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猫の枕
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■2001年 3月 |
2001.3.6.tue. |
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| 2001.3.8.thu. 正義の味方は「どうなってるの?」 午前9時30分起床。夜中にWWF、バットマン、スーパーマンというケーブルテレビ のチャンネルをはしごしたのでまだ眠い。子供の頃は、NHKと教育テレビ、民法が3 チャンネルくらいしか映らなかったのに。47チャンネルだの、32チャンネルだ の。選ぶチャンネルは増えたけど、選ぶ数が少なかったときの方がテレビを見る楽し みは深かったような気がする。水を一杯飲み、やかんで湯をわかし、テレビをつけ、 新聞をとりに。紅茶を飲みながら新聞に目を通す。「森おろし」ってなんだか地酒み たいだな。そういえば「鬼殺し」っていう日本酒があった。名前の由来は鬼を殺して しまうほどうまいから。じゃ、「人殺し」っていうのもあるかもね。「あるわけない じゃん」と、自分で自分に、このところ凝っているサマーズ(前バカルディ)の三村 ツッコミをしたら一気に目が覚めた。 仕事部屋まで徒歩7歩。雨でも濡れないのはいいけど、あまりに近すぎて気分の切り 替えがなかなかできない。仕事部屋に入り、CDを選ぶ。いくつか、かけてみてコステ ロに決めた。窓の外には小さな公園が見える。空にはシュークリームのような雲。も ともとなかったやる気が、トムを見つけたジェリーのようにどこかに走り去った。何 も手をつけぬうちに昼になり、そばを食べお茶を飲み、「思いっきりテレビ」を見て ほうれん草の胡麻和えを食べなければと呟き、再び仕事部屋へ。ストーンズのCDで脳 細胞にビートのミサイルを打ち込み、このままだと間に合わなくなると自身を脅迫 し、資料を開き、インターネットに接続し関連情報を入手して情報を整理。昨日、打 ち合わせたA4裏表のリーフレットの構成案を明日の夕方までにデザイナーに送らな ければならない。情報をまとめているうちに夕飯。スパゲッティを食べてワインを少 し飲み、テレビを見るともなく眺めて、再び仕事の続き。深夜、バットマン、スー パーマンを見て、起きると「どうなってるの?」だ。 2001.3.9.fri 酒は世に連れ、世は金に連れ なんとか夕方にリーフレットの構成案を送る。A4の裏表でも、4ページものでも、 手間暇は同じ。料金は裏表の方が当然安くなるけど。仕事にかかればそんなことは関 係ない。やるべきことをやるだけだ。こういうのは職人の姿勢と似ているかもしれな い。金じゃねえ。自分がやるべきことをきちんとやったか。自分を裏切らなかった か。そのことのほうが金よりもずっと大切なんだ。もちろん金は多いほうがいいし、 払ってもらえないと大変だ。でもそれはあとからのこと。仕事の内容と料金とは必ず しも一致しないことは、他の仕事でも一緒だと思う。だから人間関係も重要になって くる。気持ちよく仕事ができて、適度なお金になれば、それで十分。あとは一杯の、 いや三杯くらいの酒があれば言うことはない。そう、たぶんない。かな? |
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| 2001.3.10.sat. 誰が儲けているのだろう 今週は、土、日をまるまる休める。フリーだと、どうしても週末に仕事を受けて休み 明けに提出というケースが多くなる。「人が休んでいるとき、遊んでいるときに働く のが商いの鉄則だ」と、この不景気にも儲かっている会社特集のテレビ番組の中であ る社長さんが言っていた。同じようなことを景気絶好調時に(いまは下降ぎみだけ ど)、アメリカのベンチャー企業の社長さんもインタビューで答えていた。確かに、 人より多く儲けようと思えば、そういうものかもしれない。しかし私の場合、人が休 んでいるときに働いてはいるけど、人が働いているときに休んでいるから鉄則外だ。 