★★★豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」★★★

2014年ゴールデンウィークの鉄道旅行」からのシングルカット 2014531日公開)

 

201453日(土)

札幌14:05→大阪(翌日)12:53 8002レ「臨時寝台特急トワイライトエクスプレス号」 オハネ25-526 シングルツイン

 

 「寝台特急トワイライトエクスプレス号」に乗り込むまでの道中で、新しい方のカメラが使えなくなった。また、「トワイライトエクスプレス」に乗る事自体も初めてではない。200912月に乗車した際と同じような写真しかないので、全く個人的な乗車体験を記す事にする。尤も、旅行記も乗車体験記もそもそも個人的ではある。

 札幌駅にて食事する時間が無くなったので、駅構内にて食料品を購入した。夜は食堂車のパブタイムで食べると決めているが、思惑通りにいかない事や列車の遅延も想定して1食分余裕を見込んで食品を買い込んだ。北の味覚を積極的に選んだので、列車内に持ち込む食品の金額としては珍しく数千円にもなった。

 

 「臨時寝台特急トワイライトエクスプレス」と案内される。確かに“臨時列車”には違いない。そうは言うものの、毎日走らないまでも1989年から継続的に運転されてきたので、“臨時”という表現はこの列車には似合わない。

 13:49DD51-1100DD51-1095の重連に先導され、「トワイライトエクスプレス」が4番線に入線してきた。客車は春に全般検査を終えたばかりの第三編成、そして殿(しんがり)を務めるのは、200912月にもお世話になったカニ24-10だ。

 

 

 「トワイライトエクスプレス」は、客車編成3本と4両のカニ24が別個の運用になっている。よって、全検を終えたばかりの第三編成とカニ24とでは車体の輝きが違っていた。

 

 

 発車前のひと時。記念撮影をする人が多い。手稲行きや新千歳空港行き等の案内が表示される中、はるか遠くの「大阪」の行き先表示が、桁違いの長距離列車への期待を駆り立てる。

 

★大阪行きの列車が好き★

 北海道行きの下り列車の方が人気があるみたいだ。しかし私は、故郷が関西で勤務地が東京なので、大阪駅や新大阪駅から東へと走り去るのが好きではない。これは旅行とて例外ではないのだ。むしろ「大阪行き」というのに惹かれるのである。

 

★★シングルツイン★★

 2013年春の改正から、5号車が禁煙車となった。JRの個室車両は、従来は禁煙と喫煙の区別が無かった。個室車両内の空調機器は完全に独立した物では無いらしく、同じ車両の別の個室でタバコを吸われるだけで辛い人もいるらしい。よって、5号車が禁煙化された時はうれしく思ったのであった。そうは言うものの6号車は従来の個室と変わりなく、際立って損した感じはしない。ちなみに、人気のA寝台個室も禁煙と喫煙の区別が無い車両だ。

 今回取れた部屋は、運良く進行方向右側だ。私は、複線区間において駅や配線がよく見える進行方向右側が好きなのである。

 

 それにしても荷物をたっぷり置ける事はありがたい。

 (翌日撮影)

 座る場所、荷物を置く場所、眠る場所を効率よく分けられるところがなんともうれしい。タオルだって干せる。夜行列車の座席車の荷棚からタオルをぶら下げて干している人を時折見かけるが、さすがに下品である。個室はそういうところも気兼ねせずに良い。

 

 (翌日撮影)

 上段の補助ベッドは、上下の空間がこのように狭いが窓が無いので、余計な光が入ってきにくいから私としては眠りやすい。

 

★いい日旅立ち★

 札幌を発車してすぐに「いい日旅立ち」が流れ、それに付随する放送が入る。この「いい日旅立ち」は始発駅発車後と終着駅到着前にしかかからない。この曲は国鉄のキャンペーンソングとしても用いられていたが、今ではJR西日本が多く用いている。そう、「トワイライトエクスプレス」はJR西日本が威信をかけて世に送り出した列車なのである。

 

★シャワー券★

 札幌を出発して10分ぐらい経ってからシャワー券を買いに行った。なんと空いている時間帯の中から好きな時間帯を選べるではないか。青函トンネル内の時間帯を希望した。そもそも私は自宅以外で裸になるのが嫌だ。医療機関ならば仕方がないと思える範囲だ。もしも地上を走行中に脱線転覆事故がありその時に素っ裸だったら救出されるのを待ってほしいと思う。一方、海底トンネル内の事故ならば埋まってしまうか、救出にかなりの時間を要するだろうから地上よりはましなのである。そのようなわけで青函トンネル内でシャワーを使う事に決めていた。

