ユーコン川で爆釣!パイク編その2

遂に、85p!パイクが入れ食いの湾
 「ここはパイクのグッドポイントやで。」とジョーが言い、釣り大会が始まった。
 ここは明らかに浸水した草原である。広さはせこい漁港くらいある。中央部が一番深く、といっても2メートルくらい。岸に行くにしたがって浅くなり、草も顔を出す。草の高さは、岸辺も水中も同じで、約1メートル。
 本流は笹濁りだが、湾の中は底まで見えるジンクリア。パイクはやはり草の中に潜んでいるようだ。

 パイクはカヌーのガンネル(舷側)とパドルが当たるような金属的な音は嫌うようだが、パドルがたてるスプラッシュ音はあまり気にしないようである。
 みんなは漕ぐとき結構パドルとカヌーに当たって音を立てている。そういえば「カナディアンはあんまり乗ったことがない。」って言ってたっけ。

 みんなが奥の方に行っているので、あえて入り口付近で静かにして待つ。Kに漕がないように言い。ひろだけが漕ぐ。それも一番水音をたてない、静かなインディアンストロ−クでだ。

 Kはまだパイクを釣っていないので何としかして釣らしてあげたい。神器であったバイブレーションをモンスターに取られたので、スプーンしかない。だがスプーンはキャストして気を抜くと底まで沈んで根がかりしてしまうので、Kにはちょっと難しいかも。
「ええかスプーンはすぐに沈むからな、キャストして着水したらすぐにリールを巻かなあかん。もし深いところを攻めようと思ったら、カウントダウンすんねん。沈んでる草のすぐ上を泳がすんや。ここやったら、せいぜい3秒やな。こんなふうにすんねん。」
 見本を見せているうちに、ついついキャストに夢中になってしまった。Kすまん。

 そうこうしているうちにルアーにHIT!セットする。大人2人とキャンプ用品を満載したカヌーごと引っ張られ、まさに「老人と海」状態。
 両手でロッドとリールを持っていて、ひろはカヌーを操作できないのでKに、右にスイープ、バックと指示しながらロッドを操る。みんなのカヌーが集まってきた。
 10分ぐらいやりとりした末にやっと水面まで浮き上がってきた。水面での一暴れをクリアし、何とかGET!あまりにでかいので網に入らず、取り込めない。
「首の後ろからエラの所をつかむねん。」とジョーに助言され取り込み成功。計測すると85p!ジョーも驚いとったなあ。
「Conguratulations!こいつは大物やで、ひろ。どうする?キープ or リリース?」とジョーに聞かれ、逡巡したが、
「記念撮影したら、リリースや。」と言うと、リンダに「グレイト!」ひろは立派な紳士だと誉められる。釣りはスポーツなんだとカナダ人が思っているのが、この会話で良く解る。でも実は、「いや〜あんまりでかいと大味だろう。」と思ってフライパンサイズを探していたのだ。リンダすまん。
 記念撮影のために持ち上げていると腕がぷるぷる震えてくるぐらいの重さだ。7,8sはあるやろ。これで友人達に自慢できるぜ。絶対悔しがるはずだ。ふっふっふ。

「85p、取り込めて良かった!」

 再び、みんなが散っていったので、今度こそKにバトンタッチする。Kにも何回かアタリがあるのだが、セットがちゃんとできないのでフッキングせず、ばれてしまう。
 10メートル前方に中くらいのが草の上に定位しているのが見えた。Kには見えていないようだ。方向を教え、15メートルくらい投げたあと、2秒数えてから巻くと鼻先をかすめるから食いつくはずだと指示する。
 Kがどんピシャリのキャスティングをした。2秒数えて、巻く。そいつが飛びつくのが見えた。今回はKもフッキング成功。キャーキャー言いながらリールを巻くK。やりやすいようにパドリングしてあげる。取り込みはひろが行い、無事成功。59pだ。

「K、初の獲物にニンマリ」

 Kは最初の獲物なのでとても嬉しそうだ。よく考えると、Kはブラックバスをまだ釣ったことがないのだ。バスより先にパイクを釣る事になるとは。
 記念に食べる事にし、キープする。ひろ&Kは普段は釣った魚は、1匹は基本的に食べることにしている。水がむっちゃ汚いとか毒があるとかは別やけど。
「リンダ、日本人はフィッシュイーターなんや。すまんの。」とパイクを絞める。  血抜きを行いがてら、エラにロープを通し、曳航していく。水温5℃なんで天然の冷蔵庫やね。
 こいつはひろがさばき、フリッターにした。グロテスクな魚ほど旨いと言うが、そのとおりでむっちゃ旨かった。感想は、白身で淡泊で滋味。小骨が多いのがちょっと難点で、身に骨を残さないように気を使うので、さばきにくい。

今度は70p
 川を下っているうちにだんだん川幅が広がってきた。右岸にそこだけ突き出た禿げ山が見える。
「あれを登ってみいへんか」とジョーのお誘い。カヌーを着けるところが、また入江になっている。
ジョーのカヌーに近づくと
「ひろ、何も言わんでも、解ってるで。釣りしとくんやろ。」「オー、イエス。そのとおり。」

 今日は晴天で気温は30℃、ホントに北極圏の近くかと疑問に思うほど暑い。釣りには不利な状況だ。しかし、1人になって場を休ませていると、ライズが起こった。岸辺のすぐ近くだ。そーっと近寄り、スプーンでキャスト開始。
 風が吹いているのでカヌーが吹き寄せられる。キャストしたり、パドリングで位置を修正したり忙しい。

 10投目くらいでHIT!がっちりフッキングする。こいつはパイクにしてはファイターであった。こっちに向かって突進してきて、潜って反対側に行こうとした。
 ラインがガンネルとこすれて切れるのでロッドの先を深く沈める。何回となく突っ走るのを抑え、水面まで顔を出さす。やはり水面で最後の一暴れ。それをこらえて、ランディング。計測すると70p。だが、カメラはKが登山に持っていっているので写真は撮れなかった。証拠が残らなくて残念。

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