20 Stories Tour

in かしはら万葉ホール

2007.10.28

 時は一ヶ月前に遡る。

大阪の埋め立て地での試合後、チームの幹事が 「次は10月28日富田林でーす」と予定を発表。

わし「その日夕方から用事あるし昼ぐらいには終わる時間じゃないと厳しいで」

幹事「ほな午前中で組めるかどうか訊いてみます」

とそこに通りかかるリーグ主催者。

幹事「10月28日午前中の試合で行けます?」

主催者「うんなんとかなるやろ・・・」

 で、後日のメール。

幹事「富田林9:15キックオフです。グランド準備ありますので8:30集合で・・・」

 

(-_-メ)(-_-メ)(-_-メ)(-_-メ)

 池田から高速すっ飛ばして309号に乗って・・・

いけん道忘れとるわい調べにゃならんがな ほぉほぉこんだけ走ったら時間にして1時間強は要るのう

いじゃ出る時間は7時過ぎぐらいになるんかってっっ・・・・

 久しぶりに7時前に起きたぞコラ(-_-メ)

 

 朝飯食えないのにカロリーは摂らねばならん。

ので最近では高カロリーゼリーのお世話になっている。

最近は気が利いた物を売っているものだ。

ちなみにウチのカブトムシクワガタは昆虫ゼリーのおかげか 11月になろうかというのにまだほとんどが生きている。

科学の力は大したものだ。

 

・・・などとまあ要するにちゃんと目が醒めてないので惚けた思考のまま車に乗りゼリーを啜りながら高速に乗る。

通れば何となく思い出すもので無事予定通りに着。

 

リーグ最終戦であるが結構面白い相手であった。

ちゃんとボールを回してシュートもいいタイミングで打ってくる。

これでウチに得点力があればもっと面白くなるのだが・・・・

で、結局0-1の負けである。

かなりいい仕事はしたのだが最後には完全に崩されてしまった。

 

オフサイドだったけどなっっっ(苦笑)

 

 さてここからが当日の本番である。

まずは風呂に入って身を清めつつ至福の時を過ごし、会場入りである。

後ろの数列はほとんど空席か。

古代には天然の要害だった奈良である。

地理的な問題もあるだろうなあ・・・・ と、隣は空席である。

 

 

おうこれはわしに踊れということか?(爆)

 

 黒い衣装の松藤西村両氏が出てくる。

 

一呼吸置いて、甲斐よしひろ登場!

 

1.ALL DOWN THE LINE

 いきなり元取れました(爆)

チケット代+高速の往復代+食事代の価値がこの一曲に有りです。

西村さんは延々リフ。 松藤さんはサビまでは一拍鳴らすだけ。

甲斐さんは抑え気味に唄うだけ。

で、このスケール。

原曲のスケールをアコースティックユニットで出す、

というのはMy nameのデッド・ラインを彷彿とさせるんですが、

今回の一曲はこれに決まりです。

鳥肌来ましたもん。

わしは断言しますけど、これを凄いって思えないのはダメですよ、人として。

 

2.3.I.L.Y.V.M〜ビューティフル・エネルギー

 さてここからはわしの中ではもうボーナスです(爆)

おまけってんじゃないですよ一応断りますが。

オケ。

アコースティックだけでは何かが足らないと思わせたのかオケの出来が気に入ってるのか。

この流れは飛天のGUYコーナーで演ってたような気がするが今は判らないので後で調べよう。

あ、繋がってはなかったか・・・・

それにしても気持ち良いなあ。

このまま眠れたらいいのにと思うが音楽的貧乏性のわしが眠れるはずもない。

 

4.裏切りの街角

 ここでふと気づいたのは、西村さんの存在意義。

アクセント。

リズムとメロディは松藤さんで、曲にアクセントをつけるのが西村さん、

そんな感じで演ってるのだろうか。

いつもと立場逆なんよね、これなら。

しっかし二人とも音太いなあ。

 

5.かりそめのスウィング

  MCを挟んで。 わしは全然クラップしてませんよって(笑)

だって感じるリズム感とエイトのクラップは相容れないもんわしの中で。

松藤さんはガットギター。

この日はやたらガットギターを使ってる印象が強い。

この辺はポイントだなたぶん。

だからクラップは・・・(^^;;

宝塚は同級生の妹に頼もう。

 

6.噂

 TV出演に関してMCの後。

効いてるねえ西村さんのギター。

スリーフィンガーな曲って甲斐バンドでは珍しいんよなあ。

 

7.薔薇色の人生

 これもスケール大。

この曲調でこのユニットでこのスケールはあり得ないとも当然とも思える不思議な世界。

しばし陶然と音に浸る。

 

8.安奈

 これもガットギター。

アコギより音がくっきり太いガットの響きがこの曲に与えるインパクト。

痛む首も気持ちいいぞなんだか。

 