 

★検札★

 青森まで乗務するJR北海道の車掌氏が検札に来た。京都からの飛び出し区間の大阪までの乗車券を求めた。JR西日本の車掌からでもよいかと言われたが、その後、サロンカーにいる私のところまで持ってきてくれた。54日の京都から大阪までの乗車券を、53日に函館運転所の車掌から発券していただいたという事で、大変良い記念になった。

 

★ティータイム★

 ダイナープレヤデスからティータイムの案内が入った。これは知らなかった。せっかくの食堂車体験だという事で行ってみたが、飲料しか出ないとの事で引き返してきた。なお、今回乗車した際の食堂車の案内は前回乗車した際のそれとは異なっていた。浴衣姿、スリッパ履きに加え、持ち込みの禁止が案内された。持ち込みをする下品な客がいたのだろうと察する。

 

★グッズ販売★

 トワイライトエクスプレスグッズ販売の案内があり、サロンカーにて美人乗務員氏から3点購入した。順番に各車両に伺うとの案内であったが、販売を開始するサロンカーにてすでに長い行列ができていた。

 

★車内BGM

 個室内でBGMが聞ける。たいして期待していなかったが、4chが極めて良かった。私は音楽の好みは人に言わない主義だが、今回は特例だ。そのうちの1曲は何かの主題歌で聞いた事があるが、それには関心が無かった。ゴールデンウィークのこの時期にクリスマスソングが混じるのはいただけなかった。気に入った2曲を録音してきた。轍の音が混じっているので「トワイライトエクスプレス」への思いが蘇ってきてそれはそれで心地いいのだが、東京へ戻ってからダウンロードにて購入した。

 なお、車内のオーディオ機器は、車両の改造時期の違いにより、第一第ニ編成と第三編成とでは異なる。互換性が無いのである。

 

★★サロンカーにて★★

 一人旅の男性が声を掛けてきた。札幌からの彼は「トワイライトエクスプレス」に10回ぐらいは乗っているらしい。

 その後、札幌近郊から来た一人旅の男性が加わった。新幹線の話になった。

 

 「6号車○番のお客様はいらっしゃいますか?」と食堂車乗務員が言っていた。何事かと思いきや、夕食や朝食の予定や希望を全員に聞いて回っているとの事だ。

 

 しばらく席を離れていて再びサロンカーに戻ったところ、女性二人が話の輪に加わった。家族連れだとは分かるのだが親子か姉妹か一瞬わからない感じの親子だ。この事例に限らず時々、姉なのか母なのかわからないような女性がいる。彼女もそんな感じだ。京都へ帰るとの事。復路が「トワイライト」のツアーはあるが、往路が「トワイライト」のツアーはないと言っていた。「トワイライトエクスプレス」がツアー列車としてスタートしたという話をした。

 前回乗車した際にサロンカーで見かけたスタンプが見当たらない。車掌氏に尋ねたところ、そのスタンプはJR西日本の車掌の持ち物との事だ。

 

 この列車は、「北斗星」や「カシオペア」が停車する伊達紋別には停車しない。そのようなわけで伊達紋別駅を凝視した。

 

 

 洞爺を出ると、12時間以上先の新津まで客扱い停車を行わない。以前はここ洞爺で後から来る「特急スーパー北斗16号」を退避していたが、減量ダイヤ改正後にそれはない。にもかかわらず、駅本屋のある1番線着発ではない。

 洞爺発車後、「さぁ、これで今夜の顔ぶれは確定ですね。」などと言ってしまった。なんというか、乗客間の連帯感も高まってきたような気がした。

 

 国道37号線を行く車の流れより遅い場面が見られて話題になった。北海道の一般道は速いので、この列車も遅くはないはずと言われた。そうは言うものの、この先遠路はるばる大阪まで行く特急列車が一般車道に負けているのがなんともおかしな光景だ。

 

 事前に特に意識はしていなかったが、秘境駅として有名な小幌駅を見る事ができた。

 朝通ってきた山線が見え、長万部を通過。

  

 森から渡島砂原経由の線に入る。かつては、ここを遠回りしている間に大沼公園経由の座席特急を先に通していた。今となっては謎の遠回りだが、外が明るい時間帯に優等列車でここを通るのは珍しい事である。

