大河ドラマ「新選組!」のツボ

 

第29回  長州を討て

“池田屋事件は攘夷派を強く刺激し、ついに長州による挙兵上洛を招いた。
 長州は二千に近い軍勢を京の西と南に布陣し、都を守る会津や新選組と対峙した。”

会津本陣、金戒光明寺。
天王山に陣を構えた長州の今後の動きと対応について、佐久間象山を招いて検討しています。
長州の望みは、御所から会津と薩摩を追い出し、昨年の八月十八日以前の姿に戻すこと。
それを帝がお許しにならなければ、長州は京に攻め入り、御所に火を放ち、帝を奪い藩へお連れするつもりだろうと、象山先生。
そして先生は、もし帝をお移しするなら、地の利にも優れ、海からも遠く、異国船からの攻撃を心配
する必要もない、彦根が良いと持論を説きます。
しかし象山先生のこの考えは、一部の尊王攘夷派を怒らせ、先生は命を狙われているらしい。
秋月様にも心配され、近藤にも「少し供の数を増やした方が良いのでは?」 と忠告されますが、
「人にはな、天命というものがある。死ぬ時は死ぬ。」 と答える象山先生です。

帰り道、近藤は象山先生に訴えます。
「最近、時々わからなくなるのです。今の私たちの働きが、本当に日本のために、そして京の人々
 たちのためになっているのかと。」
「そんなことは誰にもわからん。国を思う己の心に真があるならば、迷うことはない。近藤くん、己を
 信じていきたまえ。」
と説く象山先生。先生はさらに、
「たくあん、鬼瓦のことを頼んだぞ。」
と、近藤の後ろに控えていた源さんに呼びかけます。
自分のこととは気付かず、おたおたしている源さんに、
「しなびているから、お前は漬かり過ぎのたくあんだ。」
って先生、それはちょっとあんまりな・・・。(^^;;;
口を尖らせている源さんが可愛い。
分かれ道にさしかかり、
「さらばじゃ。」
と挨拶する象山先生ですが、もしかしてお会いできるのはこれが最後になってしまうということ?
近藤がお供の捨助に、
「おい、般若、よろしくな。」
というものだから、
「お前が言うな。」
捨助、かっちゃんを睨みつけています。(苦笑)

足に豆ができて痛いと、道端に座り込む捨助。
その隙に、怪しい男が象山先生の馬のところに近付きます。
「佐久間象山先生。」
と呼ばれて振り向いたところを、斬りつけられる先生。
男はとどめを刺そうと、落馬した先生の胸元を掴みます。
象山先生は、「ま、ま、ま、待て。」 と男を止めると、
「馬鹿者が。名は? 名は何という?」 と尋ねます。
「わしを殺した男の名前だ。是非、知っておきたい。」 先生、すごい迫力です。
「げんさい。かわかみげんさい。」
「かわは三本川のかわか、それともさんずいの方か?」
死ぬ直前に字までこだわる先生に戸惑い、
「さんずいの方だ!」
と答える河上。
それを聞いて満足そうに笑った象山先生は、彦斎にとどめを刺されて息絶えます。
怯えて何もできぬまま、象山先生の亡骸を置いて逃げ出す捨助。とんだ役立たず。
弾除けになるどころか、こいつが駄々をこねていたせいで、先生は襲われたんじゃ・・・?


元治元年(1864)7月18日。
天王山の長州本陣に、桂小五郎がやってきました。
「こんなことをして何になるのだ。我が殿が朝敵となってもよいのか!」
と久坂玄瑞らを諌めようとしますが、既に追い詰められ、頭に血が上った久坂らは、聞く耳を持ちません。
「我らは朝廷に弓を引くのではない。敵は奸賊会津と薩摩、そして新選組。池田屋の恨みを晴らすの
 です。手は尽くしました。我らは会津と薩摩の謀によって、逆賊の汚名を着せられ、京を追われた。
 残された道は、帝に直に嘆願書を差し上げ、汚名を晴らすのみ。」
誠をもってすれば思いは通ずる!という久坂の言葉が悲痛に聞こえます。
そしてさらに真木和泉が、
「帝は必ずや嘆願をお聞き届けくださる。そして我らは、憎き松平容保と新選組を討ち取るのじゃ!」
と、兵士たちに檄を飛ばします。
「正気とは思えん。」
と呟く桂。

