阪和線特急グリーン車
2001年6月乗車 (2001/7/16記)
南海道を南下移動
…こんな事を書く為に阪和線に乗ったのではない。今回のテーマは、
1.
特急スーパーくろしお号パノラマ型グリーン車クロ380 2001年6月乗車2.
阪和線グリーン車の取り扱い3.
クハのクロ化およびサロのサハ化について4.
番外編:阪和線優等列車停車駅小噺
1.
特急スーパーくろしお21号 パノラマ型グリーン車近年、新幹線グリーン車から座席が転用された。これは私が
横
3列化に伴う弊害、乗務員室への扉が以前のままなので、通路は変な曲がり方をしている。なんと
1B席の目の前はガラスの縦線が目障りというおまけまでついてくる。私は1A席である。単に前を見たいだけなら1C席がよいが私はスピードメーターを見ないと気が済まない。なんと
1B席にはフットレストが無い。
車内扉が以前のままなので
10B席用に特設フットレストが設けられた。
阪和線は高規格路線であるが、一昔前までは最高速度が
95km/hに押さえられていた。今は120km/hである。ただし天王寺-鳳間は現在でもダイヤ設定速度上の制約が多い。この列車、阪和線内は1駅日根野に停車するが61.3kmを40分で走破する。速い。鳳を通過すると一気に120km/hである。関西空港への乗換駅である日根野到着のアナウンスは英語で始まる。ちなみに車内販売は、日根野までが7〜9号車、日根野から先が1〜6号車となる。6〜7号車間の通り抜けはできない。「くろしお2号」の新規停車駅である和泉砂川を通過すると、元祖振り子式特急電車の本領発揮である。雄ノ山峠の急カーブも120km/hで突っ走る。狭軌鉄道なので恐怖を感じるほどの激走ぶりである。乗り心地が悪いのではなく、迫り来る前面パノラマが強烈なのだ。ただし、阪和自動車道と並走する区間で90km/hに落ち、車に抜かれたのは残念だった。振り子式特急電車の本領を発揮して急カーブも高速で突っ走る。架線柱の傾きが車体の傾斜を物語る。当然ながら、カントによって得られる傾斜を上回る。
昨年
9月に乗った時には、チャイムは「鉄道唱歌」であった。数年前は停車駅毎に変えていた時期もあったが、なぜか「鉄道唱歌」に一本化され、今日再び駅毎のメロディーである。雄ノ山峠走行中に紀州民謡「毬と殿様」がかかり、女声録音による和歌山の案内放送が入る。「ただいまのトンネルを抜けたところから和歌山県…」。紀伊を通過する頃に再び「毬と殿様」がかかり別の内容の和歌山の案内放送が入る。これも女声録音による放送である。「…ありがとうございました。」ってまだ終点じゃないだろ。私はこのような地域特有のサービスが大好きである。斜めクロスする阪和自動車道の車を120km/hで軽く抜いて行く。和歌山到着、新大阪からわずか57分である。「オーシャンアロー」の登場によって最速列車こそ所要時間を縮めたが、紀勢本線の南の方は気動車特急時代から速度がほとんど変わっていない。振り子式
381系電車も性能を生かさずのんびり走っている。極端に言うと、紀伊田辺や白浜を境に和歌山側が表定速度100km/h弱なのに対して新宮側が50km/h強というありさまである。並走する国道42号線の貨物自動車に抜かれる状況もあるぐらいだ。現在阪和線を走る特急列車は、京都→新大阪→西九条→阪和線進入の区間は興味深いルートをたどる。これについても機会があれば紹介するつもりである。
2.