 

 北海道志向の観光列車のはずだが、案内放送が無い事が不思議であった。大沼でやっと案内放送が入った。ミズバショウがきれいなので行けば良かった、と言う声が聞こえてきた。確かに朝の「特急スーパー北斗1号」から見たミズバショウは印象的であった。また、11線ながら特急停車駅である大沼公園駅に関心がある旨を話した。

 

 北海道の彼らは函館の裏夜景について教えてくれた。

 私は、仁山駅がかつて信号所であった事やこの辺りの勾配の様子を話し、加速線の現物を示した。

 

 

 新幹線新函館駅建設工事が進む渡島大野駅を凝視する。渡島大野駅は函館駅から17.9kmもあり、それらも話題になった。盛岡以北の新幹線は不思議な事がいっぱいだ。

 

 五稜郭にて運転停車中に京都の娘氏が「(外から)めっちゃ見られてる。恥ずかしい。」と言うので、「トワイライトエクスプレスは外から中が見えにくい。京都で降りる際には外から車内を見てみると良い。」と伝えた。

 五稜郭ではDD51が切り離され、海峡線専用の機関車に付け替えられ、進行方向が変わり江差線へ入る。しかし、五稜郭や青森で車外に出られないので機関車の番号は確認できない。また、青函区間の機関車に「トワイライトエクスプレス」のヘッドマークは取り付けられない。

 

 先程の京都のママ氏が言うには、洗面台からお湯が出ないとの事だ。隣の5号車の洗面所を見に行ったところ、湯水の温度を調整するような機能は無かった。あれれ!これは国鉄ブルートレインより退化しているではないか。三面鏡を付けたりして見た目を豪華にしても、女性客が化粧をどうやって落とそうか困るというのはいただけない。お湯を使いたければシャワー券を買えって事か?

 

★列車シャワー初体験★

 19:54青函トンネルに突入。20時になってシャワー室に行った。それにして臭い。下水臭か?

 時間制限やら何やらと制約が多く、気忙しい。皮膚の都合により、夏だとお湯の使用時間は6分間では足りないと思う。

 

 シャワー室から更衣室を見た様子。

 

 シャワーから出てサロンカーの仲間のところへ行った。ちょうど竜飛の定点を通過したので、ママ氏に先程説明した定点だと伝えた。

 

 

★パブタイム★

 蟹田を過ぎてパブタイムの案内放送が入るとサロンカーにいた人の大部分が食堂車に流れ込んだ。みんな考える事は同じだな。しかしながら青森駅で35分停車するとの事。停まっている食堂車にそれほど価値があるとは思えないので、ステーキピラフを食べ終えると早々に退散した。御飯物はステーキピラフしかないのでそれだけ食べたが、夕食としては物足りないので、札幌駅で購入したうちの一食も食べた。

 

★「トワイライトエクスプレス」の停車駅について★

 青森では再び進行方向が変わり、牽引機がJR西日本のEF81に交代する。車掌も交代する。また、札幌行きの「急行はまなす号」と並ぶ。青森始発の「急行はまなす」さえ発車していない有効時間帯であり、大阪行きの「トワイライトエクスプレス」は函館や青森で客扱いしてもよさそうに思う。唯一点、35分も停まる駅でドアを開けるのは防犯上の緊張があると思うので、そこらの調整は必要であろう。

 「トワイライトエクスプレス」の停車駅が洞爺で区切られている事には諸説ある。一つは、自社管内の取り分を減らしたくないJR北海道が自社内での乗車距離を確保しているとの説だ。これが本当だとすれば“お客様の方を向いていない会社”だという事になる。もう一つは、かつての「日本海1,4号」とで支庁毎に分けたという説だ。これが本当だとすれば、函館発着の「日本海」が無くなった今、渡島に「トワイライトエクスプレス」を停めてもいいではないかと言いたくなる。渡島については上り列車に限った話ではなく、下り列車では早朝ではあるものの五稜郭では「カシオペア」に近接する時間帯なのである。

 

 青森での長い運転停車に続いてお隣の新青森でも運転停車だ。ここでは「特急つがる9号」と行き違った。

 

 

 就寝した。一度目覚めたが、まだ24時前だ。

 

201454日(日)

