モーターあれこれ

電動R/Cグライダーに使用されるモーターについての話です

ここに載せている数値などは、極力各社のカタログに記載されたものを使うようにしています。また、内容で不明確な部分はR/C技術誌などで確認しながら記述しました。しかし、ただ単に私の思い込みだったり、勘違いしていることなどもあるかも知れません。そのような場合はお許し下さい。

R/Cグライダーに使用されるモーターの特長

R/Cグライダーに使われるモーターは、普通は比較的高出力なものが使われます。これは機体の高度を獲得するために使用されるので、長時間のモーターランは必要無いことと、ある程度短時間に高度を確保出来る方が安全性が高いためです。特に発航直後は機体速度がついていない上に、地表近くの不安定な気流に捕まりやすいので、上昇力の強い機体の方が操縦はずっと楽です。また、電動グライダー競技では短時間に上昇した方が得点的に有利な種目があります。
なお、競技では長時間の飛行で行われるものもあります。１時間滞空競技やサンライズサンセットなどの競技では、低電流で高効率のモーターが必要とされますが、小型のモーターを大きなギア比で使ったり、マクソンモーターなどの非常に効率の良いモーターが使われます。
それから電動グライダーや電動飛行機の場合、バッテリーという重量物を背負う訳ですから出来るだけ高出力、高効率のモーターが要求されます。

電動に関する最近の動き

最近の大きな流れとして、モーター本体では高効率のブラシレスレスモーターの出現があります。 F5B競技ではすでにすべての機体で使われており、一般のスポーツフライト用にも出ています。動力源であるニッカドバッテリーも次々に大容量のものが出て来ますので、５年程前のものとほぼ同じ大きさ、重さで容量が 1.7倍くらいのものが現れています。（1,200mAh --> 2,000mAh）
なお、将来ニッカドバッテリーが使用出来なくなる可能性もあり、ニッケル水素バッテリーがいずれ取ってかわるかもしれません。ニッケル水素バッテリーについては、NiMH電池技術資料を参照して下さい。
また、騒音の問題やそれに伴う飛行場所の制限などからエンジンから電動モーターへの移行は、欧米ではすでに定着していますし、日本国内でも大きな流れとなっています。したがって出力面と環境面の両方から、R/Cにおける電動パワーは発展しつつあります。

プロペラの駆動方法について

モーターの種類にもよりますが、パワーを効率良く伝達するためにモーターの出力をギアなどによって減速して、大きなプロペラを使う場合があります。一般的に３極ローターのモーターは高回転型ですので、減速して使用します。ギアを使って減速して駆動する方法をギアダウン駆動と呼びます。
これに対して極数の多いモーターは高トルク型になりますので、直接プロペラを駆動することが出来ます。これをダイレクト駆動と呼びます。
ただ現在では、小型で高性能な同軸ギアユニットを装着した小型の高回転モーターが主流となり、かつて高トルクモーターのダイレクト駆動一色だったＦ５Ｂ競技でも、すべてギアダウン駆動となりました。

使用されるバッテリーについて

動力源であるバッテリーはニッケルカドミウム電池、通称ニッカド電池が使用されます。電池容量は多い程長時間のモーターランが可能となりますが、重量が増しますので、むやみに大容量のバッテリーも使えません。 500mAhから 2,000mAhくらいのものが多く使われます。また、セル数ですが、取り扱いの容易さから 7セルから 14セルくらいまでが多いのですが、フルスペックのF5B機では 27セルまで使用されますし、大型の機体でさらに多くのセル数を積載するものもあります。
内部抵抗の低さや急速充電が可能などの理由により、SCRや SCRCというタイプのニッカド電池が多く使用されます。また、小容量のものでは AEや ARといったタイプのものが使われます。
それにしても今のものよりさらに大容量・軽量・低内部抵抗の電池が出て欲しいものです。
R/Cグライダーに使用されるニッカド電池は、世界的に見ても日本製の SANYOが定評がありますね。

いくつかのモーターの紹介

R/Cグライダーの動力として使用されるモーターのいくつかを紹介します。

特殊なものなどはありませんし、載せているデータもカタログデータ以外の測定データは、安価な回転計などで計っていますので、大まかな目安程度にして下さい。
回転数と電流はすべて私が計ったものです。また、寸法などで数値の前に「約」が付いている場合は、データが無かったため、私が計測した数値です。
なお、全長や直径はシャフトや突起部を含まない数字になっています。