フリーのコピーライターは、いや、コピーライターという仕事自体、儲かる商売じゃ ない。一品一品商売で大量生産ができない。著作権料もないし、単価もしれたもの だ。ま、中には儲かっている人もいるかもしれないけど。僕のまわりにはいない。広 告業界でいえば、メディアをもっていると儲かる桁がちがってくる。なんといっても まだまだ土地(メディア)をもっている者が強いのだ。日本ではアイデアはなかなか 金になりにくい。 2001.3.11.sun. 中国四千年のスピリット 午前9時30分起床。早めに昼食を食べて、国分寺駅前にあるスポーツクラブ「レヴァ ン」へ。もともとでぶしょうのナマケモノだから、スポーツクラブはいつも見学した だけで挫折してしまう。それなのに、今回は1年以上続いている。私にとっては、コ ニシキがダイエットに成功するよりも簡単で、イチローが大リーグで3割以上打つこ とよりも少しむずかい。継続している理由は、ひとえにひとりの中国人におうところ が大きい。その人の名は羅競(ラキョウ、中国名:ロウチン)。湖北省、武漢(ウー ハン)に生まれ、中国のカンフー・チャンピオンとなり、中国カンフーチームのコー チだった人物だ。その人が気功のクラスをもっているので、週二回、せっせと通って いる。 気功といっても、超能力的な要素はどこにもない。呼吸に合わせて身体を動かし、気 を整えていくという点では太極拳に近い。違いを私なりに大雑把にいえば、いま教 わっている気功(練功十八法)は太極拳から武道性を取り除いたものだと思う。羅競 先生によると、中国では気功も太極拳もカンフーというジャンルに入るらしい。羅競 先生は本物の武道家だ。武道家はなによりも自分と戦う術を知っている。そして死と 隣り合わせで戦うことにより、はじめて肉体で理解する、生きることの本質。羅競先 生のクラスに通うのは、その本質を自分の身体で感じたいからだ。もちろん本場の中 国文化にふれたいということもある。羅競先生は元コンサドーレ札幌、現ガンパ大阪 にいる吉原宏太選手80%に、ボクシングの世界チャンピオン畑山選手20%をブレンド したようなイメージ。みのもんたが言うところの、レヴァンのお嬢様方の人気者でも ある。 |
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| 2001.3.12.mon. カレーには華麗なコピーを 午前9時起床。昨夜から読みはじめたリチャード・パワーズの「舞踏会に向かう3人の 農夫」の世界に入り込む。美術館で見た第ニ次世界大戦当時の古い1枚の写真から物 語は始まる。見ることにより人は影響を受け、また見られたことにより対象も変化し ていく。たとえ誰からも顧みられることのない写真でも、1枚の写真には時代そのも のがレンズで切り取られている。多くの人々の生きた記憶も数多くの写真と同じよう に歳月とともに色あせ、やがて時間の中に埋もれてしまう。それでも一人一人の存在 はやはり時代の物語を綴っている。久しぶりに物語を楽しめる作品だ。 午後2時に制作プロダクションから電話。横浜にできたカレーミュージアムに出店す る、カレーショップが店で売るパッケージのコピー制作の依頼。カレーのテーマパー クということなので、パッケージのコピーにも物語性を加えて欲しいとのこと。そ う、人々は物語を求めている。「時間がなくて悪いけどあさっての昼までにコピーが あるとうれしいんだけど」。断る理由も金もない。さっそく店長の書いた素案とパッ ケージデザイン、他店が出しているパッケージ等の資料をFAXで送ってもらう。舞踏 会に向かった3人の農夫には少し待ってもらおう。 *「舞踏会へ向かう三人の農夫」みすず書房 リチャード・パワーズ著 柴田元幸訳 2001.3.13.tue 電車でおいしいトマトをつくる 午前中に、カレーのパッケージの下案、2方向をつくる。ひとつは物語性の強いも の。もうひとつは製品によったもの。昼食後、さらに2案に手を入れる。きょうは気 功のある日なので、2案をアウトプットし、国分寺の「レヴァン」へ出かける。電車の 中でさらに原稿を推敲。場所が変わると、違う角度から見やすくなる。第二の ワークスペースは人によって様々だと思う。喫茶店や公園という人もいるだろうし、 トイレの中だと集中できるという話も耳にする。