 直江津から案内放送が始まった。またまたうるさい案内放送が始まったと思った。

 昨夜早く就寝したせいか、7時前には目が覚めた。

 JR北海道管内では大沼と青函トンネルしか案内がなかったが、JR西日本管内では直江津に始まり頻繁い案内が入る。車掌氏に尋ねてみると、案内放送のマニュアルがあるらしく、放送できない場合を除いてほぼ共通の内容を放送しているらしい。

 

 夜の食堂車は外がよく見えないので、明るい時間帯の方がいい。朝食の時間帯に余裕があれば入れてもらおうかと思ったが、この日はもう案内できないとの事だった。

 

★★続・サロンカーにて★★

 サロンカーでは昨夜のメンバーが昨夜の位置にいた。シャワー室の悪臭を避けたいので、サロンカーの前寄りで朝食にした。

 

 子供達に混じってスタンプを押すうちに3家族で乗っている人達とも仲良くなった。私のスタンプ帳を見せると大いに盛り上がった。

 

 牽引機を模ったスタンプがかわいらしい。

 スタンプについて車掌氏に尋ねてみた。別に編成毎に内容が異なるわけではないらしい。ただし、全て乗務員の手作りなので一つ一つは微妙に異なるらしい。手作りというところにも「トワイライトエクスプレス」に対するJR西日本の意気込みが伝わってくる感じだ。

 

 

 食後にサロンカーの“定位置”に戻ると、前夜は会釈した程度の小樽から来た高齢男性ツアー客ニ人組とも話した。

 車掌氏がやって来て、暑かったり寒かったりしないかと尋ねてきた。

 

★タバコとシャワー室に続く、第三の悪臭★

 6号車の洋式トイレに入ると嫌な予感がした。紙が盛られている。もしかして流れないのでは…。嫌な予感が的中し、他人が出した山盛りのブツを見る羽目になった。車掌に申告した。私がやったのではない旨を強調しておいた。全般検査を今春終えたばかりだというのに、旅客の目に付くところだけでもこんな状態だという事は、安全面やその他諸々が大丈夫なのかと思った。

 サロンカーでこの話をすると、車両の老朽化の話題になった。サロンカーの肘掛の一部が完全に外れていた。200912月の乗車体験記にはあえて記さなかったが、老朽化が目に付くところはいくつかある。

 

 使用停止の張り紙が…。

 おっと、ブツの話はそこまでだ。

 

 

 金沢にて読売新聞を積み込むとの案内が入った。

 再びグッズ販売の案内が入った。販売箇所の食堂車へ行ってみた。札幌発車後に売られていた物と同じらしい。

 

★続・車内BGM

 サロンカーのBGMもシングルツインで聞けるBGMも同じ物みたいだ。昨夜は音量を変える人が見られたが、私は思い切って4chに切り替えた。

 車掌氏に尋ねたところ、乗務員は装置のON/OFFを操作するだけで、チャンネルや音量は乗客に任せてあり、とりわけ指定の設定とかは無いみたいである。

 

★敦賀にて★

 

 敦賀では機関車の交換が行われる。青森からのEF81-103が切り離され、EF81-44が先頭に付く。古い方のカメラの容量をやりくりしながら撮影したので、地下道から跨線橋に切り替わった駅をじっくり見る事はできなかった。また、ママ氏も機関車交換を見に来ていたので、車外から車内が見えにくいという事を実際に見てもらった。

 200912月には機関車交換のところに食堂車乗務員も出てきて撮影とかに応じてくれていたが、今回は車掌氏はいたものの食堂車乗務員の姿は見られなかった。

 

 

 敦賀を出た列車は鳩原ループ線を行く。昨夜食堂車で向かいにいた女性客がループ線の案内を聞き入り撮影したりしていた。ループ線が終わると彼女はサロンカーを去っていった。あまり人の事は言いたくないが、その女性は昨夜食堂車で向かいの席に一人でいた。また、ループ線を楽しむところから見ても“鉄子さん”ではないかと思った。こういう言い方をすると一人旅が好きな人々やキモヲタには申し訳ないが、20代か30代位のきれいな感じの女性が一人で乗っている事に驚いてしまった。

 

 近江塩津を通過すると日常的な関西に戻ってきた気になる。「あぁ、関西に戻ってきた。」と言ったが、北海道から来ている人達にとっては逆に近畿圏が珍しいのである。琵琶湖を見て大喜びしている人もいた。滋賀県の面積の1/6が琵琶湖だとの案内を聞いて意外と少ないと言っていた。近畿圏外の人にとっては滋賀県の大部分が琵琶湖で占められている印象らしい。近江今津を通過する際には、竹生島観光への玄関口である旨を説明した。

