「特急リゾート踊り子
91号」・・・伊豆急黒船電車による南武線臨時特急 2009年7月11日(土) (2009年7月17日公開)
立川
10:30→横浜11:44 「臨時特急リゾート踊り子91号」 伊豆急リゾート21EX(黒船電車)6連(
9302M→9035M 運転区間:立川10:30→伊豆急下田14:08)
南武線初の特急列車である「リゾート踊り子号」は
2009年5月に初めて走った。5月16・17日に続いて今回の7月11・12日、次は9月26・27日に運転される予定である。南武線は時折利用するが、通常は通勤形車両による各駅停車だけの運転だし、川崎⇔立川間においては沿線風景をも含めておもしろいと感じる事が全く無い。しかし、今回はあまりにもおもしろすぎる。
7月11日の「リゾート踊り子91号」の特急券は1回では入手できなかった。この列車は6両全車が普通車指定席である。
「伊豆急リゾート
21」は伊豆急行の普通列車用の車両であるが、時折、「特急踊り子号」の一員として東海道本線に乗り入れてくる。「特急リゾート踊り子号」は特急形車両以外で特急列車として運転されるにもかかわらず、特急料金の減額などは一切無い。いわゆる“遜色特急”と言えなくもない。それでいて全席指定席として運転されるのである。ちなみに立川→横浜間の特急券は1,010円である。私は「伊豆急リゾート
21」に乗るのは初めてだ。また、東海道本線によく乗るにもかかわらず「特急踊り子号」に乗るのも初めてである。なお、「黒船電車」とは、「リゾート21」のうちの「リゾート21EX編成」を黒船模様に改装したものである。
「特急リゾート踊り子号」の南武線内の停車駅は、府中本町、登戸、武蔵溝ノ口、武蔵小杉である。臨時とはいえ特急列車が設定された事により、各駅停車しか設定されていなかった南武線の駅に明確な格差が示された事になる。京王線との乗換駅である分倍河原には停車しない。
立川発着という着目点がおもしろい。立川発着と知った瞬間には、府中本町から先は貨物線を通って鶴見・横浜へ直行するだろうと思ったのが、南武線内でこまめに停車して、わざわざ浜川崎まで行って進行方向を変える手間までかけるのである。そこまでして南武線での運転を実現させた事がなんとも興味深いのである。
立川駅の近くで、折り返し「臨時特急リゾート踊り子
91号」となる回送列車を撮影した。できれば中央本線の列車との並びを見たかったのだが、それは叶わなかった。この回送列車は、6:11に伊豆高原を出発して、延々4時間以上回送されて10:12に立川に到着する。さらに追記すると、「92号」として夜に立川に到着した車両は、4時間近くかけて伊豆高原へと回送されるのである。もっと上手な車両のやりくりはできなかったのであろうか。
立川駅に限った事ではないが、南武線内の停車駅における「臨時特急リゾート踊り子
91号」の案内表示はJRマークだけであった。「特急 10:30発 伊豆急下田行き 7番のりば」といった案内を見たかったものである。
この列車の車内販売は
NREの新宿営業所が担当しているとの事だ。車内にはデッキとトイレはあるが、独立した洗面所は無かった。やはりこういうところは普通列車用の車両である事を実感する。また、向かい合わせの席は背もたれが高くていいのだが、海側に向けられた「くの字」の席は背もたれが低く、しかも場所によっては足元が狭いので、長い時間乗る列車としても特急指定席としてもいささか設定が苦しいのではないかと思えた。
挿入ダイヤのノロノロ運転であり、私が南武線内で速度計を見たところ
56〜72km/hであった。登戸では1052Fを追い抜く設定がなされている。立川⇔府中本町間は、団臨や貨物といった多様な車両が行き交うので変わった車両が来ても大して珍しくもない。しかし、府中本町以南においては珍客の訪れがよほど珍しいのであろうか、一般人の反応がとりわけすごいという印象を受けた。停車する各駅では老若男女を問わず一般人でさえも多くがこの列車に携帯電話のカメラを向けていた。
尻手の手前辺りから先頭
6号車の展望室に来る人が多くなった。この列車は尻手から先、川崎駅へ向かわずに南武支線に入る。南武支線をどんどん進み、旅客駅の浜川崎の側を通過して貨物駅の浜川崎に到着する。この貨物駅ではタンク車や機関車に囲まれる。ここで進行方向と列車番号が変わる。
7分の運転停車の後に浜川崎を後にする。「特急リゾート踊り子91号」が運転停車している間に、写真中央に見えるDE10形機関車が転線していたみたいである。
鶴見までは貨物線を行く。ここで速度計を見たところ
60km/hであった。鶴見で乗務員交代の為の運転停車をする。横浜到着の
3分ほど前に東海道本線の下り本線に入ってからは、それまでのノロノロ運転とは異なる本線らしい走りっぷりを見せた。横浜到着直前に自身の指定席に戻ると、向かい側に母子がいた。次の横浜で降りる旨を伝えて着席すると、あちらさんもそうだと言っていた。なんと、横浜で大量の下車があった。「特急リゾート踊り子
91号」は伊豆に向かう列車というよりは、南武線や貨物線を変わった特急列車で行く体験ができる列車といったところなのであろう。