東海道から撤退間近 500系新幹線 200611月 2006123日 公開)

 

 いろいろ思うところがあって、11月最後の週末に関西へ帰省する事にした。東海道から撤退間近である500系新幹線で往復した。

 

今回のテーマは、

1. 東海道から撤退目前の500系新幹線

2. 帰省計画

3. 500系 のぞみ25号  

4. 500系 のぞみ34号  グリーン車 515-5 

 

  

1. 東海道から撤退目前の500系新幹線

 JR西日本が1996年に投入した500系新幹線車両は世界最速級の鉄道車両であり、姫路以西では300km/h運転を行う。そのような500系だが、来年度中にも東海道区間から撤退するらしい。

 JR西日本は当初、500系を特別な車両として開発したが、設計の段階でJR○海からクレームが入ったので、居住性を若干損ねてまで定員を確保するように改められた。そこまでしてJR○海に合わせてあげたにもかかわらず、次世代のN700系の曲線走行性能に合わせられない、居住性が悪い、300系や700系と定員が異なるなどと言われて、東海道区間から締め出される事になった。

 500系車両はパフォーマンスが高い代わりにコストも高く、9編成だけしか製造されなかった。パフォーマンスとコストを下げた700系の量産に取って代わられたのである。

 

 

 せっかく「500系締め出しネタ」を公表する機会なので、「JR○海によるJR西日本へのイヤガラセ」について、私が瞬時に思いついたものだけでも記してみよう。

 悪口に当たるような発言は好まないが、500系問題の根幹にも関わる事なので、まぁいいだろう。本当の事だし…。

 

 

 

2. 帰省計画

 帰省するのは半年ぶりとなる。1123日(木)は祝日なので24日(金)に休めば4連休にできるところであるが、仕事の都合でそういうわけにもいかず、カレンダーどおりの休みとなった。

 さて、500系は本数が少ないだけあって、私は乗った事が無い。今回の旅程においても、新大阪駅を夕方に発車する「のぞみ34号」ぐらいしか乗れる列車がなさそうだ。また、車体断面積が小さいゆえに頭上に圧迫感がありそうなので、他の形式と同じような速度に抑えられる東海道区間においては特に500系を選んで乗りたいとも思わなかった。そうは言うものの、今後新幹線で姫路以西に行く用事もなさそうなので、せっかくだからこの機会に500系に乗る事にした。勿論グリーン車に乗る事にする。“500系はグリーン車にだけ乗った”という事にしておきたいと考えた。

 

20061118日(土)

 24日(金)夜に東京駅を発車する「寝台急行銀河号」のA寝台車下段に乗りたかったのだが、18日(土)の時点ですでに埋まっていた。高額なきっぷなのでキャンセル待ちをお願いした。出発までに何回か旅行会社に足を運ぶ事になりそうなので、必要なきっぷは分散して、店に行くたびに1枚ずつ購入する事にした。そうすれば、手間をかけさせただけで何も買わずに店を出るといううしろめたさが無くてよい。

  

20061123日(祝)

 今回の帰省では南海沿線と阪和沿線に用事があるので、「寝台急行銀河号」が取れたら乗車券類は「周遊きっぷ 和歌山・高野山ゾーン」にしたいと考えていた。しかし、残念ながらこのゾーン券は今年の9月から発売中止になったみたいである。

 

 「寝台急行銀河号」のキャンセル待ちはこの日までという事でお願いしていた。「寝台急行銀河号」のA寝台は上下段ともに埋ったらしい。

 26日(日)の東京行き「新幹線特急のぞみ34号」のグリーン車のきっぷを購入した。後で空席状況を調べたところ、この列車の普通車指定席は満席であった。

 

20061124日(金)

 この日は定時で帰宅する予定であったが、仕事が長引いてしまった。とりあえず閉店時刻間際の旅行会社に立ち寄った。せっかく移動するからにはおもしろくない旅程は避けたいので、「寝台急行銀河号」の空いている所にでも乗ろうと思った。しかしながら、A寝台もB寝台も上下段ともに満席で乗る事ができなかった。

 当初は、「寝台急行銀河号A寝台車下段)」に乗れない場合は24日(金)夕方の新幹線でさっさと帰省しようと考えていたのだが、早く帰宅する事ができなくて、それすら叶わなくなった。

