大河ドラマ「新選組!」のツボ

 

第31回  江戸へ帰る

容保様から近藤へ、江戸へ下って老中と会い、将軍上洛を談判してくるようにとのご命令です。秋月様の「池田屋の一件以来、近藤殿と新選組の名は江戸にも聞こえておる。」の言葉に、不愉快そうな表情の小森様。(苦笑)
秋月様、お役ご免ですか? 寂しくなります。

近藤は屯所に戻って、東下の件を幹部たちに報告します。
平助、見かけないと思ったら、江戸にいたのね?
「局長、江戸には誰を連れて行きますか? まぁ、私がお供するのは当然として。」
「決まってんのかよっ!」
観柳斎に土方の突っ込み、すっかりお約束になりました。(笑)
「行きたいなぁ。久々にみんなの顔も見たいし。連れてって下さいよ。」
言いながら咳き込む総司。可哀想に。

で、結局近藤が指名したのは永倉。
この人選に、謹慎中なのに・・・と土方は不満顔。
一方山南は、
「永倉くんを連れて行くのは正解でしたね。あの件以来、土方くんとは離しておいた方がいいとは私も思っておりました。」
ん〜、逆だと思うけど、山南さん。近藤さんも。
この二人は、お互いしっかり納得できるまでぶつけ合わせた方がいいんじゃないだろうか。どちらも、自分を誤魔化したり妥協したりできるタイプではないからさぁ。
でも、何事も穏便に進めたい近藤・山南は離そうとする。それが更なる悪化を招きそうで、とてもとても不安なのですが・・・。

さて、いつのまにかすっかり打ち解けている坂本と西郷。
「勝先生を筆頭に、薩摩・会津・長州・土佐から頭脳と腕のある者たちを集め、みんなで力を合わせて将軍家を盛り立てて、諸外国に負けない強い日本を作る。」
坂本の開かれた考えに、西郷も今はまだ、ただただ目を丸くするだけ。
この時期はまだ、誰もがみんな“藩”というものに縛られていたんですよね。
それがこの後2年のうちに薩長同盟が結ばれるのですから、当時の時代の流れがいかに速かったかがわかります。

寺田屋で・・・長州藩士相手に偉そうにしているのは・・・捨助じゃないですか。
「俺を桂先生だと思えばいいんだよぉ。」って、こんなのに言われたくないよなぁ。(^^;;;
「御用改めである!」
土方さん、やっぱりこの前は納得していませんでしたね?(笑) 総司を連れて抜き打ち巡察です。

江戸試衛館に着いた近藤たちを、懐かしい顔ぶれが迎えています。
近藤さん、顔つきが全然違うよ。多摩のみんなにしか見せない笑顔だ。
「ちょっと太ったんじゃないか?」
そう言われて見れば確かに。>慎吾くん
貫禄がついて、いいけどね。
「私もいろいろと経験して、ずいぶん大人になりました。」
永倉さん、そうか? ほんとにそうなのか?
近藤と微笑み交わしてるけど、土方へのしこりを、まだ胸中に残していそうで恐いぞ。(置いてきぼりの土方がしこりを残してるのは当然のことだが。)
病に倒れてから、すっかり気弱になった周斎先生。でも勇たちの京での働きには本当に嬉しそう。
みつに「総司はどう? 元気にやってるの?」と訊かれて、「ええ、頑張ってますよ。」と答える近藤。
「元気です」じゃなくて「頑張ってます」とかわしたところを見ると、近藤は総司の病気に気づいているのでしょうか。
たまちゃん登場。はにかんだ笑顔がかわいい〜〜。(*^^*)
顔立ちはお父さん、笑顔はお母さん似かな?
「こないだ、げんこつ咥えて、寝てました。」
相変わらず、ふでさんの突っ込み、冴えてます。(笑)