私の場合は、電車だ。流れる風景と 適度な揺れが、脳細胞を心地よく刺激する。なによりも狭くてざわざわしていて、一 見、集中できなさそうだけど、そうした悪環境の中でやると、余計に集中しければい られない。わざと悪い条件にしておいしいトマトをつくるのと同じやり方だ。気功と シャワーでスッキリした帰りの電車でも原稿を推敲。結果、1案はやり直すことにし た。製品によったものは面白くない。で、物語性の強いアプローチでもう少し食べる 人の気持ちに添ったものを考えてみることにした。帰るまでになんとなく書きたい方 向は見えてきたので仕事部屋に戻り、一気にまとめた。夕食後さらに推敲。あと は7時間ほど寝かして。コピーもカレーのルーと同じように寝かせることが大切。夜、先週提出していたA4裏表の構成にOKが出た。今週、金曜日午前中コピーUP。来週月曜日にはデザインにコピーを入れたものを校正としてもっていきたいとのこと。 |
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2001.3.14.wed. |
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| 2001.3.16.fri. 春が花粉症を連れてやってきた 午前9時30分起床。A4裏表のコピー原稿を最終チェックしメールで送信。午後から自分のホームページ「WORK SHOWCASE」(作品リスト)にのせ る文章を書く。このホームページが営業力を発揮して仕事を運んできてくれるといい のだが。なかなかそう簡単ではないだろう。私の場合、営業といえば、新聞の求人募 集広告でスタッフ募集のあった企業へのコンタクトと仕事仲間のデザイナーからの紹 介くらい。飛び込みは基本的にしない。効率の問題と、コピーライティングのみの営 業では売り込みしにくい。いまはホームページをデジタル世界の飛び込み営業マンに 使えないかと思案中だ。去年の暮れは仕事が集中し、忙しかったが、今年に入ってま た流氷みたいにどこかに消えてしまった。とくに3月は決算期だから例年、仕事は余 りないのだが。とにかく身体だけは鍛えておこうと、腕立て伏せ、腹筋をはじめた。 筋力コピーライターになって、「筋肉番付」のサスケに出場して、ファイナルアン サーで賞金獲得して、ついでにタイムショックのトルネードスピンでぐるぐるまわる ぞ。景気という気まぐれな生き物にふりまわされそうな春が、花粉症とともに玄関の 扉を叩いた。 2001.3.17.sat. 腹筋という名の幸せ 今週も、土、日がまるまる休める。休めるのはうれしいのだが、来週の仕事のスケ ジュールがまるでないのは少し不安だ。フリーは、仕事がない日は常に失業だ。2週 間、仕事の電話が何もこなかった日もある。ケンカをした後、恋人の連絡を待ってい るみたいに、それこそ電話をときどき見つめてしまう。アルバイト雑誌を本屋でめ くってみたりもする。たまにプロダクションから連絡があっても、以前に渡した資料 を戻してほしいとか、そんな業務連絡だったりする。仕事がきてもそれがお金になる のは数ヶ月先で、明日をどうしようかと、考えるほど不安感でいっぱいになる。 そんなときは酒でも飲んで寝てしまえと20代だったら思うのだが。いまそんなこ とをしたら、自己嫌悪で精神は腐敗し、体力も低下し、ますます落ち込んでいく。こ んなときはまず腹筋、腕立て伏せ。悩む前に、腹筋、腕立て伏せ。ずっと読んでいな い、トーマス・ マンの「魔の山」を読んで、脳の筋肉も鍛えよう。仕事で時間がないときは、あれも したい、これもしたいと思うのだが、時間がなくてできず。時間があるときはありす ぎて何をしたかったのかわからなくなり、もちろん先に金の入ってくる保証もないの で何もできない。いや、腹筋、腕立て伏せくらいはできる。風呂場の鏡を見てなんと なく筋肉がついてきた気がして、ちょっとうれしいくらいが、本当の幸せかもしれな い。幸せをつかむのにもいろいな筋肉がいるのだ。 |
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2001.3.18.sun.
