大河ドラマ「新選組!」のツボ

 

第39回  将軍、死す  

屯所の階段を、ぼーっとしながら下りてくる谷三十郎。前から土方と沖田が歩いてくるのを見て、慌てて廊下の端に寄ってぺこぺこ。精気が無く、まるで別人のようだ。
「谷さん、河合の介錯をしくじってからずっと、あんな風ですね。」
心配する沖田に、
「もともと肝の据わらない奴だったが、あれですっかりバレちまったな。」
土方はバッサリ。(苦笑)

その夜、弟の万太郎と周平に、
「隊を離れることにした。」
と告げる谷。
「もちろん、お前たちも一緒だ。」
お兄さん、強引な・・・。
「兄上、私は残りたいのですが・・・。」「近藤家の立派な跡取りになりたいのです。私を養子に迎えて
 くれた近藤先生のご恩に報いたいのです。私は近藤周平です。」
周平、君も大人になったね。お兄さんに自分を主張できるようになったんだね。

山崎が局長と副長へ、谷兄弟の脱走を報告しています。
 土方「どうする?」
 近藤「考えるまでもない。」
 土方「いいんだな?」
 近藤「周平の身内であろうと、例外は認めん。」
土方が何度も近藤の意思を確認しているのは、近藤の気持ちを思いやってのことだろう。

「よく残ってくれた。」
単に家柄で決めたのではない。近藤自身が周平の人柄を気に入って養子にしたのだから、正直
近藤は嬉しかっただろう。
「辛い思いをさせることになるが。」
周平を気遣う近藤に、
「悲しくはありますが、辛くはありません。」
あぁ、ほんと、大人になったんだわ。

旅支度の三十郎が、万太郎を待っています。
討手は斎藤。それに島田と浅野が監察として同行しています。
囲まれた三十郎が槍を構える。
「やめとけ。俺に斬られるより、武士として誇りある死を選べ。」
「・・・・・」
「あんたに言っても無駄か。」
斎藤さん、かっこいい〜〜。
一刀のもとに倒す斎藤。けれど、刀も納めず、倒れた谷を見下ろしている。
やはりまだ、毎夜悪夢にうなされているのだろうか。
谷の死体を始末する島田と、それを不快そうな表情で見ている浅野。

「ご苦労だった。」
嫌な仕事ばかりさせている島田を、土方さん、その都度ねぎらってあげているよね。
そして近藤にも、
「家柄をいいことに局長に取り入って、いい思いをしようとしたつまらん奴だ。気に病むな。」
と労わる。
さすが副長。みごとな気配りです。

薩摩で新婚旅行中の坂本とおりょうちゃん。
「ず〜っと龍馬さんの傍におられたら、ええのになぁ。」「そうや。この怪我治ったら、またどこぞに
 怪我したらええんや。」
おいおい、おりょうちゃん。(笑) でも、可愛いなぁ。(*^^*)
「そんなことせんでも、おまんはわしの傍におったらええ。わしが面倒みちゃる。」
龍馬さん、男前〜〜。(*^o^*)

見廻組の佐々木様のところへ、捨助が来ています。
どうやら、入隊させてくれとお願いに来たらしい。
「新選組に行け。」
と言われて、
「新選組なんて、まっぴらごめんだよ。」
と捨助はふて腐れる。どうしても近藤たちと張り合いたいみたいですね。(苦笑)
坂本龍馬も桂小五郎も、大久保も西郷も岩倉も、みんな顔を知ってると売り込む捨助。
「こんなに重宝な男、そんじょそこらにはいないと思いますけどね。」
上手いな、売り込み方が・・・。
「とにかく俺は、この捨助を蔑ろにした奴らを、ぎょふんと言わしたいんですよ、ぎょふんと。」
これ、最初は違和感あったけど、「ぎゃふん」は明治以降使われ出した言葉で、江戸時代は「ぎょふん」と言っていたそうですね。
それはともかく、捨助の価値を認めた佐々木様、自分の奉公人として雇うことにします。

屯所では、左之助とおまさちゃんが結婚報告をしています。
「えぇ?」
みんな、びっくり〜。(@o@)
「しかし、おまささんはほんとにそれでいいのですか?」
おいおい、近藤さん。(笑)
「ま、男女の仲っていうのは、案外そういうもんだ。」
お、ありがたいお言葉が出たぞ。(爆)
ご両親にも挨拶済みということで、
「えぇっ?!」「もう行ったのかよ!」
近藤&土方のダブル突っ込み。

