新選組文庫

小説     

燃えよ剣 (上・下) 司馬遼太郎 新潮文庫 1972年
 土方歳三ファンにとっては、やはり“バイブル”といえる小説でしょう。
 喧嘩は上手いけど照れ屋で不器用、そんな土方さんのイメージを作り上げた作品です。
新選組血風録 司馬遼太郎 角川文庫 1969年
 新選組の隊士たちの素顔を描いた短編集です。どの隊士たちも個性豊かで、どこか哀愁が漂い
 ます。私は「沖田総司の恋」「前髪の惣三郎」「池田屋異聞」「胡沙笛を吹く武士」が好き。
新選組始末記 子母澤寛 中公文庫 1977年
 ジャーナリストだった著者が、縁の地を歩き、縁の人々から話を聞き、新選組を描いた作品。
 昭和3年刊行。長い間新選組研究の定本とされてきたが、最近は創作物として評価されている。
新選組遺聞 子母澤寛 中公文庫 1977年
 「新選組始末記」に続く、新選組三部作第2弾。前作の隙間を埋めていくようなエピソードの
 数々は、読み物として本当に面白い。みんな、生き生きとしています。
新選組斬人剣 小説土方歳三 早乙女貢 講談社文庫
(講談社)
1998年
(1993年)
 土方歳三の、少年時代から、池田屋事件で新選組の名を全国に鳴り響かせるまでを、描いた小説。
 土方さんの、華麗な女性遍歴が素晴らしい。
沖田総司 (上・下) 早乙女貢 講談社文庫
(講談社)
1979年
(1976年)
 沖田総司の生涯を、浪士組へ参加する辺りから描いた小説。明るく純情な青年という従来のイメー
 ジはそのままに、剣士として、新選組隊士として生きる日常が等身大で描かれています。
土方歳三 戦士の賦 (上・下) 三好徹 学陽書房
(秋田書店)
1998年
(1988年)
 江戸試衛館で悶々としていた土方は、京へ上り新選組を作り上げ、幕府崩壊後も最後まで戦い続
 ける。冷静な目を持つ一方で、親しい人達に向ける情が温かい土方さんです。
沖田総司 六月は真紅の薔薇 (上・下) 三好徹 学陽書房
(講談社)
1997年
(1975年)
 試衛館から広い世界へ飛び出したいという夢。京へ上ってからは、理想と現実の狭間で苦悩する。
 労咳を患う女性との切ない恋など、生身の総司が生き生きと描かれています。
土方歳三散華 広瀬仁紀 小学館文庫
(新人物往来社)
2001年
(1978年)
 池田屋事件後、さらに鬼副長に徹していく土方。仮面の下の情け深さを知っている沖田や山崎が、
 脇から土方をしっかり支えます。姉によく似た尼僧とのやり取りが温かい。
沖田総司恋唄 広瀬仁紀 小学館文庫
(新人物往来社)
1999年
(1977年)
 京での沖田の活躍と心情を描いた作品。総司が可愛くて仕方ないでいる、近藤・土方・源さんの
 様子が微笑ましい。同じ病に罹った幼女と総司との交流が、哀しくて切ないです。
新選組風雲録(洛中・激闘・落日・戊辰・函館編) 広瀬仁紀 文春文庫
(大陸書房)
2004年
(1987年)
 ひょんなことから新選組副長の下で働くことになった盗っ人忠助と、土方との交流を中心に、新選
 組の盛衰を描いた小説。こんなに情の深い土方さんも総司も、他にはないかも。
歳三からの伝言 北原亞以子 講談社文庫
(新人物往来社)
2004年
(1988年)
 鳥羽伏見の戦いからの土方歳三を描いた作品。土方と美乃のシーンがどれも好きです。
 大人な二人だからこそ見せ合える素直な心情が、優しくていとおしい。
総司はひとり 戸部新十郎 中公文庫
(徳間文庫)
2002年
(1990年)
 初めて人を斬った時からその死までを、仇討ちの仇として追われる一人の武士と絡めながら、描い
 た小説。淡々とした描写の中に、総司の寂しさがそこはかとなく漂います。
総司残英抄 戸部新十郎 中公文庫
(徳間文庫)
2003年
(1990年)
 沖田総司を描いた短編集。その中で土方ファンの私は、入隊を志願して京までやってきた多摩の
 若者二人を前に、困り果てている土方さんがとってもツボです。
