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◇「人と本」−■BC-AD15 ■博物百科等 ■動物 ■植物 ■昆虫

博物学書や著者などについての紹介です。
参考文献によって記載内容が異なることがちょくちょくあります。


17世紀
著 者 生没年 著 作 刊行又は執筆 概 要
ウリッセ・アルドロヴァンディUlisse Aldrovandi 1522〜1605 「昆虫という動物について」
De animalibus insectis
1602 全7巻。昆虫を論じた最初の総合的著作。ゲスナーの編纂者というレッテルを覆し、優れた観察眼を伺わせる版画と合わせて評価が高い。
トマス・ムフェット(編)
Thomas Moffet
1553〜1604 「昆虫、小動物の劇場」
Insectorum sive minimorum animalium Theatrum
1643 英国の医師。刊行されなかったゲスナー「動物誌 六巻」の原稿が底本。
「エドワード・ウォットン、コンラッド・ゲスナー、トマス・ペニーによって始められたが、最終的にトマス・ムフェットの努力により 編纂、補完、完成された著作。」
本著は1590年に完成されたが生前には出版されなかった。
スワムメルダム・ヤン
Swammerdam Jean
1637〜1680 「昆虫学総論」
Historia insectorum generalis
1669 オランダの比較解剖学者。昆虫の研究に多大な業績を残したが存命中は無名だった。昆虫の顕微鏡観察とスケッチに打ち込んだ。
彼の描いた昆虫図譜は今日の眼で見ても精緻を極める。
「自然の聖書」
Biblia Naturae
1737〜1738 「自然の聖書」はスワムメルダムの遺稿を整理していたオランダの医師ブールハーウェ(Boerhaave Hermann 1668〜1738) によるもの。 ブールハーウェは当時の著名な学者で大学都市ライデンのブールハーウェ記念科学史博物館に今もその名を残す。
フランチェスコ・レディ
Francesco Redi
1626?〜1698 「昆虫発生の実験」 1671 アリストテレスが自然発生するといった生物や、それを支持した キルヒャーやブオナンニなどと論争を行い、自然発生ではなく生殖(卵)発生だと著した。

18世紀
著 者 生没年 著 作 刊行又は執筆 概 要
マリア・シビラ・メーリアン
Maria Sibylle Merian
1647〜1717 「スリナム産昆虫の変態」
Metamorphosis Insectorum Surinamensium
1705 ドイツ人女性による南米スリナム産の昆虫についての博物図鑑。
レオミュール
Reaumur Rene-Antoine
1683〜1757 「昆虫誌覚書」
Memoires pour servir a l'Histoire des Insectes
1734〜1742 フランスの昆虫学者・科学者で時代を代表する博物学者。観察と実験を重視し多くの発見をした。 温度計の100分目盛りを確立した(水の凍る温度と沸点温度を確認できる目盛りを作った)ことでも知られる。 また、鳥の標本をオーブンで乾燥させ、生時の姿を保存させる新剥製法を考案し、剥製の保存期間を増加させた。
なお、昆虫学者として蟻の優れた論文を著したが、死後170年公表されなかった。
シャルル・ボネ
Charles Bonnet
1720〜1793 「昆虫学研究」
Traited' insectologie
1745 スイスの博物学者・哲学者。
アリマキの単為生殖(卵だけから発生すること)を実験検証し、卵子論の前成説を記した。
ちなみにこの人、植物の光合成も発見している。
レーゼル・フォン・ローゼンホフ
Roesel von Rosenhof
1705〜1759 「昆虫のもてなし」
Der monatlich-herausgegebenen
1746〜1761 ドイツ、ニュルンベルグの旧家出身。メーリアンの昆虫図譜に影響を受け、多数の彩色入り昆虫図鑑を刊行した。彼の残した図譜は18世紀昆虫図鑑において最美といわれる。本著はザリガニやポリープについても初めて詳細に記載した。
「両生類自然誌」
Historia Naturalis Ranarum nostratium,etc
1753〜1758 ドイツ南部ニュルンベルグに生息する、蛙・ひき蛙などの両生類について解剖、骨格、繁殖機能などを図版と共に著した。 本著の扉絵図版はローゼルの美麗図版のなかでも白眉の傑作。
「昆虫学の娯しみ」
De Natuurlyke Histoire der Insecten
1764〜1768 ローゼルの妻及び、義理の息子で最大の協力者だったフリードリヒ・カール・クリーマンによって刊行された。
ウィルクス・ベンジャミン
Wilkes Benjamin
1700〜1750 「英国の蛾と蝶」
English Moths and Butterflies
1749 英国の昆虫学者・画家。
デ・イエール
de Geer Car
1720〜1778 「昆虫史論文集」 1752〜1758 スウェーデンの昆虫学者。昆虫の変態の研究で有名。
セップ
Jan Christiaan Sepp
1739〜1811 「神の驚異の書」
Beschouwing der
Wonderen Gods
1762〜1860 オランダの昆虫学者。オランダ産鱗翅類の図版400葉。各図とも成虫のほか、顕微鏡で見た卵、幼虫、蛹、そして それら蝶・蛾と関係の深い植物が詳細に描かれる。
モーゼス・ハリス
Moses Harris
1730〜1788 「オーレリアン」
Aurelian
1766 英国の昆虫研究家兼銅版画家による英国産の蝶類図譜。オーレリアンは「黄金の蛹(さなぎ)の愛好者」の意。 ハリスは12歳の時に昆虫学に興味を持ち、独学により正確かつ細密で独特な図譜を描いた時代を代表する一人で著名だった。
シェーファー
Schaeffer Jacob Christian
1718〜1790 「昆虫学提要」
Elementa Entolomologica
1776 ドイツの博物学者。昆虫関係の業績が多く本著では、翅の形と関節の数による昆虫分類を行った。
ドゥルリー・ドゥルー
Drury Dru
1725〜1803 「自然史図譜」
Illustrations of Natural History
1770〜1782 英国の銀細工師、昆虫学者。昆虫の分類に尽力した。
ファブリツィウス
Johann Christian Fabricius
1745〜1808 「昆虫学体系」
Systema Entomologiae
1775 キール大学などで経済学、博物学などの教授を歴任。口器の構造に基づいて昆虫を分類した。 昆虫の近代的な分類の基礎をまとめた。
ズルツァー
Sulzer Johann Heinrich
1735〜1813 「内外昆虫学要説」 1776〜1789 スイスの昆虫学者。リンネ、ファブリキウスの分類に準じた本著を出版した。
クラマー
Pieter Cramer
1721〜1776 「世界三地域熱帯蝶図譜」
Papillons exotiques des
trois parties du monde l'Asie, l'Afrique, l'Amerique
1779?〜1791 スペインの羊毛商人。
アジア、アフリカ、アメリカの熱帯地域の蝶図譜。
オリヴィエ
Olivier Guillaume-Antoine
1768〜1837 「鞘翅類の博物誌」 1789〜1808 フランスの博物学者。イギリスとオランダの昆虫類に関しての調査旅行や、エジプト、シリアなどの探検を 行い、膨大な博物資料をパリに持ち帰った。他に「エジプト・ペルシア旅行記」などの著書がある。
パンツァー
Panzer Georg Wolfgang Franz
1755〜1829 「ドイツ昆虫誌」 1793〜1844 ドイツの昆虫学者。スウェインソンをしてヨーロッパ昆虫学者必携の書と言わしめた。 刊行途中でパンツァーは死去したため後人が引き続き出版を行い全191巻とドイツ最大の昆虫図譜となった。
ドノヴァン
Donovan Edward
1768〜1837 「中国昆虫誌要説」
Natural History of the Insects of China
1798 英国の画家、図鑑制作家。鳥類、魚類、昆虫などに関する図鑑を多数刊行した。またそれら自然物を収集し博物館まで建設した。
ストール
Stoll Caspar
?〜1795 「セミ類・半翅類図譜」 オランダの昆虫学者。セミ類と半翅類についての調査旅行を行い、本著に於いて ヨーロッパに分布していない昆虫を広く紹介した。

