鉄道旅行記 「周遊きっぷ 和歌山・高野山ゾーン」 からのシングルカット

寝台急行銀河号 オロネ24形プルマン式A寝台車下段 200412月 2005/1/8 先行公開)

 

 今回の帰省は、往路の「寝台急行銀河号」も、復路の「寝台特急あさかぜ号」も、「周遊きっぷ」も、全て一つの思考で繋がっている。20053月のダイヤ改正で「寝台特急あさかぜ号」が廃止になる。「寝台急行銀河号」の客車はJR西日本の宮原総合運転所所属である。一方、「寝台特急あさかぜ号」の客車はJR西日本の下関地域鉄道部下関車両管理室所属である。現行の「寝台急行銀河号」には開放型のプルマン式A寝台車が使われているが、時代遅れと言われて風前の灯となったプルマン式A寝台車が、「寝台特急あさかぜ号」の廃止後に個室A寝台車に切り替えられる可能性も否定できないのである。もしも、現行の「寝台特急あさかぜ号」に使われているオロネ25-300が宮原転属になれば、オロネ25-3005両を、他形式同様に「寝台急行銀河号」と「寝台特急日本海14号」に共通運用できるのである。プルマン式A寝台車の下段にぜひ乗っておきたいと思い、今回の乗車が実現した。

 今回のテーマは、「寝台急行銀河号」のプルマン式A寝台車である。しかし、番外編として「開放式寝台車設備比較」も付記しておきたい。

 

 

20041229()1230()

東京23:00→大阪7:18 東海道本線101レ「寝台急行銀河号」 24系客車9連 オロネ24-102

101レ 運転区間:東京23:00→大阪(翌朝)7:18

 

 今回も時間に余裕を持って東京駅に着いておいた。「寝台急行銀河号」の急行寝台券は高額である。今回私が「寝台急行銀河号」の為に持っているきっぷは、周遊きっぷとは別に、急行1,260円と寝台10,500円で11,760円もする。これで乗り遅れたり、キャンセルし遅れたら非常に痛い。

 しかし、この寒い時期にプラットホームで列車を待つ気がせず、22:40過ぎに銀の鈴待ち合わせ場所から910番線ホームへと上がった。

 2249分、神田側から「寝台急行銀河号」が入線してくる。EF65-1106、カニ24-104、オロネ24-102、オハネ25と続く。カニ24-104の飾り帯は昔ながらのステンレスである。

 東京駅や小田原駅では7両と案内されていたが、実際は増結2両で寝台車は8両だった。

 

 

 列車に乗り込み、扉を2枚通ってA寝台客室に入る。喫煙室の座席や寝台は青系のモケットに張り替えられていた。実は、20034月に私がオロネ24-103乗車した直後、某鉄道誌に「寝台急行銀河号 A寝台車」の乗車ルポが掲載されたのだが、その頃にはすでにオロネ24-102は青系のモケットに張り替えられていた。また、このオロネ24-102は、19964月に9番上段に乗ったことがあった。

 車掌室は6号車だと案内された。以前にも触れた靴磨きブラシだが、やはり無かった。

 大船や小田原からの乗客もあり、A寝台車は28席中27席が埋まっていたように思う。小さな子供連れもおり、29人ぐらい乗っていたのではないだろうか。男女2人連れで乗っている組もあり、2人連れや家族連れでは、下段寝台はテーブルを出して居間のように使われていた。

 

 

せっかくだから、列車運行にまつわる状況も付記しておこう。

 0:03頃、並走する「貨物特急スーパーレールカーゴ号」にかなりの速度差で抜かれる。この貨物特急は、貨物列車初の分散動力方式であり、最高時速130km/hである。東京地区⇔大阪地区を東海道在来線史上最速で結んでいる。東京貨物ターミナル⇔安治川口を約6時間10分で結び、約40分の時間短縮を実現した。

 現行ダイヤでは、沼津ではなく富士で運転停車する。

 大津・京都付近ではあいかわらず快速電車との激しい競走劇が見られた。

 上述の貨物特急や快速電車との並走を見られるのは進行方向右側である。

 

 

 プルマン式A寝台車の下段寝台は、向かい合わせの座席の座面と背もたれ下部を引き出して寝台にする構造である。

 背もたれ上部は跳ね上げる構造になっている。

 

 寝台足元側の跳ね上げ部分にはこのように荷物が置ける。

 ちなみに、この跳ね上げ部分にはシートカバー用のマジックテープが見当たらなかった。もはや寝台を座席にする事は想定していないようである。ただし、なぜか肘掛のマジックテープは残されている。

 この列車では、係員が乗り込んできて寝台を座席に組み直すことは無い。

 座席にしてみた。もちろん“セルフサービス”である。他の乗客の安眠の邪魔にならないよう、朝やった。通路を通る乗客がジロジロ見ていた。私からヒントを得たのであろうか、某2人連れも同じようにしていたみたいだ。私は元通り寝台に戻しておいたが、某2人連れは座席にしたまま下車したようだ。それにしても、モケットが青系なので、なんだか普通車みたいで残念である。

 

 乗ってみて初めてわかる事もある。

 大きな窓がある。窓側のカーテンは完全に光を遮るほどのものではないので、光の変化が気になる人には少し辛いかもしれない。漆黒の闇を走っているところに、明かりの灯った駅を通過するとやはり分るのである。A寝台の上段や、客車B寝台ではまず気にならない事だ。

 今回気づいたのだが、下段のめがね入れの網袋はすでに無くなっていた(上段は不明)。めがねと携帯電話は窓枠に置くことができた。

 

 プルマン式A寝台車は、上段と下段ではあまりに設備差がありすぎるので、両者が同じ値段になる事は無いだろう。それぞれ良さがあり、あまり悪い事は言いたくない。比較発言も好まないが、せっかくなので、開放式2段寝台のそれぞれの違いについて述べておきたい。

 

 

番外編:「開放式寝台車設備比較(私の所感)」 

(寝台の数値は大型時刻表にも載っています。)

1.プルマン式A寝台車(オロネ24) 定員28

2.客車B寝台車(オハネ25など) 定員3034

3.下段

4.上段

 

5A寝台の下段(寝台料金 10,500円)

6 A寝台の上段(寝台料金 9,540円)

7 B寝台の下段(寝台料金 6,300円)

8 B寝台の上段(寝台料金 6,300円)

  

 寝台周りの物理的な使いよさだけを比較すれば、残念ながら「A下>B下>B上>A上」のように評価せざるを得ない。しかし、客室等級や車体構造、および備品等を総合的に考慮すれば、やはりA寝台車が優位だと思う。

 

 

 

 大阪駅3番線には「寝台急行銀河号」が到着し、その前にはホーム反対側4番線に「寝台特急日本海2号」が7:11に到着している。10月の新潟県中越地震で「寝台特急日本海2号」は運休していたのだが、1213日(月)から運転を再開している。

 「寝台特急日本海2号」にもオロネ24が連結されている。数少なくなったプルマン式A寝台車が、所属会社と車体の向きこそ異なるものの、ここで並ぶのである。貴重な瞬間である。

 大阪駅で「寝台急行銀河号」から回送列車へと変わった編成を見送ったのだが、増結2両のB寝台車は250番台だった。妻面の帯が上側だけのオハネフ250番台を最後尾にした「寝台急行銀河号」の編成を見たのは何年ぶりだろうか。最近では鉄道誌でもなかなかお目にかかれない。私にとってはこちらの姿の方が「寝台急行銀河号」の印象が強いので感激した。

 

 

 

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