袋をもう1枚用意してくれた。

1012日(金)東京発の「寝台急行銀河号」の急行寝台券

 申し込み用紙をもらおうと、「これをもう1枚ください」と言ったら、「どの券をもう1枚ですか?」と言われてしまった。「申し込み用紙をもう1枚ください」とはっきりと言わなかった事が恥ずかしかった。…もうダメすぎる。

 「希望の席はありますか?」と尋ねられた。いつもなら私の方から何番席がいいとか言っているのだが、今回はこちらから言い出すのが出遅れた格好になった。

 希望の条件を告げると、前から順番に探していってくれた。その日は増結で7号車がついているらしく、少し驚いた反応をしてしまった。ミットモナイ…。

 あまりにも恥ずかしいやり取りになってしまったので、逃げるように旅行会社を後にした。この日は失敗の連続だ。自宅で休みたいぐらい疲れたのだが、早めに関西に着きたいので「寝台急行銀河号」で出発する事にした。

 

 

 

★★「寝台急行銀河号」★★

20071012()1013()

東京2300→大阪718 東海道本線101レ 「寝台急行銀河号」 24系客車9連 オハネ25-252

101レ 運転区間: 東京2300→大阪(翌朝)718

 

 通常、私が「寝台急行銀河号」に乗る場合は、それこそ「銀河号」を希望して乗っている。しかし、今回は初めて新幹線に乗り遅れたから「銀河号」にしたのである。

 この日は失敗を連発して精神がまともではない。せっかく大好きな「寝台急行銀河号」に乗る機会を得られたにもかかわらず、あまり気分がすぐれない。

 

 22:45頃にホームに上がると、10番線にはすでに「寝台急行銀河号」の姿があった。以前は発車の約10分前に入線していたのだが、車掌氏に尋ねたところ、東京駅の入線は22:23との事だ。東京駅のホームを長時間占有するその様は、東海道本線の名門列車の貫禄すら感じられる。しかし、その状態には不安もつきまとう。「寝台急行銀河号」は廃止の噂が絶え間なく飛び交っており、さよなら式典用に長い滞在時間を用意しているのではないかと勘ぐってしまう。

 私が乗る車両は7号車のオハネ25-252である。この車両はオハネ15形を24系に編入改造した車両である。「寝台急行銀河号」に充当される14系からの編入車両は、おそらく全部で4両ではないかと思う。そうすると、今回で4両全車に乗った事になる。(⇒オロネ24-102オロネ24-103オハネ25-251

 隣の6号車はオハネフ25-47であった。その車両の網干総は「19-2」との事であった。「寝台急行銀河号」は総じてピカピカのきれいな客車で運転されているのである。

 

 向かいの席には若い女性が来た。お互いに挨拶ぐらいはした。

 

 下りの「寝台急行銀河号」は深夜2時頃に静岡にて客扱い停車がある。静岡から乗り込んできたとんでもないバカが寝台車内の静寂を破った。携帯電話で大声で話している。夜行電車に乗れたので翌朝のバスに間に合うとか言っている。“夜行電車”や“バス”なんて言っているぐらいだから「快速ムーンライトながら号」の誤乗ではないかと思った。車掌がすぐさまやってきてこのバカに注意していた。ここでは愚民について特記したいわけではない。静岡からの利用客が実際にいる事に驚いたという事を記しておきたいのだ。

 何かと気になってよく眠れない。突如、旅行会社でのやり取りの失敗に気づいた。よくよく考えれば、「新幹線自由席券」を「くろしお特急券」に変更するという扱いで申し込んでもよかったわけだ。その方が次に変更が生じた場合にキャンセル料金が少なくて済むのである。あぁ、なんで今頃気がついたんや。あまりの失敗続きで悶絶した。

 運転停車の駅ではやけにやかましい車両が隣に来た。カニ24だ。おそらく浜松駅で、おそらく上りの「寝台急行銀河号」だろう。こんな時間に上下の「銀河号」が顔を合わせたであろうか。いずれにせよ、こちらが7号車だから見られる光景である。言い方を変えれば、いつものように短い編成ならば、長ーい駅構内で最後尾の車両同士が斜めに向かい合いながら並ぶ事になるというわけなのだ。客車列車はホームの端に停車するので、編成の短さが際立つ時がある。

 

 私にとっては客車開放B寝台こそがブルートレイン車内の原風景である。客車開放B寝台は、余計な光が入ってきにくいし、私が眠る時の姿勢に合った寝台寸法なので好きである。また、この車両はカーテンが非常に美しかった。

