Carnivores of Madagascar ( Aug. 2001 )


3. Happening

8月4日にマダガスカルに到着し、8月7日はボランティア集合の日。集合場所はマジュンガの空港。確実に行くため、首都アンタナナリボから飛行機で行くことにし、日本で予約しておいた。しかし、これが失敗だった。アンタナナリボ13時25分のフライト。私は11時50分に空港に到着。チェックインカウンターに行こうとしたが、係員に制止された。時間が早いらしい。カウンターの行き先表示は「Toliara」と「Diego Suarez」の手書きのボードが掛かっているだけ。しばらく待ってからカウンターに行ってみて驚いた。そこには秩序というものが無かった。とりあえず列らしきものに並んだが、どんどん人が割り込んでくる。私も負けじと進んだが、なかなかカウンターに辿り着けない。数人前にアースウォッチのタグをつけたバッグを持った人を発見。同じチームの人だ。ようやくその人がチェックインを終え、その後、私も強引にチケットを渡した。係員がコンピューターに打ち込む。そして、帰ってきた答は「ソーリー,ノースペース」だった。オーバーブッキングで飛行機に乗れないのだ。

エアマダガスカルの事務所へ行き猛抗議。翌日早朝のフライト,ホテル,空港往復のタクシーをエアマダガスカルに準備させる。フライトはファーストクラスといっていた。しかし翌日、いざ搭乗したらすべて自由席だった。

 なんとか研究スタッフとも電話が通じ、空港に迎えに来てもらえた。マジュンガの空港から約2時間、第2日目の昼前、ようやくリサーチサイトに辿り着くことができた。

4.調査活動

スタッフとボランティアは、遅れてきた私を暖かく迎えてくれた。昼食後、いよいよ活動開始。まずは、アンピジュルアの森に、フォッサを捕まえるための罠を設置し、そこに生きた鶏を餌として閉じ込める。各ボランティアが鶏を2〜3羽持ち、森の中を歩き、それぞれの罠をセットする。調査地にはAトレイルとBトレイルがあり、この日はAトレイルを探索。25箇所の罠があり、1羽ずつ鶏を檻の中に閉じ込めていく。すべて終わったときは、すっかり日が暮れて真っ暗。各自の懐中電灯を頼りにキャンプへ戻った。

Project team
PeriodAugust 7 to 19, 2001
Research SiteAmpijoroa Research Station
in Ankarafantsika National Park
Principal InvestigatorDr. Luke Doller
Volunteer members7 Americans, 1 English, 1 Japanese
5 students, 2 teachers, 1 veterinarian, 1 office worker
Host country staffguide, driver, cooking staff
volunteer members

ここで調査地について、説明をします。
マダガスカル北西部にあるアンカラファンツィカ厳正自然保護区。その中のアンピジュルアという場所が調査地。ここは西部乾燥林に属する落葉広葉樹林である。乾季と雨季(11月〜3月)に分かれ、8月の日中の気温は30度を超える。しかし、朝晩はけっこう冷える。この保護区には、コクレルシファカ,ブラウンキツネザル,ニシアバヒ,ネズミキツネザル,マングースキツネザル,ミルンエドワードイタチキツネザル他7種類のキツネザルが生息している。

ボランティアの行うことは、主に以下の3つ。
@2班に分かれ、A,Bトレイルのトラップをチェック。
Aラジオテレメトリーのタワーに行き、アンテナを駆使してフォッサと野生ネコの活動を記録。
B村にいる犬や猫の調査&狂犬病ワクチンの接種。

(1) Trapping surveys

trap
This is a trap.

ローカルスタッフ+ボランティア1〜3人でチームを組む。2チーム作り、それぞれA,Bトレイルの罠にフォッサあるいは他の動物がかかってないか、鶏は無事かをチェックしノートに記録。午後はチーム編成を変え、再びチェックに行く。各トレイル1日2回チェックを行う。トラップチェックだけでなく、鶏に餌と水を与える。また、トレイルで遭遇した動物や鳥も記録する。
 Aトレイルには25箇所の罠があり、1周するのに約3時間。Bトレイルは12箇所の罠で1周約1時間半。これを毎日午前と午後、行う。
 日がたつに連れて、鶏の数が減っていった。罠には何も捕まっていないのだげれど、鶏の羽根が散らばっており、何者かが食べた痕跡が残る。そんなに頭のいい動物がいるのか、単に罠が作動しなかっただけなのか、不思議だった。

