大河ドラマ「新選組！」のツボ　第２５回

第２５回　　新選組誕生　　

自分の留守中、新見副長を罠に嵌めて切腹に追いやったことで、土方・山南を責める近藤。
「お前は切腹しなくていいのか？！」
と詰られて、
「あんたがそうしろって言うんならいいぜ。俺は腹を切る。」
と土方は返す。その真っ直ぐな視線に土方の覚悟が見て取れます。
近藤はずっと揺れっ放しだけれど、土方はとうの昔に腹を括っているからね。
かっちゃんのために、新選組を一つにまとめ、大きくするって。そのためには何でもするって。
誰かに傾倒したからとか、思想を持ったとか、そんな理屈ではなく、自分の生きる道はこれしかないと、自分の生き方はこうと、思い定めてしまったところに彼の強さがある。
「山南も同意の上だ。」
と言う土方の言葉に、しっかりと頷く山南。
あぁ、このＷ副長は無敵だわぁ。

　近藤「俺はそこまでして京に残りたくない。お前が局長になれ。俺は多摩へ帰る。」
　土方「多摩へは帰さねぇ。みんな、お前に付いてきてんだ。今さら抜けるとは言わさねぇぞ。」
土方も強引だけど、近藤もガキだよなぁ。気に入らないからお家に帰るって、子どもじゃないんだから。（苦笑）

本当は近藤も土方の考えを支持して、一緒に新選組を引っ張っていったと思うんだけど、この大河では近藤は悩めるキャラで、土方の考えについていけずにズルズルと引きずられてる感じ。近藤も辛いだろうけど、土方も辛いよなぁ。っていうか、土方は今後、新選組を守るために鬼と化して、粛清に粛清を重ねていくことになる訳で、その時肝心の近藤が一歩引いてしまっているのは、きついような気がします。たった一人で背負っていかなきゃいけないとしたら、厳しいよなぁ。孤独だよなぁ。

でも、今は山南さんが一緒に動いてくれているのが嬉しい。山南・土方がこんなに信頼しあう同志として描かれるのは、初めてなんじゃないでしょうか。下手すりゃ、仲が悪いとか憎み合っているとか、書かれるもの。
同じところを見つめて、同じ歩調で歩いている二人。目配せで意思を伝え合っているところなんか見ちゃうといいなぁって思うけど、この先の悲しい展開を考えると辛くなってもきたりして・・・。

居酒屋に来ている芹沢とお梅。今日のお供は斎藤です。
「柄にもなく、長生きしたくなったんだ。」
そんな風に思うようになったのはきっと、お梅さんと気持ちが通じ合ったからなんでしょうね。そして、だからお供も沖田ではなく、斎藤に変えた・・・と。
「自分が今死んだら、どないなるんやろって。入るお墓なんてないもん。」と言うお梅に、「俺の墓に入ればいい。」と芹沢。
「良かったぁ。これで安心して死ねる。」　あぁ、そんなこと言わないで、お梅さん。（泣）　
芹沢もお梅も憎たらしい存在だったのに、いつのまにか情が移ってる。これって、三谷氏の思うつぼ？
二人の会話を複雑な表情で聞いている、斎藤さんがかっこいい。(*^^*)
こんな話を聞いてしまったら、情が移ってしまうよねえ。

いよいよ、芹沢局長暗殺計画始動。試衛館メンバーの腹心を集めて、計画を話します。
八月十八日の政変の働きに対し、朝廷から褒美が出るとのこと。そこで明日の夜、宴を催し、芹沢たちにしこたま酒を飲ませ、帰り道を待ち伏せして襲うとのこと。会津藩に恨みを抱いた長州藩士の仕業に見せかけて・・・。
「力を貸してくれるな。」との土方の言葉に、「はい。」と源さん。頼もしい。
左之助はもう、ドキドキわくわく、嬉しそうだし。（苦笑）
永倉には声をかけなかったとのこと。
「永倉は誰かさんと同じで融通の利かないところがある。異を唱えられても困るんでね。」
って、新八批判というより、煮え切らない近藤に厭味たっぷりな土方。
総司と平助は若いから、斎藤は芹沢に恩義を感じているから、計画から外すとＷ副長。また、近藤は実行メンバーには加わらず、宴会の席に残ることに。
「これは単なる仲間同士の諍いではない。これから先、ご公儀の恩に報いることができるかどうか
　は、すべてはこの一番にかかっている。」
土方の言葉にも、目を閉じたきり苦悩の表情の近藤。未だ覚悟を決められないようで・・・。（呆）

