★★★長良川鉄道で訪ねる、徹夜踊り当日の郡上八幡(
2009年夏)★★★
★郡上八幡への旅程の構想★
私は祭が好きであり、岐阜県郡上市八幡町で開催される有名な「郡上おどり」にも以前から関心があった。郡上おどりは国の重要無形民俗文化財である。これは7月から9月まで実施されているが、8月中旬の徹夜踊りが最重要行事である。
帰省の
Uターンの時によく乗る上りの「快速ムーンライトながら号」に乗り込む前に郡上八幡に立ち寄るような旅程を考えてみた事もあった。しかし、郡上八幡は岐阜駅から意外と遠く、時間もお金も結構かかる。郡上八幡への足となる長良川鉄道は、
1986年までは国鉄越美南線であった。つまり、そのまま国鉄からJR化されたままであったならば、青春18きっぷで行けたのである。JRの「臨時快速ムーンライトながら号」は以前の「快速ムーンライトながら号」とは異なり、大垣発車時刻が早まっている。よく調べてみると、郡上八幡で上り最終列車に乗ったとしたら「ムーンライトながら」に乗れなくなってしまうのだ。つまり、20時から始まる徹夜踊りを見る事ができないというわけだ。
不定期化された「ムーンライトながら」はこの先いつまで走ってくれるかわからない。
2社間に跨って運転されているので、JR東日本管内だけで運転される「ムーンライト信州」や「ムーンライトえちご」よりもはやく消える可能性は高い。実際に、「ムーンライト信州」と「ムーンライトえちご」は、「ムーンライトながら」が運転されない時期にも設定されている。そのような事情もあり、「ムーンライトながら」が運転されている今のうちに郡上八幡を訪ねようと決心したのであった。
このような祭関係は、日程が合わないと訪問できない。この夏は、私の夏休みの
Uターンの日程と郡上おどりの徹夜踊りの日程が重なったから実現したのである。しかしながら、前述のとおり、20時過ぎまで郡上八幡に滞在する事は困難なので、踊りそのものは見るのを諦めて、祭当日の雰囲気や城下町らしさが残された街並みを楽しもうと考えた。
2009
年8月15日(土)郡上八幡へ立ち寄ってから上りの「ムーンライトながら」に乗る為には、その日のうちに東京の自宅へ帰り着ける時間帯に関西を出発する事になる。つまり、青春
大阪駅を
12時に出発して、東海道本線、高山本線と乗り継いで、長良川鉄道の基点となる美濃太田までやってきた。
★★長良川鉄道★★
長良川鉄道の「一日フリー切符」を利用した。これは
2,000円で、土曜日・日曜日及び祝日に全線乗り放題である。長良川鉄道には「一日郡上八幡クーポン」というのもある。こちらは
2,650円で、美濃太田駅〜郡上八幡駅の往復切符+博覧館入館券+八幡城入場券である。しかし、博覧館と八幡城の共通券は600円であり、これと「一日フリー切符」を併せても2,600円である。「一日郡上八幡クーポン」の2,650円はおかしな料金設定だと思う。フリーキップがあるのならば本当は終点まで乗ってみたい。また、郡上おどりの徹夜踊りと日を同じくして長良川鉄道の沿線で白鳥おどりの徹夜踊りも開催される。どちらの町も訪ねてみたいと思った。しかしながら、両方訪ねるにはかなり早く起床しなければならず、また、当日は関西で友人に会ったり、墓参りに行ったりもしたいので、長良川鉄道に関しては郡上八幡までの乗車としたのであった。
美濃太田
15:28→郡上八幡16:44 13列車 ナガラ201長良川鉄道
13列車は、「特急ワイドビューひだ13号」の到着を待たずに美濃太田を発車してしまう。本数が少ない路線同士、なぜ接続させないのか・・・。それにしても、沿線で有名な祭が開催される日であるにもかかわらず乗客が少ない。郡上おどりや白鳥おどりの徹夜踊り当日なので、混雑を予想していたのだが…。
13列車は夕刊輸送も受け持っている。
