大河ドラマ「新選組!」のツボ

 

第43回  決戦、油小路  

“坂本龍馬が暗殺され、時代はいよいよ、薩長を中心とした武力による討幕に向けて、動き始めた。しかし、歴史が大きなうねりを見せようとしていた時、その裏には、波に乗りきれない男たちの悲劇があった。”

岩倉卿を囲んでの尊攘派の会合に、伊東先生が平助を伴って参加しています。
って、あれ? 前回龍馬に、「これから顔を出してみる」と言っていた時、既に夜になっていませんでしたっけ? 障子の外はとっても明るいんですけど。(^^;;;
「慶喜が政権返上して我らを出し抜いたつもりでおるんやったら、今度はわしらが慶喜を出し抜く番
 や。」
「政権を返すちいうことは、これまでの失政を認めたちうこと。よって徳川慶喜は、この際そん一切の
 官職を辞し、領地を返上すべきである。そいに従わん場合は、逆賊として徳川を討つべし。」
岩倉卿と大久保の言葉に、興奮して一斉に持論を展開する尊攘派の志士たち。伊東も一番後ろから膝を立てて、懸命に意見を述べますが、必死に声を張り上げて、ん〜、なんか先生らしくない。
「こらっ!いっぺんに喋んな!うるそうてかなわん。」
岩倉が皆を制した時、すかさず立ち上がる伊東先生。
「どうか、私に発言の機会をお与え下さい!」
志士たちが一斉に振り返る。
「御陵衛士、伊東甲子太郎であります。私の唱える大開国策を、是非、岩倉卿にもお聞きいただきた
 く、参上いたしました。」
伊東の後ろでは平助が、その一言一言に頷きながら、師匠を応援しています。
「今、日本がなすべきは、国を富まし・・・」
けれど岩倉卿は、隣りの大久保に、
「あれは何者や。」
と訊いています。一度会ってるのを忘れたんかい!!
「新選組におったもんごわす。」
と答える大久保。
それを聞いて、岩倉卿は伊東の発言を遮ります。
 岩倉「あんたの話はええ。」
 伊東「は?」
 岩倉「新選組におったくせに、なんや。」
確かにね。新選組にいて、さらにその参謀も勤めていたというのは、致命傷ではないかしら。伊東は新選組を世に出る足掛かりにするつもりだったようですが、勤皇派として世に出て行くには、その足掛かりはあまりにも佐幕過ぎる・・・。

「今は離れております。そもそも、この伊東甲子太郎、尊皇の思い強く・・・」
伊東先生はそれでも食い下がりますが、
「徳川の手先やったもんの話なんか、聞きとうない!」
と拒絶されて絶句。俯いてしまいます。
「あんたなぁ、ここにおられるだけでも、ありがたいと思え。」
厳しい表情で岩倉卿を見つめている平助。
「名は、なんやったかいな。」
「伊東でごさいます。」
「あぁ?」
「伊東。」
「後藤?」
「伊東でございます。」
「どっちでもよろしい!隅に控えておれ。」
もう、こうなったらイジメですね。(^^;;;
志士たちに笑われる中、必死に笑みを浮かべて答える伊東先生が痛々しい。
がっくりと座り込む師匠を、平助も心配そうに見つめています。平助には、伊東の気持ちが痛いほどわかることでしょう。なんといっても、当の伊東に名前を呼んでもらえず、ずっと淋しい思いをしていたのですから・・・。
それにしても、御陵衛士分離に際し、永倉と斎藤を誘って振られた時も、平助は師匠の脆さを目の当たりにしたんでしたよね。とかく人は、強くて偉大な相手の弱さや脆さを知った時、それまで以上に離れ難さを感じるものだけど、平助もそうかしら?今まで以上に、伊東先生についていこうと心を決めてしまったかしら?

新選組の幹部会議にて、
「土佐の連中は、俺たちが坂本を斬ったと思っている。」
と土方から報告がなされます。
「一緒に斬られた中岡慎太郎が、賊の一人は四国なまりだったと言っているんだ。」「こなくそ、と叫んだそうだ。」
と説明した上で、
「京にいる幕府方で、四国生まれの遣い手といえば、左之助、まずお前だ。」
とのご指名に、
「うえっ?お、俺?」
と驚く左之助。(笑)
「まずい事、言っちゃったな。」
あまり物事にこだわらない左之助が、さすがにしょげてる・・・。

