
今までの考え方を基礎として、アイアンセットの易しいクラブの
一つの方法を次のように提案します。
@クラブ全長を一定にする。
Aロフトは番手順に変化させる。(大から小へ)
BバランスアームAの長さを番手順に変化させる。(小から大へ)
Cシャフトの剛性分布を番手順に照応させる。(手元から先へ)
@とCはプレイヤーの個性に照応させる必要があります。
このようにしたセットクラブは、特に非力なアマチュア(シニア、
ジュニア、女性)にはすこぶる使い易いものとなります。
1)現況
現在のゴルフクラブの形態は、アイアンのウエッジからロングアイアンまで、
一番手上る毎にクラブ全長は約0.5インチ長くなっています。
その長さはウエッジ類約90p、3番で約98pです。
またフェイス面の角度のロフトは約45度(ピッチングウエッジ)から約20度
(3番)まで段階的に変化させています。
これらは勿論目標とするボールの弾道と飛距離に照準を合わせてのことです。
しかし、クラブを扱うプレイヤーである人間の体型は一定ではなく、背丈も腕の
長さも足の長さも異なっており、一番気持ちよくスイングできるクラブの長さは
限定されます。
アイアンセットの中で一番のお気に入りのクラブが在るのが良い証です。
長いクラブはヘッドの振り抜きが難しくなり、インパクトの正確性が損なわれ易い
ので、クラブ全長が長いと感じられるクラブでは上手く使いこなすのは難しいと
言わざるを得ません。
なぜ、番手順にクラブ全長が違っているのでしょうか?
昔のシャフトは金属製のパイプで、重くて柔軟性の無い硬いものでした。
そんなクラブではシャフトのしなりの効果は期待できず、もっぱら、スイング力で
クラブの長さに頼ったヘッドの円周速度(クラブの長い程ヘッドスピードが大きく
なる)にフェイスのロフトを加味してボールの飛距離に対応してきた名残りが
今に続いているのです。
しかし、現在のシャフトは材質も製造方法も大きく変わり、質量も剛性もある程度
任意に設計・製造できるようになってきました。
このシャフトの技術開発の成果をフルに活用すれば、次のような易しいセットの
クラブが可能になるのです。
2)新方法の根拠
スイング感覚
スイング時のクラブの長さの感覚は、私の体験ではグリップエンドからクラブ
の重心位置までの長さ(私の言ういわゆるバランスアームA)です。
またクラブのスイング時の身体への負荷は、クラブのスイング慣性モーメント
(私の言うMs=W(A-20)2)であり、Aの大きさにより大きくなります
勿論クラブ重量Wにも比例します。
従って、クラブの長さが同じでも、Aの大きいクラブではあたかも長いクラブを
スイングしている感覚となりスイング負荷も大きいので、しっかりと力強く
スイングする気持ちになります。
更に、同じクラブの長さでは、アドレス感覚も同じとなり、インパクト時の
正確性も格段に増すことになります。
ボールの飛距離
ボールの飛距離は、空中飛距離と地上ランの距離の総計であり、経験的に
フェイスのロフトとインパクト時のヘッドスピードで決まると言えます。
ロフトの話(弾道の高低方向)はさて置き、ヘッドスピードは、クラブの全長が
長いほどヘッドの円周速度は大きく(ヘッドスピードが大きく)なりますが、
シャフトのしなり効果を利用することでも大きくなります。
シャフトのしなり効果を利用してインパクト時のヘッドスピードを上げる方法と
しては、シャフトの剛性分布とクラブの重心位置即ちバランスアームの長さを
番手順に最適に組み合わせることです。
加えて、フェイスのロフトを番手順に照応させていきます。
そうすることにより、スイングを変えることなく、シャフトのしなり効果を
最適に引出し、結果として、ボールの段階的な飛距離に照応することができる
のです。
勿論、シャフト全体の曲げ剛性の照応が必須であることは言うまでもありません。
3)ウッド類
ティアップして使用するクラブについては、自ずとクラブ全長は多少長くても
違和感も無くスイングできるのでアイアンセットとは異なりますが、基本的な
考え方はアイアンセットと同じです。
また、フェアウエイウッド、ユウティリティについてはプレイヤーの嗜好の
問題もあり、アイアンセットの考え方を基本に考えて良いと思います。
注意
再三記述してきましたように、クラブのスイング負荷(クラブの慣性モーメントMs)が
あなたにとって最適な値(Ms/Aの値が統一される)にする必要があります。
上記、設計・調整の段階で必ずA-Ms図、A-W図を描きながら行う必要があります。
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