 朝気がつくと、客室内の7号車の号車札が無くなっていた。車掌が回収したのならばいいのだが…。

 さて、恒例の京都付近での快速電車との競走劇であるが、この日は圧倒的な速度差で抜くか抜かれるかという関係であり、並んで走っている感覚が無くておもしろいものではなかった。

 

 

 

 

★★★赤ちゃんを連れて大阪から東京へ向かう★★★

20071014()

★★鳳停車の「特急くろしお30号」★★ 

1818→新大阪1850 阪和線/関西本線/大阪環状線/東海道本線80M 「特急くろしお30号」 381系電車6連 モハ380-60

80M 運転区間:新宮1448→新大阪1850

 

 前述のとおり、赤ちゃんを安心かつ快適に移動させる為にこの「特急くろしお30号」を選んだわけである。

 私自身は疲れる用事で夕方までいたし、翌日からは当然ながら仕事なので、本当ならば早く新幹線で帰りたいぐらいだ。しかしながら、鳳駅で1時間ほど待って「特急くろしお30号」に乗る事にしたのである。私の用事の時間帯の関係で、鳳に停車するもう1本早い「特急くろしお24号」に乗るのわけにはいかなかったのだ。

 鳳駅前を見渡してみた。事前に知ってはいたが、本当に狭い。阪和線の主要駅であるが、バスが乗り入れられるロータリーも設置できないような細い道しかない。

 普通列車ならば乗車位置足元番号が表示されるわけだが、特急列車にはそのような案内が無い。そもそも新大阪方面に向かう特急の場合は、ここ鳳は下車駅であり、ここからの乗車はあまり想定されていないのであろう。

 他の列車の停車中の様子から停車位置を推測するしかなかった。そうは言うものの、6両編成なのか9両編成なのかも案内が無い。自分1人だけならば少々離れた車両から乗車しても問題ないが、今回はベビーカーなどの大きな荷物や赤ちゃんも乗せ込まなければならない。動き出した車内で移動する事も容易ではないのである。結局、私が勘で立っていた位置に4号車の扉がぴたりと停まった。「さすがだね」と言われたものの…。

 鳳では意外な程にまとまった下車があった。乗客みんなが天王寺や新大阪へ向かうわけではなく、「特急くろしお30号」は阪和線北部の需要を確実に捉えているようである。鳳に限らず、都会の路線においては、優等列車を停めればいかなる駅であっても需要自体はあるであろう。

 鳳からの乗客が珍しいのか、すぐさま検札が来た。

 

 「特急くろしお30号」を選んだ事は大変喜ばれた。「こんな列車があるって、よく知ってたね。」と言われてしまった。

 

 

 

★★新幹線★★

新大阪1916→東京2153 東海道・山陽新幹線11156 「新幹線特急のぞみ156号」 70016連 725-621726-721

11156 運転区間:新大阪1916→東京2153   停車駅:京都・名古屋・品川)

 

★(番外)グリーン車への思い★

 この赤ちゃんの母親は、新幹線においてはグリーン車に乗るのが当たり前のように思っている人だ。一方、高齢の親族は普通車指定席とグリーン車の違いがあまりわからないらしい。初めはみんなでグリーン車に乗るという話になりつつあったが、交通費を負担するのは私である。グリーン車の価値がわからない人の分までグリーン料金を出そうという気になれない。親族達は普通車では狭いのではないかと心配していたが、普通車でもシートピッチがじゅうぶん広いという事を伝えて、普通車に大人3人が並んで座るように決めた。さらに本音を言えば、静粛性が求められるグリーン車内に赤ちゃんを連れ込む事を躊躇ったのである。

 新幹線はビジネスユースが主体で輸送力の確保が重要である事はよくわかっているが、個室のグリーン車が無くなったのは残念でならない。かつて私が100系グリーン車に乗っていた頃、階下の個室は赤ちゃん連れが多かったように記憶している。

 

★★0歳の赤ちゃんを連れている場合の旅程の工夫 その2……乗り換え時間にゆとり / 新大阪始発★★

 「特急くろしお30号」からの乗り継ぎとしては、新大阪19:10発の「のぞみ74号」が案内される。しかし、「のぞみ74号」は山陽からの直通列車なので、短い停車時間の間に下車客が済んだ後に慌しく乗り込まなければならない。新大阪駅でゆっくりと乗り込めるように、後続の新大阪始発の「のぞみ156号」にしておいた。