壬生村 新選組屯所。
外出から戻って来たひでちゃんが、勢いよく走り出て来た隊士たちとぶつかりそうになります。
八木家の門の前には土嚢が積まれ、新選組も臨戦態勢に入っているようです。
庭では、槍の稽古をしている隊士たち。
「もっと腰を入れろ!そんなんで長州っぽには勝てないぞ!」
指導している平助、まるで別人のように気合いが入っています。
近藤先生に励まされ、池田屋という修羅場を潜って、迷いがなくなったのでしょうか。
縁側に立って稽古を見ている山南に、ひでちゃんが話し掛けます。
「あの、ほんまに長州は攻めてくるんですか?」
「今日か明日と私は踏んでいます。」
殺伐とした掛け声の中で、微笑み合うひでちゃんと山南さんの穏やかさに癒されるなぁ。
「浅野!武八郎! まだ終わりじゃねぇぞ!!」
「もう、勘弁してください。」
「何を言っている!!」
「私たちは監察方なので・・・。」
「敵がそんな言い訳で見逃してくれると思ってるのか!!」
「どうせ戦では、役に立ちませんから。」
「苦手なんですよ、こういうのが、もう・・・。」
泣き言を言う葛山と浅野に、水をぶっかける平助。スパルタだぁ〜。

新選組はすでに、銭取橋に陣をはっています。
地図を前にして、近藤・土方・武田が軍議中。
新選組の先には彦根藩と大垣藩が陣をはっていると聞いて、「俺たちももっと前に出たいところだ
な。」 と近藤。
武田は、池田屋以来、長州は新選組を目の敵にしているので、会津は敢えて自分たちを後ろに
持ってきたのでは、と説明します。
それに対し、「構うこたぁねぇ。戦が始まったら、前に出てきゃいいんだ。」 と、今日も血気盛んな
土方。(笑)

谷昌武くんは、正式に近藤勇の養子になったようです。
名も、“近藤周平”と改めました。
「周平というのは、近藤周斎先生の昔の名なんです。」
説明してくれる源さん。
「周平、本気で近藤家の後継ぎになるんだったら、剣術はちゃんとやっておいた方がいいぞ。俺が
 教えてやる!」 と永倉。
「槍は俺が教えてやるよ。」 と原田。
「では、えいやぁ〜。柔術は私が。」 と松原。
「あ、だったら、そろばんは私が。」 と河合さんまで。(笑)
いや、笑顔がとっても可愛くて、おじさんたちが世話を焼きたくなるのも、わからんでもないな。

