Carnivores of Madagascar ( Aug. 2001 )


5. Daily life

pet キャンプでは、各自にテントが分け与えられる。テントは2〜3人用なので、スペースは十分。朝食は7時から。なので私は6時過ぎに起床し、冷水シャワー(けっこう冷たい)を浴びた。7時半にトラップチェックに出発。昼前に帰ってきて、12時に昼食。その後、2時半まで昼寝。そして再びトラップチェックに出発。5時〜6時に帰ってきて夕食。

 右の写真は、キャンプサイトに遊びに来るシファカ(キツネザルの1種)とスタッフ。アブデュラという名がつけられている。研究対象なので、首にラジオ発信機がつけられているが、すごく人になれていて、休憩時間にはよく遊んだ。

 食後には、レクチャーがあったり映画を見たり。けっこう疲れるので9時前後には就寝していた。

camp sitebase camp
<寝泊りしたキャンプサイト>
靴はテントの中に入れるように言われた。
理由は、サソリが入るのを防ぐため。
<調査基地>
Meetings, lectures, meals and parties took place here.

zebu
This is "Zebu".
 キャンプには発電機があるが、それが止まると真っ暗闇。凄まじい数の星が見える。 水は、浄水器付きのタンクが3個あり、井戸水をそれでろ過して飲む。2週間の間、誰もフィルターを掃除しなかったが、、、。

 食事は地元の人が作ってくれる。メインディッシュは、zebu,鶏,fish魚(ティラピア)のローテーション。これに豆,ポテト,スクオッシュ等がつく。ご飯は毎食でる。

過去に私が参加したアースウォッチのプロジェクトは、期間中に2日間の休日があった。しかし、このプロジェクトには無い。もともと2週間ぐらいしかないのだから、休日などいらないと思っていたので、これは賛成。その分、調査地でいろんなことをやったほうがいい。

tortoiseparty
かめの繁殖センターショアン(中央)のパーティ
 しかし、ずっと調査ばっかりやっていたわけではない。アンピジュルアには、世界で最も稀少なヘキサリクガメを繁殖しているセンターがあり、ここを見学。Andranofasika のマーケットに行ったことも。また、夜にはパーティが2回行われた。1回目は8月16日、アメリカ人助手のショアンが帰国する前日。そして8月18日、我々のフェアウェルパーティである。

marketmarket
Market in Andranofasika, the nearest village from our camp site
民族衣装のランバ(巻きスカート)が、とても綺麗だった。
写真を撮らせてもらった、
カフェ?のおばさん

6. Deforestation

deforestation
アンダシベで見た伐採現場

ある日の夕食後、この国の森について、レクチャーがあった。主任研究者は、衛星写真を解析し、森の減少を調査している。それによると、この10年間におけるマジュンガ県全体の森の減少率は14%。それに対し、県内にある厳正自然保護区アンカラファンツィカの森の減少率は、なんと20%。保護区のほうが消失率が高いのである。「なぜ?」「保護区の意味は?」との質問に、「保護区というのは単に線をひいただけ。そこに住む人には無意味」ということだった。「対策は?」という問いには、「対策は我々だ。」という答え。地域の人達にこの事実を教え、彼らを巻き込んで教育していくしかないという。

 ある本によると、かつて国土の80%が森に覆われていたのが、伐採,火入れにより、現在では国土の7%しか森は残っていないという。毎年1万5千ヘクタールの森が消え、30年後には森がなくなる計算になる。2001年7月のニュースウィーク誌の世界最悪の場所特集にて、マダガスカルは「木にとって世界最悪/ Worst place to be a tree 」の汚名をきせられている。

 フォッサを守るには、森をまもらねばならないのである。「フォッサは森のフラッグシップ」これが主任研究者の口癖だった。

 下の写真は、タワーAのすぐ近くのものである。木が無くなり、サバンナ化し、保水能力が無くなり雨によって浸食されてできた、異様な光景である。浸食は年々進んでおり、数年内にはタワーAの地盤も崩れるという。

Erosion : Please click photos.
erosionerosionerosion

7. Capture!

8月13日の昼前、トラップチェックから戻り昼食を待っていたら、突然に無線連絡が入り、にわかにベースキャンプがあわただしくなった。遂にフォッサ捕獲か?と思ったら、ワイルドキャットがトラップにかかったとのこと。1時間ぐらいして、その猫が運び込まれてきた。麻酔をうち、身長,体重,歯,血液等、村の犬猫調査と同様の調査が手際よく進められ、そしてラジオ発信機の首輪が装着された。彼は、「ヒースクリフ」と命名された。最後にボランティアと記念撮影! そして捕まった場所まで戻され、解き放たれた。再び自由が得られたが、首輪がちょっと重いかも。この後、彼はラジオテレメトリーの対象に加えられたのである。

捕らえられたワイルドキャットを調査
wild catwild catwild cat

wild cat

8.遭難?