 さらに言うと、通路を通る人に荷物をぶつけられないように、赤ちゃんは必ず窓側の席に乗せなければならない。

 

★★0歳の赤ちゃんを連れている場合の旅程の工夫 その3……多目的室★★

 11号車には多目的室があり、授乳に使える。だから12号車の後ろ寄りABC席にしたのである。

 置かれる立場が変われば着眼点も変わるものである。グリーン車の座席を好んで撮影してきた私が多目的室を撮影する事になるとは…。

 個室構造ゆえに、まずは非常通報装置があるかを私が確認した。

 このように、座席が寝台構造に転換できるという事を実演してみた。

 

 「こんな部屋があるって、よく知ってたね。」と言われてしまった…。こういう設備は本当にありがたい。言い換えれば、授乳等に使える部屋が無い在来線特急というのは、長時間乗る乗り物としてはいかがなものだろうかと思えてきた。16両編成が大量に行き交う巨大交通機関だからこのような設備も提供できるのかもしれないが、新幹線とは本当に優秀な交通機関だと改めて感じ入った。

 なお、多目的室はこの部屋を必要とする乗客が指定席として抑えている場合があり、その場合には8号車の乗務員室を使わせてくれるとの事だ。

 

  

★★★東京駅から自宅まで★★★

 東京駅から自宅までの移動が気になっていた。もしも赤ちゃんを連れて通勤形電車に乗り込む事が困難ならば、東京駅からタクシーに乗らなければならない。もしもそうなれば、復路には新横浜駅まで自動車にしなければならないなどと考えていた。

 「心配しすぎだ、この子はグジグジ泣かないから大丈夫」などと言われても、赤ちゃんの日頃の様子がわからないので私としては不安でいっぱいだ。

 東京駅に到着してからが本当の緊張である。特急形車両の場合は赤ちゃんが泣きわめいたとしてもデッキという逃げ場があるが、通勤形電車には逃げ場が無い。また、赤ちゃんを連れていると速い歩行も困難であり、エスカレーターの乗り方も東京と大阪とでは左右が反対なので、駅構内の移動にも神経を使わなければならない。

 また、大阪で地下鉄を避けたのと同様の理由で、新宿駅などの混雑する場所が気になっていた。空気が清浄ではないのが気にかかるのだ。赤ちゃんにうがいをさせる事やマスクを着用させる事はできない。赤ちゃんの母親によると、赤ちゃんは常にヨダレを垂らしているから大丈夫との事であった。

 地元路線においては比較的空いている車両の優先席を確保した。ようやく自宅の最寄り駅に到着した。駅から自宅までは、遠いわけではないがタクシーに乗った。

 新幹線の車内で目を閉じる事はあったが、大阪を出発してから東京の自宅に着くまで眠っていない。「あんた、ずっと緊張してたやろ」と言われたが、当たり前である。

 余談だが、私の自宅は1人暮らしなので、使っていない部屋が3つある。だからこそ親族達が訪ねてきても対応できるわけなのだが、「せっかくいい所に住んでいるのだから、早く結婚すれば?」と言われる事が最近多くなった。

 就寝したのは、日付が変わって月曜日の1時頃だ。“金曜日の仕事の失敗”、“週末のしんどい用事”、“赤ちゃんを連れての緊張の旅程”といった心労の重なる週末であった。私は気持ちの切り換えが早い人間ではないのだが、今回ばかりは気持ちの切り換えを余儀無くされた。翌朝から通常どおり出勤した事は言うまでも無い。

 

 

 

 

★★★高齢者に配慮した旅程の工夫……東京都⇔福島県間は自家用車で移動★★★

20071020()

 同行の親族については関西から福島県への往復乗車券を購入するという方法も当然ながら考えていた。しかし、水郡線は本数が少なく、また、目的地は駅からの歩行距離が長いので、水郡線の列車の時刻にあわせて行動しようとすると高齢者にとっては負担が大きい。私1人ならば列車で行くような距離であるが、総合的に判断した結果、福島県までの往復は東京の自宅から自家用車にするという事にした。

 そうは言うものの、不安もある。私は都会のど真ん中や首都高速において自動車を運転するのが好きではない。とりわけ首都高速は俊敏な車線変更や合流が余儀なくされる。先のジャンクションで左右どちらに進むのかが事前にわかっていないと、場合によっては望みどおりに車線変更ができない可能性もある。また、常に事故情報が出ており、正直言って苦痛だ。今までに首都高速を走っていて困った事や怖い思いをした経験があるわけではないが、東京都心は少なくとも5年以上自家用車で通っていない。