バスチーユはどこだ きょうは、気功の日。いま最も気がかりなのは、羅競先生のクラスがなくなるかもし れないということだ。この4月、レヴァンがテッィプネスと合併する。それによりプ ログラムも大きく変わると思うのだが。もうあと2週間くらいしかないのに、4月か らのスケジュールが発表されない。羅競先生にも、やってくださいとも、やめてくだ さいとも、なんの話もきていないようだ。羅競先生によると、いま話が何もないのは 続けていいということではないかと。確かに、常識的には、なんの話もなくいきなり 来月からクラスはなくなりましたというのはひどいと思う。羅競先生とレヴァンの契 約形態がどうなっているのか、わからないけど。3ヶ月単位でプログラムが変わって いくので、おそらくその間の契約なのではないか。となると、羅競先生の「大丈夫 じゃないか」という話を素直によろこべない。まず、情報がクローズされていること が問題だ。スタッフやユーザーの方に企業の顔がむいていない。合併の混乱なんて理 由にならない。もしなくなれば、公民館をかりて羅競先生に教えてもらおうか、とい う声もでてきている。こんな感じで市民は立ち上がり、フランス革命につながってい くわけだ。ひとつの声が次の声を生み、ふくらんでいく。あきらめさえしなければ、 希望はつながる。バスチーユはここにも諫早湾にも四万十川にもどこにでもある。 2001.3.19.mon. 初めてでも懐かしい図書館 午後9時30分起床。モーニング・ミュージックにストーンズのアンプラグドアルバム 「STRIPPED」をかける。「ブラックリムジン」にのりながら、「舞踏会に向 かった三人の農夫」をラストまで読む。「何年も前に考えたことをメイズはもう一度 考えた。本当の力と本当であるように見えるだけの力とは、いったい何が違うのだろ う。」主人公の言葉だ。答えは文中にはない。優れた問いかけは多くの答えを含んで いる。それぞれが自分で答えを見つけるしかない。 午後、小平市立中央図書館へ。この不景気、タダで読めるものなら、できるだけそう したい。ま、子供の頃から図書館は好きで、本を借りるわけでもないのによく小学校 の図書館に行ったものだ。引っ越して新しい街に着くと、まず蕎麦屋とラーメン屋を チェックし、その足で近辺の図書館を散策するのが大きな楽しみのひとつ。古い本の 匂いは、人がずっと住んでいる家屋の匂いと同じように、初めてでも懐かしい匂いが する。小平市立中央図書館は、中央と名がついているように、蔵書の数も多く、地域 の資料などもある立派な図書館だ。しかし好みからいえば、団地の中にある小平市立 津田図書館のように地域に根付いているこじんまりとした図書館が好きだ。暖かい日 差しがあふれる空間に、適度なざわめきと本のページをめくる音が心地よく響き、時 間が伸びをする猫みたいにゆったりと流れていく。 |
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2001.3.20.tue 看板猫のいる酒屋店 浅草の田原町にある徳本寺に墓参り。お彼岸ということで町は、人も霊もラッシュア ワー並みの混雑だ。大きな西本願寺の前に、コンクリートで武装された小さな寺、そ れが徳本寺。墓はビルの谷間に挟まれ、都会の寺といった感じ。先祖は旗本だった と、死んだ父親から聞かされたが。その信憑性はともかく、昔は貧乏な旗本でも入れ る町の寺だったのだろう。墓には父親と、父親の父親の代の人たちが眠っている。祖 先といわれる旗本の墓がどこにあるのかは知らない。田原町駅前で買った日本酒を供 える。ふたをあけ、一口飲み、それから墓の正面に置いた。日本酒は10人も座れば いっぱいになる焼き鳥屋くらいのスペースしかない、小さな酒屋で買った。自動扉の 向こう側に、愛嬌のある顔をした猫が、招き猫みたいにちょこんと座って迎えてくれ た。猫は酒を選ぶ間も、私のズボンの裾に身体をこすりつけるなどサービス満点。酒を買い、出て行くときも、ちゃんと扉の向こう側で見送ってくれた。しかも股を 広げ、身づくろいをする濃厚サービス。まさに看板猫だ。帰りにもう一度、猫を見よ うとしたらシャッターが降ろされ店が閉まっていた。宮沢賢治の世界にでてきそうな 「注文の少ない酒屋店」。