8月17日、米人ボランティアRobin と2回目のラジオテレメトリーに出発。前回は夜だったが今回は昼間。タワーも異なり、タワーBで行う。朝早くローカルスタッフと一緒に出発。我々はこのタワーには行ったことが無いので、彼らに途中まで案内してもらう。帰りのために、分岐点には目印のテープをつけながら。タワーに着き、交代で調査実施。

 夜になり、交代を待つ。John とAlana が来るはず。しかし、予定時間を過ぎても来ない。突然、無線が入り「道に迷った。どこにいるかわからん。」と連絡が。Robin が笛を吹いた。無線「笛が聞こえた」。どうやら近くまで来ているらしい。2人で捜索に行くことにした。もう真っ暗である。真っ暗闇のサバンナは恐ろしい。まったく何も見えない。タワーから降り、「こっちだよ」と私。Robin 「ちがう、逆だよ」 まったく180度違う方向に行こうとする。どうなってるんだ。私は来るとき、コンパスで方角を記録してきたのでその旨説明したが、内心「しまった。北と南の設定を間違えたかな。」と凄く不安になった。しかし、コンパスを信じて歩くしかない。数十メートル進んだだけで、もうタワーがどこにあるかわからない。コンパスだけが頼り。遂に来るときに付けた目印を発見し、私のコンパスが正しかったことが証明された。しかし、とても捜索どころではない。2重遭難の危険のほうが高い。私達はタワーに戻り、ベースキャンプと連絡をとった。ローカルスタッフ2人が捜索に来ることになり、そして待つこと3時間、へとへとになったJohn とAlana そしてPierrot とRado がタワーに到着。

 一休みし、John とAlana を残して、我々は帰路に。途中、でかいカメレオンや夜行性のキツネザルに遭遇しながらキャンプへ帰ったときは11時30分ぐらいだった。とても長い1日が終わった。ボランティア達だけで行動できる自由はうれしいが、初めてのところでの夜間行動。これはちょっと危険では、と思った。そして主任研究者は、我々が帰ったときは既に寝ていたのだ。

9. Farewell

8月18日、調査活動最終日。ここまでフォッサは捕獲できていない。あきらめムードが漂っていた。昼前にフォッサ捕獲の連絡! しかしそれは、QUINTAS だった。一度捕まえたフォッサなので、すぐにトラップから解放した。だから見たのは、トラップチェックに行った2人だけ。私は前日の帰りが遅かったので、午前中はお休みしていたのだ。午後にはすべてのトラップを回収してしまう。結局、フォッサを見ることはできなかった。残念である。

martel giving a speech
演説する Martel
 18日の夜、チーム全員そしてキツネザル研究のドイツ人達もくわわって夕食。その後、村の人たちが来てダンスパーティが行われた。私達のためにダンスを披露、その後、私達も加わりいっしょに踊った。印象的だったのは、ローカルスタッフのMartel の演説。村人そして私達に向かって、「森を守ろう、フォッサを守ろう、そして人間を守ろう」と言った。そう、単に「保護しろ」といっても効果はない。それは厳正自然保護区の森の減少に歯止めがかかっていない現実がある。森を守るためには、そこに住んでいる人間を守らないと。これが一番難しいのだけれど。

dance dance
Fantastic, beautiful and enjoyable dance party with villagers

今回の我々のチームは、2名を除いて、フォッサを見ることができなかった。しかし、貴重なキツネザル、森の現状、サバンナ化し浸食されていく大地、そして漆黒の闇と凄い星空など、貴重な資源を持つこの国の一部ではあるが、その特殊性と消滅の危機を垣間見ることができたと思う。マダガスカルの自然をなぜ保護する必要があるか? それは、とても珍しいから。見ていて楽しいから。そしてそれを次の世代に見せたい。それで十分だと思う。