東北新幹線やまびこ159号 215形グリーン車 R31形リクライニングシート 2003112日 2003113日 公開)

 

東京から小山まで「東北新幹線やまびこ159号」のグリーン車に乗車した。

 

今回のテーマは、

1. 新幹線215形グリーン車 R31形リクライニングシートを称える

2. 新幹線215形グリーン車 R31形リクライニングシートを捜し求める

3. 東北新幹線やまびこ159号 グリーン車でいく

 

  

1. 新幹線215形グリーン車 R31形リクライニングシートを称える

 私は、東北新幹線が開業した当時からのグリーン車215形車両のR31形リクライニングシートが大好きだ。この系列の座席は、東海道・山陽新幹線の162000番台車両にもR32形として登場した。どちらも臙脂色の段モケットが素敵だった。JR東日本の215形車両ではその後、赤を基調とした花柄になった。やがて、次世代車両の台頭、および200系車両自体の車体や内装の更新が進み、この座席も淘汰されるようになってきた。なかなかお目にかかれなくなってきたこの座席は、近年、今回示すような新しい模様に変わった。ちなみに、162000番台車両は平成119月に臙脂色の段モケットのままその使命を終えた(最終日には乗りに行った)。

  

 なんて美しいんだ…。枕部、座面、肘掛、フットレスト…総じて美しい意匠を生み出している。窓枠のすぐ下までカーペットが張りめぐらされており、最高の空間を演出している。着目すべきは肘掛のカバーである。昔は回転クロスシートの在来線特急の普通車でさえも肘掛に真っ白なリネンのカバーが掛けられていたのだが、近年では、新幹線グリーン車も含めてリネンのカバーの着かない肘掛がほとんどになってきた。もちろん、新しいグリーン車の座席にはよく研究された立派なものが多く、それに比べるとメカニカルロック式の座席は古めかしいものかもしれない。しかし、私は、白いカバーが掛けられた座席が好きである。昔のグリーン車の座席には大きなカバーが掛けられていた。肘掛にカバーが無くなった近年の座席は、省力化を感じてしまい、特別車両らしさが弱まった気がしてならない。座席には、人間工学的な優秀さの他に視覚的な素晴らしさも大切だと思う。まぁ、座席の意匠の好みは人それぞれだろう。私はこの形状が好きでたまらない。廃品を入手したいとさえ思っているぐらいだ。

 

座席背面を見てみる。

 通路を隔てた反対側を撮影した。この写真では若干低い位置から撮影しているが、ほとんどの乗客が目にするであろう光景である。なんと言っても、白いカバーが掛けられた肘掛がまぶしい。見てのとおり、大きなテーブルが引き出せるようになっている。さて、各座席には持ち帰り可能な冊子が設置されている。このようなサービスが始まった当初は、車内の美的景観が損なわれたようで好ましく思っていなかったが、10年以上も続いているので、近年は特に意識しなくなった。

客室の端の様子を見てみる。

 マホガニー調の化粧板が美しい。客室端の座席には折りたたみ式のテーブルが備えられている。これらは登場時から変わっていない。

 ここで、客室端のフットレストについて2つ記しておこう。

 座席が交換されても、客室端のフットレストだけは元の形状のままの車両が多い。215形の座席更新車や、在来線サロ185形もそうである。さらに言うと、JR西日本日根野電車区のクロ380もそうである。

 客室の一番後ろの座席のフットレストと、それに向かい合う客室端のフットレストを同時に反転させると、ぶつかってしまう…。…これはたいした話ではないな…。

 

 さて、この車両(215-102)について座席以外にも触れておこう。

 カーテンは厚手のものとレースのものがある。また、なつかしの冷水器も健在である。

 プラットホームから車内に入り、扉1枚隔てた所から客室となる。国鉄時代の特急形グリーン車としては珍しい形態である。トイレと洗面所、および乗務員室が付く為、座席は13番までとなっている。

 

2. 新幹線215形グリーン車 R31形リクライニングシートを捜し求める

 前述のとおり、次世代車両の台頭、および200系車両自体の車体や内装の更新が進み、R31形リクライニングシートも淘汰されるようになって、なかなかお目にかかれなくなってきた。この系列の座席は何回も乗った事があるのだが、消え去る前に乗っておきたいと常々思っていた。

 実は昨日(2003111)、この座席に乗るべく東京駅まで行ってみた。狙いは200系車両で運転される列車で、かつ、東北新幹線小山駅か上越新幹線熊谷駅に停車する列車である。小山や熊谷までなら100kmまでの料金で済むし、なんと言ってもホリデーパスの範囲内である。どちらも次の駅まで行ってしまうと大きく料金が跳ね上がる。ところで、時間帯が良くない事をわかっていた為、とりあえずホリデーパスを買わずに東京駅まで行った。東京駅では入場券を買って新幹線ホームに入ったのだが、目撃した下りの200系は全て更新済のものだった。結局、そのまま帰宅した。

