そんな中、おれは以外に元気だった。それは、発想を変えたからだ。
「眠くなけりゃ、寝なくちゃいいし、眠かったらいつでも寝てやる」ということと「いまは朝9時なんだ」と無理やり信じ込むこと。これでかなり違う。違うって言うのは、ハラを決められるってことだ。「あ〜ど〜しよう、眠くなったら」とか、「いまは日本じゃ夜なのにな」とかは、もはやハワイに来てしまっている以上、ネガティブな思考以外の何者でもない、と気づいた俺はビッグトゥモロー的にポジティブだった。
と、カッコいいことを言ったが、実はハワイに着いたら実行したい重要なお楽しみがあったからである。
それはマリファナを買おうとか、無修正ビデオを買おうとか、マグナムをぶっ放そうとかそんなものではない。
「ハワイでバイクツーリング」計画だ。
話の発端は兄から聞いた「ハワイでは、ハーレーを貸してくれるところが結構ある」という情報だ。実際、兄は新婚旅行でこの土地を訪れた際、もぐりのレンタル屋でハーレーダビッドソン・ロードキングをかりて島内を花嫁乗っけて走り回ったらしい。
兄に出来て、俺に出来ないわけはない、やってやる!という至極くだらない、男の兄弟同士、意地の張り合いと、単純に北海道じゃもう半年乗れないと思っていたオートバイに、思いもかけず乗れるんだ、という高揚感から、出国1日前に「ぜったい借りてやる」と心に誓っていたのだった。
で、正午前にマラソンの説明会が終わり、昼のサンドイッチを腹に収めると3時まで(つまりチェックインまで)自由行動とのこと。おれははじかれたように席を立ち「これからどうする」という上司のけだるい問いに「ええ、まあ」といったあいまいな答えだけでワイキキの町の雑踏に消えていった。
激しく暑い。サングラスを持ってきて大正解なくらいの照り返し。ショートパンツをはきたい、サンダルを履きたいと思いながら歩く。
カラカウア通りという、ホノルル観光客がひしめく通りを歩きながらハーレーのおいてあるレンタルショップを探す。原チャリレンタルなんかは結構あるけど、探すと意外とないのよ、ハーレーは。
あ、あった、とおもってみても、どうも激ヤバな雰囲気の人が女の腰に手を回したまま店番してたりとかでなかなか「これだ!」ってショップが見つからない。
で、そんなヤバそうな店でも短パンでリュックを背負った白人が熱心に取り扱い説明を受けて今まさに走り出そうとするところに出くわす。「やっぱり言葉が通じるのはいいなぁ〜」と思い、さらにカラカウアを西へ。で、あったんですよ。俺にも借りられそうな店が。
上)ハワイでレンタルした04スポ。
そんなに違和感なかったっす!