町では、捨助が浪士たちに追われています。
「問答無用ぜよ!坂本先生の仇じゃ!」
斬り掛かられて、手桶やら樽やら、手当たり次第投げて、抵抗する捨助。

なんとかその場を脱し、捨助は新選組の屯所に逃げ込んだようです。
土方が難しい顔をして、
「お前を匿う訳にはいかん。」
と告げています。
「お前が坂本のことを知らせに来たおかげでな、新選組が疑われてんだ。」
土方にしてみれば、腹立たしいでしょうねえ。捨助が知らせに来ていなければ、あのタイミングで原田たちを近江屋に行かせることはなかったでしょうから、疑われることもなかった訳で・・・。
「もう行くところが無いんだよ〜。」
と泣きつく捨助。
土方は渋々、懐から金の包みを出して、捨助の前に放り投げます。
「多摩に帰れ。」
とたんにむっとして、金の包みを突き返す捨助。
「いい加減、京をうろうろするのは止めろ!」
「うるせえ〜!俺はなぁ、偉くなってお前らを見返すって決めたんだ!あぶねぇ、あぶねぇ。もう少しで
 お前に縋るとこだった。」
この二人、とことん性格が合わないんでしょうかねぇ。お互い、それほど嫌い合っている訳でもないのに、どちらも相手の導火線にどうしても火を点けてしまうようで・・・。
足音荒く出て行く捨助に、土方は眉を寄せて大きな溜め息。

薩摩藩邸では、伊東先生が大久保に会っていました。
大久保は、伊東の書いた「大開国策」を読んでいます。
「おはんの唱える“大開国策”、いたく感じ入りもうした。」
「ありがとうございます。」
大久保をすがるような目で見つめて、伊東先生、岩倉卿の仕打ちにかなり傷ついているご様子。
「こん建白書は、必ず岩倉卿にお見せしもんで、ご安心願いたか。」
大久保に笑顔で言われて、ほっと胸を撫で下ろしますが、その後に大久保の言葉は続くのです。
「拙かっとは、おはんが新選組におったちゅうことでごわす。」「坂本くんも殺されてしもうた今、土佐の
 連中も新選組を目の敵にしちょる。ここで、おはんの力を借りるとすっと、必ず不服なもんが出てく
 る。」
伊東先生は呆然と肩を落とします。「すべては思いのまま」と言っていた伊東。「新選組は必ず時代から取り残される。彼らの居場所はいずれどこにもなくなる。」と馬鹿にしていた新選組。その“新選組”が、まさか行く手に立ちはだかる壁になろうとは・・・。自分も居場所をなくすことになろうとは・・・。
「じっゃどん、手はある。」
猫撫で声で告げる大久保。悪巧みなのは、見え見えなのに、
「伺いましょう!」
伊東先生は、飛びつかんばかりに先を促します。そんなに必死な態度を見せてしまったら、相手の思う壺でしょうに・・・。(哀)
大久保は伊東の前にしゃがみ込むと、その目を見つめて、
「近藤勇を斬ってたもんせ。」
と囁きかけるのです。驚く伊東。
「新選組は、京における幕府の屋台骨。近藤が死ねば、我らの仕事もやりやすくなりもす。こいを機
 に、大いに名を上げてみたらどげんな。」
あ〜。悪魔の囁きだ〜。だけど、“幕府の屋台骨”とは、大久保さん、買い被り過ぎ。(苦笑)

東山高台寺の御陵衛士屯所。
枯山水の庭を前に、目を閉じ、悩んでいる伊東先生。
「加納。」
心を決めたのでしょう。斎藤を呼ぶように指示します。
伊東の考えを悟ったのでしょうか。加納は無言のまま頷いて、出て行きます。

慶応3年(1867年)11月18日。
「手筈はこうだ。まず近藤に書状を送り、新選組に戻りたいと訴える。取り決めにより、御陵衛士から
 新選組に移る事は出来ないことになっておるゆえ、密かに会って話をしたいと持ちかけ、近藤を一
 人で呼び出す。やってくれるね?斉藤君。」
あ、伊東先生、いつもの余裕の表情だ。斎藤のこと、そして近藤や新選組のことは、甘く見ているという訳ですね。
黙ったまま、小さく頷いている斎藤に、伊東はさらに、
「同志たちの間には、君が新選組の間者ではないかという声が未だに聞こえてくる。この辺で、疑い
 を晴らしておき給え。」
大久保にチャンスを与えられたように、斎藤にもチャンスを与えようということですか。
「承知。」
斎藤は一言答えますが、
「斎藤君一人では心もとない。誰か付けた方が良いのでは。」
と、加納が横から伊東に助言します。さすが加納さん、できるお方だ・・・。
斎藤さんが動揺してる。(苦笑)
「侮るな。」
とは答えたけど、そんなぎこちなく笑ったら逆効果だって・・・。(^^;;;
伊東先生は厳しい表情になって、加納に篠原を呼びに行かせます。
あちゃって感じかな?斎藤さんは・・・。
伊東先生は恐い顔のまま。
大久保だって伊東を疑う気持ちはあっただろうに、チャンスだけ与えて野に放した。一方、伊東は斎藤を疑い、きっちり見張りを付ける。この辺、大久保と伊東の大きさの差を描いているのでしょうか。