新撰組 山南敬助 童門冬二 学陽書房
(新人物往来社)
2007年
(1975年)
 少年の頃の挫折の記憶。以来山南敬助は、求めるものは決して得られないという諦念を持ち続け
 ていた。あくまでも尊皇攘夷にこだわる山南。しかし新撰組は壬生の人斬りの道を突き進んでいく。
新撰組 童門冬二 集英社文庫 2003年
 大河ドラマ「新選組!」で時代考証を手掛けた童門氏の小説。歴史的背景をきちんと解説しつつ、
 軽快なストーリーが読み易い、初心者にお勧めの作品です。
バラガキ 中場利一 講談社文庫 2000年
 池田屋に向かうところで終わる新選組というのも珍しい。池田屋に駆けつけなけりゃいけないのに、
 路上で土方、喧嘩してるし。(笑) めちゃくちゃヤンキーでイカレてる試衛館一派です。
壬生義士伝 浅田次郎 文春文庫 2000年
 南部藩を脱藩して隊士となった、吉村貫一郎の生涯を描いた作品。映像化もされたので、ご存じ
 の方も多いのでは? 貫一郎の最期には、やはり泣けますね。
輪違屋糸里 (上・下) 浅田次郎 文春文庫
(文芸春秋)
2007年
(2004年)
 土方歳三に密かに思いを寄せていた、島原の天神 糸里。土方も糸里を憎からず思っていた。
 しかし、運命が二人を翻弄する。芹沢鴨一派粛清を題材にした、浅田作品です。
黒龍の棺 (上・下) 北方謙三 幻冬舎文庫
(毎日新聞社)
2005年
(2002年)
 新選組副長の立場を越えて、新しい国を模索する土方像は、新鮮で魅力的。山南敬助との友情
 にも目を瞠る。さらに驚くべき結末!! まさに男のドラマです。
新選組 幕末の青嵐 木内昇 アスコム 2004年
 各章を誰かが語る形式で、新選組の歴史を綴っていくので、多面的で面白い小説です。まさに、
 青春の嵐が駆け抜けたような印象が残る。最終章の彦五郎さんの回想が、胸にじんときます。
地虫鳴く 木内昇 河出書房新社 2005年
 阿部十郎と尾形俊太郎、二人の隊士の目から、激しい時代の波と、その時代に翻弄される新選組
 を描いています。悩み戸惑う隊士たちに向ける著者の視線が、前作にも増して温かい小説です。
箱館売ります 幕末ガルトネル事件異聞 富樫倫太郎 実業之日本社 2004年
 幕末から明治にかけての混乱に乗じて、函館で起こったガルトネル事件に、土方歳三を上手く
 絡めて書かれた作品です。土方さんが、ちょっと味があって、かっこいい。
新選組藤堂平助 秋山香乃 文芸社 2003年
 新選組四天王の一人でありながら、伊東甲子太郎とともに新選組を離脱、油小路で惨殺される。
 己の心と土方への思いの間で揺れる平助と、それを見つめる土方を、丁寧に描いた作品です。
歳三往きてまた 秋山香乃 文芸社 2002年
 仲間の死、敗戦、友との別れ・・・。ぼろぼろに傷ついた土方は、それでもなお戦い続ける。前作「新
 選組藤堂平助」では恐ろしいほど冷ややかだった土方が、少しずつ見せていく深い情が印象的。
獅子の棲む国 秋山香乃 文芸社 2002年
 戊辰戦争で敗れた会津藩が、想像を絶する苦難を乗り越え復活していく姿を、会津藩の若き軍事
 総督山川大蔵、新選組を離れて会津に残った斎藤一を通して描いています。
総司炎の如く 秋山香乃 NHK出版 2003年
 動乱の京で、ただひたすら剣士として生きた沖田総司。病で体が動かなくなっていく中、彼はさらに
 高みを目指す。近藤の養子周平や敵対することになった友へも、熱い思いをぶつける総司です。
近藤勇 秋山香乃 角川ハルキ文庫 2004年
 侍に憧れ、幕府のため徳川家のために生きることを望んだ近藤勇。支え合い補い合ってきた土方
 との友情や、互いに認め合う沖田との師弟愛、仲間たちとの信頼関係がしっかりと描かれています。
五稜郭を落した男 秋山香乃 文芸社 2004年
 箱館戦争で最高司令官として五稜郭を落とした長州藩士山田市之允の、志士として、そして指揮
 官としての戦いを描いた作品です。市之允が目撃する土方さんが、かっこ良すぎる!!
