R27
系リクライニングシートが自宅にやって来た / (併載)旅行記_愛車で行く上越国境2008
年3月中旬〜3月30日(日)〜4月6日(日) (2008年4月9日(水)公開)
ついに念願の
R27系リクライニングシートを手に入れる事ができた。この座席の正式な形式は不明であるが、R27形の形状を持っている。今でこそR27改形といった分類があるわけだが、昔はモケットの種類やテーブルの形状が違うだけで座席の形式が逐一異なっていた。そのようなわけで、一般的な呼び方に従って“R27系”と呼んでおこう。なんて美しいんだ…。背もたれ、座面、肘掛、フットレスト…総じて美しい意匠を生み出している。私が
12歳の頃、図鑑においてR27形リクライニングシートの横からの写真を見た瞬間に、その意匠の美しさと機能美に心を奪われてしまった。なんといってもフットレストが強烈であった。R27系リクライニングシートは、私のグリーン車趣味の扉を開いた、まさにその形状の座席である。その実物が今、自宅にあるのだ。それは私にとっては「グリーン車趣味の最高峰」と言える出来事なのである。
では、自宅に設置するに至った経緯を、旅行記を交えて公開しておこう。
★★★旅行記★★★
旅行記を公開するに先立って、本線走行中に撮影した写真について誤解の無いように注記しておこう。他者と絶対にぶつからない状況においてシャッターボタンを押しただけであり、ファインダーを覗いたり画面を確認したりはしていない。脇見運転はせず、安全運転が最優先である事は言うまでもない。
私は毎年、
3月中下旬や4月上中旬は気分が沈む。とりわけ今年は3月15日のJRダイヤ改正で大好きだった「寝台急行銀河号」が廃止になったので、なんとなく鉄道趣味も収縮してしまいそうな気持ちになっていた。そのような陰鬱な気持ちの中、うれしい知らせが舞い込んできた。私にR27系リクライニングシートを譲ってくださるといった内容である。先方様とは何度かやり取りし、3月30日(日)に私が実際に新潟県まで行く事にした。鉄道で行くならば旅行記にする程でも無いのだが、珍しく愛車メルセデス・ベンツ560SELで遠出をし、新潟県まで行ってきたので旅行記も併載する事にした。
私は日曜日に疲れたくないので、いつも日曜日は大掛かりな外出はしない事にしている。しかし、今回は相手がある事なので先方様の都合に合わせる以外に無い。そのようなわけで、今回は新幹線で楽に往復しようかとも考えた。あるいは、私が現地に行く事なく、運送業者の手配だけで済まそうかとも考えた。ちなみに、この時季に鉄道で東京から上越線の越後中里〜六日町・ガーラ湯沢へ行くならば、「スキー往復きっぷ(新幹線)」がお得である。
座席をどの程度分解できるのかはわからないが、背もたれは外せるらしい。座布団も外せるならば私の
560SELに積んで帰ってくる事ができるかもしれない。積み切れなければその部分だけを運送業者に委ねる事になるが、もしも積んで帰れたら幸いである。道路の雪の状況も大丈夫そうなので、愛車の運動不足解消も兼ねて560SELで出かける事に決めたのであった。
★★往路
/ 圏央道 ・ 関越自動車道 ・ 国道17号線三国峠★★2008
年3月30日(日)さすがに東京で
10年以上560SELに乗っているので、中央自動車道や東名高速、あるいは近隣の主要道路で出かける範囲というのは事実上のネタ切れ状態であった。群馬県北部や新潟県方面へも560SELで行ってみたいと思ってはいたが、私は都心の道や首都高速を走るのが好きではないので、そちら方面に行く機会は無かったのである。圏央道が部分的に開通した事により、昨年
6月から東京都心を通る事なく中央道から関越道へ行く事ができるようになった。
八王子
JCTにて中央道から新しい圏央道へと入る。いざ、未知の道へ。
関越道に入るまでの間は
SAやPAは無い。思い返せば2002年、仕事の関係で圏央道のトンネル建設現場を視察した事があった。都心を回避できる道のりであるが、通行量は意外と多くない印象だ。鶴が丘
JCTから関越道に入る。日本の国土が大好きな私は、見知らぬ町の道を通る事もじゅうぶんに楽しい。往路と復路は別経路を選択したいので、重量物を積んでいない往路は国道
17号線を通る事にした。そうは言うものの、街中の道路を通る事が楽しいとは思わないので、群馬県北部の月夜野ICまでは関越道を通る事に決めていた。
月夜野
ICから先の国道17号には上越国境を越える三国峠が立ちはだかっている。なお、この上越国境は非常に険しく、長らく東京と新潟を遠ざけていた。昔は鉄道で東京から新潟へ行くとすれば、それこそ信越本線経由で長野を通って向かっていた。次に1914年には磐越西線周りも可能になったが、最短である上越国境越えは最も後に完成した。上越国境越えの鉄道トンネルは、清水トンネル(在来線上り9,702m)、新清水トンネル(在来線下り13,490m)、大清水トンネル(新幹線22,221m)と名立たる長大トンネルが名を連ねている。それくらい険しい国境なのである。数十箇所のカーブを経て、三国トンネルを抜けると…