幹部会議の席で、会津藩へ褒美を受け取りに行くのを断る芹沢。
「新見の初七日がまだ済んじゃいねぇんだ。それまでは喪に服していたい。」というのは、新見を嵌めた試衛館派への嫌味でしょうな。
「嵐山に紅葉を観に行くみたいです。」と聞いて、「喪に服してるくせにか。」と土方の突っ込み。（笑）
平助には、本日の宴会の手配を依頼。永倉には、島田と松原を連れて、伏見の泉屋へ警護に行くように指示。それぞれ、今夜の芹沢襲撃から遠ざけるようにしている訳ですな。
さりげなく目を見合わせて、確認し合う鬼副長ズ。腹黒さ、たっぷり。（爆）

総司は為三郎くんと竹とんぼ。(*^^*)
屯所を出て行く芹沢とお梅を、複雑な表情で見送る。ちょっと寂しそうだなぁ。
顔の痣が痛々しい。
そんな総司を呼んだのは、歳三兄貴。
「今から俺が話すことに、お前は何も答えるな。ただ聞いてるだけでいい。」って、最初から凄い言い方だなぁ。（笑）
　土方「今夜の宴、芹沢が途中で帰っても、お前は残れ。」
　沖田「どういうことですか？」
　土方「何も訊くなと言ったろう。」
考えて・・・、気づいてしまう総司。伏せた視線をすっと上げて、目を見開いて土方を見返す。上手いなぁ。藤原くん。
そんな総司に、しっかり頷いてみせる土方。
「お前を巻き込みたくねぇんだ。これは試衛館の仲間みんなの思いだ。」　あぁ、優しいなぁ、兄さんたち。
だけど、立ち去ろうとした土方を総司が呼び止める。
　沖田「私も加えてください。芹沢さんは私が斬る。」
　土方「無理すんな。」
　沖田「そうじゃない。あの人は私が斬らなくちゃいけないんです。芹沢さんはそれを望んでる。私も加えてください。」
総司の言葉に今までを振り返ってみると、芹沢が総司に今までかけてきた言葉のすべてが、自分の刺客として総司を成長させるためだったような・・・。総司が成長して、自分を斬ってくれるのを待っていたような・・・。そんな風に、確かに思えてきてしまいます。

紅葉に燃える嵐山。
　お梅「どっか田舎で、二人で暮らしまひょ。」
　芹沢「どうやって食っていく。」
　お梅「村の子ども集めて、寺子屋始めるんえ。剣術教えたり。あんた絵が得意やから、それも教えたり。」
　芹沢「俺らしくねぇなぁ。」
　お梅「ううん。ものすごう、あんさんらしいと思う。」
二人の表情が、すごく穏やかで温かくて、見つめ合う視線が真っ直ぐで・・・。
もっと早くに二人がこうなって、田舎に引っ込んでいたら、きっと幸せな人生を送れたんじゃないだろうか。もっと早く・・・って、叶わぬ無理を考えてしまう。
「綺麗どっしゃろう？」嬉しそうに語りかけるお梅に、「あぁ。まるで血の色だ。」と斎藤。そんな不吉な予言しなくても・・・。（涙）

容保様から褒美の他に、壬生浪士組の正式な名前を頂戴しました。
広沢様が嬉しそうに近藤さんを見ているよ～。(*^^*)
「新しく時代を築くもの・・・という思いを込めた。」　これが“新選組”な訳ですね。
近藤さん、感激でうるうる・・・。