19世紀
著 者 生没年 著 作 刊行又は執筆 概 要
イリーガー
Illiger Johann Karl Wilhelm
1775〜1813 「昆虫学雑誌」
Magazin fur Insektenkunde
1801〜1807 ドイツの昆虫学者。
ゴダール
Godart Jean-Baptiste
1775〜1825 「フランス産鱗翅類誌」 1821〜1838 フランスの昆虫学者。主に蝶類の研究を行い、リンネ学会で数々の論文を発表した。
ジョン・カーティス
John Curtis
1791〜1862 「英国昆虫誌」
British Entomology
1824〜1839 英国の昆虫学者。
カルペンティエール
Charpentier Toussaint von
1780〜1847 「ヨーロッパ産トンボ類図譜」 1840 ドイツの昆虫学者。
ウエストウッド
John Obadiah Westwood
1805〜1893 「英国産蝶類の変態」
British Butterflies and their Transformations
1851 英国の昆虫学者。英国昆虫学協会設立に尽力し幹事にもなった。 蝶が幼虫から成虫に変態する様を一図に表現した本著を含め「昆虫の秘密」 「東洋昆虫学」などの代表作がある。
トムソン
Thomson James
1828〜1897 「ガボン旅行記」
Voyage au Gabon
1858 フランスの昆虫学者で鞘翅類を専門にしていた。アフリカ・ガボンの奥地を探検調査し多数の昆虫標本持ち帰り本著を著した。 カミキリムシの分類も行った。
ミュラー
Muller Fritz
1821〜1897 「ダーウィンのために」 1864 ドイツの動物学者。シラミの色と大きさは宿主の人種に対応すると唱えた。 本著ではヤドカリ観察により生物発生の原則を提示した。
デュフール
Dufour Jean-marie-Leon
1780〜1865 「半翅目の研究」 フランスの昆虫学者。最初は教師だったが後に昆虫の生態を観察した著書「昆虫記」を出版した。
ファーブル
Fable Jean-Henri
1823〜1915 「ファーブル昆虫記」 1879〜1910 フランスの昆虫学者、医師。タマムシツチスガリに関する論文はファーブルに昆虫学者となるきっかけとなった。
ザイツ
Seitz Adalbert
1860〜1938 「世界大型鱗翅類図譜」
Die Gross-Schmetterlinge der Erde
1909〜 ドイツの医師、昆虫学者。


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