 

★続・「トワイライトエクスプレス」の停車駅について★

 思うのだが、糸魚川、加賀温泉郷、琵琶湖、これらの案内放送をするのであれば上り列車ぐらい停めればいいではないか。立山連邦の案内については富山に停車するのでいいと思う。加賀温泉郷について丁寧に説明しておいて加賀温泉駅を通過するのは意味がわからない。温泉は車窓風景ではなく訪問地のはずである。琵琶湖についても、竹生島観光の玄関となる近江今津に停めればいいではないかと思う。尤も、湖西線内については、強風の影響で米原迂回になれば当該停車駅を経由できないというリスクが伴う。それにしても、車窓風景ならば案内するのもありと思うが、温泉地を案内だけして通過するというのは意味が無いと思うのだが…。

 

8号車★

 京都にてBコンパートメントから下車する件の親子を見送った。乗車中には8号車や9号車にも何度か行った。8号車の9号車寄りには、タバコの煙が来るから扉を閉めてほしいとの旨の張り紙が昨日からなされていた。乗客が雑に貼った物だと察する。朝8号車を通るといろんな物の入り混じった匂いがした。さすがに換気が良いとは言えない車内で満席に近い乗客が長い時間寝たり食べたりその他諸々しているのだから匂いも篭るわなと思った。

 

 

 京都を出ると、下りの「寝台特急トワイライトエクスプレス号」とすれ違う。

 

★親友と★

 PHSが圏外になるところを長く通ってきたので、その電源は旅程の大部分で切っていた。京都を出てメールを確認してみると、京都在住の親友が桂川駅へ手を振りに来てくれるそうな。「桂川? どこだ?」と思って程なくして桂川の標識が見えた。指定の位置に彼の姿を捉えた。そうは言うものの、前述の通り「トワイライトエクスプレス」は車外から車内を見る事は困難だ。それにしてもやばかった。もしも彼が京都駅まで来ると私に伝えていて私がそのメールを見ていなかったら、あるいは桂川駅を通過する前に彼からのメールに気づかなかったら、彼の行動を無駄にしてしまうところであった。

 

★やはり遅いのか★

 かつての「下りトワイライトエクスプレス」が21時間で走っていた大阪⇔札幌間を現在の「上りトワイライトエクスプレス」は23時間近くかけて走っているが、駅間は特急列車らしく結構速いものだと前日から思っていた。ところが、12:39頃、内側線を行く各駅停車に圧倒的な速度差で追い抜かれた。その各駅停車は間もなく茨木に停車した。アーバンネットワークの電車の加減速性能の高さを目の当たりにした思いだ。

 

★大阪に到着★

 「いい日旅立ち」が流れ、終点大阪に到着した。「トワイライトエクスプレス」を始発から終点まで、しかも大好きなシングルツインで乗り通すという願いを達成できた。きわめて満足度の高い旅路であった。

 

★印象や思い出は乗るたびに異なる★

 せっかく気分よく旅行できたのでそれでいいと思う。あえてマイナス点に触れる必要も無いとは思う。それでも記しておこう。カメラを思うように使えなかった事は自分の失敗だ。大本命の5号車を取れなかったものの6号車の右側を取れたのでそれはそれで良かったと思う。満足なカメラを持って禁煙の5号車に乗る為だけに再び出かけるかといえば、否だ。思い出はなんといっても心の中にあるし、古い方のカメラがあっただけでも助かったと思う。

 悪臭の件は残念であった。その後もトイレの故障が頻発しているらしく、「汚わいライト」などとあだ名が付かないうち是正した方がいいだろう。

 乗務員もチームによって違うのだろう。食堂車にてやや厳しい言葉が飛び交っていたのが印象的であった。乗客にとっては楽しいクルージングトレインであるが、乗務員にとっては職場なのだ。敦賀駅での食堂車乗務員の対応も前述の通り200912月に乗った時とは違った。また、どことは言わないが運転停車位置を修正する場面があった。列車に限らず世の中は、人によって動いているものだと感じた。誤解の無いように記しておくが、今回の乗務員に不満があったわけではない。

 