9.二色の灯

 この西村さんのギターのメロディ好き。

バンド時代のも儚くて良いんだけど、 好みとしてはこっちのんじゃね。

 

10.ハナミズキ

11.夜空ノムコウ

12.色彩のブルース

  10Storiesからの曲は全てオケ入り。

夜空と色彩はわしはお初。

この三曲だけ聴くと、わしが「このメロディ唄いたかったんだ」と思ったのは 正しいと確信してしまうが・・・

ほんとかなぁ?(笑)

いずれにしろ、甲斐よしひろはやはり髄からシンガーなのだと思える。

なんだか甲斐さんは楽に唄ってるようにも見える。

気のせいかもしれないが、自分の曲とは気負い方が違うのかもしれない。

 

13.破れたハートを売り物に

 コーラスが太い。

この日の松藤さんはギターもコーラスも太く感じた。

元が元だけにこの曲のスケール感は出易いのかもしれないが、

それにしてもでかいと感じる。

強いなあ。

 

14.風の中の火のように

 これもまた強い。

今回はこのスケール感がポイントだと確信。

 

15.漂泊者(アウトロー)

  当たり前のように感じていたけど、このグルーヴとスケールは異常。

だって三人しかいないのに。

ドラムもベースもないのに。

リズム隊がないんですよ、見ての通り。

坂井さんやJAH-RAHはいないんですよ。

なんだこりゃですよ全く。

アコースティックユニットの時はこればっかり書いてるような気もしますが(^^;

左側の壁には松藤さんの影が踊る。

 

~Encore1~

16.ナイト・ウェイブ

 しかしこの曲の表記はどれが一番正しいんだ?(笑)

それにしてもやはりでかい。

太平洋沿岸のイメージです。

 

17.HERO

またリズム変えましたね?(笑)

引き出しが多いというか懐が深いというか・・・

 

18.嵐の季節

 ちょっとカントリー調(でいいのだろうか?)な嵐。

西村さんのギターはBIG NIGHTなアレンジ。

この曲も地平線を感じさせるのだが、 この曲調になると更に荒野っぽくなります。

これも新しい発見。

 

~Encore2~

19.きんぽうげ

 半分松藤さんが唄って。

いつもより太く通る声。

ガットの太く歯切れのいい音と相まっていい感じ。

甲斐さんの声との絡みもまた絶品。

やっぱ凄いヴォーカリストなんだといつも思う再確認。

 

20.バス通り

 定番・・・になるんだろうなあやはり(^^;

青みの抜けた声でも違和感はない。

哀しい木枯らしな唄が、なんだかほのぼのと暖かい。

気持ちのいいエンディングだ。

 

 奈良でのライヴに行くのは初めてであり、 当然かしはら万葉ホールも初めてであったが、 音もよく好印象だった。

天井や壁が白いのは照明/演出上問題になるのかもしれないが、

側面の白壁(二回せり出しの下)にはステージ上がくっきりと映り、

ビジュアル的に得をした気分でもある。

なんせドが付く近眼でしかも試合後のわしである。

直にステージを見るより壁の方がはっきりと見えるのである。

申し訳ないが数分ステージから眼を逸らし壁を見つめていたぐらいである。

ライトの具合によっては邪魔になるのかもしれないが、 少なくともわしの席では楽しめた。

ステージが三方向に見えるのである。 これを得と言わずして、である(笑)

 

  それは良かったのだが、公演中に席を離れ動く客が多過ぎたし、 曲中に談笑する客も周りに大勢いた。

あまりこの手の苦言は呈したくないわしであるが、 それでも言いたくなるほど目障りであり耳障りであった。

いい年した客層なのに情けない話である。

 

 

 

 

 ここから本題に入るとしよう。

 

  先にお断りしておくが当面”フェイント”は封印する。

面倒な割にウケがないからである(←やっと気づいた)。

 

 今回は彩り豊かなキーボードも、重厚なヴァイオリンもない。

当然過去にグルーヴ感を演出してきた前野、クラッシャー両氏ともいない。

あるのは、ただ二本(甲斐さんが弾いても三本)のギターだけなのだ。

松藤、西村両氏だけなのだ。

最小限のユニットでグルーヴ感を出せるのは既に証明し得た事である。

だから、ここに来てグルーヴ感だけの筈はない。

何かそこに追加されるべきものがある筈だ。

 

 というよりもあったからこそ、わしは確信を持ってこう書いている。

 