 本日(2003112)、再挑戦した。昨日の徒労が悔しいのだが、チャンスなんてものはとにかく掴みにくいものである。近所だからいつでも行けると油断していると、とんでもない事になってしまう。実際に、115日から車両運用が一部変更となる。土曜日は早起きできないが、せっかくの3連休なので、本日日曜日はがんばって10時前に起きた。所用を済ませ、200系下り列車が多い時間帯の東京駅を目指す。

 東京駅中央本線ホーム北端から新幹線ホームや入線列車を見る。1300発「たにがわ443号」…アウト、12:44発「なすの237号」…アウト……。この時点で、すでにホリデーパスを購入している事を後悔しはじめた。“全滅”の場合は他所に出かけようと覚悟していたが、憧れのR31形リクライニングシートにこの先永遠にめぐり合えないかもしれないと思うと暗澹たる気持ちになってきた。とりあえず、入場券を買って新幹線ホームに入る。

 200系は、某テーマパーク20周年を記念した「ドリームキャンペーン号」として運転されており、時刻表にも明記されている。しかし、これだけでは更新車かどうかは判別できない。未更新車の「ドリームキャンペーン号」は、昨日上り到着列車で目撃した。

 1320発「とき319号」も「ドリームキャンペーン号」である。この列車は熊谷には停まらないので、この際、大宮で後続列車に乗り換えても仕方がないかと考えた。つまり、この場合はR31形リクライニングシートに大宮までしか乗れないのである。ちなみに、小山までが80.6kmなのに対して、熊谷までは64.7kmである。熊谷までグリーン車に乗ろうと通常なら思わないが、この際仕方がない。13:08に「とき319号」編成が入線した。緑と白でおなじみの200系編成がやってきた。座席を確認して、きっぷ売り場へ急いだ。なにぶん時間が無い。人も並んでいる。また、大宮で熊谷に停車する後続列車に乗り換えるという煩雑な注文内容だった為に発車時刻が来てしまい、「とき319号」は断念した。…終わった、と思った。

 次に目をつけたのが13:44発「やまびこ159号」である。「ドリームキャンペーン号」という表記がないので200系ではないのかと思っていたが、念のために編成表を見て心が躍った。営業休止中のビュッフェがつく12両編成であり、間違いなく200系である。折り返し「やまびこ159号」となる「なすの244号」の到着を祈るような気持ちで待つ。キターッ!! 13:32 何の装飾もなされていない、緑と白でおなじみの200系編成がやってきた。座席の枕カバーにも「ドリームキャンペーン号」の装飾が無くてすっきりしている。しかも、小山まで乗車できる。東京駅で1時間以上待った甲斐があった。座席を確認すると再びきっぷ売り場へ急いだ。先ほどのお姉さんの列に並び、お手数おかけした事を再び謝っておいた。

 さぁ、いよいよR31形リクライニングシートの旅である。

 

3. 東北新幹線やまびこ159号 グリーン車でいく

 さすがに指定席なので、グリーン車乗り場の所に行列はできていない。せっかくなので、一番に乗り込む。

 一番に乗り込んだおかげでこのような写真を撮る事ができた。後ろに人が続いていたため、きれいな角度で撮影できなかったのが残念ではあるが、私の後ろの人が歩みを止めてくれた事には感謝した。もちろん一言礼を言っておいた。私は、車内を気忙しく動き回るなどして他の乗客に迷惑をかけるような事はしない。なんと言っても公共の場であり、しかもグリーン車内である。

 3割程度の乗車率だろうか。

 上野を出発すると検札や車内販売がやってきた。車内販売の男性が再び現れてグリーン車内で希望者に毛布を配っていた。2人が所望した。青い毛布である。見てみたい気もしたが、わずかな乗車距離だし必要も無いので止めておいた。全てのサービスを享受しようと欲張るのはみっともない。ちなみに、JR東日本では期間限定で特急(急行)グリーン料金が安くなっているが、これに伴ってサービスの一部も省略されている。お茶かコーヒーのサービスが見られなくなっているようである。

 大宮までは速度制限区間であり、110km/h走行が続く。住宅地を走るためである。しかし、新幹線用地を埼京線に転用しているので、これを沿線住民への罪滅ぼしとみなして新幹線を200km/h超で走らせよという意見もある。

 さて、ここで面白い比較をしてみよう。

東北新幹線 新幹線特急 110km/h 東京⇔大宮 30.3km 無停車 22

東海道本線 在来線新快速 130km/h 名古屋⇔岐阜 30.3km 1駅停車 17

東海道本線 在来線新快速 130km/h 大阪⇔三ノ宮 30.6km  2駅停車 19

 

 大宮を出発するといよいよ200km/h超の世界に突入する。本当はこのまま遠くまで行ってしまいたいのだが、次の小山で下車となる。小山での下車客は多かった。

 「やまびこ159号」が狙い目である事を知る事ができた。東北方面へ行く機会があれば、車両運用やダイヤが変わるまでならば、是非この列車にしたい。

 

 

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