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アルドロヴァンディ
Ulisse Aldrovandi(1522〜1605)

イタリアの百科全書家、博物学者。

ボローニャに生まれ、パドヴァ大学とローマ大学で学ぶ。 30歳で医学博士になり、1560年にボローニャ大学植物学教授。 医学・薬物学の講義を行い、そのための植物園を同地につくった。 ローマでギヨーム・ロンドレに会うことにより、博物学を研究する熱意を持ったという。
また、アルドロヴァンディは、当時最も卓越した学者の一人でかつ裕福だったらしく、 ゲスナーらが苦労して入手したものでも簡単に手に入れたという。

編纂者?
晩年は動物学に没頭し、1599年から所蔵する膨大な書物から動物書を刊行しはじめた。 しかし、自身が刊行に関与したのは、鳥類学と昆虫学の著書のみ。 その他は、弟子や友人らが刊行を進めた。

それらの著書はゲスナー『動物誌』や他の著作(図版)の流用であり、また文献のみでしか 生態の分からない動物については、文献の記載内容から姿を想像し図版化したため、奇妙な姿の 図版も少なくない。
かように自らの観察ではなく、他著者の本を流用したことが大部分である。
後にフランスの博物学者キュヴィエに
「彼の著作の図版だけを見ると、事実上、ゲスナーの著作以外のものは収録されていない」 と言われるように アルドロヴァンディが編纂者と呼ばれる所以はそこにある。

最初の昆虫図録?
しかし、昆虫学については諸説ある。
彼の刊行した『昆虫という動物について(1602)』は、西洋における最初の昆虫図録と言われる。 ムフェットがゲスナーの昆虫誌を底本にして刊行した『昆虫の劇場(1634)』と比較された場合、 貶められることもあるが、その図版を見ると良く観察されており、蝶・蛾の区別を手本資料なく、 種分した最初の人物として優れた先駆者という評価もある。

また、刊行した動物学書の量はやはり膨大であり、ビュフォン『一般と個別の博物誌』の 刊行に到るまで、動物学の基本テキストの一つであり、その図版もまた後世に大きな影響を与えた。 日本に伝わった、ヨンストン『禽獣虫魚図譜』は、アルドロヴァンディの刊行著書を要約したもの に近い。

後年、巨大な自然植物博物館を当地として創めて建設する。 どうやら、現在でも通称『アルドロヴァンディ博物館』としてボローニャ大学図書館にあるらしい?


◎主要著作
1599 Ornithologiae, hoc est de vibus historia libri XII 『鳥類学−猛禽類』
1600 Ornithologiae tomus alter 『鳥類学−陸生食用鳥』
1602 De animalibus insectis libri septem 『昆虫という動物について 七巻』
1603 Ornithologiae tomus tertius, ac postremus 『鳥類学−水鳥』

1599-1642 Opera Omnia 『万物論』
全11巻のアルドロヴァンディ著作。この内1巻に『怪物誌(1621)』が含まれる。
※(鳥類学等がどのように絡むのか謎です・・・)


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