近藤のところへ向かう前に、平助に事の次第を説明する斎藤。
伊東の企みを話し、さらに
「お前にだけは言っておく。俺は、土方さんに言われて、御陵衛士に加わった。」
と、真実を告げます。
「噂は本当だったんですね。」
観念したように目を閉じる平助。
斎藤は、平助を守るように土方から言われたことを打ち明けた上で、一緒に新選組に戻るように平助を誘います。
けれど、平助はそれを拒絶します。
「伊東先生を裏切る訳には行かない!!そして・・・」
斎藤へと振り返った平助の瞳は、凛とした決意に燃えて、
「本当の事を知ってしまった以上、斎藤さんを行かせる訳にはいかない。」
と、静かに刀を抜いて構えるのです。
表情を変えず、平助を見つめる斎藤。

屯所で、斎藤からの密書を読む近藤。
土方がそれを受け取り、源さんに渡しながら、
「斎藤が戻ってくる。」
と教えます。
「伊東さんは、俺を殺す腹らしい。すぐに永倉くんを呼んでくれ。」
驚く源さん。指示を受ける声が上ずっています。

御陵衛士の屯所の物置には、縄でぐるぐる巻きに縛られた平助が。(笑)
もう、斎藤さんといい、平ちゃんといい、この状況で・・・。(^^;;;

新選組の屯所へ向かう斎藤。なんかダラダラと歩いてます。
そして少し間隔をあけて、付いてくる篠原。
角を曲がり、民家の裏手に回ったところで、斎藤は振り返り抜刀します。
「やはり、そうだったか。」
刀を抜く篠原。

御陵衛士の屯所では、助け出された平助が、伊東先生のところへ報告に来ます。

そして、斬り結ぶ斎藤と篠原。
体格の差はあれど、斎藤がやや優勢か?と思ったところへ、加納たち御陵衛士が駆けつけます。
形勢逆転。篠原に腕を斬られ、追い詰められたところへ、今度は永倉たちが・・・。
永倉に促されて、斎藤は屯所へ逃げ込みます。

実際には、斎藤は御陵衛士に疑われることなく、新選組に戻ったようですけど。

「こうなったら高台寺の裏手から鉄砲を撃ちかけ、ひるんだところを正面から切り込む。間違いなく
 勝てる。」
さすが、土方さん、派手なこと言ってくれる・・・。(笑)
子母澤寛の「新選組始末記」に伝わっている、土方の台詞ですね。
けれど近藤は、
「いや、ここは様子を見よう。」
と土方を止めます。
「向うはあんたを殺そうとしてるんだぞ。」
「真っ向からぶつかれば戦になる。京の町でそれは出来ん。」
まぁね。確かに土方さんの言うことは物騒過ぎ。(苦笑)
源さんも永倉も原田も近藤に同意したので、
「皆さん、ご立派な方々ばかりで。」
憎まれ口を叩きながらも、渋々引き下がる土方。
確かに戦になっちゃ拙いか・・・と納得しつつも、このまま放っとく訳にはいかねぇだろ〜よ〜〜って感じかな?>土方さん

伊東先生の部屋では、篠原が
「こうなったら先手を打って、こちらから仕掛けましょう。」
と伊東に提案します。
「いずれにせよ、事が大きくなればそれだけ無駄な血が流れる。ここは私が行って、近藤くんと直接
 話を付けてくる。」
と、伊東。
「危険です。」
慌てる加納と篠原に、
「一対一で会おうと持ちかける。近藤くんなら、きっと乗ってくる。私も近藤くんも刀を預けたところで
 話に入り、油断を誘ったところで、懐に隠し持った短刀で刺し殺す。」
暗殺を決意した伊東先生、ダークな表情です。こんな先生は初めて・・・。
「しかし、それは・・・。」
止めた加納の悩ましげな表情は、暗殺などあまりにも伊東の信念とかけ離れていると、感じているからでしょうか。
けれど伊東は、
「確かに卑怯だ。しかし加納くん。私は志を果たすためなら、どんな手も使う。そんなことは、国の行く
 末に比べれば、些末な事なのだ。」
そこまで伊東先生は追い詰められているのですね。伊東の心中を察して、それ以上は何も言えない加納と篠原。

伊東からの書状を読んだ近藤は、
「伊東さんが会いたがっている。」
と、土方・源さんに告げます。
 土方「罠に決まってるじゃねえか!」
 近藤「それに乗ってみようと思う。」
 土方「かっちゃん!」
 近藤「差しで話がしたいと言ってるんだ。断る道理はない。」
自分を信じ、相手を信じ、信念を貫こうとする近藤と、現実的なものを見据え、しっかりと策を練ろうとする土方の違い・・・。土方の苛立ちの中には、かっちゃんの身を案じる気持ちも大きいでしょうね。
「このお人好しに、なんか言ってやれ。」
自分の意見をまったく聞き入れようとしない近藤のことを、土方は源さんに訴えますが、源さんは何も言わず、近藤を見つめるばかり。きっと源さんも、罠だと思っているのでしょう。だけど、近藤の意思も尊重したい。苦悩がその表情にありありと見られます。
「それより、この手紙を運んできた男が、今隣りの部屋にいる。」
その男とは・・・。