★後から知った事★

 帰宅後に荷物を整理していて知った事がある。

 当日は2154に青函トンネルに入ったが、やはりシャワー券を買う時に食堂車乗務員氏が21:45頃と言った通り、“旅のしおり”には21:41と記されている。また、サロンカーで一緒だった人が、「五稜郭に着くのがこんなに遅かったかな?」と言っていたぐらいなので、JR北海道管内で遅れが出ていたのかもしれない。所定では青森駅で40分停車する事になっているみたいだ。もしかすると、普段はDD51だって一般国道の車には負けないのかもしれない(笑)。

 シングルツインの部屋に置かれていた案内を見たところ、ティータイムの事も記載されていた。案内を読まなくてもわかるという思い込みは、大事な情報を逃してしまう危険があるという事を学んだ。

 グッズだって冊子で紹介されていた。件の販売担当者が冊子にモデルとして登場しているではないか。なるほど、モデルを兼ねるほどの美人さんというわけだ。

 

 

★★あとがき  「トワイライトエクスプレス」への思い★★

 さて、時間軸の関係から記すのが後になったが、旅行記を書き終えないうちに残念な発表がなされた。528日、JR西日本より「トワイライトエクスプレス」の運行を来春で打ち切ると発表された。乗って感激したその月内でのまさかの発表。ショックだった。北陸新幹線の開業に伴う在来線の分離や北海道新幹線の工事の影響もあり、先が長くない事は覚悟していた。頭ではわかってはいたが、現実のものとなるとショックだ。

 1988年(昭和63年)、青函トンネルが開業し、上野⇔札幌間に豪華寝台特急「北斗星」が登場し、大阪⇔青森間を結んでいた「寝台特急日本海」のうちの一往復が函館まで延長された。対東京の「北斗星」が豪華車両をいくつも連ねた有名列車なのに対し、対大阪の「日本海」がB寝台だけの地味な列車である事がなんとも残念であった。同年、その「日本海」がグレードアップされて札幌まで延長される計画があるという記事が新聞に載った。大阪と札幌を結ぶようになったその豪華寝台特急こそが、1989年(平成1年)に登場した「寝台特急トワイライトエクスプレス」なのである。当初はツアー専用列車であり、なんとなくジョイフルトレインのような印象しかなかった。同年12月に一般販売されるようになると、「北斗星」を追い落とすような列車が大阪に現れた事がとてもうれしかった。関西の誇りだとさえ思った。なかなか乗る機会こそ無かったが、「寝台特急トワイライトエクスプレス」は憧れの列車であった。

 豪華ならば何でもいいとは思わない。ロイヤルのように改造によっていくらでも贅沢に作れるような車両にはあまり関心が無い。また、窓並び等の編成美という点でも「北斗星」以降の改造による新形式には関心が持てなくなったのであった。そうは言うものの、24系客車という点において趣味の範囲内なのである。はっきり言って「カシオペア」だの「ななつ星」だの計画中の豪華クルージングトレインだのに全く関心が無い。

 自社管内だけをチョコチョコ走る寝台付きクルージング団体列車にどんな魅力があるのか私にはわからない。時刻表を見ながらどこからどこまで乗ろうかと考えられる列車にこそおもしろさがあると私は思う。私は昭和54年頃の東京発着九州ブルートレインに憧れていたが、それに近い思いを抱ける列車といえば、今では「寝台特急トワイライトエクスプレス号」において他に無いのである。

 「寝台特急トワイライトエクスプレス号」はよく考えれば安い乗り物だ。JR在来線の特急料金は600kmを超えるとそれ以上は上がらない。ゆえに、「トワイライトエクスプレス号」は1500kmもの距離を一本分の特急料金で行ってくれるのだ。今や300kmも走れば在来線長距離列車と言われるご時世において、その5倍も走ってくれるのである。300km相当の特急料金を5回払うよりも安いではないか。寝台料金にしてもそうだ。距離が短い夜行の特急や急行の2倍や3倍の乗車時間があるにもかかわらず一晩だけの寝台料金で行ってくれるのだ。それでいて豪華なサロンカーや食堂車まで付けてくれるのだから、安すぎるとしか言いようが無い。

 来春の廃止にしては発表が早すぎると思うが、考えを変えてみれば、廃止が発表される前の“ノーマルな時期”に乗れて良かったと思う。この先、駅や車内の雰囲気が悪くなっていく事は間違いないだろう。ありがとう、「トワイライトエクスプレス」! まだ乗る機会はあるはずだ。

 

 

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