松前藩邸。あれ? 老中松平伊豆守にお取次ぎしたはずの、元松前藩士の永倉さんがいない。
元藩士の立場では、殿様に御目通りできないのかも。
「旗本たちが上様をお守りして京へ上るには、支度金がいる。金が無ければ兵は動けん。しかし幕府にも旗本にも、今その金が無い。」
老中の言葉に、「まったく情けない。」と憤る近藤。浪士組は一人たった10両で、みんな京へ上ったんだものね。応募者が多くて支度金が予定の1/5になって、それでも金額などは関係なかった。なんとかして上様のお役に立ちたいと、それだけだった・・・。

と、そこへ、懐かしい顔が・・・。さっき平助と噂をしていたからかしらん?松平上総介登場〜。
うわぁ、このいやらしい笑顔、懐かしいなぁ。
思わず引いて固まっている一同が可笑しいです。
観柳斎さえも引かせる松平上総介、最強ですね。(爆)

一転して、京の屯所では・・・。
「それはなりません。」山南の張り詰めた声が。
総長・副長が建白書の一件について、意見を闘わせています。
山南「あれはもう、終わった話。」
土方「俺の中じゃ、終わっちゃいねぇんだ。」
やっぱりね。(汗)
土方「あいつらのやったことは謀反だ。」
確かに・・・。新選組を一つの組織・軍隊として捉えている土方にしてみれば、建白書の提出は明らかに謀反に違いない。クラスの子と喧嘩して、先生に言いつけるのとはレベルが違うのだ。
たぶん提出した永倉自身も、実際には切腹覚悟で出しただろうと思うのですが、このドラマでは土方の考えと対比させるためか、成り行きで提出した印象が強くて、逆に土方の言葉の方が大袈裟に聞こえてしまいますね。

山南「彼らは今、謹慎している。何も腹を切らせなくても・・・。」
土方「甘いんだよ。ここで引き締めておかねぇと、また同じことを繰り返す。」
山南「だったら、起こらないようにすればいい。彼らの不満の矛先が何であるかを見定め、それに対処する方が先。」
あぁ、山南さん、あなたの意見は正しい。組織を束ねる者として、皆の不満を解消していくのは当然のことだ。
だけど、土方が問題にしているのはそういうことではない。たとえどんなに不満があったとしても、それを建白書という形で、大きく、そして公にしてしまったことの重大さなんだ。容保公だからああいう形で収めて下さったが、場合によっては局長近藤の責任を追及され、近藤に対する処罰、そして新選組解散を言い渡されてもおかしくなかったということ。それを、こともあろうに幹部が、近藤を盛り立てていこうと誓ったはずの仲間たちがやったということが、問題だと言っている。さらにそういう方向へ持っていったのが、山南だということが・・・。

土方「そんなことしたって、誰かさんが裏でそそのかしたら、おんなじことだろうが!」
山南の表情が硬くなる。
山南「私は誰もそそのかしてはいない。」
土方「建白書を書けと言ったのはあんただ。」
山南「彼らが隊を抜けるのを防ぐには、そうするしかなかった。」
土方「都合のいい言い訳だな。」
振り返る土方を見上げる山南。睨み合う時間が長く感じます。
でも、山南は土方の考えに苛立ち、土方を睨みつけているんだけど、土方の瞳は怒りを宿す熱い眼差しではなくて、逆に冷え冷えとした、山南の胸の内を見透かすような視線なのが印象深い。
もしかすると土方は、単に自分の考えを押し付けようとしているのではなく、山南が気づくのを待っているのではないだろうか。躊躇して逃げてばかりでは駄目なのだと。自分の存在を賭けてぶつかっていかなければ何もできないのだということを。
山南「とにかく私は承服しかねる。」
怒りに顔を引き攣らせて、山南は立ち去ります。それを見送る土方は、またあの表情だ。眉間に皺を寄せ、口元を引き結び、わかってもらえない寂しさで、恨めしそうに見つめている。
溜め息を一つついて、がっくりと腰を落とし、握った右の拳が悔しそうだ。
常に対立する意見。その中で、より相手に求め、より相手を求めているのは土方の方だろうか。逆に山南は、気持ちがだんだん褪めてきているようにも見える。どちらがより辛いかなどと比べることはできないだろうが。