 「寝台急行銀河号」にも乗れないし、当日中に素早く帰省する事もできない。何もかもがうまくいかないのでものすごくイラついてきた。25日(土)の新幹線自由席特急券を購入した。ふと思ったのだが、金曜日の夜に帰省できるわけでもないので、「乗車券+新幹線特急券」という買い方にどうも価値を見出せない。「ぷらっとこだまグリーン車エコノミープラン」にでもすればよかったと思った。しかしながら、すでに旅行会社は閉店後である。しかも「ぷらっとこだま」は乗車当日に買う事ができない。かなりイラついてきた。700系や300系の普通車で単に移動するのはなんとしても避けたい。25日(土)の500系「のぞみ25号」普通車自由席に乗る事にした。

 

 

 

3. 500系 のぞみ25

20061125日(土)

東京11:50→新大阪14:27  東海道・山陽新幹線11025 「新幹線特急のぞみ25号」 526-1

11025 運転区間:東京11:50→博多16:52 停車駅:品川・新横浜・名古屋・京都・新大阪・新神戸・岡山・広島・小倉)

  

 先頭車両(521-1)の客室の様子。通常の新幹線の普通車には片側2枚の乗降扉があるが、500系先頭車はノーズ部分が長いので、1号車と16号車の運転席側には乗降扉が無い。また、写真でもわかるように運転席に近い部分は天井が徐々に低くなっている。さらに座席の配置も特殊である。

 

 

 

余談. 大阪駅

 せっかく大阪まで来たので大阪駅の様子も記しておこう。

 旧78番乗り場が工事中のようである。また、12番乗り場の階段の位置が変わるみたいだ。

 

 26日(日)には、この秋のダイヤ改正で登場した敦賀行の新快速に乗った。

 

 

 

4. 500系 のぞみ34号 グリーン車

20061126日(日)

新大阪16:53→東京19:30 東海道・山陽新幹線11034 「新幹線特急のぞみ34号」 515-5

11034 運転区間:博多14:28→東京19:30 停車駅:小倉・広島・岡山・新神戸・新大阪・京都・名古屋・新横浜・品川)

 

 9号車乗り場の所には若い女性が立っていた。私は長年グリーン車に乗ってきたが、優等列車のグリーン車内において自分より若い女性客(子供を除く)を見かけた事が無かった。

 「のぞみ34号」は26番乗り場に着発する。隣の25番乗り場から16:49に発車するはずの「のぞみ314号」は、遅れていた「ひかりレールスター464号」からの接続待ちの為に発車を遅らせていた。「のぞみ34号」にも遅れが出ているらしく、停車時間が短くなっている旨が案内された。しかし、500系の自由席1号車には乗降扉が1箇所しかないので乗降に時間がかかるのである。

 

 乗り込もうとしたが、9号車の扉からゴミなどを搬出する為にしばたく待たされた。

 やっと乗り込んだわけだが、すごい乗客の数だ。

 新大阪駅を3分遅れで発車した。

 

 私の指定席には缶ビールなどのゴミが置かれたままであり、背もたれも倒れたままであった。どうも印象が良くない。途中駅から乗るとこういう事態もありうるのだ。グリーン車でこういう目に遭うのは2回目である。もしもグリーン車に期待を抱いて初めて乗った時にこのような状態であったら激しく失望したであろうと思う。なんなのだこの公共マナーの悪さは! 期待を抱いて生まれて初めて新幹線に乗る人だっているのだ。次に乗ってくる人の事を考えて座席やカーテンやゴミはきっちり整えておけよ!

 停車するたびに女性パーサーが席番を確認しながらゴミを処分したり座席を整えたりしていた。なるほど、こういうサービスがあるから散らかしたまま下車してもよいと錯覚してしまうバカがいるのだろう。さすがに新大阪駅では乗客の入れ替わりがあまりにも多いので、私の指定席まで手が回らなかったのかもしれない。私は終点で下車する場合でもきっちりと座席を整えておくぐらいなのだが…。

 

 先程の若い女性客は私の隣席であった。彼女は肘掛に内蔵されたテーブルを使っており、グリーン車に慣れた雰囲気の人であった。余談だが、私の知人女性もグリーン車や私鉄ロマンスカーに乗っている。やはり快適な空間はヲタ以外の若い女性にも需要があるのだろう。