新撰組捕物帖 源さんの事件簿 秋山香乃 河出書房新社 2005年
 六番隊組長でありながら、誠実で世話好きな井上源三郎は隊士たちから好かれていた。そんな源
 さんが関わる、隊士たちの事件の数々。源さんが救った少年が、土方とともに戦い抜く第5話に涙。
諜報新撰組 風の宿り 源さんの事件簿 秋山香乃 河出書房新社 2007年
 源さんの事件簿第2弾。今回は近藤派と芹沢派の対立に政治的な動きを絡めながら、佐伯又三郎
 をフィーチャーして描いています。「可愛くて悪かったな。」って、ふて腐れるトシがツボでした。
土方歳三 修羅となりて北へ 岳真也 学習研究社 2002年
 続く敗戦、仲間の死、そして別れ。しかし、土方歳三は戦い続ける。信念を貫こうとする自分自身と
 志半ばで逝った同志たちのために。優しさ・弱さを抱えながら、まっすぐ生きていく姿に惹かれます。
沖田総司 血よ、花と舞え 岳真也 学習研究社 2003年
 人を殺める業に苦しみ、叶うことのない初恋に悩み、病で役に立たぬ身を呪う総司。そんな総司を
 支えたのは、一人の僧侶でした。傷つきながら、短い人生を懸命に生きる総司が愛しい。
新選組秘帖 中村彰彦 新人物往来社 2002年
 隊士や新選組に関わった男たちを描いた小説集。特に、明治まで生き残った隊士たちを扱った
 作品群が素晴らしい。佐藤彦五郎家に匿われていた市村鉄之助の話には、泣けます。
いつの日か還る 中村彰彦 文春文庫
(実業之日本社)
2003年
(2000年)
 壬生浪士組からの古参隊士であり、箱館まで戦い抜いた島田魁。巨体に似合わぬ、真面目で
 優しい男が見た、新選組の姿とは・・・。親友永倉新八との、明治まで続く友情が素敵ですね。
散華 土方歳三 萩尾農 五稜郭タワー(株)
(新人物往来社)
2005年
(1989年)
 こんなに母性本能をくすぐられる土方歳三は初めてでした。傷つきやすくて、寂しがり屋で、意地
 っ張りで・・・。著者の思い入れが限りなく深い、女性にしか描けない土方だと思います。
土方歳三 増補版 大内美予子 新人物往来社 2004年
(1974年)
 流山で近藤と別れてから、新選組を卒業してからの土方歳三を描いています。近藤の死、総司の
 死に傷つき、許嫁のお琴や弟分の三次に情をかける土方は、驚くほど繊細です。
沖田総司 大内美予子 新人物往来社 1972年
 若き剣士 沖田総司の生涯を、女性の目線で優しく描いた小説です。病のために諦めた女性を、
 最後まで温かく見守る総司の優しさ。土方との深い信頼関係も、心に沁みます。
沖田総司哀歌 森満喜子 新人物往来社 1972年
 幕末に生きた一青年、沖田総司を描いた短編集。どれも、優しくて哀しい、素敵な作品ばかりです
 が、総司の密葬を描いた「五月闇」は、中学生の頃、泣きながら何度も何度も読みました。
紅の肖像−土方歳三− 遊馬佑 文芸社 2004年
 “仏の歳さん”が“鬼の歳三”として生きる・・・。そのために彼を苛む苛立ち、自己嫌悪、苦悩。
 唯一総司にだけ、土方は素顔を見せる。難しいことを考えず、さらりと読める作品です。
土方歳三 流転の剣 木村伸一 文芸社 2004年
 冒頭、二度目の奉公先から逃げ帰ってきた17歳の歳三が、長兄為次郎の部屋を訪れる場面が
 好きです。剣術の修行を積んでいくところも、面白いですね。
人間 土方歳三 −新選組副長秘め語り− 村瀬彰吾 舞字社 2005年
 日野市役所新選組主幹である著者が、新選組の歴史に触れ、子孫の方々と話す中から、知った
 ことや感じたことを、土方歳三自身が語る形で書いた小説。
大鳥圭介 土方歳三との出会と別れ 古賀志郎 彩流社 1993年
