東海道往復記… 往路
N700系、復路サンライズ出雲
関西在住の私の親族が
10月1日から東京の私の自宅へ来ていた。当初、当人は10月5日に帰るという話であったが、結局、10月10日に私といっしょに関西へ向かう事になった。…10日か、“東海道を10日移動”ってわけだ。
今回のテーマは、
★★旅程の構想★★
出張やら帰省やらで東海道を何度も何度も通っていると東京⇔大阪間の移動に新鮮さを感じず、何か変わった方法はないものかといつも考える。
実家近所の主要駅から東京方面へ夜行高速バスが走っており、これならば復路に実家をかなり夜遅くに出発できる。バスの乗り心地は自分には合わないが、最近はバスにも慣れてきたし、走行経路にも関心があるので本気で乗ってみようかと考えた。
他には、時期的に「鉄道の日記念・
JR全線乗り放題きっぷ」も考えてみた。東京→関西で2人、関西→東京で1人という使い方もできる。親族は「おもしろそう」とか言っていたが、親族は高齢なのでその選択肢は私が外した。また、往路は
2人で「ぷらっとこだま・グリーン車」にしようかとか考えていた。しかし、東海道区間の新幹線は普通車でもじゅうぶん快適であり、時間を気にせずに自宅を出発して「のぞみ・普通車」に乗る方が、「ぷらっとこだま・グリーン車」よりもはるかに楽である。同行者が高齢なので、結局は身体的に楽に移動できる方を選んだのだ。せっかく普通乗車券で往復できる機会なので、復路は、長年気になっていた「寝台特急サンライズ出雲号」に乗る事にした。貧すれば鈍するというわけか、最近は不況の影響で考え方が貧乏臭くなってきていたみたいだ。「夜行高速バス」だの「ぷらっとこだま・グリーン車」等、以前に選択肢から外したような手段まで考慮してしまった。
結論は、往路は新幹線、復路は「寝台特急サンライズ」という事になった。
2009
年10月10日(土)★★東海道にまだ残る
500系新幹線★★
東京駅で並ぶ
3種類の新幹線車両。写真手前からN700系、500系、700系。2007年度中には東海道から撤退すると予定されていた500系の姿が2009年度下期の東海道区間でも見られる…。
★★
N700系新幹線 初乗車★★東京
13:50→新大阪16:26 「のぞみ115号」 N700系 786-537115A
運転区間:東京13:50→広島17:58 停車駅:品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪、新神戸、姫路、岡山この後、
14:13には東海道では今や希少な「500系のぞみ」がある(上掲の写真の500系)。せっかくこの時間に居合わせているのだから、私ならば「500系のぞみ」に乗るところだ。同行者に「興味無い」と言われたので最新型で快適で発車時間が早いN700系「のぞみ115号」にした。もっとも、私一人ならば13:30頃の自由席にさっさと乗り込んでいたわけだが…。私自身初めて
N700系に乗った。新車の匂いがした。意外と匂いがきついので、酔いそうか否か同行者に尋ねた。N700系は全車禁煙であり、一部の車両に喫煙コーナーが設けられている。また、デッキ部分の監視用に設けられた監視カメラが印象的である。発車する際、乗降扉を閉める時にピコンピコンと音が流れるのだが、まるで通勤電車みたいで興醒めであった。停車駅が多い列車であれをやられたらイライラしそうだ。
N700系では客室内の座席周りにはパソコン用コンセントがあり、東京⇔新大阪間においては無線LANによるインターネット利用サービスがある。私は耳栓を外すまで気付かなかったのだが、私達の前の席の女性客はパソコンのキーボードを激しい音で叩き続けていた。ああいうのって、隣でうるさくやられるとイライラする。それにしてもJR東海のサービス基準って何なのだろう。かつては静かな空間の提供するという理由でJR西日本が「グランドひかり(100系3000番台)」のグリーン車の各座席に取り付けたテレビを自社管内では見られないようにしたぐらいなのに…。
