
巷ではよくヘッドスピードを測定してクラブ選びをしていますが、何か変ですね?
ヘッドスピードを測定した時のそのクラブはどんな仕様の物ですか?
ヘッドスピードってどんなクラブを使っても同じなのですか?
そんな疑問を持たれたことはありませんか?
そうなのです!ヘッドスピードはクラブの仕様によって違ってくるので、測定した
ヘッドスピードに従ってクラブ選びをするのは基本的に間違いです。
やっと、或るクラブメーカーはそれに気が付き、別の表現に言い換えてきました。
私は”スイングスピード”と表現しています。(本文に詳述)
スイングスピードはその人のスイングの質や体躯・体力によって決まるもので、
ヘッドスピードはそのクラブをスイングした時の結果にすぎず、クラブの仕様に
よって異なるのは当然なのです。
ヘッドスピード
一般にヘッドスピードとは、インパクト時のヘッドのスイング円周速度を言い、
その単位はm/sで表します。
ヒットされたボールの飛距離はヘッドの質量(重さ)とインパクト時のヘッドの
速度(ヘッドスピード)に比例しますから、ヘッドスピードが速いほど遠くへ
ボールを飛ばすことができるのです。
ヘッドスピードを速くする方法は、体躯・体力・スイング力を向上させることも
必要ですが、道具であるクラブの仕様を適切にすることでも可能なのです。
それは、シャフトのしなりを効果的に最大限、適切に利用することなのです。
そして、プロを目指すわけでもない一般アマチュア、特にシニア、女性にとっては
身体を鍛えたり、難しいスイング改造に大きな労力と費用を掛けなくても、道具
であるクラブの仕様を変えることで、ヘッドスピードを上げ、気持ちの良いゴルフ
を楽しむことができるのです。
クラブの仕様
ヘッドスピード上げるクラブの基本仕様は次の通りです。
@ 無理なく充実したスイングができるクラブ(適切なMs/Aの値)
A シャフトの仕様が適切であるクラブ(適切な重さと剛性)
B 重心位置がシャフトの剛性とマッチしているクラブ(A/Lの値)
C クラブ全長(L)が適切であるクラブ
(Ms/A,A/Lについては本文に詳述)
Ms/A(スイング感覚値)の値が同じであるクラブは基本的に同じ感覚で
スイングができますので、自分に適切なMs/Aの値を知り、その値のクラブを
セットにすればよいことになります。
自分に最適なMs/Aの値を見出すには、今まで使用したクラブの中で一番使い
易くて気に入ったクラブのデータ(Ms,A)を計ればよいのです。
Msは次式で計算される言わばスイング時のクラブの重さです。
Ms=W(A−20)(A−20) g・cm・cm
W=クラブの重さ g
A=グリップエンドから重心までの長さ cm
(バランスアーム)
シャフトの仕様とA/Lとのマッチングは厳密には、試打を繰り返して、打球の
状況(飛距離、弾道)により判断せざるを得ませんが、先ず、使い勝手の良い
クラブのシャフトの仕様(硬度、重さ、等)を確認してそのクラブのA/Lの値を
基に考えましょう。
他のクラブのシャフトの仕様が同じであれば、A/Lの値も同じにすることにより、
どのクラブもシャフトのしなり感覚が同じになります。
A(バランスアーム)の調整は主にグリップの重さ調整で行います。
補足的にはヘッドの重さ調整を追加することもあります。
(本文に詳述)
以上のように、適切なクラブ選びは決してヘッドスピードにより行うものではなく、
あなたの体力とスイング能力に合ったクラブの仕様で選ばなくてはならないのです。
そのクラブの仕様の基本はMs/Aとシャフトの剛性とA/Lの適合なのです。
そして、大切なのは、ドライバーだけの仕様ではなく、1Wからウエッジまでの
セットのクラブの上記の仕様が統一されていることなのです。
その様子はA−Ms図、A−W図、A−L図のグラフに表すことにより視覚的に
はっきりと見ることができるのです。
(本文に詳述)

一体全体 Ms/A とは何者でしょうか?
その次元分析してみるとその正体が見えてきます。
Msは[g・cm・cm]でした。そしてAは[cm]でした。
故にMs/Aは[g・cm]になります。
この”g・cm”の次元は、実は「仕事」表す次元であり、その仕事を成し遂げる
「エネルギー」を表す次元でもあります。
さて、あなたにとって適切なMs/Aの値とは一体何者でしょうか?
それは、あなたがそのクラブをスイングする時に要求されるエネルギーを表して
いるとも言えなくもありません。
スイングする時に必要なエネルギーがあなたの体力に適切でなければ良い結果
(スムーズなスイング)が出ないのは当然ではないでしょうか?
あなたの体力に合致したMs/Aの値を持つクラブが望まれる理由です。
「Ms/A」をスムーズな仕事であるスイングの感覚を表す値という意味で、
スイング感覚値と名付けたのです。
このMs/Aには時間に関する次元が入っていません。ですからMs/Aの値が大きい
クラブはゆっくりと仕事(スイング)をする必要がありますが、それがなかなか難しく、
スイングの速さ・遅さでシャフトの剛性(硬さ・軟らかさ)によって球筋が変わります。
ですから、Ms/Aの値と同時にシャフトのしなりに関係するA/Lの値も大切なのです。
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