総司が、医師 孝庵先生のところに診察に来ていました。おひでちゃんが薦めてくれた先生かな?
「間違いないんですか。まだ決まった訳じゃないんでしょう? だって、なんともないんですよ、今は。」
と言う沖田に、
「なんともない人間が、丼一杯の血ぃ吐くか! おまはんは、労咳や。」
先生、あっさり宣告。さらに、
「なんで、なんでもっと早う来んかった! 阿呆っ!!」
と、手拭いでぺしぺし。
「どうしてこんなことになっちゃうんですか。」
「なにが?」
「だから、なんで私が!」
「そりゃ、わしに訊くな。」
「納得できないよ。」
納得できないにきまってますよね。信じられないし、自分だけがなんで?って、神様を恨みたくもなるかもしれない。
「で、どうすればいいんですか?」
すっかりふて腐れている総司。
「なにが?」
「治してくださいよ、病気を。」
「それが、人にものを頼む態度か?」
「だってあんた、治すのが仕事だろ。薬は?」
「労咳に効く薬なんざぁ無い。静養が一番じゃ。安静にして、滋養のあるものを食う。これに勝る薬は
 無い。」
「無理だよ、そんなの。」
「はぁ、ほたら、わしは知らん。」
「このヤブ医者!!」
これこれ、そこまで悪態つくか?総司。(苦笑)
孝庵先生はふんっと鼻で笑って、相手にしません。
芹沢鴨とツルんでいた思春期総司も新鮮だったけど、病を受け入れられずにグレる総司も新しい。
「死ぬんですか、私は。」
この時初めて、総司は声を震わせて訊ねます。でも、何も言わない孝庵先生。
「答えてよ。」
「人は、いつかは死ぬ。」
その言葉に、総司はかすかに苦笑します。
「すべてはおまはん次第や。」
先生は、疲れた時はこれを飲めと、薬を渡してくれました。
口は悪いけど、気休めを言ったりせず、本当に患者のことを考えてくれる先生みたいです。

長州に動きが無いので、出陣命令も出ず、なんか手持ち無沙汰な隊士たち。
「この川沿いに行こう。」
「違う!」
土方と武田の意見もぶつかり、みんななんとなくバラバラ。
近藤が先を促し、二人を収めます。
総司が陣に復帰しました。
「お前、もう大丈夫なのか?」
と訊ねる近藤に、
「いつまでも寝てられませんからね。今日から復帰。」
と明るく答えます。
「心配かけやがって。この野郎!馬鹿野郎!」
飛び掛かってじゃれてる源さんが可愛い。そんな二人を見ながら、
「あいつ、良かったな。元気になって。」
近藤はほっとした顔をして言いますが、土方は、その後永倉と原田に拉致される総司を、じっと見ているだけです。やっぱり、何か感じていそうだなぁ。
「医者はなんと言っていた?」
「別に何でもないって。よくわかんないけど、たいした病じゃないみたいですよ。」
喀血の現場を目撃された永倉と原田にも、嘘をつく総司。
「血吐いたこと、誰にも言ってないですよね。特に近藤さんと土方さんは駄目ですよ。余計な心配かけ
 たくないから。」
明るく誤魔化してみせて、でも真剣に頼み事をして、そしてふっと病人の顔になる。藤原くんの表情が見事です。


夜に入り、長州の軍勢が動きました。
蛤御門のところに寝ていた捨助は、会津の兵士に叩き起こされ、新選組の陣には、探索に出ていた島田が報告します。
「出陣!!」
「おーっ!!」
新選組は夜の町を駆け抜け、戦場に向かいますが、夜も明け、現場に到着した時には、既に戦は終わっていました。
「局長!長州は彦根・大垣両藩に攻められ、あっという間に敗走したようです。」
と島田が報告にきます。
「どうする?」
「せっかくここまで来たんだ。先に行ってみよう。」
「伏見に長州の者たちと通じてる船宿があると聞いた。寄ってみるか?」
土方の提案により、新選組は伏見へと向かいます。

伏見の寺田屋には、長州の負傷した兵たちが逃げ込んで来ていました。
うめく兵士たちを叱咤しながら、手当てしている女将のお登勢。
「寺田屋は女将のお登勢が取り仕切っておりまして、これが男勝りのかなりの女丈夫という噂。」
山崎の説明に、
「男勝りか。お前の姉さんのこと思い出すな。」
と総司に話し掛ける近藤。
「あんな人が世の中にもう一人いるとは思えないけど。」
と言っている間に、寺田屋に到着しました。
かなり早く歩いたせいか、咳をする総司。
「よし、裏口を確かめてくる。」
近藤は総司たちを連れて、寺田屋の裏へ。
その場に残った山崎が、
「悪い咳ですね。」
と土方に言います。
「わかるのか。」
「鍼医の息子でして、医術の心得も少々。」
「なぁ。斬られた時に出る血と、吐いた時に出る血っていうのは、色が違うか?」
「違います。口から出た血ぃの方が、鮮やかな色をしています。」
それを聞いて思案顔の土方。やはり、池田屋で総司の隊服を見て、気が付いていたようですね。