謹慎部屋。狭い部屋に押し込まれ、みんな体も時間も持て余しているみたい。平然としているのは、斎藤と葛山だけ? 見るからにむさ苦しい部屋の中で、何故か一人お裁縫に精を出しているひでちゃん。
「会津候に御目通りした時、なんで近藤局長がおったんか。誰かが裏で通じてないと、あんなに早う局長が来られるはずがない。」
それを斎藤に訊くとは葛山、さすが諸士調役兼観察と褒めるべきでしょうか。
「俺じゃない。」
慌ててごまかす斎藤が可愛いです。(*^^*)
とそこへ、板戸がスパンッ!
「皆さん、元気ですか〜?!」
明るく元気な総司くん、久しぶり?
「うわぁ、この部屋、汗くさい。よく平気でいられるねえ。」
という総司に、鼻栓を見せるひでちゃんったら、お茶目。
ひでちゃんが一生懸命繕っていたのは、おまさちゃんのお店の暖簾だったのね。
「俺が縫ったことにしとけよ。」
って、おい、左之助・・・。(^^;;;

左之助の代わりに、おまさちゃんに暖簾を届けに行こうとして、立ち止まる総司。
そこには、ひっそりと佇んでいる山南の姿が・・・。細い肩が、どこか所在無さげだ。
屯所の奥でどっかり座り込んでいる土方と、玄関先に立ちつくしている山南。同じ悩んでいるその姿の対比が、今後の展開に繋がるかと思うと悲しい。
なかなか声をかけられないでいた総司が、思い切って山南を“おたふく”へと誘う。
大人になったね、総司。前は同じ行動でも考え無しだったのが、今はみんなの気持ちをいろいろ考えながら行動してる。

総司とおまさちゃんが話す横で、心ここにあらずの山南。総司の話を遮って、唐突に土方の話をしだす。笑えるけど笑えない。重症だよ、山南さん。
「土方くんのことなんだが・・・気持ちはわからないでもないのだ。新選組を守るためには多少の荒っいことも仕方がないだろう。しかし今のやり方は間違っている。新選組を大きくしようとするのはいい。だがこのままでは誰もついてこなくなる。」
あぁ、やっと山南さんの本音が聞けた。そして土方さんの考え、やっぱりわかってくれてたんだ・・・と
嬉しくなる。でもさ〜、それは総司にじゃなくて、土方さんに直接ぶつけてよ〜〜。そりゃ、あの人のことだから、また喧嘩ごしで言い返してくるだろうけど、でも諦めずに何度でも伝えてほしい。土方さんだって、ほんとはそれを望んでいると思うから。山南さんがぶつかってきてくれるのを待っているんだと思うから。
「憎まれてもいいと思っているんじゃないかな。近藤さんのためなら嫌われ者になるつもりじゃ。」
一生懸命土方をかばう、けなげな総司。ありがとう。(って、私がお礼を言うのも変だけど。)
「そこなんだ。私はそれが一番恐い。土方くんには近藤さんのためという思いがある。だからどんなことでもできてしまう。」
やっぱり山南さんが一番、土方さんの考えを理解してくれているのかもしれない。
それなのにどうして・・・?
嬉しいけど悲しいよ、山南さん。

「おい、いつまで食べているんや。」
さっきから店の奥でおしるこを食べていた女を、男が迎えに来ました。
代金をどちらが払うかで揉めてる二人、山南が興味深そうに見ています。っていうか、「うちな、今夜からその店に出んの。」と言うおすずを見つめる瞳が、すっごく純なんですけど。(爆)
総司の「じゃ、売られてきたんだ。」 久々に天然爆発の台詞にもびっくりだけど、芹沢に連れられてその手のお店に行っていたという事実にもびっくり。
「総司!」たしなめる山南さん、保護者モードだ〜。
「そ。そやからこれが最後のおしるこ。美味しかったよ。今日の味、一生忘れへんわ。」
おすずの言葉に、情が湧いたのでしょうか。山南が勘定を払うと言い出します。
「おしるこ7杯で、112文。」
すごいなぁ。胸焼けしそう。(笑)
山南に手を振って去っていくおすずが可愛い。
そして満足そうに微笑んでいた山南が、
「何の話でしたっけ?」
と突然我にかえっている、そのボケっぷりがもっと可愛い。(*^^*)
山南さんのこんな表情、初めてじゃないだろうか? いつもどこかで、自分をガードしているから。