「悪いことは言わん。向うには戻るな。」
永倉が真剣に説得していたのは、平助でした〜。
「そうは行きません。」
笑顔で困ったように断る平助。
「お前とは斬り合いたくないんだよ。」
「私だって思いは同じです。しかし、そんな事にはなりませんから、安心して下さい。」
平助の屈託の無い表情は、伊東を信じ、近藤を信じているからなのでしょうね。
一方、永倉と原田が平助を引き止めているということは、この二人はやはり、伊東の誘いは罠だと、新選組と御陵衛士は戦わなければならなくなると、認識しているのでしょう。
そこへ、近藤・土方・源さんが入ってきます。
「悪いことは言わん。向うには戻るな。」
「ここに残れ。」
畳み掛けるように言う土方と源さんに、思わず笑ってしまう平助。
「なんだよ、まじめに言っているんだぞ。」
ちょいムカな土方に、
「すみません。いや、皆さん、同じ事をおっしゃるもので。」
と、素直に頭を下げる平助。
試衛館のみんなといる時は、穏やかな表情になるね。>平助
左之助の笑顔も優しい。
「お前をこれ以上、辛い立場に立たせる訳にはいかない。この度の一件は、出来るだけ穏便に済ま
 せるつもりだ。」
と近藤。

平助はそれから、沖田の病室を見舞います。
「そんなに悪い訳じゃないんだよ。別に寝てなくてもいいんだけど。」
上半身を起こして、布団の中で足をもぞもぞさせて、ふて腐れたように言う総司。まだまだ声に張りがないんだけど・・・。
するとお孝が、
「そんなことないでしょう。やっと今日からおかゆさん食べられるようになったんですよ。」
とバラしてしまいます。
とたんに、不安そうに総司を見つめる平助。
「いいから、あっち行っててくれよ。」
総司は、人に心配されるの嫌いだからね。(苦笑)
「あっ、あの・・・、こちらは?」
お孝のことを訊ねる平助に、
「顔、よく見てみ。」
嬉しそうに答える総司。
お孝の顔を見ていた平助は、
「あっ!えっ?あ、あ、あぁ〜!!」
と、指差しながら叫びます。平助の驚きの表情って、ほんと最高♪
「そっくりだろう?お幸さんの実の妹、気性はまるで逆だけどね。」
総司の説明に、
「なんか嫌みな言い方。」
怒るお孝。ばたばたと出て行ってしまいます。
障子を閉める前に、総司に怒る仕草を見せるのが可愛い。

「で、伊東さんたちとは、どうなった?」
心配する総司に、
「伊東先生も近藤先生も、これ以上事が大きくなることを望んではおられません。きっと、上手く収ま
 ると思いますよ。」
平助は答えます。頷く総司。
 藤堂「そんなことより、沖田さんですよ。」
 沖田「私のことはいいんだよ。」
 藤堂「皆さん、心配していました。」
 沖田「平助に心配なんて言葉、使ってほしくないよ。そっちの方だよ、みんなに心配かけてるの。」
 藤堂「そんなこと、ないですよ。」
 沖田「近藤さんたちがお前のこと、どれだけ気に掛けてたか。」
そう言われた平助は、ふと気付いたように、
「考えて見れば、私たちはいつも上の者をはらはらさせる役割なのかもしれませんね。」
と言います。頷いて笑う総司。そして平助。
あぁ、この真っ直ぐな若者二人、助けてやりたいです・・・。(涙)

月が雲に隠れていきます。遠くで雷が鳴り、わずかに雨が降り出しました。
近藤の休息所では、伊東と近藤が向かい合って座っています。
吹き込んだ風が蝋燭の灯を消そうとして、近藤は立ち上がって障子を閉めます。
その後ろ姿を見ながら、表情を険しくし、膝の上の拳を握り込む伊東。
伊東の殺気を背中に感じながら、敢えて障子を閉める近藤さん。すごい・・・というより、凄まじい覚悟ですね。

休息所の外で、様子を窺っている土方。
やってきた島田が、
「どうやら、本当に一人で来たようですね。」
と声をかけます。
「案外、肝の据わった男だったな。」
と土方。
土方さんはこういうの好きだろうな。相手がどんな奴であれ、きっちり評価するところが素敵だ。

伊東は近藤に、自分が斎藤にあなたの暗殺を命じたのは、間者である斎藤の正体を暴くため。本気で命を狙っている訳ではないと説明します。
「おわかり、頂けましたでしょうか。」
余裕の笑みで語る伊東に、近藤は表情を変えず、
「伊東先生、それはいけませんな。」
と返します。
「それでは到底、私を言いくるめることは出来ません。あなたらしくもない。」
一瞬、鳩が豆鉄砲を食らったような表情になる伊東。
それからにんまり笑って、
「わかりました。」
と続けます。
「では、本当の事をお話し致しましょう。」
笑顔を消す伊東。