すると斎藤さん、真面目な顔して左之助とおまさちゃんの前へ、どんっ・・・。
木彫りの人形?
「な、な、なに? くれるの?」
左之助が、突然差し出された木彫りに戸惑いながら訊ねると、
「ああ。」
なにか、不安そうに頷く斎藤。
これはきっと、斎藤さんの、仲間に向ける精一杯の祝福の気持ちなんだよね。
そんなの、今まで表わしたことなかったから、不思議なものになっちゃってるけど。(笑)
「よくわかんないけど、いただいたぞ〜。」
「おおきに〜。」
びっくりしつつ、斎藤の気持ちを受け止めてあげる二人が優しい。

「左之助さん、諦めなくて良かったね。」「お幸せに。」
一生懸命笑顔で祝福して、その場を離れる総司。その後ろ姿に、近藤が何か言いたげだ。
総司は辛いよね。病気になったことで、おひでちゃんとも別れた。限られた命の身では、とても結婚
なんて考えられないだろう。幸せそうな二人を、これ以上見ていられないのもわかる。(涙)

さらに、祝言も夕べ挙げてきたとの報告に、
「ええ〜っ!!!」「やっちゃったのかぁっ?!!!」
さらにパワフルなダブル突っ込み。その上、局長は「えぇっ?」の三段活用になってる。
祝言の映像、左之助の裃姿、似合わねぇ〜〜。(笑)
今夜、永倉が二人をお祝いしてくれるということで、皆さんも来てくださいとおまさちゃん。

隊士たちをしごく沖田。竹刀で容赦なく叩いています。
先が無いからね。焦りも出るし、やるせなさをぶつけたくもなるかもしれない。
特に、周平には近藤の養子として早く上達してほしいから、自然と厳しくなってしまう。
「沖田さんも三十郎さんがいなくなってから容赦ねえな。」 
いじめっ子鍬次郎登場。
「俺はな、腕だけを頼りに新選組に入ったんだ。腕もねえのに、縁故だけで隊士でいるような奴を見
 るとな、ムカっ腹が立ってしょうがねえんだよ。」
すると浅野が、
「気にするな。ああは言っても鍬次郎は、近藤さんや土方さんと同郷だ。思いっきり縁故で入ってい
 る。」
慰めてくれました。浅野、いいとこあるじゃ〜んと思ったら、脱走の仲間に引きずり込みたかっただけらしい。
「近藤先生はお困りのようだぞ。あまりにも養子が頼りないんで。」「いつ養子縁組を取り消すか、機
 会を窺っているらしい。」
嘘までついて周平を唆すなんて、最低じゃん。鍬次郎以下じゃん。
乗ってこない周平に、浅野はあとで荷物をまとめて持ってきてほしいと頼む。
周平、ダメだよ。脱走の手伝いなんかしちゃ。
なのに、あ〜ぁ、引き受けちゃったよ。(^^;;;
この辺が、周平の優しさ・・・というか、甘さなんだろうな。

山崎が、お幸さんの妹を見つけたようです。
「うちの監察は腕がいいって言ったでしょ?」
近藤にそんな風に言われて、山崎さん、嬉しそう。
さっそくお幸さんは、山崎と一緒に妹を確かめに行く約束をします。
「用事を二、三片付けてからになりますんで・・・。」
山崎さん、大忙し。(@o@)

おや、岩倉卿のところに来ているのは、伊東先生と加納さんではないですか。
「伊東甲子太郎、今は新選組に身を置いておりますが、尊王の思い、殊のほか強うございます。」
「そんなら、なんで新選組におる?」
おっしゃる通り。(苦笑)
にっこり笑う伊東先生。たまらんな、この笑顔。でもって、笑顔の下で何考えてるかわからないんだ。
「すべては、京に上るための方便。」
ほら、来た。怪しいぞ〜。怪しいぞ、こいつ。
「胡散臭いなぁ、実に。」
いや、岩倉卿はさらに胡散臭いですが。(苦笑)
「しかしなぁ、わしは胡散臭いのが大好きでの。上がりなされ。」
胡散臭い者同士、気に入っていただけたようです、伊東先生。
そんなやり取りを、厳しい顔で門の陰から見つめていたのは山崎さん。
甲子太郎の動きをしっかりチェックしているとは、さすが腕のいい監察ですね。

