消費者庁・消費者委員会を考える 日本女子大学消費生活研究室
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(ワシントンD.C.のFTC前にて筆者撮影)
米国連邦取引委員会(FTC)の建物には写真のようなアールデコの暴れ馬を男性が制する像がある。
馬は自由市場を現し、男性は国家を象徴している。市場は放任しておいては暴走し、強者の無謀を許し、
弱者の自由を奪う。そこで、国家には公正な市場確保のための規制をする権利と義務がある。
自由主義を自由放任主義と混同してはならない。消費者庁の実現こそ、消費者、事業者ともに潤う健全
な市場形成に貢献する。
T.消費者庁設立までの情報・資料
●衆議院・与野党で消費者行政新組織に関して合意、衆院で法案可決〜年内に消費者庁設立へ(2009.4.17.)
●民主党が自民党に相談員の待遇改善を申し入れ(2009.4.3.)
●社民党が消費者庁法案を基本的に受け入れ(2009.2.26.)(社民党声明文)
(宮崎県弁護士会主催公開シンポジウム「消費者庁」をみんなで考えよう! 基調講演レジュメ 2008.11.16)
●「消費者の権利」規定の改定を!(2008.10.2.)
●消費者庁設置3法案が閣議決定(2008.9.19)
●民主党「消費者権利院」構想が明らかに(民主党HP)(2008.9.2)
●福田首相の辞任で消費者庁はどうなるのか(2008.9.1.)
●消費者行政推進会議がリーフレット作成(2008.8.15)(同会議作成PDFファイル)
●「経済財政改革の基本方針2008」(骨太の方針)に消費者庁設立を明記 閣議決定(2008.6.27)
●「消費者行政推進基本計画〜消費者・生活者の視点に立つ行政への転換〜」が閣議決定(2008.6.27.)
(日本弁護士連合会消費者行政一元化推進本部での研究会報告レジュメ 2008.6.25.)
●消費者行政推進会議最終報告書(2008.6.13.)
(弁護士会等での消費者庁関連講演レジュメ、2008.6.1.掲載)
●福田総理が消費者庁の設立方針を明言(2008.4.23) 「消費者庁(仮称)の設立に向けて」
●「韓国の消費者政策の概要」(改正韓国消費者基本法全文訳付)(2008.3.22.)
2007年3月28日施行の消費者基本法が改正 消費者政策の担当省庁が製品安全分野を含めて公取委に一元化
●「消費者行政の現状と課題について」(自由民主党政務調査会・消費者問題調査会意見陳述)(2008.2.19.)
●「消費者庁設置は消費者の三重苦を取り除くために」(2008.1.28.)
●「消費者庁構想について」(日弁連消費者問題対策委員会消費者庁PT2007.1.24.での発表レジュメ)
●「国民生活センター縮小計画 国民の安全・安心は絵空事に」(共同通信社配信記事)
(日弁連シンポジウム『国民生活センターの今後を考える』2007.11.5)発表レジュメ
(日弁連『違法収益吐き出しPT』2007.8.29.での発表レジュメ)
●「人権としての消費者の権利」
(世界人権宣言大阪連絡会議・『第266回国際人権規約連続学習会』2005.10.19.)発表レジュメ
●「私人の人権侵害行為に対する法のエンフォースメントを考える」(人権政策研究会2004.10.16.発表レジュメ)
●「悪徳商法防止 父権訴訟を導入しては」(朝日新聞『私の視点』2003.6.30.)
消費者庁構想を考える
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U.消費者委員会・消費者庁の人事をめぐっての経緯
下記のとおり、2009年7月1日に消費者委員会及び消費者庁の人事案が政府より示され、消費者団体・弁護士会等
から批判の声があがっていました。内閣府は8月31日、消費者委員会設立準備会の参与代表である住田裕子弁護士 が辞任し、同委員会発足後の委員が当初予定の10人から9人に変更されることを明らかにしました。
住田氏は、野田聖子消費者行政担当相の指名で準備会参与代表を務めてきましたが、消費者団体や弁護士会か
らは批判が出ていました。法律は、委員長は委員の互選で決めると規定しているにもかかわらず、野田大臣が住田氏 を参与の代表に指名し、政府が同氏を委員長に内定したとされていたからです。結局、9月1日の初の消費者委員会で 一橋大学法科大学院長の松本恒雄教授が委員長に互選されました。
また、政府は消費者庁長官には元内閣府事務次官の内田俊一氏を起用しましたが、これに対しても消費者団体、
弁護士会等が批判しています。民主党も同党が政権を取る前の駆け込み人事であるとして反発しており、人事の刷新 が行なわれる可能性があります。さらに消費者庁が入っている民間高層ビルの賃貸料が年間約8億円であることが明 らかとなり、これに対しても民主党は批判しています。
●河村官房長官記者発表 「消費者庁・消費者委員会設立準備室の人事について」 (2009年7月1日) ●
消費者庁及び消費者委員会は9月に発足する予定でございますが、発足まで約2か月となりましたので設立のための準備作業を加速するた