裏に回った総司が、咳き込んで思わずしゃがんだ時、血染めの手拭いが目の前に落ちてきました。
近藤たちは、寺田屋に踏み込みます。
「会津藩お預かり新選組である。御用改めである。主人はいるか!」
「へーい。なんぞ御用ですか?」
出て来た番頭に、
「日頃からこの船宿が、不逞浪士と関わっているのはわかっている。」
「よもや、長州の落ち武者を匿っているということはないだろうな。」
と確かめる近藤と土方。
否定する番頭に、総司が血染めの手拭いを見せます。言葉に詰まる番頭。
「偽りを申すと、ろくなことはないぞ。」
土方が脅しをかけた時、
「いんどくりやす!」
二階から女将のお登勢が下りてきました。
「確かにうちは、長州はんのお客さんは多いですよ。でもそれとおんなし分だけ、会津の方も薩摩の
 方もお泊りになっといやす。うちは客を選んだりはしまへんのや。」
「だから、落ち延びてきた長州兵も匿うのか。」
「うちに駆け込んできたお方は、どなたはんでも匿います。新選組はんでもな。」
「中を改めさせてもらう。」
上がりかけた土方を、
「例え話や!」
とお登勢が一喝します。さらに近藤に、
「それではこれをどう申し開きするのだ。」
と血染めの手拭いについて問い詰められると、
「これは鼻血ですわ。」
と言ってのけるお登勢。
「鼻血を出してる者など、どこにもいないじゃないですか。」
総司の指摘に、お登勢もさすがに言葉に詰まった時、砲声が響きました。
思わず振り向き、外に気を取られる近藤たち。
その隙に、お登勢は番頭の顔を叩いて、鼻血を出させます。
「佐吉、お前、また出てる。」
と、近藤たちに鼻血を見せ、
「そやから言うたやないか。落花生食べ過ぎやて。」
番頭を叱った後、お登勢は近藤の方へ向き直って、
「わかりはりました?」
近藤は、厳しい表情でしばらくお登勢を見つめていましたが、やがてにやりと笑います。
「いたじゃないか。お前の姉さんがもう一人。」
「いましたね。」
と笑う総司。
「それでは、また来る。」
近藤はお登勢が長州兵を匿っているのを察しつつ、その心意気に免じて見逃すことにしたようです。
もしかしたら、総司の姉おみつさんを思い出したからかもしれません。近藤の婚礼の日に、役人に
追われて逃げ込んできた斎藤を、同じ手を使って庇ったおみつさんを。


京の町に火が回り始めました。
蛤御門の前で長州と会津が銃撃戦を繰り広げていますが、長州は劣勢です。
久坂たちは、鷹司卿の邸宅にやってきます。
「この邸から、御所の裏に入れるようになっている。鷹司卿。あの方は長州贔屓だ。きっとわかって
 くださる。」
久坂たちが中に入っていった後、中を覗きこんでいる、薦をかぶった捨助。(苦笑)

新選組は伏見の陣にいます。
けたたましく鳴る半鐘。
外の様子を見てきた永倉と原田が、
「局長、あちこちで火の手が上がっている。」
「やべぇよ。仏光寺通りも燃えてるよ。」
と報告します。
「長州の奴ら、本気で京の町を焼き尽くす気だ。」
と土方。
近藤は床几から立ち上がると、
「いいか。新選組はこれより御所へ向かう!!」
と隊士たちに指示を出したところで、
「ちょっと待て!!」
止めたのは左之助。
「仏光寺通りはいいのかよ!」
「なんで仏光寺通りなんだよ!」
案の定、土方から突っ込み。
「何言ってんだよ。“お多福”があるじゃねぇかよ。まさちゃんの店がよ。」
言葉を返す左之助に、
「今は御所をお守りする方が先だ!」
と近藤。
「馬鹿言うなよ!まさちゃんの店が燃えても平気なのかよ!!」
噛み付く左之助は本気だ。
「出陣だ!」
しかし、新選組は御所へ向かいます。
「くっそぉっ!」
一人、仏光寺通りへ向かう左之助。