宴会が始まっています。
平隊士たちや左之助（笑）のところは盛り上がっているのに対し、不気味な静けさの幹部席。山南が土方に視線を向けると、土方が徳利を手に立ち上がります。芹沢に一礼して、酒を注ぐ土方。
「このところ、浪士組に入りたいという者たちがうなぎ上りに増えています。ご存じですか？」
ソツの無い土方さん。上手いよなぁ。さすが、元・薬屋！
「会津の兵の前で一歩も退かなかった先生のお姿は、語り草になっているらしいですよ。」
ちょっと上目遣いで芹沢を見ながら、営業スマイルで持ち上げてます。（笑）

　芹沢「土方。」
　土方「はい。」
　芹沢「魂胆はなんだ？」
ふっふっふっ、芹沢先生、お見通し。（苦笑）　ちらっと視線を走らせる山南さん。
　芹沢「今更どうして俺を持ち上げる？」
　土方「別に俺は、思ったことを素直に言ってるだけだ。」
おっと、視線が泳いでしまったよ。（笑）　真顔になってふてくされちゃう辺り、土方さん、まだまだ可愛い。（爆）
　芹沢「そんな野郎じゃねぇ。」
芹沢に笑われて、冷静さを取り戻す土方。
　土方「正直な男ですよ、俺は。」
立ち直って酒を注ぐ。
　芹沢「俺を酔わせてどうする？斬るつもりか？」
隣りで近藤さんが、一瞬反応しています。
でも、今度は土方さん、しっかりと受け流す。
　土方「滅相もねぇ。」
　芹沢「言っておくが、俺の剣は酒が入れば入るほど、切れ味が良くなる。」
　土方「一度、お手合わせ願いたいものです。」
土方はもう、目を逸らさない。口元で笑ってみせさえする。
うひょ～。恐いよ～。実際に刀は抜いてないけれど、今にも斬り結ぼうと対峙している緊張感。いや、言葉の刃（やいば）で、すでに斬り結んでいるというべきか。
自分を狙っていることを意識した上で、うそぶいてみせる芹沢さんの余裕がさすがだ。その芹沢に対し、一歩も退かない土方さんの根性にも拍手したい。堪らんなぁ。ゾクゾクする。（爆）

「どうぞ。」
隣りの近藤にも酒を勧める土方。山本くん、同じように相手の目を見つめているのに、芹沢を見つめた時と、明らかに瞳の色が違うのが凄い。これは近藤に覚悟を促している目。でも、近藤さんは目を伏せてしまうんだね。

厠に立った芹沢が戻ってきたところを、途中で近藤が呼び止めます。
容保様からいただいた新しい名前を見せる近藤。他の者にはまだ見せていない、まずは筆頭局長の意見を聞きたいという言葉の中に、近藤だけがここにきてまだ自分を立てようとしている、自分を斬ることに踏み出せないでいる、その迷いに芹沢は気がついてしまうのですね。
「芹沢さん、実は・・・。」
自分を見つめる、近藤の真っ直ぐな瞳。
「芹沢さん、あなたに言っておかなければならないことがあるんです。」
その視線に目を合わせることなく、
「聞きたくねぇな。」
危険を知らせようとする近藤の言葉をさえぎって、
「鬼になれよ、近藤。鬼になって、俺を食っちまえよ。遠慮はいらねぇよ。」
と。自分を越えて行けと、自分を倒してその屍を越えて行けと。
あぁ、今日の鴨さん、かっこいいです。
三谷氏は芹沢を、近藤たちの父親的な存在として描いたのだそうですね。
息子は父親を越えて成長していく・・・そのような関係に、芹沢と近藤をしたかったのだとか。
今まさに、父親は息子を独り立ちさせようと、その手を離そうとしているのでしょうか。
「もういっぺん見せてみろ。」　と、容保様直筆の名前を改めて見て、
「悪かねぇな。明日から、この名前で行けよ。」
穏やかな声で言い残していく。今夜、自分が倒されるのがわかっているから、「明日から」・・・って。
近藤は、覚悟を決めた芹沢の後ろ姿を見つめながら、その親心をしっかりと受け止め、初めて芹沢を倒す決心ができたんでしょうね。
目に涙をいっぱい溜めたまま、「はい。」と、声にならなかった返事がすごく印象的でした。