源さんと平助が、左之助&おまさちゃんのお祝いに持って行く、ちらし寿司をつくってます。
源さん、手際良過ぎ。平ちゃん、姉さんかぶり似合い過ぎ。(爆)
障子にもたれてその様子を眺めている土方さん、扇子で扇いでいるのはご自分ですか? それとも寿司飯ですか?(笑)
「あの、井上先生はお忙しいでしょうか。」
源さんに相談事があってやって来た周平に、
「自分で訊いてみな。」
と、甘やかすでもなく突き放すでもなく、いい感じの兄貴モード。(*^^*)
「何やってるんですか?」
周平の次は、もうちょっと大きい弟分、総司登場。
大丈夫か?なんかだるそうだよ。>総司
見廻りがあるから、お祝いには行かないという総司。やっぱり、幸せそうな二人を見るのが辛いんだね。
「そういう土方さんは?」
「俺はいいんだよ。」
「だと思った。近頃しょっちゅう永倉さんとぶつかってるから、行きづらいんでしょ。」
ピンポーン。ほんと、大人げない兄貴だよねえ。(苦笑)

でも、源さんと平助が聞いてないかチラッと見てから、声のトーンを落として、
「体の方はどうなんだ?」
と総司を気遣う兄貴。
土方の心にスルリと入り込めるのは総司だけだけど、今の総司に体のことを訊けるのは土方だけ
なんだよね。その上、
「何があった?」
この兄貴、勘がいい。
けれど、
「仕事熱心なのに、叱られちゃ堪んないよなぁ。」
総司は強がってみせる。
心配させたくない気持ちもあるだろうけど、それよりも変に気遣われたくないんだろうな。
「あとで顔出すって、左之助さんに伝えておいてくださいね。」
土方が行けるように、わざわざ伝言を頼んで去って行く総司。大人の気遣いだね〜。
それなのに、
「俺は行かねぇよ!!」
やっぱりこの兄貴、子供だ。(爆)

源さんに振られて、お幸さんのところへ来た周平。
「近藤先生は、私のこと、重荷なんでしょうか。」
浅野にあんなことを言われて、気にしてたんだね。
「近藤せんせは、周平さんのこと、大好きや思いますよ。よう、あなたの話をしてくれます。今、新選組
 には優れた勘定方がおらんから、ゆくゆくは周平さんにやってほしいって言うてましたよ。」
はにかんだ笑顔を見せる周平。そして、安心して笑うお幸さん。

永倉宅での左之助&おまさちゃん結婚披露パーティー。
源さんと平助がちらし寿司を持って駆けつけ、近藤と土方もやってきました。
近藤さんがさっさと上がっちゃって、土間に取り残された土方。所在なく佇んでいるのが可愛い。
きっと、ぶつぶつ言ってるのを、近藤さんに引っ張ってこられたんだな。
ほんとは来たかったくせに。(笑)
 永倉「土方さん、遠慮せずに入ってくれ。」
 土方「いいのか?」
 永倉「悪い訳がどこにある。」
 原田「いいから、早く入って食えよ、ほら。」
きっと永倉さんは、河合の切腹の時に、土方さんの苦悩が本当にわかったんだ。わだかまりが無くなれば、屈託なく接することができるところが、永倉さんらしい。
受け入れてもらえて、一瞬表情を緩める土方さんがまた可愛い。
席に着きながら、近藤さんと目を合わせる土方さん。
「それにしても、こうして集まると、試衛館の頃を思い出すなぁ。」
懐かしいですね、あの頃・・・。

そして斎藤さんは、屯所で木彫りタイム。(笑)

山崎と待ち合わせ中のお幸さん。
偶然そこで、周平と浅野も待ち合わせていました。
荷物を渡して帰ろうとする周平に、浅野は持ち出した周平の荷物を渡します。最初から道連れにする計画だったのね。
立ち聞きしてしまったお幸さん、急いで屯所に走ります。

