燃料サーチャージ ( 燃油特別付加運賃 )が大幅値上げ


 国際航空便の燃油サーチャージが航空運賃と別立てで表示・徴収されることの問題点はすでに指摘しているが、ま
た大幅値上げされた。そのうち通常の航空運賃より燃料サーチャージの方が高いという現象も起こり得る状況であろ
う。さすがに、料金徴収で消費者と航空会社の板ばさみにあっている旅行代理店も苦情を言い始めているようであり、
全日空がIATAの会議で、料金表示の一本化を提案しているというニュースにも接したが、現状は変わっていない。

 
たとえば、全日空(ANA)の2006年10月15日航空券ご購入分からの同料金は下記のとおりである。

路線 料金額(1旅客1区間片道当たり)
日本=欧州・米国本土・カナダ・中東       13,600円  
日本=ハワイ・タイ・シンガポール・マレーシア 10,000円  
日本=ベトナム・グアム・台湾           6,000円 
日本=中国 4,800円  
日本=韓国 2,000円   
日本=香港 1,800円
 
 
具体的な例をみてみよう。例えば、ANAは10月21日付読売新聞に下記の広告を掲載している。

                   



成田ーパリ間73,000円と、その安さを強調している。しかし、実際消費者はいくら支払う必要があるのか?

3,000円の表示料金に加え、

燃油特別付加運賃       27,200円
航空保険特別料金         600円
成田空港施設使用料       2,040円
フランス旅客サービス料     1,920円
同         連帯税      610円
同 民間航空税/空港税     2,360円
計               34,730円 が必要となる
 
 
 すなわち、34,730円の燃油サーチャージ、航空保険料および空港税等が加算され、総額は107,730円である。
従って、広告にある73,000円の約1,5倍もの支払いが実際には必要となる。その中で大きなウエイトを占め
るのが燃油サーチャージの27,200円である。


 ところが、その旨の表示は、上記写真下方に小さく記載されているだけである。当該部分を拡大したのが下記の写真
である。あまりにも小さすぎて、撮影も容易でなかった。料金の範囲(1,800円から13,600円)を示しているだけで、
実際の適用金額は表示されていない。旅行代理店の料金表示も同様なものが多い。



                 


 
 国土交通省は、別立て料金にすることで、燃料費の高騰分を消費者に転嫁しやすいと考えたのであろう。しかし、値
上げが繰り返えされて高額になったことで、制度の欠陥がみえてきた形である。興味深いのは旅行代理店も航空会社
の燃料代を代わって消費者から徴収しなければならないことに対して不満を持ちはじめてきたことである。納得のいか
ない消費者とのトラブルも多いらしい。9月29日付読売新聞「論点」で経済評論家の岡本博志氏もこの料金体系に異を
唱えていた。

 
 家族4人でパリに出かければ、燃油サーチャージだけで10万円を超える。これが別立て表示で許されるの
か? 燃油サーチャージは燃料代の一部である。燃料代が交通機関の料金表示に含まれていないというの異
常である。


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