カヌーでユーコン パート2


ツアーのメンバー
 メンバーは私と相方のK、兵庫県のタカさん(♂)と横浜の松ちゃん(♂)でペアを組み、東京からぞーちゃん(♀)と現地ホワイトホースから肝っ玉母さん的バードウオッチャーのリンダとのペア、日加混成6人部隊。私たち以外は即席のペアだったけど、すんなりとけ込めたみたい。

 ガイドが1人ついた。カナダ人のジョー、気のいいナイスガイだ。が、もちろん指示や会話が英語!心身共に疲れた。最後の方は冗談も言い合い、少しは話せるようになった気がする?
 リンダには発音で随分としごかれた。まさか、カヌーツーリングで、勉強させられるとは思わんかったなあ。
 こちらばかりが教えられて悔しいので、ジョーに関西弁の厳しいレッスンをした。
「verryってのは日本語で『めっちゃ』っていうねん。Repeat after me "mettya".」とかね。彼は勉強熱心で手帳にメモしてたなあ。今頃日本人客に怪しい関西弁で指示してるんやろな。

痒いっす
 北極圏に近く、寒いくせにユーコンには蚊がいる。それも大量に!また、でかい。川の上にはいないが、上陸すると…むっちゃ多いっす。
 ブッシュに入ると無数にいる。南方のと違って、マラリアなどの病原菌は持っていないようだが、痒いのには変わりないっす。現地のスーパーで買った虫除け「Off」というスプレーが良く効きました。長袖、顔を守るモスキートネットは必需品ですね。

 根性のある蚊が多く、服の上からでも平気で血を吸う。常に顔の回りにブーンフーンとしているのでうっとうしい事この上ない。何気なしにふとももを手のひらでピシャっとすると5,6匹は殺せる。
 ご飯やおかずの中に入ってくるので、最初はいちいち取ってたけど、邪魔くさくなり、そのまま食ってた。ふりかけだと思えばええやろ。味はなかったな。Kはいちいち取ってたんで食べてないようだ。

 夕食の準備に焚き火を起こそうとしゃがみ、お尻にジャージがピタッと張り付いた状態になった。ふーッと吹いて無事火がつき、その間5,6秒。火がついて良かったと思った瞬間、お尻が熱い、痛いと飛び上がったんです。Kがイタズラしてライターで火をつけたのかとマジで思った。
 しかし、犯人は二、三十匹の蚊だったんです。5,6秒の間に一斉に血を吸われちゃったんです。それだけ一斉に刺されると痒さを通り越して痛熱くなるもんなんですね〜。

 テントの中で見てもらったら、すごいデコボコになっているようで「気落ち悪ーい」とKが悲鳴あげた。最後は笑いながら薬塗ってくれたけど。ここで露出放置プレーしたらマジで死ぬなと思った。(そんなやつおるか!)

 テスリン川の方が蚊は多かった。ユーコン川に合流したら、蚊の猛攻もちょっとはましになった

長袖2枚重ね、手袋、モスキートネットで重装備のK
「血は吸わせないわ!」

野生動物たち
 流域は野生動物の宝庫だそうです。「でもその割には姿を見かけへんな」とジョーに言ったら、
「動物たちはブッシュの中からずーっと見てるはずや。俺らが気い付けへんだけやねん。」と言われた。うーん、奥が深い。

 ムース(ヘラジカ)の親子連れは見た。むっちゃでかい。とても鹿の仲間とは思えない。馬よりでかいのでは?オオカミの遠吠えも聞いた。ムースの足跡の後には大抵オオカミの足跡が付いている。ずーっと追っかけているんやね。

 絶滅寸前とか聞いていた白頭ワシ(たぶん)を最初に見たときは興奮した。そやけどスズメ並にゴロゴロいてるんで(ちょっと大げさか)、途中から、「白頭ワシ?あっそう」ってな感じになったのが逆におかしかった。

 入江のような流れの緩やかな所ではビーバーもいる。以外と大きかったなあ。中型犬くらいはあったかな。ビーバーハウスも見たけど巨大やった。ようこんなん作るな。
 サーモンの遡上には早かったけど、グレイリングとパイクを釣りました。最高85pをGET!
詳しくは なんでも釣行記 参照。