御陵衛士の屯所では、伊東の策略を聞いて平助が驚いています。
「そんな話は、聞いておらん!」
珍しく荒い口調で叫んだ平助に、
「近藤が斬られて、新選組が黙っている訳がない。攻めて来るぞ。早く支度をしろ。」
無表情で篠原が言います。
考え込む平助に、
「何を悔やんでおる!お前は伊東道場の門人ではないのか!」
怒鳴りつける篠原。
平助は、
「私が悔しいのは、そんなことではありません。伊東先生は、なぜ私に本心を明かして下さらなかった
 のですか。私はやはり、信用されていないのですか。」
ずっとずっと思い悩んできた疑問を、篠原にぶつけます。すると、
「先生はお前のことを思って、打ち明けなかったのだ。」
と答える加納。加納は藤堂の前に座り直して、言い聞かせます。
「先生がなぜお前を使者に立てたか、考えてみろ。今夜を境に、新選組と御陵衛士は全くの敵同士と
 なる。その前に先生は、おぬしを昔の仲間に会わせてくれたのだ。」
心に沁みてくる加納の声。
平助は、師匠の優しさにハッと気づきます。

新選組の屯所では、源さんを囲んで隊士たちが酒を飲んでいます。
そこへ入ってくる大石鍬次郎たち。
「伊東が局長と会っているって、本当ですか?」「いい機会じゃないですか。今夜のうちに殺っちまいましょう。」
にやりと笑って源さんに言います。
「鍬次郎!」
「だって、あいつらは近藤先生を殺そうと・・・。」
憤慨している大石の言葉を遮って、
「これは局長と伊東さんとの話なんだ。お前たちがとやかく言う事ではない!」
と源さんはたしなめます。
納得いかない様子の大石たち。

休息所では・・・。
さっき近藤が閉めた障子を、伊東が開けます。
庭を見つめながら、語り出す伊東。
「御陵衛士を率いて、己の力を試してみて、わかったことがありました。私の前に、新選組にいたとい
 う事実が大きく圧し掛かってきた。それだけ、あなたと新選組の名前の持つ力が、この京では大き
 かったという事です。」
表情を変えることなく、黙って聞いている近藤。
風が蝋燭の灯を吹き消します。真っ暗になる室内。
伊東はゆっくりと振り向いて、
「薩摩の大久保くんに、あなたを斬るように持ちかけられました。私が彼らとともに歩んで行くには、
 私自身が新選組を葬るより他に手が無かった。」
すべてを告白します。
「よく打ち明けて下さいました。」
ようやく答えた近藤。けれど、その表情は微塵も動きません。
伊東は冷たい暗殺者の瞳となって、近藤の前に膝を付き、さらに先を続けます。
「しかし、私は間違えていました。人は所詮、その過去を消すことは出来ない。私が近藤勇と手を結
 んだということは、紛れもない事実。ならば、それを受け入れ、その上で己の意思を相手に伝えるこ
 とに尽力するのが筋ではないか。今ではそう思っております。」
膝に置いた伊東の右手が動きます。

その気配に気づいたのか、近藤が口を開きます。
「一つだけ申し上げたい事がございます。」
止まる伊東の右手。
「伺いましょう。」
「あなたの意見が通らないのはおそらく、新選組にいたからではない。薩摩と長州は徳川を倒して、
 新しい仕組みを作ろうとしている。しかし彼らが目指すのは、あくまで薩長を中心とした世の中。
 私はだから許せないのです。ほんの一握りの者たちが、世直しと称して、己の欲得の為に国を動
 かそうとしている。あなたは、新選組だからはじかれたのではない。薩摩や長州の出身ではなかっ
 たから、はじかれたのです。そして、それは私を斬ったところで、変わるものではない。」
近藤の言葉に、動揺を見せる伊東。
ここで初めて、近藤は伊東に視線を向けます。
「あなたの悔しさは、私にはよくわかります。今まで私も、散々生まれのことを言われてきた。百姓の
 倅が武士として認められるには、多くの年月が要りました。私はだからこそ、新選組は身分を問わ
 ず、誰でも入れるようにしたかった。出身を問わず、力のあるものが上に立つ。それが新選組の気
 風です。私が望むのは、そんな世の中です。」
目にうっすらと涙さえ浮かべ、伊東に真摯に語りかける近藤。
なんて説得力のある言葉でしょう。試衛館時代、講武所の師範を断られたこと。壬生浪士組時代、何かにつけて芹沢鴨に嫌味を言われていたこと。新選組になってからも、会津藩の一部の人たちに、まともに相手にしてもらえなかったこと。思い出すと、泣けてきますね。
そして、伊東は初めて思い知るのです。実はこの近藤こそが、信頼に足る、お互いの考えを尊重し合える、人物だったのだと・・・。
呆然として涙ぐみ、目を伏せる伊東がいいですね。気の抜けたように立ち上がり、庭に視線を向けてから、ゆっくりと自分の席に戻ります。