 

 この日は赤ちゃんとその母親はお留守番である。

 往路は、高井戸で中央道を下りて、環八を経由して和光から東京外環自動車道に入った。首都高速を走れないわけではないが、とりあえず往路に疲弊する事は避けたい。

 東北自動車道は、埼玉県側から日光方面との分岐点までは3車線になっている。また、埼玉県側から宇都宮までのインターチェンジの名称については、東北本線の沿線の地名よりも、東武鉄道の沿線の地名が出てくる事の方が多いのが印象的であった。ところで、管理用地になっている場所は、詳しい事は知らないが、かつてのバス停ではないかと思えるような佇まいだ。それにしても人家が見えない所をひたすら走る道だ。仮に路線バスがあったとしても不便であろう。

 愛車メルセデス・ベンツ560SELで群馬県・栃木県・福島県を初めて走った。また、同行の親族が埼玉県以北に来るのは初めてである。

 

 昨年秋、私は福島県須賀川市へ探し物に来た。 その捜索の依頼人の代理として今回はその親族が来たわけである。

  水郡線川東駅にて

 

 

 自分1人で遠くまで来ている場合、できれば往路と復路は大きく異なる行程にしたいところだ。しかし、今回は同行者がいるので、須賀川ICから東北自動車道をそのまま東京方面に戻るわけである。

 鏡石PAでは、スマートIC開通記念として期間限定で10月末までカレーライスが450円から300円に値下げされていた。

 復路は、日没後の東北自動車道を東京目指してひたすら走る。復路は首都高速を通る事に決めていた。往路の場合は見ず知らずの東北道を目指す事に不安があったわけだが、復路の場合は中央道を目指して走る事にそれほど困難は無いからである。

 首都高速への臨戦に備えて蓮田SAで休憩を取り、首都高速における各ジャンクションでの右か左か直進かを再確認しておいた。

 川口JCTからは車内の音楽を止め、メガネも更にきついものに取り替えた。後部座席の親族は、「都会の真ん中を走ってるんやね」だの「○○がきれいだね」などと話しかけてくるわけだが、こちらは緊張を強いられる首都高速を安全運転する事で精一杯であった。あえて運転に余裕があるように振舞っていたが、実はかなり緊張していた。「池袋 過ぎた〜って♪」などとのんきに歌っていられる状況ではなかったのである。

 自宅に到着した。この日の走行距離は約580kmであった。愛車メルセデス・ベンツ560SELは、親族達の願いを叶えるという大役を果たしてくれたのであった。

 

 

 

★★★親族達を見送る★★★

 私が平日に仕事に行っている間、親族達は電車で出かけて友人宅や浅草の「金龍の舞」に行ったりして東京滞在を楽しんでいたみたいだった。

 

20071021()

 親族達がいよいよ関西に帰る日だ。

 この日は、赤ちゃんの父親が新大阪駅まで自家用車で迎えに来てくれるとの事なので、新大阪からの乗り換えを考慮せずに出発する事ができた。私が見送るのは東京駅までである。ベビーカーなどの大きな荷物は運送業者に託してある。

 いつもの旅行会社に2人分の特急券を買いに行った。本当ならば新大阪止まりの列車にしたかったのだが、良い時間帯の列車は無い。博多行きの「700系のぞみ37号」にしたが、12号車あたりのDE席は取れなかった。しかし、この赤ちゃんはおとなしく、離乳食も大丈夫だから多目的室が無くても大丈夫との事なので、この列車の他の車両にした。おとなしい赤ちゃんなので心情的にはグリーン車に乗せてあげてもいいのだが、さすがにプラス1万円は…。

 なお、「700系のぞみ37号」の続行運転となる「臨時のぞみ189号 博多行き」は、これが300系だとわかっていたのであえて避けた。同じ料金を払うからにはより乗り心地が良い車両に赤ちゃん達を乗せてあげたいからである。残念ながら、最新型のN700系とは時間帯が合わなかった。

 

 自宅の最寄の駅から東京駅へと向かった。中央線快速の車内(モハ200-99)では、赤ちゃんを抱いた高齢の親族のみならず、荷物を持ったおっさんである私にまで席を譲ってもらえた。本当にありがたい事だ。

 