 最初のキャンプ地でクマ撃退スプレーの使い方を習った。500ミリリットルのペットボトルくらいの大きさで、中には唐辛子エキスが入ってて、一応、安全装置も付いている。みんな実際にちょっとだけ風下に向かって噴射した。匂いは強烈で、顔にかかると人間なら一時的に失明状態になるわ、ショックで動けなくなるそうです。

 一ヶ月前に別のパーティが就寝中、クマに襲われた。テント越しに左肩を噛まれて何十針も縫う大けがをしたんやけど、騒ぎで起きた別のテントの人がクマめがけてスプレーを噴射し、クマはキャンキャン言いながら(想像)逃げていったそうです。
 ガイドのジョーいわく「肩ですんで彼はラッキーやなあ。」って、そんな大けがをしてラッキーって言われてもなあ。

「クマ避けのため、食料はテントから200m離して保管するとか、木の枝に吊すとか、水中に沈めるとか、聞くけどほんまなんか?」と聞くと、
「邪魔くさくて、そんなことやってられるか!」と言われた。
 実際、食料は20リットルくらいの円筒形のコンテナ数個で保管、運搬していた。コンテナの蓋にはパッキンが付いていて密封し、匂いが漏れないようになっている。これがないとやっぱり、食料はテントから離すか、吊したほうがよいみたい。
 余った食材(にんじんの切れっ端等)や残飯(魚の頭等)はたき火で完全に焼き切っていた。ただ、缶詰の缶や食品を覆っていたラップ等は、燃やさず生ゴミ用のコンテナに入れて密封し、ホワイトホースまで持ち帰った。

風呂とトイレ
 キャンプで7泊、8泊と言うと、必ず聞かれるのが「風呂とトイレはどうすんねん?」
ご心配なく。湿度が低く体もサラッとしているので、一週間くらい風呂に入らなくても全然気になりません。
 亜熱帯の大阪の夏に比べると快適そのもの。それでも気になるようであれば2日に1回くらい絞ったハンドタオルで身体を拭けば大丈夫。
 Kはキャーキャー言いながら、頭を洗ってた。水温5℃やで、ようやるわ。湿度が低くカラッとしているので、すぐ髪の毛は乾いてたなあ。私も1回洗ってみたけど、錐で刺されるように頭が痛くなってもた。

 問題はトイレなんですね〜。その辺のブッシュですましちゃいます。しかし、先にも書きましたが、ここは蚊とクマの宝庫なんです。こんな所で、ケツをむき出しにするなんて、蚊にしてみれば
「庭園の池で集まってくる鯉に餌をやるようなもの」、「オオカミの群に子羊を投げ入れるようなもの」って感じかな。

 そこで催してくると、トイレセット(防水袋にトイレットペーパーとライターと蚊よけスプレーが入ってる)を右手に、クマ撃退スプレーを左手に持ち、ブッシュに分け入ります。
 適当に穴を掘り、済まして埋めるわけですが、気を付けるのは必ず使用後のペーパーは燃やすことです。最近、アウトドアーで有名な所はひどいことになっているようですが、やはり誰でも、その犯行現場は見たくありませんものね。
 ポケットティッシュよりトイレットペーパーの方が断然グッドじゃないかな。キャンプの時はいつも持参してます。

 さて、この催してきた時こそ、夫婦の愛を確かめる時なのです。ズボンとパンツを下ろし、間髪を入れず、むき出しのケツに向かって相方が蚊よけスプレーをシュッと一噴き。「今だ!GO!」
 その間、相方は横に立って、クマ撃退スプレーを持ち、周りの警戒を怠らない。これを真実の愛と言わずして何と言おう!
 私たちは夫婦なので助かったが、1人参加の方は大変だったろうな。どんなに素早くしても、1人だとどうしても、絶対にどこか刺されるからな。そういえば、2人並んで手をつないでしたこともあったな。真実の愛って素晴らしい!

5℃の水で頭を洗うK「うーん、さっぱり、気持ちいい」

 

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