 片や知識で幕臣となった大鳥圭介と、片や剣で身を立てた土方歳三。経歴も性格もまるで違う
 二人が、ともに戊辰戦争を戦っていきます。大鳥の土方を見つめる視線が、新鮮で温かい。
榎本武揚 安部公房 中公文庫 2004年
(1965年)
 江戸脱走から函館戦争までの旧幕府軍の戦いは、榎本武揚が仕組んだ負けるための戦争だっ
 たという仮説をもとに、時代に忠誠を尽くす者と転向する者の姿を描いた文学作品。 

 
新選組文庫 書評 小説

 

史料解説等     

歴史のなかの新選組 宮地正人 岩波書店 2004年
 歴史学の立場から展開する新選組史論。かなり本格的な研究書なので、上級者向けと言えましょう。
 10章、11章の史料論も、とても参考になります。
新選組 松浦玲 岩波新書 2003年
 激動の幕末の京で、新選組は何をしようとしていたのか、どのような存在であったのか。近藤勇の
 書簡を中心に史料を読み解きながら、新選組の実像に迫る一冊。かなり専門的ではあります。
新選組は京都で何をしていたか 伊東成郎 KTC中央出版 2003年
 京都における新選組の歴史を、抽出した35の事件を検討することによって、検証しています。
 史料の引用も多く、読み下し文にしてあるのでわかりやすい。
続 新選組史料集   新人物往来社 2006年
 『新選組史料集』に続く、史料集。「近藤勇 土方歳三」「今昔備忘記」「吉野家文書」「恩田家文書」
 「吉野春山文書」など、さらに貴重な史料の数々は、イメージをさらに膨らませてくれます。
新選組日記 木村幸比古 PHP新書 2003年
 永倉新八の手記「浪士文久報国記事」と、島田魁が綴った「島田魁日記」を読み解く、解説書。
 新選組とともに生きた二人の、行間から滲む新選組への思いに、胸打たれます。
史伝 土方歳三 木村幸比古 学研M文庫 2001年
 京都 霊山歴史館学芸課長の木村幸比古氏が、詳細な史料をもとに、土方歳三の生涯を描いた
 作品。史料集と小説の中間という印象で、気軽に読めます。
小島日記 (28〜33)   小島資料館  
 小野路村寄場名主であった小島鹿之助の日記のうち、文久3年から慶応4年までの分。
 京の近藤や土方の安否を気遣いながら、多摩を守る鹿之助の様子が浮き上がってきます。
聞きがき新選組 佐藤あきら 新人物往来社 1972年
 土方歳三の義兄 佐藤彦五郎の孫である佐藤仁氏が執筆した、家伝「籬蔭史話」を、息子である
 著者が編纂したもの。市村鉄之助が土方の遺品を持って佐藤家を訪れた逸話はあまりにも有名。
佐藤彦五郎日記 (一・二)   日野市 2005年
 安政四年から万延二年、元治元年から明治二年までの佐藤彦五郎の日記。全体の解説と新選組
 関係記事年表の他は、ほとんど原文のままです。欠落部分の発見が非常に待たれるところです。
図録 日野宿本陣   日野市 2004年
 日野宿の歴史と本陣の建築、佐藤彦五郎と新選組の関係などが、写真や史料を挟みながら解説
 されています。よくまとまった一冊です。
新選組のふるさと日野   日野市 2003年
 日野市ふるさと博物館が2001年に編集発行した『甲州道中日野宿と新選組』をもとに、新選組
 フェスタin日野実行委員会が発行した史料解説集。
八王子千人同心井上松五郎
  文久三年御上洛御供旅記録
  井上源三郎資料館 2004年
 文久3年(1863)2月から7月まで、14代将軍徳川家茂は京へと上りました。八王子千人同心として
 上洛のお供をした井上松五郎は、詳細な旅記録を残しました。壬生浪士組との交流も微笑ましい。
軌跡U 新選組特集 日野の古文書を読む会 2006年