めに、本日発令を行なうことにいたしました。まず、内田俊一氏を消費者庁設立準備顧問に任命をいたしました。消費者庁長官は消費者庁の発足 時に正式に発令をされますが、(消費者庁)長官は各省の次官等を相手にして、消費者目線で強力にリードができる能力を持つとともに、消費者 庁の発足当時から消費者庁を円滑に運営し、消費者を守る即戦力となることができる人材でなければならんとこのように考えております。消費者 庁の創設にも関わり、また、内閣府事務次官としても活躍をされました内田氏はその面では最適な人材であると、(消費者庁)長官に就任をして 欲しいと考えておるところであります。また、消費者庁に民間登用を行ないまして、消費者の視点を消費者庁の行政に強く反映させる観点から、 池本誠司氏、加藤さゆり氏、品川尚志氏の3名を消費者庁設立準備参与に任命をいたしました。消費者庁発足時に加藤氏には消費者庁参事官 に、池本氏及び品川氏には消費者庁参与となってほしいとこのように考えておるところでございます。
もう一つは消費者委員会の関係の人事についてでございます。消費者委員会設立準備参与といたしまして、池田弘一氏、川戸惠子氏、櫻井
敬子氏、佐野真理子氏、下谷内冨士子氏、住田裕子氏、田島眞氏、中村雅人氏、林文子氏、松本恒雄氏の10名の方を任命をいたしました。消 費者委員会委員は消費者委員会の発足時に正式に発令をされますが、私(官房長官)といたしましては、この10名の方に委員になっていただき たいとこのように考えております。選任理由につきましては配布資料のとおりでございます。また、本日辞令交付後に消費者委員会設立準備参与 にお集まりをいただきまして、その際、この参与会議をリードしていただくために野田大臣から参与の代表として住田氏が指名をされたと、このよう に聞いておるところであります。
最後に原早苗氏を消費者委員会事務局準備顧問に任命をいたしました。委員会の事務局長には委員会発足時に正式に発令をされますが、
原氏には事務局長になっていただきたいとこのように考えておるところでございます。以上でございます。
V.消費者庁・消費者委員会人事に対する意見書等
●民主党
●全国消費者団体連絡会
●消費者主役の新行政組織実現全国会議(ユニカねっと)
●新しい消費者行政を実現する連絡会
●NPO法人京都消費者契約ネットワーク
●新しい消費者行政を創る宮城ネットワーク
●全国クレジット・サラ金問題対策協議会
●秋田県弁護士会
消費者庁長官・消費者委員長人事に関する会長声明(同会HPトップ「お知らせ」参照)
●仙台弁護士会
●横浜弁護士会
●京都弁護士会
●兵庫県弁護士会
W. 麻生政権でのこれまでの動き
● 麻生新総理は、福田政権の意向を継承し、消費者庁設置関連3法案を閣議決定し、法案を国会に提出する方
針を語っていましたが、9月29日に閣議決定し、国会に提出されました。
野党の衆議院早期解散圧力に対して、麻生総理は消費者庁や景気対策等の国会審議が優先されるべきとして、
「解散のかの字も私から述べたことはない」と発言しました。衆議院解散は来年度春以降なるという憶測も流れ始めて います。
● そうした中、国会での審議が進んでいません。民主党が審議に応じないからです。そこで、政府は、消費者庁設
置とは切り離して、地方自治体の消費者相談窓口の強化を目的に、都道府県が設置する「地方消費者行政活性化基 金」(仮称)に総額約180億円を交付する方針を固めたとのことです(読売新聞報道による)。2008年度第2次補正予 算案に盛り込むことによって政府は09年4月の基金設置を目指しています。
政府は当初、地方自治体向けの交付金約40億円を09年度予算案に計上する予定でしたが、自治体が集中的に
支出できるよう、補正予算で約4年分を一括して基金として積み立てることにしたとのことです。
● 2008年12月13日朝日新聞朝刊は、自民党の大島国対委員長と民主党の山岡国対委員長ら野党の国対委員長
が、12日、国会内で会談し、消費者庁設置法案を審議する特別委員会を1月5日招集の通常国会冒頭に設置すること で合意したと報じています。特別委の構成メンバーや正式名称は12月25日までの会期末までに決める方針とのことで す。
● 2009年1月5日、衆議院は消費者庁設置関連法案を審議する消費者問題に関する特別委員会(通称:消費
者問題特別委員会)を設置しました。同特別委は委員長に自民党の船田元氏を互選しました。参議院については、 消費者問題特別委員会を作るのか、従来どおり内閣委員会で審議することになるのか、定まっていません。
● 2009年1月29日、首相官邸で麻生政権ではじめての消費者行政推進会議が開催されました。その前日には施政
方針演説で麻生総理は消費者庁関連3法案の早期成立を目指すことを表明していますが、推進会議でもそのことが 確認されました。会議の様子はこちら
● 2009年3月12日に民主党「消費者権利院」法案が国会に提出され、17日の衆議院本会議において、政府案と民主
党案の両案について趣旨説明・質疑がなされました。その後、消費者問題に関する特別委員会で活発な議論が行な われています。
●精力的な審議と参考人意見聴取、与野党の協議の結果、4月16日に消費者問題に関する特別委員会で、政府提出
の消費者庁関連法案が修正の上、可決し、翌日17日には衆議院本会議で可決しました。参議院でも「消費者問題に 関する特別委員会」が設置され、議論が行なわれました。5月29日に参議院本会議において全会一致で消費者庁設置 関連法案が可決され、今秋、消費者庁が誕生することが決定しました。
消費者庁関連法案の内容についてはこちら(官邸資料)
消費者庁構想を考える
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