和歌山市の鉄道取材
2005年8月13日取材 (2005年8月27日公開)
2005年11月に南海和歌山港線の中間駅・全3駅が廃止になる。そのようなわけで、2005年8月に関西へ帰省した時に和歌山市の鉄道取材に出かけた。
原付で行こうかと考えていた。鉄道関連の取材には車幅が狭くて小回りが利く原付が有効である。ところが、取材当日の
8月13日に家族の1人が急患になり、私が実家の自動車を運転して病院まで搬送する事態になった。これは大事には至らなかったのだが、そろそろ実家の右ハンドル車にも慣れてきたので、思い切って自動車で出かけることにした。国道26号線経由で和歌山入りした。今回のテーマは、
1.
南海和歌山港線の廃止間近の中間駅2.
紀和駅・紀伊中ノ島駅3.
(おまけ)和歌山駅で見つけた表示4.
南海から離籍間近の貴志川線…時間の都合で取材できず5.
南海旧加太線跡…車の運転が下手なので取材を断念
1.
南海和歌山港線の廃止間近の中間駅和歌山港線には中間に久保町駅、築地橋駅、築港町駅の
3駅があるが、いずれも1日の平均乗降客数が100人以下の無人駅で、これら3駅は2005年11月27日に廃止されることになった。これにより、この路線は両端の和歌山市駅と和歌山港駅だけになる。和歌山港駅の先にあった水軒駅は一足早く2002年に廃止されている。田舎の廃駅は珍しくもないが、これは県庁所在都市での出来事である。珍しい事例なのでぜひとも取材したいと考えていた。ちなみに、沿線はいかにも臨海鉄道的な風景が展開される。
和歌山市駅
南海和歌山港線の中間駅・全
3駅は無人駅なので、和歌山市駅の和歌山港線普通車乗り場にはこのような独自の改札が設けられている。せっかくなので、以下に中間全3駅を一挙に公開する。
久保町駅(和歌山市駅から
0.8km)和歌山港線の久保町
-和歌山港間(2.0km)は和歌山県が第三種鉄道事業者である。“第三種鉄道事業者”とは、車両所有と運転を行わずに線路設備だけ持つ鉄道事業者である。このような1面1線の駅にも何かしら特徴があるのがおもしろい。線路は草生しているが、これでも
座席指定車が連結された8両編成の四国連絡特急が大阪難波から直通する路線である。駅の上方を通る高架道路は国道
26号線紀の川大橋である。
築地橋駅(和歌山市駅から
1.5km)周囲に民家は多い。和歌山市駅への利便性の高さをウリにする気は無いようである。
築港町駅(和歌山市駅から
2.3km)すでに廃駅テイストが漂っている。プラットホームは草むらの先にある。列車を待つ客が1人いた。この駅は
1956年に和歌山港駅として誕生した。駅の北側はいかにも整地された跡が見られる。住宅を分譲中だが、駅はまもなく姿を消す。
2.
紀和駅・紀伊中ノ島駅和歌山⇔和歌山市間は、単独運転を行っており支線と間違われやすいが、実はれっきとした紀勢本線である。紀勢本線が未電化の頃はほとんどの普通列車が和歌山市まで乗り入れていた。また、その当時は和歌山⇔和歌山市間のピストン輸送も行われるなど、盛んに運転されていた区間であった。しかし現在では、通常は
2両編成の105系電車が平日においてはほぼ1時間ヘッドで往復するのみである。和歌山⇔和歌山市間に紀和という駅がある。この駅は、現在は乗降客の少ない
1面1線の無人駅だが、昭和43年まではここが和歌山駅だった。比較的大きな駅舎と残された広い構内が紀和駅のかつての栄華を物語っている。引込み線は阪和線の築堤まで達していたらしい。ちなみに、国鉄末期まで運転されていた南海⇔国鉄直通の「急行きのくに号」も紀和に停車していた。
紀和駅
1面1線の無人駅ながら大きな駅舎を有する事は有名である。せっかくなので駅前風景を含めて撮影した。駅前のこの道は、意外と市街地を直進するようである。
かつての栄華を思わせる広い構内に
1面1線の佇まい、と言いたいところであったが、なんと構内北側(写真左側)に線路が新設されている。どうやら高架化工事らしい。紀和駅のすぐ西側に国道
24号線の踏切がある。国道の交通に支障をきたさないように鉄道を高架化するとの事である。しかし、この理屈には疑問を感じる。この踏切は信号機が設置されており一時停止の義務が無い。それ以前にここは列車の本数が少ない。この鉄道路線を長い距離にわたって高架化するぐらいならば、紀の国大橋を南伸する形で国道を高架化すればよいのではなかろうか。
紀伊中ノ島駅
旧和歌山線跡は紀和駅に通じており、阪和線の紀伊中ノ島駅には旧和歌山線のプラットホームの遺構が見られる。手前が紀和駅方面、前方に見える築堤が阪和線である。
旧和歌山線のプラットホームを阪和線車窓から望む。 (
2001年6月撮影)
3.
和歌山駅で見つけた表示新大阪方面へ向かう特急は、和歌山駅においては乗車も降車も多い。よほど乗降に時間がかかるためなのか、期間限定で
1号車グリーン車乗り場から2号車普通車自由席への乗り込みを認めたようである。乗降扉が片側1枚の典型的な特急形車両なので仕方が無いが、殺気立った自由席の乗客に突き飛ばされる危険性があるグリーン車の乗客にはあまりおもしろい話ではないだろう。(これは和歌山駅構内の写真です。駅構内設置物や表現物の著作権およびその他の権利を侵すものではありません。)