こちら江戸。松本良順先生の登場ですね。
当時の西洋医学の権威として、今後の近藤・土方の良き理解者として、なくてはならない御方です。
そんな良順先生に、近藤が総司の体のことを相談しています。
「咳が止まらず、顔色が悪く、常に体が重く、微熱が続く・・・。」って、総司の病状をいつのまにそんなに詳しく?>近藤さん
「その方はあなたにとって大事な方ですか?」
「誰よりも・・・。」
日頃総司を突き放しているようで、すごく気にかけているんだよね。土方の総司に対する愛情とはまた違う、近藤のそれは父性愛に近い感じでしょうか。
労咳について説明し、薬をくださる良順先生。いい方だ〜。さらに、
「あなたの大切な方が病で苦しむのを、少しでも和らげてあげられるのは、西洋から入ってきた知識です。それでもあなたは攘夷を良しとするのですか?」
諭すような先生の言葉。なんて説得力があるんだろう。どんなに立派に持論を展開されるよりも、心に沁みてくる感じですね。

京では、縁側に座り込む土方の後ろ姿が。
部屋の床に置かれているのは、原田・島田・尾関・葛山の名前を書いた紙。建白書を提出したメンバー(密偵斎藤と、江戸にいる永倉を除く)ですね。誰に責めを負わせるべきか、ずっと考えていたようですが、閉じた目をすっと開いて、どうやら腹は決まったみたい。
「総司、山南さんは?」
と訊いたのは、やはり最後にもう一度、山南に相談したかったのでしょうか。そして、もう一度一緒に動いてほしかったのでしょうか。
けれども残念ながら、山南はまだ戻ってきていません。
「葛山を呼んできてくれ。」
総司に呼びに行かせます。
「お決めになられたんですね。」
土方を見つめる、源さんの強い視線。
「俺が好き好んでこんなことをしていると思うな。いや、人にどう思われようが構わない。ただ、源さんにはわかっていてほしかった。・・・俺も甘いな。」
自らを嘲るように、苦笑する土方。これだけの組織をたった一人で引っ張っていかなくてはならない。
揺れる瞳から、土方の孤独が伝わってきます。
「心中、お察しします。」
頭を下げて、敬意を表してくれる源さん。どんな時でも土方を支えてくれるのは、やはり試衛館生え抜きのメンバーだけなんでしょうか。

本を買いに行った山南がいろいろ思案しながらの帰り道、ばったり出会ったのは、春画で盛り上がっている坂本とおりょうちゃんでした。
「偉いの?総長って。」
と訊くおりょうちゃん。彼女も総司と同じタイプかな?ちょっと天然系。(笑)
「総長といったら局長の次じゃろう。いや〜、すごいのう。」
純粋に感心する坂本に、
「名ばかりの総長です。今の新選組を動かしているのは土方くんです。」
と答える山南の言葉は、謙遜だけではなく、今の新選組における自分の存在に疑問を感じ始めている表れなのかもしれない。
さらに、
「勝先生や、薩摩の大島(西郷)どんや、今行方知れずの長州の桂さんや、そういった人物を一同に集めたら、日本は変わるき。わしは、その橋渡しをしようとしちゅうがよ。」
という坂本の話に、“目から鱗”の山南さん。新選組の内部のことばかりに頭を悩ませていた自分と、坂本のスケールの違いに愕然としている様子。さらに
「どうじゃ。おまんも一緒に世直しに加わらんかい。」
突然の坂本の誘いに、動揺を隠せない。
「おまんら、やりゆうことはなんぜよ。役に立つ連中を、ただ斬りゆうだけじゃないかよ。おまんほどの秀才がもったいないちゃ。どんなにええ刀でも鞘に納まっちゅうまんまじゃ、木刀も一緒じゃき。」
あぁ、坂本の言葉が山南をぐさぐさ貫いています。

