先ず、最近の新聞・雑誌等の飛ぶクラブの宣伝について一言。
有名プロが試打したり、世の飛ばし屋が試打してこれだけの距離を出したとか、
テストマシンでの結果○○の飛距離を記録したとか、盛んに宣伝されていますが、
ボールの飛距離は、道具のクラブ(及びボール)とそれを操るプレイヤーの二つの
要素が総合的に係わりあって決まるものです。
他人が使って飛ぶクラブであっても自分がそのクラブで飛ぶとは限りません。
体格・能力・スイング技量等が異なるからです。
その人が、そのクラブで飛距離を出せるのは、何故なのか、その分析が大切です。
その結果、その要素を自分に取り入れるにはどうすべきなのかが大切なのです。
ボールの飛距離は他人と比較するものでは決してなく、昨日の自分との比較で
考えるべきものであることを強調しておきたいと思います。
最近のヘッドフェイスの反発係数の規制から、クラブメーカーはやっとクラブ
全体のバランスを真剣に考え始めたようですが、飛距離を期待しようと過去に
一時流行したことのあるクラブの長さLを長くする二番煎じを繰り返す傾向が
見られだしました。しかし、長いクラブはスイング操作性を低下させます。
私の見解では、クラブ長さLを長くすることではなく、クラブの重心位置までの長さ即ちバランスアームAの長さを長くすることが肝要なのです。
そのための一つの方法としては、クラブ長さLを長くすることは確かに有効ではありますが、肝心のジャストミートの確率が損なわれてきます。
クラブ長さLを長くすることなくバランスアームAを長くする方法があります!
それは、私が提案するクラブの動的バランスに基づくシャフトのしなり係数
(A/L)とヘッドの効き具合でもあるスイング感覚値(Ms/A)の導入に
基づくグリップの軽量化です。
前置きはさて置き、最近新聞紙上に発表されたクラブメーカーのシニア・女性用の飛ぶクラブを、私のゴルフィング・メソッドの動的バランス理論に基づいて分析を試みました。
以下に分析するこのメーカーはシニア・女性など非力なプレイヤー向きのクラブ特にドライバーの開発に特出しているユニークな会社です。
その新聞発表に因るドライバーのデーター分析の結果は以下の通りでした。
クラブ総質量W 249g
クラブ全長L 47インチ(119.4cm)
バランスアームA 95.3 cm
スイングモーメントMs 141.2 g・m2
シャフト係数γ 0.715
しなり係数A/L 0.798
スイング感覚値Ms/A 1.48 g・m2/cm
このクラブの設計意図は、クラブの重さWを軽くして扱いやすくし、
クラブの全長Lを長くすることによりバランスアームAを大きくして
シャフトのしなり効果を引出すこと、だと読み取りました。
今までの市販クラブのバランスアームAの最長が90cm前後であるのに
対して95cmまでに伸ばしています。
これは市販されているクラブでは最長でしょう。
この数値を達成するためにクラブの全長Lを47インチまで長くしたと
考えられます。(Lを大きくするとAは効果的に大きくなる)
しかし、クラブは長いほど正確なボールヒットの確率が損なわれてきます。
クラブの全長を長くすることなくAを大きくする工夫が望まれるのです。
(別のコラムに詳述しています)
次にスイング感覚値Ms/Aは、非力者用としては妥当な値でスイングが
易しくできると思われます。
最後にボールの飛距離ですが、Ms/Aの値が大きいほどボールに与える
エネルギーが大きくなるので、結論的にはMs/Aが大きいほどボールは
飛ぶことになります。しかし大きすぎるとスイングで重く感じられます。
自分のスイング体力の許容範囲内で最大となるMs/Aの値が決め手となる
わけです。
私の自家製超軽量グリップのドライバーでは、
W=276g、L=45.5インチ=115.6cm
A=98.8cm、Ms=171.4g・m2、γ=0.851
A/L=0.855、Ms/A=1.735g・m2/cmで、
クラブは軽くても、シャフトのしなりを最大限引出し、Ms/Aを私の
スイング体力の許す限度まで大きくしています。
67歳の私のゴルフ人生で最高の飛距離を満喫しています。
さて、あなたは現在のそのドライバーで満足されていますか?
そのドライバーの数値はどうなっていますか?その数値によっては、
もっと、気楽に飛ばす方法が確実に在ると私は言いたいのです。
(別のコラムに詳述しています)

2004〜2005年の各社カタログのデータ分析による纏めを
次のようなグラフにしてみました。各社の意向が垣間見えます。
注)FOVIXは私の理論に基づく調整後のクラブです。

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