近藤がようやく決心できたことをまだ知らない土方は、源さんに「近藤さんの傍にいてほしい。」と頼みます。
「あの人に下手に動かれると、仕事がやりづらくなる」だって・・・。（苦笑）

泥酔した芹沢が、「帰る。」と立ち上がります。
平山・平間と一緒にお供をしようと、立ち上がりかけた斎藤を、
「お前はもういい。」
芹沢が止めたのは、斎藤を巻き込みたくないという、芹沢さんの優しさでしょうね。
目を見合わせて、頷き合う鬼副長ズ。そしてまず、土方が出て行きます。
何かを感づく斎藤。

廊下では、芹沢と一緒に帰ろうとする野口を、次の店の手配を手伝ってほしいと、山南が止めてい
ます。

思案顔で酒を飲む斎藤が、近藤はと見れば、何かを思い詰めている表情。
すっかり酔っ払っちゃった風で厠へ立つ左之助と、「私も」と固い表情で後を追う沖田。総司、普通、そんな顔して連れションには行かない・・・。（苦笑）
斎藤はそれらを見て、疑惑が確信へと変わります。さりげなく席を立つ。さすが、斎藤さんは立ち方が自然だ。それを見送る近藤。
平助が泣きそうな顔で、バタバタと座敷に戻ってきました。山南さんに話を聞いたのですね。
そうだ、というように、平助に力強く頷いてみせる源さんがいい。
芹沢暗殺を前に、それぞれがそれぞれの思いを持ち、それぞれに動く。その見せ方が、自然で上手いですね。

立ち上がり、後を追おうとした近藤を、源さんが止めます。
「行ってはなりません！」
羽交い絞めにして止める源さんに、「そうではない！！」と振り向いて、「俺は鬼になった。」と宣言する近藤。うわっ、近藤さん、目つきが違うよ～。

店を走り出る刺客４人。凛々しくて素敵だ。しかし、その前に斎藤が立ち塞がります。
「ここを通す訳にはいかん。俺は芹沢さんを守る。」
斎藤の思い詰めた目。
「わかってくれ。お前とは争いたくねぇんだ。」との土方の言葉を聞くも、抜刀。
「しょうがねぇな。」　左之助も槍を構える。
そこへ近藤が駆けつけます。
「斎藤くん、君が芹沢さんに恩を感じているのは、よくわかった。しかしもう十分だろう。」「もう、仲間内での争いはたくさんだ。その刀をこれからは、ご公儀のためだけに抜いてくれ。」
近藤の言葉に、泣きそうな表情で刀を納める斎藤。なんか、もらい泣きしてしまうよ～。
うんうん、わかってくれたか・・・って感じの、左之助の笑顔が優しい。

近藤は土方の目を見つめて、「お前に浪士組の行く末、託した。」と告げます。
「心得た。」　近藤を見つめ返して、しっかりと頷く土方。
さらに近藤は総司にも、「強いぞ、敵は。侮るな。」と声をかける。
「はい。」　ずっと近藤を避けてきた総司。芹沢を斬ると覚悟を決めたその時から、まっすぐ近藤に
向き合えるようになったのですね。
「おい、急ごうぜ。」
左之助の言葉を合図に、芹沢を追って走り出す４人。
斎藤の横をすり抜ける時、その肩に手を置いてる土方さんが優しい。
近藤が走り去る４人をしっかりと見送っています。
土方たちの動きをしっかりと見届けてくれている、近藤さんの姿に感激。この姿をずっと待っていたの。