自分の腕と知識を生かす場所が欲しくて、北辰一刀流を抜け試衛館に来た山南。さらに京へ上って、壬生浪士組を結成し、新選組にまで仕立て上げた。ところが今、京における幕府の警察隊となった新選組で、山南は腕も知識も生かせないでいる。
大河では思想的なことはあまり触れられていませんが、もともと北辰一刀流は尊王色の強い流派。すっかり幕府の手先と化してしまった新選組のあり方にも、山南は漠然とではあっても疑問をいだいていたことでしょう。
そうした山南の胸の中にくすぶるわだかまりを、坂本は思いっきり引き出して、ほら!と山南の目の前に突きつけてしまったようです。
思いっきり動揺しまくりの山南。

で、こちらも動揺しまくりの葛山武八郎。土方から切腹を申し渡され、
「なぜ私が切腹しなければならんのです?!」
と何度も問い掛けます。
「これ(建白書の下書き)を書いた者に責めを負ってもらうことにした。」
なるほど。証拠も手元にある訳だしね。
でも、もちろん葛山がこれに納得できる訳がない。
「山南さんを呼んでください。私は山南さんに頼まれて、この建白書を書いたに過ぎない。私は山南さんに言われた通りにしただけなんです!」
山南の名を連呼する葛山。でもどんなに訴えてみたところで、
「では、山南を恨め。」
鬼副長が取り合うはずがありません。
「山南に会わせろっ!!」
葛山、逆ギレ。
「お前のその姿見て安心したよ。なんの覚悟も信念もなく、局長への謀反に加担するような奴は、生きるに値せん。」
生きるに値せん・・・土方のその冷酷な表情を上から、告げられた哀れな葛山の表情を下から、撮影するカメラワークが効いています。
あ〜、ゾクゾクする。

夜になりました。月が出ています。
山南はさっそく、昼間会ったおすずさんのところへ。
ほんとは寄り道している場合じゃないんだけどな・・・。(^^;;;
「ようこそ。」
改めておすずさんに挨拶されて、
「こちらこそ。」
と返す。
こういうあまり格式の高くない遊郭に来てまで、折り目正しくお辞儀する山南が、いかにも山南らしい。(笑)
「今夜はどうしても飲みたくなってねえ。しかし京には飲む相手がいないものだから、ここに来た。」
「あんたも寂しいお人なんやな。」
あぁ、山南さん。山南さんがそう思っているだけで、あなたが誘えば総司だって源さんだって、一緒に飲んでくれると思うよ。あの土方さんだって、「なんであんたと飲まなきゃならねぇんだよ。」くらいは言われるだろうけど、頼めば付き合ってくれると思うけどなぁ。ほんとは優しい人だから・・・。
そういえば山南さん、プライベートで誰かを誘ったことなんてあるんだろうか。誘われることはあっても、自分から誘うことは無いような気がする。自分で自分の周りに壁を作って、自分で孤立していっているような・・・。(泣)

おすずさん、天然なところが本当に可愛い。2回も生まれはどこか訊いては、自分で気づいて落ち込んでるし。
すず「暗くもできますよ。」
山南「明るいので結構です。」
の遣り取りには、思わず爆笑。
そういえば、山南さんの突っ込み、久しぶりに聞いたような気がする。

「神様はちゃんと考えてるんやね。うちを生まれつきアホにしたのも、どんなに酷い目におうても平気なようにやと思うんよ。賢かったらこうはいかんで。とっくに首くくっとるわ。」
「そういうものかな。」
アホだって言いながら、おすずさんはすごく核心を突いているような気がします。そして、おすずさんとは逆に、賢いから周りも先も見えてしまって、追い詰められているのが山南・・・。
「お客さんは、なんでこっちに来はったんですか?」
「尊王攘夷の志を持ち、尽忠報国のため京へ上った。しかし、こちらに来ていったい何をした?時代は大きなうねりを見せているのに、私たちは仲間内の争いに終始している。そんな自分がつくづく嫌になった。」
相手が理解できないのをわかっていながら、こんな下層の遊女にしか本音を話せない山南が、あまりにも哀しい。
その上、おすずさんにまで
「聞かなかったことにしてください。」
なんて言ってしまう。
おすずさんのを源氏名を、“明里”と付けてあげます。
「いつかあなたの里にも明るい日が射すことを祈って・・・。」
もしかしたら今、おすずさん以上に“明るい里”を欲しているのは、山南自身なのではないだろうか。
彼女を見つめる山南の微笑みが、深くて柔かい。