 

 500系新幹線は丸っこい車体断面ゆえに窓側の頭上に十分なゆとりが無く、当然ながら荷物棚の収容力も低い。AB席の人がD席頭上の荷物棚を使っている事例も見られた。私の頭上もすでに物の置き場が無かった。私の後ろのご夫婦が少し場所を空けてくれた。荷物は足元に置く事にした。さすがにシートピッチが1,160mm(国鉄時代からの特急・急行グリーン車の標準)あるので、足元にかばんを置いてもフットレストを使う事ができた。荷物の置き場や身の回りを整理しているうちに京都に到着してしまった。なんだか落ち着かない旅立ちになった。

 京都駅も3分遅れで発車した。

 

 

 この座席は可動式のヘッドレストにだけカバーがかかっている。なお、可動式のヘッドレストは頭上で腕を組めるという点において私にはうれしかった

 フットレストは使わずに跳ね上げる事ができる。いや、通常は跳ね上げられた状態で乗客を迎え入れるのである。写真手前が跳ね上げられた状態で、写真奥が下げられた状態である。なお、土足禁止側は足を載せておかないと反転してしまう仕掛けになっている。フットレストを使わずに足を組んでいる乗客も多くいた。余談だが、隣が背もたれを倒さない状態で、自分が背もたれを限界まで倒した場合、跳ね上げられた後席用のフットレストが顔のすぐ横に来る様な印象だ。

 手持ちのイヤホンで用意された放送を聞いてみた。

 肘掛に内蔵されたテーブルは、指で摘み上げるにしては重い気がする。高齢者にとっては使いにくいのではなかろうか?

 センターアームレストに載せてある毛布は私が借りていたものである。特に模様は無い。

 普通車についても言える事だが、窓と窓の間の支柱には緩衝材のような物が取り付けられている。窓側は頭をぶつけてしまいそうだからなのだろう。どうやらそれはマジックテープで固定されているようだ。

 グリーン車では暖色系の柔らかい間接照明が用いられている。夜間の東海道区間の新幹線においては、すれ違う列車における客室の色の違いがはっきりとわかるぐらいだ。「ビジネスライクな普通車」と「落ち着いたグリーン車」の演出の違いらしい。しかしながら申し訳ないが、私個人はピカピカの明るい車内が好きである。かつて、落ち着いた照明の「近鉄特急アーバンライナー」から光天井の「南海特急サザン」に乗り換えた時には生き返った気がしたぐらいである。

 

 さて、いつもこのようにグリーン車の座席の写真を撮っているかというと、そうではない。少なくとも横4席が空いていなければ撮影できない。今回も東京駅到着直前に周囲の人達が下車態勢に入ったから上掲のような写真を撮れたわけだ。あまりにも人が多い車内ではいくらなんでも撮影は困難である。

 

 500系には16両編成中の7両にセミアクティブサスペンションがついている。その車両とは、両先頭車とパンタグラフのついた2両の中間車、それに3両のグリーン車である。つまり、500系のグリーン車は、同じ車体形状の普通車よりも構造面において優位性が与えられているのである。そのように褒め称えたいところであるが、この車両は車内に入ってから扉を1枚隔てた所からすぐに客室になっている。重厚な車体構造とまでは言えないのだ。

 この日のこの列車は前述のとおり普通車指定席は満席であった。また、自由席の混雑について謝罪する車内放送も何度か聞かれた。実際に車内販売は4号車から16号車までとされた。それはいいのだが、9号車のデッキに新聞紙を敷いて座り込む乗客がいるのはいただけなかった。行き場の無い乗客を排除したいとまでは思わないが、少なくともデッキをも含めてグリーン車である事は徹底してもらいたいものである。

 

 なお、往路についても言える事だが、客室端の座席の背面側に荷物を置く場合には車掌に申告するように案内が入った。実際に注意書きも見られた。グリーン車内では警備員が頻繁に往来していた。

 

 東京駅に到着した「500系のぞみ34号」…見てのとおり、航空機のような丸っこい車体断面形状である。この姿も来年度中には東京駅で見る事ができなくなる予定だ。

 

 

 

 トップページ 乗車体験記 鉄道雑感 メール