 2004年にふるさと博物館で行われた連続講座「古文書で読む新選組」と、日野の古文書を読む
 会定例会における「古文書で読む新選組」シリーズの記録をまとめたもの。
本田覚庵日記   くにたち図書館 1989年
 土方さんが米庵流の書を習っていたという、本田覚庵さんの日記です。医家として、書家として、
 名主として忙しかった覚庵さん。その日常の中に、時々現れる“石田歳蔵”の文字が嬉しい。
本田定年日記 くにたち中央図書館 1991年
 本田定年(退庵)さんは、覚庵さんの次男。彦五郎さんちの源之助同様、土方さんに甥っ子のように
 可愛がられたのであろう定年の、明治5年〜6年の日記です。 
幕末から自由の権へ
 〜本田家の人々が見た時代〜
 くにたち郷土文化館 2006年
 くにたち郷土文化館の平成18年度秋季企画展の図録です。日野の佐藤家、小野路の小島家など
 とも親交の深かった本田家が、どれほど谷保や多摩を支えていたかがよくわかります。
土方歳三、沖田総司全書簡集 菊地明 新人物往来社 1995年
 筆跡はときに、隠しているその人の感情まで表わすもの。土方さんの、日野にいた頃の筆跡と京へ
 上ってからの筆跡の違い、意外と綿々と走る総司の筆。彼らの息遣いさえ伝わってきます。
写真集 土方歳三の生涯 菊地明・伊藤成郎
横田淳
新人物往来社 2001年
 土方歳三の生涯を、写真で綴っています。貴重な古写真には、土方さんが生きた時代が偲ばれて、
 感動します。佐藤彦五郎の覚え書や、安富才輔の書簡、島田魁の遺品なども嬉しい。
新選組全隊士録 古賀茂作・鈴木亨 講談社 2003年
 新選組全隊士のデータと逸話を、あいうえお順にまとめた一冊。
 18人の執筆者が、分担して書いています。
新選組日誌 (上・下)  コンパクト版 菊地明・伊藤成郎
山村竜也
新人物往来社 2003年
 新選組に起こった出来事が日付順に解説されている、文字通り“新選組の日記”。一つ一つ史資料
 が引用されてあり、まるで新選組の事典のような充実した内容になっています。
新選組全史 (上・中・下) 菊地明 新人物往来社 2004年
 さまざまな史料をもとに、浪士組の上京から函館戦争終結までを綴った、まさに新選組の通史。
 史料は読み下し文で引用してあり、解説もわかりやすい。
土方歳三の生涯 菊地明 新人物往来社 1995年
 様々な史料を検証しながら、土方歳三の生涯を綴った書。小説に近い読みやすさがあり、新選組に
 関する歴史書として、初めて手に取るのにお勧めしたい。
土方歳三遺聞 菊地明 新人物往来社 2002年
 土方歳三に関係する10のテーマについて、史料を検証し、著者の見解を述べています。
 特に、会津での土方の動きと、箱館での戦死状況に関する考察はとても興味深い。
クロニクル 土方歳三の35年 菊地明 新人物往来社 2003年
 土方歳三の35年の生涯を、さまざまな角度から紹介しています。写真も多く、小さなエピソードや記録
 なども拾ってあります。土方さんの全書簡が収録されているのも嬉しい。
新選組の真実 幕末の最強集団 菊地明 PHP研究所 2004年
 事実を追いながら新選組の通史を描いており、地図や表・写真なども載って、大変わかりやすい一冊
 になっています。通説の検証などにも踏み込みつつ、なにより著者の愛情が感じられるのが嬉しい。
土方歳三の日記 伊東成郎 新人物往来社 2000年
 郷土史家天野佐一郎が昭和18年、雑誌「新風土記」の中に引用した土方の手記こそ、いまだ行方
 の知れない土方の日記でした。この発見により、さまざまな新事実が明らかになるのです。
閃光の新選組 伊東成郎 新人物往来社 2006年