  それが何か。

何度も繰り返したのでわしが何と書くか既にお気づきだろう。

以前My Name is KAIに関するレポで、デッド・ラインの際 地平線が見えたと書いたが、

今回のライヴでわしは広大なものを様々に見た。

線路しかない荒野、大平原、大海原、大雪原、満天の星空・・・

燃える火以外何も飾りのないステージの向こうに。

例えそれが幻覚であると言われようとも、 わしはそんなイメージを演奏から得た。

わずか三人という極少のユニットから放たれた音のスケールは、 それほどまでに大きいものであった。

 

 そう、わしはこのライヴのテーマは「スケール」だと確信している。

25時然り、薔薇然り、嵐然り、敢えて言えばホールのスケールを 遙かに超えるスケールだった。

オリジナルを凌駕せんばかりのスケールであった。

しかもほんの数曲を除き、三人ともが立って演奏することなどなかったのだ。

ステージ上に動きはなかったのだ。

それでも尚、計り知れない程広大なステージだった。

リスト中での感想で、何度か松藤西村両氏の音/声の太さについて触れたが、

これはスケール感を表現するための方法論であったのではないか。

太さ1mmに満たない弦から放たれていたのは、 とてつもなく広大な何かだったのではないか。

しかも両氏のギターは、途切れることなく音を奏でていたのではない。

音を満たすことでスケール感を出したのではない。

むしろその逆であったと想える。

双方とも、必要最小限の音しか出していない。

そこに甲斐よしひろの声が絡む。

この声は本当にまったくのオリジナルだなと何度も想った。

類する声を、寡聞かもしれないがわしは知らない。

この声にたった二人の演奏が絡む、それだけなのに、 それでもなお、ここまでのスケール感を表現しているのである。

なんというワザ。

呆れる以外にない(笑)

こうしてみると、歯切れ感のあるガットギターが多用された理由もこの辺りにあるのかもしれない。

 

 さてここでセットリストを示してみよう。

ALL DOWN THE LINE

I.L.Y.V.M〜ビューティフル・エネルギー

裏切りの街角

かりそめのスウィング

薔薇色の人生

安奈

二色の灯

ハナミズキ

夜空ノムコウ

色彩のブルース

破れたハートを売り物に

風の中の火のように

漂泊者(アウトロー)

ナイト・ウェイブ

HERO

嵐の季節

きんぽうげ

バス通り

 

 シリドリに習って分ければバンド初期2:バンド後期1:ソロ以降1という比率である。

強いて言えばバンド初期に偏っていると言えなくもない。

次のツアーで選曲がバンド後期に偏るようであれば 時期的云々は強ち間違いではないという事になるのだろうか。

ここはややこしいところなのだが、前回=20 Stories Tourと今回のツアーが

別のツアーなのか一貫した一つのツアーなのかそれともシリーズなのかで話は全然違ってくる。

全く別のツアーでありシリーズでもないとすれば、次は総括的なものになるであろうし、

シリーズであるとすれば次はバンド後期に偏った選曲になるのであろう。

一貫したものであるとすれば、これがまたややこしくなる。

前回ソロ以降に比重があり今回バンド初期に比重があるとすれば

二回の一貫したツアーでシリドリ三回のツアーに相当させたと考えられなくもないが

バンド後期の曲は何処に行ったともなってしまう。

また一つのものとまとめてしまうと今度は時期的云々そのものが否定されてしまう可能性もある。

 

  いずれにしろ、この結論は次のツアーまで伸ばさざるを得まい。

多分、時期的云々は間違っているような気はするのだが(爆)

 

  ただ、こうも考えられる。

以前、シリドリは甲斐よしひろのキャラクターを角度を変えて表したものと書いた。

詳しくはシリドリのレポ(1. 2. 3.)を参照されたいが、この視点で考えてみよう。

 前回のレポでは、甲斐よしひろのパーソナリティは極小で シンガーとしての側面が強調されていると書いた。

「Street性」が強調されているとも書いた。

そして今回では、甲斐よしひろのスケール感が強調されていた。

これらをまとめ併せて考えてみると、

前回シンガーとしての側面と「Streetに生きる」面を別々に捉えていたが これは間違いで、

甲斐よしひろというシンガーの持つStreet性を表したものではなかったか。

 

  そうすると今回はどうだろう。

既に上に書いてしまったが、強調されているのはスケール感である。

それぞれの曲が持つ世界観を驚くほどに大きなスケールで演ってみせたのである。

となれば。

今回は甲斐よしひろというシンガーの持つスケールを表したものと言えるのではなかろうか。

こうしてみると、シリドリと20Storiesの間には明らかな類似、相似が認められることになる。

いずれにしろ、甲斐よしひろのとある一面、とある要素を強調したものに違いはないからだ。

 

我ながらこじつけもここまで行くと大したものだ。

Mr.論理ィの面目躍如とでも言っておこう。

 

次にはどんな選曲で、どんな要素が打ち出されるのか。 興味は尽きない。

 

 

Top Kai Lives