 トラップチェックの楽しみは、いろんな生き物と遭遇できること。鳥はもちろん、2日に1回はキツネザルの群れと遭遇。道を挟んで右側にブラウンキツネザル、左にシファカの群れを見たことも。その他、蛇やカメレオン等々。ボランティアは、何を,どこで,いつ,何匹見たかを記録する。一番の期待はフォッサだったが、、、。

Scenery of trails : Please click photos.
A trailB trailvine tree
A Trail
A brown lemur can be seen in the center.
B Trailトレイルにある蔓植物で遊ぶ。
この湖にはワニがいるのだが。

A ラジオテレメトリー

過去の調査において捕まえたフォッサや野生の猫には、radiocollarラジオ発信機のついた首輪がつけられている。そして彼らの活動状況を調査するのが、この仕事である。首輪のつけられたフォッサは、Tina, Thasha, Quintas の3匹。野生猫は、Morris, Odie, そして我々のトラップに掛かった Heathclif の3匹。それぞれ異なる周波数を発信する首輪が装着され、10分毎に受信機で、それぞれの電波がキャッチできるか、キャッチできた場合、その方角、活動しているか休んでいるか、を記録する。

tower-A  タワーは、調査地のサバンナと化した所に、フォッサのテリトリーをカバーするように、2箇所のタワー,AとBがある。左の写真は、タワーA。タワーまでは、キャンプから歩いて1時間半ぐらい。1〜2人でタワーに行き、調査を行う。朝早くキャンプを出発し、夜のチームが来るまで(7時ぐらい)タワーにこもって調査、動物の活動状況を記録する。夜のチームは、翌朝の交代メンバーがくるまで調査。とってもゴージャスな朝日,夕日,星空を見ることができるが、昼は暑さと虫に悩まされ、夜は睡魔と寒さに悩まされる。

Practice of radiotelemetry ボランティアはタワーに行く前に、アンテナの使い方の講習を受ける。この写真は、受信機の操作を練習しているところ。2つのチームに分かれ、片方のチームは首輪を隠し、もう片方のチームは受信機を駆使して、隠された首輪を探しあてるゲーム。
 はっきりいってラジオテレメトリー装置の性能は良くない。有効半径は約1.5kmしかなく、精度も怪しい。それはスタッフも認めているが、資金不足で新しいものが購入できないということだった。

Ceaser's collar
Caesar's radiocollar
cut by somebody
 上記3匹の他にCeaser というフォッサがいたが、残念ながら地元民に殺されたようだ。Ceaserから発信される電波がずっと同じ位置で動かなかったため、その首輪をボランティアが探しにいき、2日目で発見。それには鋭利な刃物で切られた跡があったのだ。フォッサは家畜を襲うということで、害獣として殺されるという。最初は首輪発見に喜んでいたが、事実が判明するにつれ暗い雰囲気になってしまった。

Scenery of Tower A : Please click photos.
tower-Atower-Aroad to tower-A
Tower ATower A and the sunset途中の道にある無数の蟻塚


Scenery of Tower B : Please click photos.
tower-Btower-Bsun set
Tower Bサバンナ化が進む土地The sunset in savanna

(3) Investigation and vaccination of dogs and cats

近くの村、Andranofasika へ行き、ローカルスタッフが、村人の飼っている犬や猫の調査、そして狂犬病のワクチン接種を行う。ボランティアはその手伝いをする。まず、犬や猫を飼っている家を探し、許可をもらわなければならない。ワクチン接種は無料なので、みんな協力的だ。しかし、放し飼いにされているので、捕まえるのが大変。一回失敗すると、もう警戒して絶対人間には近づかなくなる。運良く捕まえることができたら、麻酔を注射。そして、体の各部,体重,体温,心拍数の測定。血液,ノミ・ダニ,糞の採取,そして最後にワクチン接種を行う。
 印象的だったのは、これをやっていると、村人が「何をしているのか?」とどんどん集まってきたこと。それと、Peterというボランティアがいて、彼はフロリダで獣医をしているのだが、さすがに鮮やかな手腕を見せてくれた。