 慶応2年秋、新選組は京都三井両替店に金子の借用と出入用達となることを要求する。これを回避
 するために苦労した担当者の記録『新選組金談一件』。新選組の新しい姿が見えてきます。
新選組残日録 伊東成郎 新人物往来社 2007年
 慶応元年6月、将軍家茂は新選組の総員名簿を読みたいと言い出した。将軍家茂は新選組局長が
 狙撃されたことを知り、すぐに夜具と金子と見舞いの言葉を贈っていた。ちょっと感動です。
新選組二千二百四十五日 伊東成郎 新潮文庫 2007年
 2003年に河出書房新社より刊行された『新選組決定録』が、改訂・文庫化されました。
 文庫化にあたり、菊地明氏との特別対談「同時代人が見た新選組」が収録されています。
新撰組五兵衛新田始末 増田光明 崙書房 2006年
 なぜ新選組は五兵衛新田に屯集したのか。そこで何をしていたのか。金子家文書の買い物帳を
 検証することにより仮説を立て、さらに流山での近藤勇降伏の謎に迫ります。
慶応四年新撰組近藤勇始末 あさくらゆう 崙書房 2006年
 鳥羽伏見の戦いに敗れ、江戸に戻ってきてからの近藤勇は、幕臣大久保大和として動いていたこと。
 新撰組を含む大久保大和隊は、幕府公認の鎮撫隊として動いていたことなど、とても興味深い内容。
紀行 新選組 尾崎秀樹 知恵の森文庫
(新人物往来社)
2003年
(1973年)
 単行本での出版が古いので、史実の解釈や史跡の写真が現在と違ったりしますが、逆に幕末に近い
 空気を感じます。復刻にあたり本書に寄せて書かれた、ご子孫土方愛さんの文章に感動しました。
土方歳三 物語と史蹟をたずねて 童門冬二 成美文庫
(成美堂出版)
2003年
(1985年)
 成美文庫の“物語と史蹟をたずねて”シリーズの一作。物語の部分はやや浅いが、「史蹟探訪」として
 縁の地の説明や行き方が載っています。ガイドブックとして読むとちょうどいい。
沖田総司 物語と史蹟をたずねて 童門冬二 成美文庫
(成美堂出版)
1996年
(1977年)
 成美文庫の“物語と史蹟をたずねて”シリーズの一作。物語の部分はやや浅いが、「史蹟探訪」として
 縁の地の説明や行き方が載っています。ガイドブックとして読むとちょうどいい。
土方歳三・孤立無援の戦士 新人物往来社編 新人物往来社 1998年
 土方歳三の研究に情熱を燃やしてきた女性たちが、その研究の成果や思いの丈を綴った、謂わば
 “土方歳三に捧げる恋文集”。同人誌的な作品もありますが、熱き思いには共感できます。
俳遊の人 土方歳三 管宗次 PHP新書 2004年
 文学博士である著者が、土方の「豊玉発句集」を中心に、土方の句や詩歌と近藤の和歌・漢詩から、
 二人の人物像を浮き彫りにする。司馬遼太郎「燃えよ剣」における、引用の仕方の解説が興味深い。
沖田総司・おもかげ抄 森満喜子 新人物往来社 1975年
 司馬遼太郎著「新選組血風録」に実名で登場する著者は、まさしく沖田総司研究の第一人者。
 数少ない彼の史料を可能な限り収録し、総司のおもかげを紡ぎ出します。
新選組の遠景 野口武彦 集英社 2004年
 幕末の時代背景や当時の様々な史料から、改めて新選組の歴史を検証した作品。新選組を遠景に
 して眺めた時、まったく新しい姿が見えてくるのが面白い。
未完の「多摩共和国」 佐藤文明 凱風社 2005年
 新選組を生んだ多摩は、武士(もののふ)の郷であった。鎌倉武士の気概と自主・自治の精神が受け
 継がれてきた土地で、開明派の代官江川坦庵が若き名主佐藤彦五郎を育て、農兵隊を立ち上げる。
新選組 多摩党の虚実 神津陽 彩流社 2004年
 なぜ日野が新選組のふるさとなのか?日野宿名主佐藤彦五郎は、新選組の黒幕ではないのか?