結婚披露パーティーの方は、いつしか女性の話になって・・・。
「江戸にはつねさん、こっちにはお幸ちゃんという人がいてさ、ほんとに。隅に置けないんだからね。」
と左之助にからかわれ
「わかった。大坂へ帰す。」
と拗ねる近藤。(笑)
「土方さんはどないなんですか?」
おまさちゃんに訊かれて、
「まぁ、俺はほどほどに。」
と土方。ほどほどにって何よ。ほどほどにって・・・。(笑)
「いいんです、こいつは。知らないところで遊んでるから。」
って、近藤さんにまで言われてるし。で、嬉しそうにニヤリって何よ、ニヤリって〜〜。(爆)
いや、もう、多摩へラブレターまとめて送っちゃうような人ですからね。
“報国の 心ころを わするる 婦人哉”でしたっけ? >土方さん(^^;;;
「あとは・・・そうだな。源さんはもうしょうがないとして・・・。」
「なんだよ。俺はもうしょうがないのか。」
可哀想、源さん(苦笑)
「残るは平助か。」「今、好きな人いないの?」
「私は剣の道に生きます!!」
「かっこええなぁ〜〜!!」
いや〜、いかにも飲み会のトークですな。(*^^*)

さて、こちら、一人静かに木彫りタイムの斎藤さんです。
果たしてこの木彫りは何なんでしょうね?
人形? こけし? はたまた魔除け?(笑)
でもきっと、彼の心の揺らぎを表わすものなんでしょうね。
そこへ、お幸さんが息も絶え絶えに駆け込んできます。
「大変です。周平さんが・・・。」
倒れるお幸さん。

斎藤は慌てて永倉宅へ行き、周平の件とお幸さんを家に運んだことを、源さんと平助、おそのさんに報告します。
「局長たちの耳には入れない方がいい。」
源さんは別の理由を付けて席を外し、平助、斎藤と一緒に周平のところへ向かいます。

見廻り中の一番隊。総司が浪士を斬ります。ふらふらと壁にもたれ、咳き込む総司。
おいおい、大丈夫か?無理してるんじゃないのか?
その時、浪士の死体を検分していた鍬次郎が、通りかかった周平と浅野に気がつきます。
「周平!」
鍬次郎の言葉に、視線を投げる総司。恐いよ〜。目が殺気立ってるよ〜〜。

永倉さんちでは、お幸さんの容態を心配したおそのさんが、近藤に耳打ち。
用事を思い出したから帰るという近藤に、
「俺も行く」
と土方。一人置いて行かれるのが、不安らしい。子供か?>土方(苦笑)
「お前は残ってやれ、トシ。」
近藤さんに突き放された。(笑)
「もう少し良いではないか。今夜は鬼の副長と俺は、ゆ〜っくりと飲みたいんだ。」
永倉に肩を掴まれて、酒を注がれて、無愛想な表情の中に土方の口元がほんの少し綻ぶ。
それを近藤が安心したように見つめている。嬉しいなぁ、兄貴分な近藤さん。
そして、土方と永倉の間のわだかまりが無くなって、良かった、良かった。

総司と鍬次郎に追われる、浅野と周平。
あ、周平が転んだ!
心配そうに振り返りながらも、逃げ去る浅野。総司がそれを追う。
周平は鍬次郎に刀を突き付けられ、斬られそうになったその時、
「あっ!待て!!」
良かった〜。源さんたちが到着しました。

一方、茂みに隠れて沖田をやり過ごす浅野。
もう大丈夫かとおそるおそる出て来たところに、音もなく現れる斎藤さん。
浅野は驚きと恐怖でひっくり返ります。
「行け。消えろ。」
斎藤さん、かっこいい〜〜。
もう、必要以上に人を斬りたくないから、斬る価値も無い奴は、とっととどっかへ行ってくれって感じでしょうか。

源さんと平助が、必死に周平をかばっています。源さん、お母さんみたい。
総司は冷たい表情のまま。
そこへ斎藤が戻ってきて、
「浅野は死んだ。鴨川へ落ちた。」
と報告します。
総司、疑いの眼差し。(^^;;;
なおも続く源さんの弁護を黙って聞いていた総司が、周平に歩み寄ると、思いっきり周平の頬を殴ります。
「隙があるからつけ入られるんだ。お前がいつまでも駄目だから、みんなに迷惑をかけてるんだ。」
総司の剣幕に驚き、源さんと平助が顔を見合わせる。
 総司「なぜもっと頑張ろうとしない?なぜ全力を尽くさない?」
 周平「やってます。」
 総司「やってたらとっくに腕が上がってるだろう!」
 周平「私には無理なんです!!」
一方的に責められて、反論する周平。
「甘えるなっ!!」
総司は周平を突き飛ばす。倒れた周平にさらに掴み掛かって、
「お前は近藤家の跡取りだろう?なぜもっとぶつかっていかない?なぜ精一杯生きようとしない?」
何度も何度も周平の頬を殴りつける。
限られた命ゆえの焦り。先のある周平への妬み、そして苛立ち、もどかしさ・・・。
総司には、周平の成長を見守るだけの時間も余裕も無いんだ。
周平を殴りながら、総司の心が血を流して泣いている。