阪和線グリーン車の取り扱いきのくに線グリーン車について。
阪和線におけるグリーン車開放について。グリーン車開放とは、グリーン車を他の普通車同様に普通車扱いにする事である。阪和線には「はんわライナー」という列車が走っている。その前身は「ホームライナーいずみ」であった。これらの列車は
381系使用の乗車整理券必要快速列車である。なんとこの「ホームライナーいずみ」は2〜4号車を開放していた。間違いなく4号車は開放していた。そう、普通車が他に8両もついてるくせにわざわざグリーン車を開放していたのだ。これを知った少年の頃の私は怒りが爆発した。その後、「はんわライナー」でもグリーン車開放が継続された。私はせっかくなので4回利用させていただいたが、通常ならば特急グリーン料金を払って乗る車両なので、車内の雰囲気も含めてあまりいい気分ではなかった。現在ではライナー運用は主として国鉄色モノクラス6連が充当されているが、横3列化後の今日でもグリーン車開放というふざけた事態が発生しているのだろうか?
3.
クハのクロ化およびサロのサハ化についてきのくに線に「オーシャンアロー」が登場し、当該線区の特急グリーン車の連結位置が南紀側
1号車グリーン車の隣の2号車が自由席というのも不愉快である。1号車の扉から2号車への割り込み乗車が散見される。こんな客とグリーン車乗車位置にならばされる事自体苦痛である。自由席は5〜6号車あたりにしてもらえないだろうか。それにしてもきのくに線特急の自由席はここ10年程減りつつある。「スーパーくろしお」登場時に、「スーパーくろしお」の自由席は2〜3号車とされ、「くろしお」の自由席は1〜3号車に変更された。現在では1編成に2両だけである。阪和間での自由席需要は高いので自由席の乗客を大切にすべきであろう。
国鉄時代の特急形グリーン車には次のような特徴があった。プラットホームから車内に入り、車内扉を“
2枚”通ってやっと客室にたどり着く設計になっていた。これは客室の静粛性の向上を図った設計であった。ただし急行形グリーン車や新幹線16形のように乗降用扉が片側に2枚ある車両は事情が異なる。このような一般には気づかれにくいところにも特別車両の魅力を感じていた。ところが近年、安易な改造や車体技術の向上の為なのか重厚な構造のグリーン車が見られなくなってきた。「くろしお」のクロ
381はクハ381の座席を取り替えたものである。横3列化に対応して車内扉が移設されていたのは感心したが、車内に入ってすぐの扉一枚先に座席がある事には閉口した。つまり、このクロは特別座席を装着した普通車体なのだ。一方、サハ381はなんとグリーン車時代の車体設計が生き残っていた。こちらは普通座席を装着した特別車体なのだ。このような不整合を生み出してまでクハのクロ化およびサロのサハ化を実行した神経を疑ってしまう。なお、381系の普通車はシートピッチが1,000mmに拡大されている。グリーン車は1,160mmのままでよいのだから、窓枠を生かす為にも安易な改造は避けて欲しかった。今後、私がきのくに線特急グリーン車に乗る価値を認めるのは、南紀方面に向かう「スーパーくろしお」クロ380の1番A席だけである。編成端グリーン車の良否についても記しておく。かつて、編成端は乗り心地が悪化すると考えられていた。カーブでは振り回され、特急形においてはダンパの恩恵にさえあずかれないからである。ちなみに振り子式車両にダンパは関係ない。蒸気機関車時代の一等展望客車なんかは
3軸ボギー台車のような超特別仕様が施されていたから問題ないが、大量生産車両ではそこまでできなかったのだろう。現在は車体構造の技術が進歩した為、編成中央にこだわらなくなったのであろうか。また、車両の形式数を最小限にするという事でクロではなくサロが一般的になった。ただし、編成端のグリーン車には通り抜け客がいないという利点がある。近年の車両で、同一条件の普通車よりも更なる車体構造上の利点を与えているグリーン車といえば500系新幹線ぐらいしか思いつかない。クロの
381と380、あるいは480と481の違いが分からない人がいるようだが、これは車体のどちら側に運転席を設置したかで判断すればよい。
4.
番外編:阪和線優等列車停車駅小噺阪和線には「阪和超特急」・「特急あすか」など今見ても驚くような停車駅選定の列車が走っていた。書き出すときりがない。そこで、かつては紀伊・六十谷・紀伊中ノ島の