関口から高校生が多数乗り込んできた。それでも単行の気動車の全座席数を上回る程の乗客数にはならなかった。
上り列車が遅れていた為、関での発車が少し遅くなった。
★★★郡上八幡★★★
美濃太田から
1時間以上かかって念願の郡上八幡に着いた。
駅舎には「ふるさとの鉄道館」が併設されており、越美南線の開業を願った当時の貴重な資料も見る事ができた。
駅の窓口は、電気は点いていたが、駅員は不在であった。このような日は記念品を買う客も多いだろうから増収も見込めるであろうに・・・。
事前に検討していた駅前のレンタサイクル屋さんが営業しておらず、郡上八幡における予定を少々変更し、徒歩での観光にした。タクシーを利用してもよいが、駅前にタクシーの姿は無かった。いずれにせよ滞在予定は
2時間程度である。
町の象徴である郡上八幡城の麓ぐらいまで行ってきた。
城下町らしさが意識的に残された美しい街並みを楽しんだ。
ここに限った事ではないが、保存されている歴史的な町並みを歩く度にいつも思う事がある。それは、道々に停められている自動車が現代的な意匠なので、それが興醒めなのだ。そうは言うものの、いずれも現役の現代の町なので、現代的な物を排除しろとは言えないし、また、排除しろといった極端な思いも無い。
郡上八幡城下町プラザにて土産を購入した。「郡上おどり参加章」と記された手拭と郡上八幡天然水サイダーを購入した。
徹夜踊り当日で賑わう様子や城下町の街並みを見て回るだけでじゅうぶん楽しかった。
この夏は、郡上八幡を舞台にした「さよなら夏休み」という映画の撮影も行われたみたいだ。
1977年の時代設定のようである。この映画は2010年2月から順次公開される予定である。夏の淡い物語らしい…。
踊りの本番を見られなかったのは少々残念であるが、郡上八幡を後にした。夜に向けて町が盛り上がりつつある中でここを去るのは残念であった。
徹夜踊りが始まる
20時ぎりぎりまで、つまり20:04発車の列車に乗るまでこの街にいてもよさそうに思われるかもしれない。しかし、この先で入浴したいのである。
郡上八幡
18:44→みなみ子宝温泉19:09 20列車 ナガラ201往路と同じ車両だ。
★★みなみ子宝温泉★★
ここは鉄道駅と温泉が併設されている。また、自動車でも来られる。長良川鉄道の利用者の場合は、入湯税
50円を支払うだけで利用できる。清潔な広い浴場であり、露天風呂まである。また、広い座敷もあって、ゆっくり休めるのがありがたい。ただし、ここでは持ち込んだ飲食物は口にできないよう注記されている。ここで「郡上 円空の森水」を購入した。
みなみ子宝温泉の鉄道駅側の出入り口には、列車の接近を知らせる信号機が設置されている。写真にある説明のとおりに色が変わる。ただし、列車の到着発車前後の時刻になると、上掲の写真の左側の信号機のようにどの色も点かなくなる。
みなみ子宝温泉
20:30→美濃太田21:22 22列車 ナガラ501このナガラ
501は、セミクロスシートのナガラ201とは異なって全席ロングシートである。この列車も予想に反して乗客が少なかった。みなみ子宝温泉から乗り込んだ数人を合わせても十人程度であった。
★あとがき★
高速道路料金の大幅な値下げの影響もあってか、鉄道利用客の少なさが印象的であった。有名な徹夜踊り当日の郡上八幡の町は賑わっていたが、ほとんどが自動車で訪れたのであろう。長良川鉄道越美南線は、そもそも国鉄から切り離されたぐらいの赤字路線であり、現在でも利用状況は芳しくない。また、沿線の主要な町である郡上八幡へは東海北陸自動車道が通じており、この鉄道路線はますます苦境に追いやられるだろう。
踊りそのものを見られなかったので、祭の旅行記にはならなかった。全線乗ったわけではないが、このコーナーは総じて長良川鉄道の旅行記のような形になった。