キツネにでも化かされたのか。とするとさっき一口飲んだ 酒は。 墓参りを一緒にした母親と妹と妻の4人で昼食。バイキングでたらふく食べて死にそ うになった。 2001.3.21wed 花粉症暦4年、まだまだ未熟者ですが 午後9時30分起床。ビートルズ「リボルバー」のCDをかけながら、仕事部屋の片付け。花粉症のため、なんで身体からこんなに液体がでてくるのだろう、脱水状態になるのでは、と思うくらい鼻をかんでいる。背中を丸めたティッシュがごみ箱からはみ出し、新種の生命体のようにアチコチで増殖している。花粉症暦約4年。ずっとならなかったので、花粉症なんていう都会のモヤシたちのかかる現代病とやらには、こちとら負けやしないんでいと、江戸っ子&茨城県民のハーフである私は思っていた。ところがどっこいしょ。予告も警告もなく、いきなりかかっちまったではないか。なってから知ったのだが、花粉症を発症させる花粉アレルギーレベルは、銀行預金の利息のように何年もたまっていって、満期を超えるといきなりでてくるというではないか。利息も何もかもそっくりそのままお預けしますから、どうぞお好きなように。とはいかないらしく、貯まったものは引き出すことになっておるのだと、融通のきかない法の執行官のように、抗体反応を司る細胞は言うのであった。花粉症は体内に侵入した異物に対処する抗体の過剰反応。ウイルスのような敵か、そのへんを歩いている通行人のような花粉かぐらい区別しろよ、まったく。「これは決まりですから」イシアタマは身体の外側だけでなく内側にもいる。 夕方、人材に関する広告制作を手掛けているプロダクションから電話で、ITエンジニア向け求人募集雑誌にのせる記事広告の依頼。クライアントは某ソフト開発&コンサルティング会社。来週、さっそく取材とのこと。 |
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2001.3.22.thu |
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2001.3.24.sat
原宿にトマトを見に行く ラフォーレ原宿で開催しているTOMATO PROJECTのイベントを見に行く。久しぶりの原宿はなんだか眩しく、人の多さにもびっくりした。まるで田舎から出てきたばかりみたいな感想だけど。町は町そのものが生きている。年をとり、ときには死んでしまうこともある。原宿の町は年齢を身体や精神に刻んできた私に比べ、相変わらず若く、その若さに嫉妬し、同時に疎外感を抱いてしまった。駅前でラーメンと高菜チャーハンのセットを食べ、ラフォーレ原宿へ。TOMATOの展示物はインタラクティブな作品が少ししかなく、平面が中心だった。全体的な印象はただ食べられればいいといった立ち食い蕎麦屋みたいな印象だ。立ち食いだって味にこだわった美味しい店は多い。たとえば小田急新宿駅にある箱根蕎麦みたいな。インターネット時代のアートが見られると期待していたのに。今回のTOMATOの、できあいの冷凍そばを暖めただけのような内容に、700円は高い。帰りに吉祥寺の地下街に寄り、買い物。リニューアルオープンセールをしていたので食材やワインを買い込む。トマトのできはよくなかったが、美味しいワインにはありつけた。 2001.3.25.sun 日々の努力は良くも悪くも報われる 朝7時20分に起きて、サッカー日本代表とフランス代表の試合をテレビで観戦。まだこちらが寝ぼけている間に、2点とられてしまい、「あれ?」と思っている間に前半終了。このまま終わるはずがないと、朝食も食べずにテレビに見入る。確かにこのまま終わることはなく、さらに3点もとられてしまった。フランスは世界チャンピオンだから強いのはわかる。でも5点もとられるなんてチームとして機能としていなかった証拠だ。最初の2点で完全にポテンシャルが落ちてしまった。世界との距離は近所のコンビニよりもはるかに遠く、月よりもわずかに近い。世界が協力して宇宙ステーションを建設する時代だ。月だって行けない距離じゃない。中田は通用していたし、名波も西澤も自分のプレーができていた(中田に比べるとあきらかに力不足だけど)。自虐的にならず冷静に前に進んでほしい。 午後、気功へ。なんとか羅競先生の気功のクラスはレヴァンで続けられることになった。ひと安心。日々の努力は良くも悪くも報われる。そういうものだ。 |