一方、その間に屯所では、葛山の切腹が行なわれようとしています。
介錯は斎藤。立会いは、土方・沖田・井上。
表向き、一緒に建白書を提出し謹慎している身でありながら、斎藤が介錯に選ばれたのは、やはりその腕を見込まれてでしょうか。
最後まで、無念さに顔を歪ませる葛山。
「下書きを土方に渡したな!裏切り者!!」
葛山の叫びに瞳の色さえ変えることなく、刀を振り下ろす斎藤。感情の無い、暗闇のような目・・・。
すごいです。オダギリさん。
しっかりと見届ける総司と源さん。そして土方の顔は、まるで能面のようだ。

場面は再び江戸試衛館へ。
伊東甲子太郎(この時点では伊東大蔵)が、平助の口利きにより、道場の弟子たちを連れて新選組に入隊することとなりました。
「この乱世、我ら心を一つにし、日本のために尽くしましょう。」
と、近藤にはにこやかに言いながら、部屋を辞した途端、辺りを窺い、
「新選組加入を足掛かりにして、新しい世はこの伊東大蔵が切り開く。忙しくなりそうだ。」
と平助に告げる伊東。その声音といい笑みといい、胡散臭さがいい感じです。(苦笑)

顔を引き攣らせて、屯所に駆け込んでくる山南。
庭に莚を被せて置かれている葛山の死体に、呆然とします。
待ちかねたように現れた土方を、睨みつける。
「奴を殺したのは、俺とお前だよ。」
この睨み合い、恐いです。人のことを、なかなかこうは睨めないと思う。なんというか、お互い命を賭けて睨み合っているというのでしょうか。
土方の台詞が、「奴を殺したのはお前だ。」ではなく、「俺とお前だ。」であるところに、土方の強い意思を感じます。
関係のない葛山を建白書騒動に巻き込んだのはお前、切腹を命じたのは俺。お前も俺とともに鬼になれと・・・。覚悟を決めて、ともに地獄へ落ちろと・・・。
坂本と会い、改めて時勢と新選組との隔たりを感じてしまった山南。さらに、局中法度に建白書と、自分で書いたシナリオが山南自身を追い詰めていく。
筋書きはわかっている身でも、来週の展開が恐ろしい。

久しぶりに夫婦水入らずの夜。
近藤はこっそりつねにだけ、簪のお土産を買ってきていました。優しいなぁ。
久しぶりに夫に会えた嬉しさと、今まで会えなかった切なさが、つねの表情から零れてきます。
いじらしくて可愛い。
今日の最後がこのシーンで良かった。


「新選組を行く」は明保野亭事件。
この事件、本編でやってほしかったなぁ。
京で新選組がどんな状況に置かれていたのか。浪士取締りという隊務の厳しさ。藩のために命を捧げる士道というもの。
この事件を扱っていれば、土方がなぜあんなに法度を掲げ、新選組の内部を厳しく律しようとしたのかが、理解しやすいように思うのですけれど。
とても残念です。


雑誌の記事などを読んで、土方がどんなに冷酷な鬼になるのかと覚悟していましたが、思ったより鬼ではなかったですね。
逆に、鬼になろうとしてなりきれないでいる必死さがいじらしい。呆れるほど不器用だしね。
今月は、楽しい楽しい夏休みだというのに、「新選組!」のせいで気持ちがすっごく重苦しいんですけど・・・。どうしてくれるんだ?!>NHK(苦笑)

 

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