芹沢たちは八木邸に到着。帰営の途中を襲う計画が狂ってしまいました。
が、「今夜中に片を付ける。」　寝込みを襲うことに決定。
「お梅さんは助けてあげてください。」　総司の助命嘆願に、迷った末、「あの女には手を出すな。」と土方。

空がにわかにかき曇り、激しい雷鳴が轟きます。
目を覚ましたひでちゃんが障子を開けると、そこには総司が。
「何を聞いても、けして部屋から外へ出るな。」　怒鳴るように言われて、慌てて部屋へ戻るひでちゃん。

庭で待機する４人の刺客。激しく雨が降ってきました。
部屋へと駆け寄り、一斉に刀を抜く（左之助は槍だが）姿が素敵です。
縁側から土方と山南、隣りの部屋から総司と左之助。２方向から障子を開けて中の様子を窺う。
緊張した表情。
一斉に障子を開け放ち、走りこむや、芹沢の布団に刀と槍を突き立てます。
しかし、激しい稲光の中に浮かび上がったのは、出窓のところに腰掛けて、不敵に笑う芹沢の姿で
した。（きゃぁ～っ！！）
驚いて飛び下がる、４人の表情がいい。
「ずいぶんと待たせやがる。」
鴨さん、カッコよすぎ。（爆）
さらに、酒を呷りながら、自分を殺しに来たメンバーを確認する。
「土方・・・、山南・・・、こっちは左之助か・・・。もう一人は誰だ？」
稲光に照らし出される総司の顔。「嬉しいぜ。」と笑う芹沢。
すごい。芹沢さん、すごい余裕だよ。これだけでびびっちゃうよ。
寝ていたお梅を起こして、逃がそうとするのも余裕だ。
「たった４人か・・・。俺もなめられたもんだ。」
うひょ～～。

最初に斬りかかったのはやはり土方。けれど、鞘に入ったままの刀であっさり払われてしまう。
素早く間合いを取り、山南と背中合わせに立つ。このツーショット、嬉しい。
瓢箪を布団の上に投げ捨てて、ようやく立ち上がる芹沢。すらりと刀を抜く姿も貫禄だ。
一段と激しい雷。斬り合いが始まる。
が、お梅の悲鳴に、２階で寝ていた平山と平間が下りてきてしまいました。
「そっちは任せた！！」
上ずっている土方の声。左之助と山南が平山・平間の相手に回ります。山南さん、平間と刀を合わせるなり、蹴り入れてるよ。かっこいい。
そして４人は庭へ。
雷鳴に目を覚まし、騒ぎに気が付いて、縁側に出ていた雅さんとひでちゃんが、悲鳴をあげて部屋へと逃げ込む。

平間を庭の隅に追い詰める山南。腕に斬りつけて刀を落とし、「行け！」　平間を逃がしてしまった。優しい。
どうしても倒さねばならぬ相手は芹沢。あとは、必要以上の殺生は避けたいということか？
左之助から逃れて山南に向かってきた平山のことも、その刀を叩き落し、喉元に切っ先をつけたまま、とどめを刺すことができない。山南さん、苦しそうな表情だ。
ついに、刀を引いて背を向けてしまった。その間に「逃げろ」ということだったのだろう。けれど、平山は落ちていた刀を拾って、山南の背中に斬りかかる。
振り向いて、呆気に取られる山南。受けられないっ！！
その時、間一髪、左之助が投げた槍が平山に突き刺さった。
倒れていく平山を、呆然と見つめる山南。
「戦じゃなぁ、躊躇った方が負けなんだよ、先生。」　左之助が憎々しげに言う。
山南は、青く、張り詰めた表情だ。まるでガラスのように・・・。何かの拍子にパリンと割れてしまいそう・・・。
もしかするとこの優しさが、山南のアキレス腱になるのだろうか・・・？