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2001.3.26.mon
その歌声は夜に降る雨音のように 午前9時30分起床。コステロのCDをかけ、新聞を読む。「I can standup,falling love」のサビの部分のところでたまらず立ち上がり、糸の切れたあやつり人形のようなコステロのステップをまねながら口ずさむ。「恋に落ちて、もう立ち上がれないほどだ」なんて。恋と聞いて、「鯉こく」をしばらく食べてないなと舌なめずりしてしまう、青春から300光年も離れてしまった男が歌う歌じゃないんだけど。なんか、いいんだよね。つい一緒に歌いたくなる。「恋に落ちて」と歌いながら、恋を信じていないのもわかるし、それでも恋をしないではいられないとか。歌詞は英語だからよくわからないけど、その声が意味以上の何かを伝えてくれる。理性ではなく感情に響く声として、ヒットラーとジョン・レノンの名を上げ、声の質が似ていると、むかしどこかの雑誌に書かれていた。コステロの鼻にかかった声も、そうU2のボノの声も、夜に降る雨音のように感情に染み込んでくる。 午後、今週木曜日の取材に関する追加資料がメールで届く。私は話すのが得意ではない。自分から話題をふって座を盛り上げるなんて私にとっては空中ブランコ に乗るようなものだ。だから取材は「何を聞くのか」を最初から綿密に考えてある程度のシミュレーションを頭の中でしておく。話すのは苦手だが、人の話を聞くのは嫌いではない。違う考え方や視点と出会えるとなんだか得した気分になる。 2001.3.27.tue 「野球拳」はちょっとだけよ 午前中、某IT企業の展示用パネルのコピーの依頼。超急ぎとのこと。今日中に書き上げてメールで送ることにする。FAXで20枚近く資料が送られてくる。当家のファクシミリは名を「野球拳(やきゅう けん)」という。1枚、2枚と、ひらひら快調に用紙が舞っていく。しかし3枚目くらいから突然ごねだす。ブーブー言いながら身体をふるわせ、「もう嫌!」と紙詰まりを起こしてしまう。だからマネージャーのようにずっとそばにいてご機嫌をとっていなければならない。資料を見ながら、電話で打合せ。パネルは3枚。基本的には資料から使えるところを抜き出し整理してリライト。さっそくメモ用紙にアウトラインを書く。昼食後、アウトラインに肉付け。気功に行き、シャワーを通り雨のように浴びて戻る。パネルにのせる図を検討。多少、変更を加える。夕食後、一気に原稿を仕上げる。テキスト原稿をメールで送り、だいたいの構成と変更した図についての説明を「野球拳」で送る。 |
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2001.3.28(水) 2001.3.29(木) |
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2001.3.30(金)
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2001.4.2(日)
歌丸さんのアフロヘア 午前中、昨日に引き続き、テープの書き起こし。午後、大量にある会社案内の資料からポイントになる部分を、使用済みのテキスト原稿の裏に書き出していく。自分で書くことで資料は情報に変わっていく。情報を読みこみ、関連付け、考え方の方向性を練り上げる。パッパラパラパラ、スットンキョー。「笑点」のテーマ音楽が、作業終了の合図。「笑点」は子供の頃からずっと見続けている。考えてみると、そんなテレビ番組は他にない。時間の継続を実感できるということは、自分の存在をしっかりとある重さをもって確かめられるということだ。どうか私が死ぬまで続いてほしい。歌丸さんはすでにミイラ化しているから、このまま生き仏としてがんばってほしいものだ。「一度でいいから見てみたい。歌丸さんのアフロヘア」 2001.4.3(月) |
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2001.4.5(水)