 土方歳三と佐藤彦五郎との繋がりを、新しい観点から解明しようとしているところが興味深いです。
新選組 幕末に咲いた滅びの美学   河出書房新社 2001年
 新選組作家のエッセイや対談、紀行アルバム、アンケート、短編小説や論文などを集めたムック本。
 俳優栗塚旭さんと小説家逢坂剛さんとの対談が嬉しいです。
土方歳三 新選組の組織者   河出書房新社 2002年
 土方歳三の素顔に迫る、紀行アルバム、エッセイ、論文、小説などを集めたムック本です。土方陽子
 館長による土方資料館の案内、復本一郎氏による「豊玉発句集」全評釈が嬉しい。
子孫が語る土方歳三 土方愛 新人物往来社 2005年
 土方歳三の兄、隼人喜六から数えて6代目の著者が、土方家に伝わる遺品を紹介し、エピソードを
 綴っています。土方を見つめる、身内の暖かい眼差しが、随所に感じられる著作です。
ふるさとが語る土方歳三 谷春雄・大空智明 日野郷土史研究会 2003年
 新選組研究の第一人者で、日野の郷土史家である谷春雄氏が、対談の形で土方歳三と新選組の
 素顔を語ったもの。まるで身内の昔話を聞いているようです。確か、書店では手に入らないはず。
井上松五郎・源三郎兄弟の事蹟   井上源三郎資料館 2004年
 平成16年、井上源三郎資料館の開設にあたり、史料内容の説明にと発行された冊子です。
 郷土史家の谷春雄さんが編集に携わり、詳細で読み応えのある一冊になっています。
新選組 永倉新八のひ孫がつくった本 杉村悦郎・和紀 柏艪舎 2005年
 悦郎氏が曾祖父についての評伝を出版し、和紀氏がドキュメンタリー番組を制作したことから、取材
 で出会った子孫やファンのインタビュー、出版・制作の舞台裏などを1冊にまとめたもの。
新選組の青春 壬生と日野の日々   青幻舎 2003年
 壬生と日野に焦点を絞って、新選組を見つめています。日野のご子孫の皆さんの座談会は、一読の
 価値あり。京都の史跡めぐりコースは使えそう。京都と日野の他では通販か取り寄せかもしれません。
試衛館史留越図 あさくらゆう 市谷柳町試衛館  
 試衛館があった市谷柳町のこと、天然理心流と試衛館のこと、近藤勇のことが、丁寧に解説されて
 います。写真も豊富で、古地図と現在の地図との比較もでき、とても内容の濃い小冊子です。
新選組読本〜隊士外伝 あさくらゆう 玉造町観光協会 2005年
 芹澤鴨・新見錦・斎藤一の人物像に迫る一冊。丁寧に文献をあたって炙り出した芹澤鴨と新見錦の
 実像は、今まで小説や映像で描かれてきたイメージとは違い、新鮮でした。
新選組読本〜隊士外伝2 あさくらゆう 玉造町観光協会 2005年
 外伝2は、市村辰之助・鉄之助兄弟と、相馬主殿(主計)について書かれた一冊。今回も、各地に
 足を運んでの調査研究から導き出された考察は、大変興味深いものになっています。
新選組大全史 新選組クロニクル通史編   新人物往来社 2003年
 豊富な写真とともに、新選組通史を綴る他、大きな事件をドキュメントとして詳しく検証しています。
 池田屋探索・襲撃ルートや戦跡紀行も面白い。隊士の墓所探訪まであるのには驚きです。
新選組を歩く 士道に殉じた男たちの軌跡   新人物往来社 2003年
 近藤・土方が生まれ育った日野から、江戸、京、会津、函館と、彼らの足跡を追いながら、新選組の
 歴史を語っています。写真はもちろん地図も豊富で、この本を片手に、縁の地を歩きたい。
新選組原論 新選組研究バイブル   新人物往来社 2001年
 新選組研究についての解説書。謎の事件論争史や史料批判は、読み応えがあります。組織論や
 天然理心流論も面白い。研究者列伝は壮観です。
血誠新撰組 峻烈壬生浪士の忠と斬   学研 1992年
 歴史群像シリーズの1冊です。表紙が濃くて思わず引いてしまうのですが(苦笑)、人物伝から組織や