火の粉の降る中を逃げ惑う町の人たち。
その人の群れを掻き分けて、左之助はおまさちゃんの店に向かいます。
横たわる幼い兄弟。動かなくなった父親を、揺すり続ける男の子。泣きじゃくる女の子。
その中を駆けてきた新選組は、長州軍と出会い、町中で斬り合いになります。
一方走ってきた左之助は、向こうからよろよろと歩いてくるおまさちゃんを見つけました。
焼け出され、髪も乱れ、煤だらけの格好で、お店ののれんを引きずりながら歩いてくるおまさちゃん。
左之助は駆け寄り、その場に崩れ落ちたおまさちゃんを抱きしめます。
「燃えてしもうた。お店、燃えてしもうた。」
いつもはあんなに明るく元気なおまさちゃんの、弱々しい姿。
自分の腕の中で泣くおまさちゃんを、左之助は優しく抱き続けます。

鷹司邸の縁の下で、お櫃を抱え込み、夢中でご飯をかき込む捨助。(苦笑)
「立ち去れ!」
「お願い致します!御所へ行かれるならば、是非、我らもお供を!帝にお取次ぎを!」
鷹司卿に訴える久坂。
「どういう了見なんじゃ?久坂。こないな騒ぎを起こしといて、今更取り次ぎなどできる訳がない。自分
 らのしたことがわかっているのか!御所に向けて銃を放つというのは、どういうことか!」
「御所を狙ったのではありません。我らの敵は、あくまで会津と薩摩。」
「そんな理屈が通じると思うておるのか!長州は、朝敵となったのじゃ。お上もお嘆きであらっしゃり
 ました。」
「帝が・・・!」
久坂は鷹司卿の言葉に愕然とします。

「終わった・・・。」「御所に向けて兵を進め、我が殿を朝敵にしてしまった。帝に嘆願することも叶わ
 ず、もはや我らの帰る場所はない。」
嘆く久坂。
「すべては日本のためと思い、ここまでやってきた。いつ、食い違ってしまったのか。」
久坂は入江九一に、
「お前は生き延びて、殿に事の次第を申し上げよ。」
と託して逃がすと、寺島忠三郎とともに自らの命を絶つことを決意します。
ちょうど縁の下から出てきた捨助に、落とした髻を桂小五郎先生に渡して欲しいと頼んで・・・。
「これからどうなっていくのだ、長州は、幕府は、日本は。我らが為してきたことは、意味があったの
 か。俺たちが生まれてきたことは。」
久坂の目から、無念の涙が零れます。
この後、二人は互いを刺し合って自害するのですよね。久坂に泣かされるとは思わなかったな。


「長州の乱、ほぼ取り鎮めましてございます。どうかお心を安んじられませ。」
御所で帝に報告する容保公。
「われにはどうもわからぬ。あの者たちは、何がしたかったのじゃ。」
孝明帝にはけして届くことのなかった、久坂たちの思いが哀れです。

行軍してきた新選組は、見廻組と出会います。
佐々木様に、これからの指図はどなたに仰げばよいのかと尋ねる近藤。
「薩摩の軍賦役 大島吉之助(後の西郷隆盛)という人を訪ねるといい。御所の警護を一切取り仕切
 っているお方だ。」