「納得致しました。」
告げる伊東は、憑き物が落ちたような表情です。
二人の間から見える庭木の葉に、月の光が射しはじめています。
「私は、ここへ来るまで、あなたを刺すつもりでした。」
「薄々、感づいておりました。」
「知っていて、私と会ったと?」
伊東の問いに、黙って頷く近藤。
「刺されるとは思わなかったのですか?」
「私はですから、命がけで話をしました。」
近藤のその大きさと豪胆さに目を見張る伊東は、膳を横に押しやって、懐の短刀を近藤の前に差し出すのです。
「私の負けです。」
潔く負けを認める伊東に、張り詰めた表情を初めて崩して
「これは勝ち負けではない。我々はもっと早く、こうして腹を割って話すべきでした。」
と近藤。
その言葉に、思わず感情が込み上げて、俯いてしまう伊東。
「お互い志は違っていても、国を思う心は同じ。やがてまた、手を取り合うこともあるやもしれませ
 ん。」
泣き笑いの表情で、こくりと頷く伊東。近藤も微笑を浮かべます。


近藤の器の大きさに感動して、そして伊東の感情の揺れが伝わってきて、涙が出そうになりました。
史実はどうあれ、すごく見応えのあるシーンでした。
表情を変えない近藤に、その覚悟と大きさが窺え、また伊東の僅かな仕草や表情の変化に、繊細な心の動きが感じられました。蝋燭の灯、そして闇、月の光。それらが上手く、命を賭けた二人のやり取りを盛り上げていたと思います。
それにしても、化けたなぁ、香取近藤。
そして、素敵だよ、谷原伊東。
こんなに素敵に描かれちゃ、この先の展開が辛いじゃないか・・・。(涙)


雲間から月が現れます。提灯を持ち、その月を眺めながら歩く伊東先生の足取りは軽く、表情も晴れ晴れとしています。
しかし背後から近づく刺客に気づいて、立ち止まる伊東。
大石ら4人の新選組隊士に囲まれています。抜刀し、構える刺客たち。
「伊東!」
声をかけた大石に提灯を近づけて、
「新選組か?」
と、落ち着いた声で訊ねる伊東。
背後から一人が斬りかかってきたのを、振り向くなり刀を叩き落し、当て身を食らわせます。
伊東先生、かっこいい〜〜。
大石を厳しい目で睨みつけ、「愚か者!近藤先生のお心を無駄にするな!」と一喝。
3人はその勢い気圧されて、思わず刀や槍を下ろし、道を開けます。
その間を、悠然と歩いて行く伊東。
その時・・・
グサッ!!
背後から大石の槍が一突き。
驚いたように大石を振り向き、やがて薄い微笑みさえ浮かべて、倒れる伊東。
近藤と和解が出来、腹を割って話し合える相手に出会えたと思った時、伊東先生はその生涯を終えてしまうのですね。

伊東が帰った休息所で、ほっとして酒を飲んでいる近藤。
そこへ島田が駆け込んできます。
現場に駆けつけると、伊東の亡骸と、それを検分している土方がいました。
しゃがみ込んで、痛ましげに伊東の穏やかな死に顔を見つめる近藤。
「若い奴らを責めるな。奴らは、お前の為と思ってやったんだ。」
と土方が声をかけます。そして、
「ここからが大事だ。御陵衛士は、黙っちゃいねえだろう。」
土方の言葉に、近藤もようやく立ち上がり、
「俺はそれを恐れていた。」
と呟きます。
「悪いが、この先は俺に任せてもらう。いい機会だ。どうせ奴らとは遅かれ早かれ、決着を付けなきゃ
 ならなかった。」
周囲の地理を調べるように歩きながら、近藤に告げる土方。
すでに彼は頭の中で、御陵衛士を討つための作戦を着々と組み立てていっているのでしょうね。こういう時の土方さんは、どうしてこうも生き生きとして、美しいのでしょう。(爆)
近藤と島田は、そんな土方を黙って見つめています。

屯所に戻った土方は、永倉と原田に今後の作戦を説明します。
「伊東の亡骸はそのままになっている。町役人を呼んで、御陵衛士の奴らに知らせたから、間もなく
 引き取りにやって来るだろう。それを待ち伏せる。」
黙って頷く二人。中でも原田の目は、こういう時、爛々と輝いてくるからな〜。
「それから、ここが一番大事なところだが・・・。」
土方が言いかけたのを、
「平助だな。」
と永倉が察して言う。土方は小さく頷き、
「くれぐれも、死なすな。」
と二人に言い含めるのです。あぁ・・・。(涙)