車体傾斜装置等の最新技術を導入した車両はさすがに快適であった。見事な乗り心地であった。
2009
年10月12日(月) Uターン私の実家から阪和線を主に通ってくると、「寝台特急サンライズ」に乗る為には大阪駅で
現在、大阪駅では
11番乗り場の増設工事が進められている。また、9番乗り場が南向けに拡幅された現状が見て取れる。
★★大阪駅でのサンライズの表記★★
私は以前から気付いていたが、大阪駅での列車案内表記に着目してほしい。「日本海号」が寝台列車として表記されている一方で、「サンライズ瀬戸・出雲号」は単に特急列車として表記されている。この表記は
9・10番乗り場の他に、改札外のきっぷ売り場でも見られる。
2009
年10月13日(火)★★電車寝台特急 サンライズ出雲号★★
大阪
0:34→東京7:08 「寝台特急サンライズ瀬戸・出雲号」 285系 モハネ285-3寝台特急サンライズ瀬戸号 運転区間:(前日)高松
21:26→東京7:08 5032M寝台特急サンライズ出雲号 運転区間:(前日)出雲市
18:55→東京7:08 4032M→5032M
「サンライズ出雲号」は、それまでの客車寝台特急「出雲
3、2号」を電車化して伯備線経由に変更して1998年に登場した電車寝台特急であり、いわゆるブルートレインではない。乗車時間が
6時間半程度と短いからソロでいいと思ったが、さすがにこの狭さで個室は辛かった。むしろ客車の開放寝台の方がいいぐらいだ。ソロよりは1,050円高くなるがシングルにしておけばよかったと思った。しかし、シングルを利用した場合の大阪から東京までの特急寝台料金は「新幹線のぞみ」のグリーン車と同額である。短い時間で移動して自宅の慣れたふとんでゆったり寝る方がいいと思えてきた。富士あたりで、悪臭で目が覚めた。近隣の乗客が香水か整髪料か汗ふきシートだか知らないが起床時に用いたみたいだ。どういう空調システムなのか知らないが、個室内に入ってきた悪臭が思ったように抜けてくれなかった。それから先はほとんど眠れず、私としては珍しく頭痛が発生し、この日は一日中寝込む事になった。
小田原から東海道貨物線に入った。
6:23頃に貨物線から旅客線に転線すると、ロングレールのおかげで目立って乗り心地が良くなった。なぜに寝台特急を線路条件の良くない方の線路に走らせるのか。ガタンゴトンという振動と音によって寝台特急の乗客に目を覚ましてもらおうというサービスなのだろうか…(冗談だが)。
東海道貨物線を行く「サンライズ出雲」
6:24頃には横浜到着20分前を告げるおはよう放送が入った。定刻どおり東京に到着した。
大阪駅での待ち時間、特急寝台料金、所要時間、おもしろさ等を総合的に考慮すると、大阪→東京の移動に際して今後積極的に「サンライズ」を選ぶ事は無いかもしれない。しかし、四国か山陰に行く機会があれば次はシングルに乗ってみたいとは思った。
★★「出雲号」への個人的な思い★★
全く個人的な話であるが、「出雲号」は私にとって”旅立ちの列車”という印象がある。人生の大きな転機の際に乗ったのが「出雲号」であった。
その後も「出雲号」に乗ったが、その直後にも転機が訪れた。この頃から、「”出雲号”と”転機”」という組み合わせを意識するようになった。それゆえにその後も何度か「出雲号(サンライズ)」に乗ろうと試みたのであった。「サンライズ瀬戸号」ではなく「サンライズ出雲号」にこだわった理由はこれだったのだ。大型連休や正月にいつもいつも乗れなかったのだが、今回はついに乗る事ができたのであった。
「サンライズ 出雲」、いい名前だな。私の人生にもサンライズが訪れないものだろうか…。