近藤が大島を訪ねると、大島は鉄砲で撃たれた足の傷の手当てをしていました。足の傷は浅いが、落馬した時に打った腰の方が痛いと苦笑する大島。宇梶さん、西郷役がなかなかお似合い。
「こん度は皆さんの働きのお陰で、無事長州の連中を蹴散らすことができもした。ありがとうございも
 した。」
新選組は残念ながら、然したる働きはできなかったのですけどね。それより薩摩こそ、長州軍を蹴散らして、幕府を勝利に導いたはず。自分の手柄は置いておいて、相手を立てるところは、お人柄なのでしょうか。
あとは天王山に籠もっている長州軍を捕まえるだけ、と聞いて、その役目を新選組に、と願い出る近藤。
「近藤さん、新選組には、こいからもお世話になりもす。」
う〜ん、この言葉の意味、考えてしまうなぁ。

京を出ようとする桂小五郎。しかし、京の様子を伝えてくれる者が欲しい・・・と悩んでいたところに、久坂と寺島の髻を持った捨助が現れました。
「久坂、寺島。馬鹿な男たちだ。」
二人の髻を前に、絶句する桂。桂もまた、悔しかったでしょうね。
今日はさっさと帰ろうとする捨助を、桂の方が呼び止めます。
「この人は、私の命の恩人なんだ。君は近藤くんから池田屋の話を聞き、それで前もって私のところ
 に来て、わざと膳をひっくり返し、私を一度藩邸に戻らせ、新選組の襲撃から私を救った。そうだろ
 う。」
桂先生、とんだ勘違い。(笑)
「なぜ助けた?」
「俺はねぇ、近藤勇と新選組ってやつが大嫌いでね。それだけのことですよ。」
粋がってみせる捨助。実は入隊させてもらえなかったことを根に持ってるだけのくせに。
しかし、それを聞いてさらに信頼、もとい勘違いを深めた桂は、
「捨助さん、私のところで働く気はないか。命を救ってくれたお礼に、仕事を頼みたい。これより私の
 下で、京の様子を探り、逐一教えてもらえないだろうか。」
桂先生、捨助を“さん”付けだよ〜。(苦笑)
「長州と縁が無く、しかし我らと思いを同じくし、類稀な勇気を持った人物。長州と日本の未来は、捨
 助さん、あなたにかかっている!」
そ、そんな馬鹿な〜〜。(爆笑)
しかし、勘違い先生に、すっかりその気にさせられてしまった捨助です。

天王山に向かう新選組。
しかし、長州の陣に着いた時には、既にみな自害していました。
「あれを。」
総司の言葉に建物の中を見やると、そこには真木和泉の姿が。
「あなたが真木和泉殿ですか。」
「左様。待っておったぞ。」
「戦はもう終わりました。」
「終わってはおらぬ。」
「あなたたちは負けたのです。」
「わしらが正しいか、お前たちが正しいか、それはいずれ、時代が明らかにしてくれる。その目でしっ
 かりと見届けよ!」
真木はそう言い放つと、近藤たちの目の前で、見事に割腹して果てます。

「これで終わったな、長州は。」
土方の言葉に、しかし近藤の表情は浮かぬままです。
「嬉しそうじゃねぇな。」
「あれだけ守ると誓った京の町を、焼いてしまった。」
「俺たちにはどうすることもできなかった。やるだけのことはやった。」
「そうだろうか。俺たちのしたことは、間違ってはいなかったのか。」
「間違ってる訳がねぇ。」
割り切りが早くて、信じた道を突っ走る土方さんらしい。
「いよいよだぜ、近藤局長。これから、俺たちの時代がやってくる。」
「俺たちの時代・・・。」
土方は近藤を励ますように、近藤の目をしっかりと見つめて、力強く頷きます。
そして隊士たちも局長に、しっかりと頷いてみせます。
“国を思う己の心に真があるならば、迷うことはない。近藤くん、己を信じていきたまえ。”
近藤の胸に象山先生の言葉が甦ります。その言葉に頷く近藤。

土方の言葉通り、これから新選組の全盛期がやってきます。
それは、あまりにも短いものになるのだけれど・・・。

 

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