★(番外)通勤形電車内やバスで席を譲るという事★

 今回は、我々一行に席を譲ってくださる方々がいて、その心遣いが本当にうれしかった。せっかくなので、私が席を譲る基準について記しておこう。

 帰宅ラッシュ時などに並んで始発駅から乗り込む場合、席は譲らない。座りたければ後続の列車を待てばよいからである。

 通常は、年寄りには席を譲らない。山登りに向かう高齢者集団が優先座席に座っているのはおかしいと思う。仕事で疲れている就労者こそが優先的に着席するべきであろう。年寄りが座れなくて不満を言うぐらいならば、通勤ラッシュ時を避けて乗ればいいではないか。あるいは、社会保障費の貰い逃げ世代なのだから、タクシーに乗ればいいと思う。もちろん、完全に弱っているような年寄りが近くにいると席を譲るわけだが…。

 妊婦さんには席を譲る。次世代の命を育む人達であり、ストレスを与えたら気の毒である。昔から妊婦さんと小さな子供連れには席を譲ってきた。しかし、親族が妊娠してから知った事だが、妊娠は安定期に入るまでが辛いらしい。しかも安定期に入るまではお腹が大きくないので妊婦だと認識されないとの事だ。世の中には妊婦さんに対して冷たい人もいるみたいなので、せめて私が気づく範囲ぐらいは親切にしておきたいと思う。

 子供は立たせておけという意見もあるようだが、小さな子供は体力が無いので、彼らも座らせてあげるべきだと思う。

 

 

★★★(追記)赤ちゃんを連れて出かけるという事★★★

 私は子供に対しては寛大な方だと思うが、子供や赤ちゃんに対して厳しい対応をする人だっている。喫煙を注意された奴が赤ちゃんを殴ったなどという事件もあったし、グリーン車に赤ちゃんを乗せるな、あるいは、ベビーカーは邪魔だという非情な意見もある。そのようなわけで、赤ちゃんを連れていると、いつ攻撃の対象にされてしまうかもしれないという不安があったのだ。正直言うと、新大阪駅まで送り届けるべきではないかと思っていたぐらいであった。

 

 

★★(追記)複数の人間と出かけるという事★★

 自分1人ならば、お金を出してグリーン車に乗ろうが、適当な時間に自由席に乗ろうが、時間をかけて夜行列車に乗ろうが、全て自由だ。

 さすがに運賃や特急料金も2人分・3人分となると負担が重くなる。そこへグリーン料金まで加算されると結構な打撃となる。つい先日、大阪のUSJへ行く価値があるか否かを同僚から尋ねられた。家族4人で往復すると20万円かかるらしい。人数が増えるという事はそういう事なのだ。一人旅がいかに気楽で身軽かを思い知った。

 また、個室寝台がつかない「寝台急行銀河号」に赤ちゃんを乗せるわけにいかないし、「快速ムーンライトながら号」に高齢者を乗せるのもきついであろう。さらに言うと、優等列車の“普通車の指定席”にこれほど価値があるとは今まで思っていなかった。いくら座席自体が同じとはいえ、赤ちゃんを含めた34人で自由席に乗るなんていくらなんでも避けたいところだ。家族旅行の時には指定席にするという友人宅の事情がよくわかった。

 

 

★★★いよいよお別れ★★★

 「新幹線特急のぞみ37号」の発車時刻である1450分が近づいてきた。

 この赤ちゃんは私によくなついてくれて、私もこの赤ちゃんをようやくうまく抱っこできるようになったわけだが、お別れの時がやってきた。赤ちゃんは成長が速く、数ヶ月会わないうちに別人のように変わってしまう。次に会える時期は未定であるが、あまり時間が空きすぎると、今までと同様に私になついてくれるかどうかはわからない。わかりやすく言うと、今のこの子にはもう会えないかもしれないという事が寂しいというわけだ。赤ちゃんは隣に停まっている「E3系こまち」が気に入ったらしく、最後にはなかなかこちらを向いてくれなかった。

 私自身、東京に不動産を持っているが、はっきり言って東京にいる意味が無い。“大阪に連れて帰って欲しい”という思いを口に出してしまいそうな衝動にかられた…。

 1450分、「のぞみ37号」は私を残して東京駅14番線を後にした。

 

 

★あとがき★

 親族達が新大阪駅に無事に着いて、自家用車に乗り込んだとの連絡が入った。赤ちゃん達が自分の責任下を離れたという安堵感に包まれた。疲れがどっと出てきた。

  

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