御陵衛士の屯所では、町役人の知らせに大変な騒ぎになっています。
「土佐藩士との諍いで足に怪我した伊東を、駕籠で迎えに行くように」との知らせに、
「こ、これは罠だ。」
「先生は既に亡くなられている。」
土方の作戦に気づく、篠原と加納。
加納は涙を堪えて立ち上がると、
「すぐに出立だ!罠だろうが何だろうが、先生を路上に晒しておく訳にはいかん!」
と叫びます。続いて、
「急ぎ、支度をせい!」
篠原の指示に、衛士たちは一斉に立ち上がります。
目を閉じていた平助も、覚悟を決め、険しい瞳で後に続きます。

七条油小路の辻。
囮として討ち捨てられている伊東の亡骸は、見事に大の字です。伊東先生の手足をそんなにおっ
ぴろげなくても・・・。(^^;;;
周囲の物陰には、永倉と原田。やがて、御陵衛士たちがばらばらと駆けつけます。
伊東の亡骸に、絶句し涙ぐむ衛士たち。
加納の指示でその亡骸を駕籠に乗せようとした時、新選組隊士たちが周囲を取り囲みます。
新選組が、そして御陵衛士が、刀を抜きます。
平助の姿に、迷いを見せる原田と永倉。
悲しい運命に平助も目を閉じて俯いてしまいますが、やがて覚悟を決め、かっと目を見開くと、
「えやー!」
凄い形相で、真っ先に相手に斬り込んでいきます。
それを合図に、始まる死闘。
平助は、凄い勢いで原田に立ち向かっていきます。
槍と刀、力で押し合う形になった時、左之助は平助に囁くのです。
「早く逃げろ。」
はっとして、刀を引く平助。
左之助はもう一度、「いいから、とりあえず行け!」と言って、平助の背中を安全な方へと押しやります。
目を閉じて、近藤・土方をはじめ試衛館の仲間たちの思いを噛みしめる平助。

こちらは屯所で待機している、近藤と土方。
そこへ、隊服を着て刀を持った総司が現れます。
後ろから追いかけてくるお孝さん。
「御陵衛士と斬り合っているというのは、本当ですか。」
訊ねる総司に、
「お前は行ってはならん。」
と返す土方。
 沖田「平助は?」
 土方「逃がす算段は付けてある。」
 沖田「あいつが逃げる訳ないでしょう。あなたたちが思っている程、子供じゃないんだ!」
近藤と土方に叫ぶなり、屯所を出て行こうとする総司。
けれど、玄関から数歩駆けたところで、激しく血を噴き出し、倒れてしまいます。
駆け寄るお孝。
後から追ってきた近藤と土方も、玄関から飛び出して駆け寄ります。
この時二人とも、足袋のまま飛び出しているんですよね。その必死さに胸が痛みます。
近藤が抱き起こすと、総司は息も絶え絶えに、
「行ってあげて下さい。近藤さんが行かないと、平助は死にます。」
懸命に近藤を見上げる総司。
そんな総司を、近藤と土方が辛そうに見つめます。

油小路では、依然死闘が繰り広げられています。
左之助に乱戦の外へと押しやられた平助は、静かに後ろを振り向きます。
原田と永倉に倒される御陵衛士たち。
平助はしばし瞑目したあと、鬼のような表情で再び戦いの中に戻っていきます。
続けざまに二人の新選組隊士を倒す平助に、「何やってんだよ。なんで、逃げねえんだよ。」と左之助が歯噛みします。
加納と篠原と背中を合わせて、永倉たちと対峙していた平助は、やがて永倉へ間合いを詰めながら、「行って下さい。ここは私に任せて。」と加納たちに告げます。
驚き振り向く加納と篠原に、「早くっ!」と促す平助。
「平助。お前を斬ることはできん。」
辛そうな永倉に、平助は涙を浮かべて叫びながら、斬り掛かります。
その一刀をかわして、再び対峙する二人。
お前と斬り合う気はないと、無言で首を振ってみせる永倉。けれど、平助は泣きながら永倉に向かっていきます。
永倉は、力で平助を押しのけると、刀の柄で平助に当て身を食らわせます。倒れる平助。新八さん、強いっ!!
それでも起き上がろうとする平助の向こう・・・。
倒れていた新選組隊士が、気づいて起き上がろうとしてるんですけど・・・。(焦)

「もう良い、平助。勝負は付いた。」
平助に言い聞かせている永倉の背後から、掛け声とともに加納が襲いかかります。
振り向いて、加納と刀を合わせる永倉。
その間に、平助は必死に立ち上がります。永倉に向かって二、三歩歩みを進めた時、その後ろで立ち上がった隊士に背中を刺されてしまいます。
振り向いて、その隊士を一刀のもとに斬り捨てる平助。しかし、そのまた背後から、別の隊士に斬られてしまいます。
気づいた永倉が、「よせ!」と叫びながら加納を突き飛ばし、さらに平助に斬りつけた隊士をも「やめろ!」と突き飛ばします。
「平助ーっ!」 原田の叫び。
平助の前に立った永倉は、再び首を横に振ります。
それでも最後の力を振り絞って、永倉に刀を振り下ろす平助。
その刀を永倉が受け止めると、ついに平助は力尽きてその場に崩れます。
呆然と見下ろす永倉と原田。そして苦しげに見つめる加納と篠原。
しかし御陵衛士たちは、「退けーっ!」 篠原の合図とともに、その場を走り去っていきました。
追っていく新選組隊士たち。