…そこは本当に雪国であった。
愛車
560SELで新潟県までやって来たのは初めてである。三国峠は道路幅が広いのが印象的であった。
上越線越後湯沢駅にて
上越線塩沢駅にて
塩沢駅からしばらくは旧国道らしき道を走った。鈴木牧之記念館付近の町並みは古風に整備されているのが印象的であった。
★★先方様宅にて積み込み★★
15時に先方様宅に到着した。
男二人がかりでなんとかがんばってみたが、
R27系の本体部分(下回り部分)を560SELに積み込む事はできなかった。座布団を取り外す事は極めて困難そうである。無理すれば積み込めたかもしれないが、無理すれば車の内外に傷がつく事になる。560SELの後部座席を養生して行ったのだが、無駄な努力に終わってしまった。ロングボディSELといえども、無理なものは無理だ。背もたれとフットレストだけ先に持ち帰り、座席本体部分は運送業者に委ねる事にした。なお、事前に運送業者とやり取りをし、運送プランによる重量制限なども確認しておいた。そのようなわけで、今回は体重計を買って持って行った。
★★復路
/ 関越トンネル★★関越道における上越国境の関越トンネルは、自動車トンネルとしては我が国最長、世界でも
5位の長大トンネルである。上り線は11,055mもある。危険物を積んだ車両はこの長大トンネルを通行できず、それらは一般国道17号線の三国峠を行かなければならない。
この先は、関越道・圏央道を通って来た道を戻る。さすがに日曜日夕方の上り線という事もあり、群馬県に入ってから激しい渋滞に見舞われた。休憩も含めて
5時間以上かかった。途中から一般道を通った往路よりも時間がかかった。この日の走行距離は477.9kmであった。
★★★座席本体部分が着くまでの
1週間★★★★★運送料金★★
座席本体部分の運送料金は、なんと私の予想を
1万円ぐらい下回る、6千円未満であった。
★★モケット張り替えの見積もり★★
近所の家具屋さんに背もたれ一つを持って行き、この座席のモケットを張り替える場合の価格を尋ねてみた。正式な見積もりではないが、安い生地を使ったとしても背もたれ一つあたり
1万円ぐらいとの事だ。座席をそのまま持ち込んでも対応してくれるらしい。560SELの内装を“国鉄グリーン車仕様”にした★★
フットレストを先に持って帰ってきたので、座席本体部分が来るまでは
560SELの後部座席に飾っておいた。この使い方もなかなかいいと思う。また、これと同時に560SELの内装を何年か振りに“国鉄グリーン車仕様”にした。
★★★座席本体部分がやって来た★★★
2008
年4月6日(日)ついに座席本体部分がやってきた。洗車場所にて洗浄し、しばらく外で乾かした。
工夫を重ねた末、フットレスト部分を下まで下ろしてなんとかぎりぎり奥の部屋まで運び入れる事ができた。家の中の扉部分を通過させる事は本当にぎりぎりであった。それにしても重い。入居から
1年ちょっとしか経っていないのに、残念ながら玄関の扉などに傷をつけてしまった。私自身も少しけがをした。一人で運ぶのはかなり大変だ。無理に560SELに積み込まなくて正解であったと思う。さすがに鉄道座席は大きくて頑丈で重い。
急行形仕様のエンジの座席に白いカバー …なんて美しいんだ! 背もたれカバーも肘掛カバーも思いのままにできる。
なお、座席取り付け部の中心から壁までの距離は、実車の最前列席と同様に
965mmにしておいた。この座席が手に入った事により、この形状の座席に乗る為にわざわざ大阪まで
「特急はまかぜ号」に乗りに行く必要が無くなった。「特急はまかぜ号」は座席の形状は申し分無いのだが、実を言うと、配色面では多少目を瞑らなければならなかったのだ。
ところで、この座席の写真については上掲の
1種類のみの公開とする。このコーナーの公開に先駆けて上掲の写真だけを先行公開したところ、「別の角度の写真が見たい」といった反響がさっそく来た。そうは言うものの、座席の整備の都合もあるので、当面はこの写真だけの公開にしておく。なお、座席を修復する場合は、将来別コーナーとして公開する事にする。ちなみに、座席の写真だけを先行公開した理由は、ご提供者様に対する素早い報告の意味合いもあったのである。さて、モケット等の修復についてであるが、この部屋から出し入れするだけで大変だ。座面の痛みはそれほど激しくないので、しばらくはこのまま飾っておこうと思う。
★★★あとがき★★★
サイトを開設していて良かったと思う。自分の思いを公開していると、共感してくださる方々からの反響が増えていった。それどころか今回は、念願の
R27系リクライニングシートを頂く事ができたのだ。さらに、このご提供者様の勤務先と私の自宅が近いという事もあり、東京での交流も持つに至った。ご提供者様、本当にありがとうございました。
R27系リクライニングシートは自宅に運び入れる事が可能だとわかりましたので、引き続きこの形状の座席を譲ってくださる方からのご連絡をお待ちしております。