さよなら200F編成

 再乗車 「東北新幹線やまびこ159号 215形グリーン車 R31形リクライニングシート」

 200436日 200437日 公開)

 

 3月の時刻表を見てもわかる事だが、編成案内のコーナーから東北新幹線20012連の編成が消えている。そう、200F編成が定期運用から撤退し、臨時用に残される一部を除いて廃車されてしまうのである。200系そのものの完全撤退ではないのであまり話題にならないようだが、私にとっては残念な出来事である。理由はR31形リクライニングシートの存在である。かなり前から知っていた事だが、私の大好きなこのR31形リクライニングシートが残されている車両は、更新の対象ではなく、廃車間近のものなのだ。

 20010連のK編成にもR31形リクライニングシートが残されている車両があるようだ。しかしK編成の場合、更新車なのかあるいは廃車間近の非更新車かの識別は編成案内を頼りに予測する事は不可能である。確実にR31形リクライニングシートにお目にかかれるのは全編成が引退確定のF編成しかないのである。F編成ならば編成案内で確実に識別できるため、R31形リクライニングシートにお目にかかりたい私としては、F編成の存在はありがたいのである。来週土曜日にいよいよダイヤ改正である。そのようなわけで、東京から小山まで「東北新幹線やまびこ159号」のグリーン車に乗車した。

 200F編成とは12両編成のものを指す。半室ビュッフェの237形を含む編成であり、グリーン車の位置こそ変わったものの、東北新幹線開業当時の姿を色濃く残す編成である。ちなみに、グリーン車が7号車から編成端に近い11号車に移された理由は、ビュッフェ利用客のグリーン車内通り抜けを少なくするためであった。そのビュッフェも現在では営業されておらず、車内販売の準備基地としての機能しか持ち合わせていない。

 ところで、本日になって時刻表の編成案内の異変に気づいた。このF編成だが、駅で見た交通新聞社の2月の時刻表(3月はダイヤ改正版なのでここでは無関係)にはビュッフェのマークが記載されていなかった。気になったのでJTB時刻表も見てみると、同様に記載されていなかった。JTB時刻表の昨年10月号には、営業休止のビュッフェのマークが載っていた(帰宅して確かめた)。そこで、心配なので編成と座席を確認するために、前回同様、まずは入場券を購入して入線車両を確かめたのである。

 東京駅で入線編成を見てみるとF80編成だった。F編成は今でこそ5編成4編成?)しか残っていないが、元々は基本的な編成だっただけに、特殊な編成も実在した。270km/h運転の「のぞみ」が登場する以前から275km/h運転を行っていた特別仕様のF編成もあった。以前乗車したF91編成(215-102)もその一員である。ちなみに、今回乗車したF80編成は、長野まで入線できる唯一200系であり、北陸新幹線(俗称:長野新幹線)の急勾配と複周波数に対応できる編成である。これは、長野オリンピック時の輸送力増強のために緊急に改造されたものだったが、その後、長野へ乗り入れる事は無かった。

 

非営業のビュッフェ…東北・上越新幹線は、乗車時間が短いために食堂車は用意されなかった。ただし、ビュッフェはあった。昔の優等列車には供食設備があったものだが、現在の一般的な新幹線や特急は、移動に特化した潤いの無いマシーンへと変質してしまった感がある。古き良き時代の面影を残すこの車両も終焉の時が近い。さて、速度計も見逃せない。新幹線の速さが“世界的に見ても特別”だった時代を彷彿させる。…このような意見に対しては、「国鉄ヲタ」などと批判を浴びせる風潮もあるようだが…。

 普通車の座席は、集団離反式のものではなかったのでここには掲載しない。

  

215-1017…車内に入り、“扉一枚”隔てた所から客室である。車内の扉はやや奥まった所にあるものの、国鉄時代の特急形グリーン車としては珍しい設計である。何度見ても不思議である。200系は雪にも強い設計であり、先輩の東海道・山陽新幹線0系と同じ丸顔でありながら、0系とは異なり、重装備を随所に感じられる。しかし、グリーン車の車内の扉はどうして2枚にならなかったのだろうか? 保温効果も必要な地域を走るのに…。 

 

 自席はもちろんグリーン車である。今回はせっかくの機会なので毛布を借りた。所定の位置から自分で持ってきた。毛布のサイズはこの写真から想像がつくであろう。当然、きれいに折りたたんで返却した。

 ちなみに、今回の検札は、(グリーン車内しか見ていないが)無札客のみが対象だった。私が切符を出そうとすると、データが車掌さんの手元に来ているために不要との事であった。

 

 小山駅でF80編成を見送る。上り通過線を次世代車両が高速で駆け抜けてゆく。

 

 動き出すF80編成の237形を撮影した。いわゆる“シ”特有の窓配置の車両ともお別れである。

 小山駅では幼稚園の遠足らしき大団体も一緒に下車した。この子達の記憶の中に「初代東北新幹線電車に乗った思い出」というものはおそらく残らないだろう。

 緑と白でおなじみの200系編成さま、さみしいけれど、さようなら。首都圏に住んでいて良かったと思える事の一つが、R31形リクライニングシートを有するあなたの存在でした。小山で下車する時は悲しかったです。感動的な客室意匠をありがとうございました。

 

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