駆け寄った永倉と原田が平助を抱き起こします。
そこへ駆けつける、近藤・土方・源さん。
近藤は「平助!」と叫ぶと、永倉たちに代わって平助を抱きかかえます。
周りを囲む試衛館のみんな。
平助はかすかに目を開けて、近藤の顔を確認します。
「先生・・・。」
呟く平助に、
「死んではならんっ。」
と近藤は呼びかけます。
その横で、涙を溜めて平助を見つめる土方。
「これで、よかったんですね・・・。」
と言う平助に、
「お前は、誠の武士だ。」
と告げる近藤。
「ありがとう・・・ございま・・す・・・。」
虫の息で最後に呟いて、息絶える平助。その目から零れ落ちる、一筋の涙・・・。
「平助ー!」 叫ぶ近藤。涙を堪える土方。目を伏せる永倉。泣きじゃくる原田。そして、
「また一人、逝ってしまった。」 声を震わせる源さん・・・。

涙の中に幕を下ろす、“波に乗りきれない男たちの悲劇”。
あぁ、でも、最後の源さんの台詞って・・・。台詞って・・・。(号泣)



近藤と伊東の会談、そして油小路の平助には、本当に引き込まれました。
斬り合いの中で、必死に平助を助けようとする左之助と新八、平助の死闘を見届ける二人も良かったです。
ただ、大河での近藤のキャラや伊東のキャラを生かそうとして、史実との結びつけに無理が生じ、話の展開がちょっと強引になってしまったのが残念だったかな〜。

今回、追い詰められた伊東が近藤を暗殺するために会いに行くという話になっていましたが、史実では逆に、近藤の方が伊東を暗殺するために呼び出すのですね。
斎藤からの知らせで近藤暗殺計画を知った土方が、大砲をぶっ放すと息巻いた時、近藤はそれを止めて、代わりに伊東を呼び出して殺すことにしたのです。「一対一で会おうと持ちかける。近藤くんなら、きっと乗ってくる。」 この台詞はそのまんま、近藤たちが伊東に対して思ったことで、実際伊東は一人で近藤のところへやってくるのです。そして、さんざんに酔わされた帰り道、伊東は伏せていた大石たちに殺されたのでした。
伊東の遺骸を囮にして、御陵衛士たちをおびき出すというのも、最初からの予定でした。

筋立てをどう変えようとも、伊東が殺されたこと、そして御陵衛士たちがおびき出されたことは変えられない訳で、この史実へと無理矢理話を繋げていこうとしたために、土方の言動がなにかよくわからなくなってしまったのは、土方ファンとしては残念です。
様子を見ようという近藤たちに、「皆さん、ご立派な方々ばかりで。」と拗ねてみたり、伊東が殺されるや、「悪いが、これから先は俺に任せてもらう。」と嬉々として(?)次の指示を出していったり・・・。
はたまた大石たちのことは、「奴らはお前の為と思ってやったんだ。」と庇ってみたり・・・。ブレのない近藤に比べて、あまりにも土方がいい加減になってない?
でも、実は三谷氏は、変わっていく近藤と変わらない土方を、どちらも良い意味で、対照的に描いているというのであれば、この先の展開を考えても、納得はできるかな。もともと争いを好まぬ性格だった近藤は、相手を許し生かしていけるだけに成長し、一方土方は、自分の中の正義に照らして許せないものは許せない、自分の大切なものを傷つけるものは許せない、その根っこの部分は、時移り立場が変わろうとも純粋なまでに変わらない。この違いを際立たせているのであれば、三谷さん、お見事!と言えるかもしれません。

もう一つ、無理矢理な展開として、大石たちが暴走して伊東を殺してしまったとしたことは、新選組が組織として既に機能しなくなっているように感じられて、ちょっと悲しい。あるいは、すべては土方の策略かと疑われるのは、もっと悲しい。大石も汚れ役になってしまって、ちょっと可哀想かな? いやでも逆に、“人斬り”と呼ばれた大石も、信念に従って暗殺したんだ、近藤と新選組を守るために、たくさんの同志を斬ったんだ・・・ということを描いているのかな?三谷さんは、絶対的な悪者も絶対的な善人も描かないそうだから・・・。
そう考え始めると、生じた無理も必然になってくる。
う〜ん・・・。史実は別にして、今年の大河はほんと奥が深いですね。

 

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