我を失ったように周平を殴り続ける総司を、平助が周平から引き剥がします。
総司を羽交い絞めにしたまま、
「みんながみんな、あなたみたいな人じゃないです! いくら頑張っても、上達しない人だっているん
 だぁっ!!」
叫ぶ平助。これはきっと、平助自身の心の叫び。
頑張っても頑張っても総司には追いつけなくて、劣等感に苛まれていた日々。
みんな、一生懸命生きている。一生懸命だからこそ、ぶつかり合う気持ち。
みんな愛しくて、みんな哀しい。(涙)
源さんが周平の肩に手を置きます。
「ほれ、しっかりしろ。まだ始まったばかりじゃないか。」
源さんの笑顔が本当に温かい。

そこへ近藤が到着。
「先に帰ってますね。」
逃げるように去っていく総司。
まるで、人と人との温かい触れ合いを避けるように。自分を孤独の中に追い込むように。
本当は、今彼に一番必要なのは誰かの優しさじゃないかと思うのに、総司はその優しさを拒絶する。
荒んでいく心。痛い、痛いよ、総司。
誰か、総司を抱きしめてあげてください。そっと・・・。(泣)
去り際、斎藤に訊ねる。
「なぜ浅野を逃がしたんですか?」
「浅野は死んだ。」
答える斎藤に、
「いいえ。今夜のあなたには殺気が無い。」
うひょ〜。すべてお見通し。
どんどん情を持っていく斎藤と、自分から情を切り捨てていく総司。みごとな対比です。
総司が斎藤の変化に気がついたように、斎藤も総司の変化に気がついたんだろうな。

「この隊を脱走した者はいかなる場合でも切腹というのは、我らの取り決めだ。それは我が子であろ
 うとも、例外は認めない。」
心を鬼にして厳しくあろうとする近藤。
身内だから余計に、情に流されてはいけないと考えているのかもしれない。
周平をかばおうとする源さんと平助にも、
「言い訳は無用だ!!」
表情一つ変えない。うわぁ〜、すごい威厳だ。
「そういうことだ。周平、諦めろ。」
そう言い聞かせて、源さんは立ち上がります。そして、刀を抜いて周平を峰打ち。
 近藤「なんの真似だ。」
 井上「近藤周平は死にました。」
 近藤「ふざけるなっ!」
 井上「近藤周平は死にました! 近藤家との養子縁組、本日をもって取り消してはもらえないでしょ
  うか。明日より周平は谷昌武に戻ります。そして私が責任をもって鍛え上げ、必ずや、必ずや立
  派な武士にしてみせます。近藤先生には、その時改めて、近藤家に養子として迎えてやってほし
  いのです。」
源さん、必死の嘆願。
「どうか、どうかもう一度だけ、周平に機会を与えてやってください。」
平助も一緒になってひれ伏す。
「わかった。縁組を取り消そう。周平の名は残す。明日からは谷周平と名乗れ。そして早く一人前に
 なれ。周平、俺はお前を信じている。」
近藤の言葉に、泣き出す周平。もう大丈夫。周平はこれからきっと、迷うことなく歩いて行ける。
隣りで、平助も源さんも泣いている。

心配そうに、お幸さんの看病をしている房吉さん。
帰ってきた近藤と入れ替わりに、部屋を出て行きます。
「周平さんは?」
「すべて上手く収まった。」
ほっとして笑うお幸さん。
そこへ尾形が、容保公からお召しがあったことを伝えに来ます。

近藤は、容保公から将軍家茂の逝去を知らされる。
次期将軍は一橋慶喜公が継がれるであろうと容保様。
けれど、「慶喜は才気あるがゆえに理に走り過ぎる嫌いがある」 と、不安を漏らす。
そして、「今は将軍職を断り続け、公家や老中を焦らして恩を作っておいて、将軍となってから思い通りに政を動かす」と慶喜。
「これからは余が時代を動かす。薩摩や長州の思い通りにはさせん。」
嫌らしさが、いい感じです。(苦笑)

いよいよ時代は急展開していきます。その波に翻弄されていく近藤たち。
近藤の不安が伝わってくる最後でした。

 

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