会議は踊らない 午前中、取材テープを書き起こしたものを読みながら、話のだぶっているところを整理。ひとまずアウトプットし、それにボールペンで書き込みを入れながら、全体のキャッチフレーズと小見出しを考える。昼、タイカレーの冷凍してあったものをレンジで暖め、ご飯にかける。複雑なスパイスがご飯の甘みとからまりあい、舌の上でポリネシアン・ファイアーダンスがはじまる。楽しいお昼のひとときはマギー四郎(漢字、まちがっていたら、ごめんなさい)の手品のようにいつのまにか終わっていた。電車の中で推敲するため、アウトプットした取材原稿を持って家を出る。午後3時から代理店での打合せはスタート。CD-ROMへの展開も同時に提案するということでそっちのスタッフも加わり、総勢20名近く。打合せというより会議だ。予想通り、船頭が多すぎて船は行き先がなかなか決まらない。持っていった案はありきたりでつまらないと即却下された。面白い案をつくりたいAD。クライアントの社長が気に入るものをつくりたい営業。自分の意見をとにかく言いたいCD。船は港をでることもできず、5時間以上続いた打合せの結論は、「もう少し考えよう」だった。結局、決まったことはあさっての打合せ時間だけだった。 2001.4.6(木) 脳人間とトイレで会ったら 午前8時起床。昨夜は疲れて何もする気がおきず、ビールを飲んで寝てしまった。卵をかけたご飯に納豆を一気にのせて腹の中へ。午前中はメインの技術者の取材原稿をまとめる。昼、近所の蕎麦屋で親子丼とたぬき蕎麦のセットを出前してもらう。胃袋って実は、水道管のように脳と直接つながっているのではないか。私たちはモノを口で食べていると思っているが、本当は脳に付いている口が食べていたりして。ま、そんなことがないのは知っているけど。頭が疲れているときは、「ああ、脳が食べている」って感じる。脳に口がついている宇宙人と駅のトイレでばったり会っても私はびっくりしない。午後、メインの技術者の部下にあたる人物の取材原稿をまとめる。インタビューは15分程度だったから、3時までにテープの書き起こしを済ませた。紅茶ブレークの後、会社案内の構成を考える。脳の内部では葛藤が起きている。どうせアイデアを出してもとおりはしないんだと革命派。通る通らないではなくプロとしてやるべきことはやるんだと常識派。脳内審議委員会により、「適当」にやることにした。ときには、「適当」も必要だ。夜、取材原稿のまとめに入る。深夜3時、とりあえず取材原稿を寝かすことにした。 |
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2001.4.7(金)
今日と明日の間に 午後9時起床。午後3時まで取材原稿を推敲。本当はもう少し時間がほしいけど仕方がない。取材原稿をメールで送り、会社案内のアイデアを考える。思いつくままに、キャッチフレーズを書き出していく。そこに肉付けしながら、なんとか打合せできる状態までにはもっていった。午後5時45分、プロダクションに着く。そこで1時間ほど打合せ。イラスト発注のことを考慮すると、きょう、まとめないともう間に合わない。午後7から代理店で打合せ。さすがにみんな疲労の色が濃い。それでも、「きょう、まとめないと間に合わない」ということでは共通認識ができていたので、それぞれ考えたアイデアを出し合いながらまとめる方向へみんなが努力した。午後10時、打合せ終了。なんとか2方向が決まる。その後、プロダクションに寄ってこれからの段取りの打合せ。プレゼンのカンプは、最初のコンセプトページと、内容に入ってからの4ページだけでいいことになった。最もコピーライティング作業としては、ページ構成内容を企画書に添付しなければならないので手間隙は変わらない。とりあえずカンプ用のコピーを先に進め、月曜日の朝一番で提出することに。自宅のある駅まで行く最終電車に乗り遅れ、途中駅からタクシーで帰宅。家に着くともう日付が変わっていた。 2001.4.8(土) 2001.4.9(日) |
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2001.4.10(月) |
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