部屋の中では、芹沢ｖｓ土方・沖田の死闘が続いています。
芹沢さん、強い。
土方さん、吹っ飛ばされてるし、総司は台所に追い詰められて、ザル投げてるし。（必死）
あ、土方の刀が折れた。脇差に手をかけるも、芹沢に刀を突きつけられる。
「芹沢さんっ！！」
思わず、芹沢の注意を自分に向けようと、叫ぶ総司。
にやり。芹沢さん、強すぎ。

土方には刀、沖田には鉄扇、対峙していた均衡が破れる。
凄い迫力の立ち回り。芹沢の投げた鉄扇が、屏風に突き刺さる。
あ、沖田の上段に振りかぶった刀が、鴨居に突き刺さった。
ダメだよ、総司。室内の戦闘で上段に構えちゃ。
脇差で応戦するも、敷いてあった布団の上に倒される。
追い詰められて絶体絶命・・・と思ったその時、なんと芹沢が、転がっていた瓢箪に足を取られて
体勢を崩した。
すかさず総司が起き上がって、芹沢の腹部を刺す。
芹沢を見上げる総司。まっすぐな、穢れの無い瞳。芹沢がかすかに笑う。
背後から土方がとどめを刺し、芹沢は倒れる。
沖田と土方の荒い息遣い。敵を倒した直後の、土方の余裕のない表情がいい。

「あんた？なにしてんの？」
お梅が芹沢に駆け寄る。
「逃げて。早く逃げて！！」
沖田がお梅の肩を掴んで叫んだ時、お梅は総司の手にしていた刀で自らの胸を突く。
呆気に取られる総司の腕の中で、息を引き取るお梅。
うわぁ、この展開はきついなぁ。総司の心に深い傷が残りそう。

スピード感もあり、凄い迫力の殺陣のシーンでした。
時々入る稲光と雷鳴が、とても効果的に使われていて・・・。
すさまじい緊張と興奮。まさに修羅場・・・。

みんな呆然と立ち尽くす中、左之助が芹沢に近づき、その胸に改めて槍でとどめを刺します。
左之助、戦闘モードにスイッチが切り替わると、すごく不気味だ。容赦ない。他の３人がいっぱいいっぱいだったのに対して、一人余裕かましてたし。
左之助の行動に我に返ったように、山南と土方がてきぱきと後始末を始めます。鴨居に刺さった総司の刀を引き抜き、長州の印しの入った笄を落とし・・・。土方さん、用意のいいこと。(爆）
呆然としている沖田を左之助が引っ張って、４人は庭を抜けて出ていきます。
それを、障子を少しだけ開けて、見ている為三郎くん。彼がやがて、この夜のことを語った史実を、
上手く表わしていますね。

宴会の席に残った、近藤・井上・藤堂。そこへ、二次会の世話をしていた野口が帰ってきます。
屯所へ戻るという野口に、「芹沢局長は亡くなられた。平山さんも平間さんも一緒だ。」と告げる平助。
「私はこれからどうすれば・・・？」　打ちひしがれる野口。
「水戸へ帰って、剣術の道場を開いて、子ども達に教えてやれ。」　平助の悲痛な声。
実際には、この後、切腹させられてしまう野口ですが、このドラマではこのまま脱退する形にしたようですね。
「辛い夜だ・・・。こんな夜はもうたくさんだ。」
顔を歪ませる近藤。源さんも辛そうだ。
野口と平助の嗚咽が聞こえる・・・。

嵐が去り、気持ちの良い青空です。
屯所では芹沢の葬儀が行なわれています。弔辞を読む近藤。
そして「新選組」の名前が発表になります。新しい「新選組屯所」の看板に、思わず漏れる感動の声。
今日からは近藤局長の下、新体制で歴史の流れの中に踏み出していくのですね。

芹沢という、大きな壁を乗り越えた近藤たち。
これからの展開を考えると手放しで喜んでもいられないのですが、隊士たちの気合いの入った表情と輝く瞳に、頑張れよ！と思わず呟きたくなってしまうのでした。