 思想の分析まで、読み応え十分な内容。近藤・土方・沖田を文字から分析しているのが面白かった。
土方歳三 熱情の士道 冷徹の剣   学研 1999年
 同じく歴史群像シリーズの1冊で、やはり表紙に思わず引いてしまうのですが(苦笑)、戊辰戦争の
 検証や土方をめぐる人間模様、写真付きで解説される天然理心流の必殺剣などが興味深いです。
京都新選組 「誠」の風景を旅する   学研 2004年
 学研グラフィック百科「幕末を歩く」シリーズの1冊です。京都における新選組関連史跡の、大きな
 カラー写真が嬉しい。京都まではなかなか行けないので、写真を見て行った気分になっています。
京都新選組 散りゆく「義」の残照を訪ねて   学研 2004年
 上記が上巻で、こちらが下巻です。
 上巻が池田屋事件までの史跡を中心に、下巻がそれ以後の史跡を中心に掲載されています。
新選組と会津藩 星亮一 平凡社新書 2004年
 文久2年、京都守護職を拝命した会津藩。そして文久3年、会津藩の預りとなって、京・大阪の治安に
 あたった新選組。会津藩の立場から新選組の実態を捉えた、興味深い記述です。
会津藩と新選組    歴史春秋社 2003年
 会津藩と新選組の絆を探り、ともに歩んだ歴史を綴ります。会津における新選組関連の史跡ガイドも
 あって嬉しい。会津地方以外では、通販か取り寄せでないと入手できないかもしれません。
箱館戦争写真集 菊地明・横田淳 新人物往来社 1999年
 タイトルの通り、箱館戦争に関する写真集です。特に、他ではなかなか見られない古写真の数々の、
 圧倒的な説得力に圧倒されます。現在の写真もすべて、白黒に統一されています。
南柯紀行・北国戦争概略衝鉾隊之記 (解説 菊地明) 新人物往来社 1998年
 大鳥圭介著『南柯紀行』、今井信郎著『北国戦争概略衝鉾隊之記』、同『蝦夷之夢』、小杉雅之進著
 『麦叢録』を所収する、戊辰戦争の生々しい記録です。大鳥の漢詩の読解が、少々手強い。
特別陳列 新選組   京都国立博物館 2003年
 2003年に京都国立博物館で開催された、特別陳列「新選組」の展示解説書。
 多摩郷土史家・谷春雄氏の寄稿「日野と新選組」が嬉しい。
新選組!展   NHK 2004年
 2004年に江戸東京博物館と京都文化博物館で開催された、「新選組!」展の展示解説書。
 とても充実していた展示内容が、そのまま収録されています。
第一回特別展 新選組誕生   日野市 2006年
 2006年に日野市立新選組のふるさと歴史館で開催された、特別展「新選組誕生」の展示解説書。
 展示内容を監修した宮地正人氏の言葉、石田村関係資料について土方智氏の特別寄稿を掲載。
第二回特別展 新選組 京都の日々   日野市 2007年
 日野市立新選組のふるさと歴史館で2007年春に開催された、第2回特別展「新選組 京都の日々
 」の展示解説書。オリジナルテーマ曲を作曲した、「パーソンズ」の藤田勉さんのコメントも掲載。
日野宿関係史料集一   日野市 2005年
 天和3年〜元禄13年の「日野宿問屋道中触御留帳」、元禄4年〜宝永2年の「日野宿万算用覚帳」
 、天保10年版(推定)「会計便覧」を掲載。
日野宿関係論考一 日野宿関係史料集二   日野市 2007年
 史料集一に続き、「日野館・宮崎勝義氏所蔵文書」から日野宿関係史料を掲載。さらに、日野宿本陣
 の襖の漢詩の読み下しと解説、近藤勇宛佐藤彦五郎書状案についての宮地正人氏の論考を掲載。

 
新選組文庫 書評 史料解説等
 

       図書館閲覧

新選組史料集   新人物往来社 1995年
箱館戦争史料集 須藤隆仙 新人物往来社 1996年
新選組隊士山崎丞取調日記   日野市 2005年
文久三年御上洛御供旅記録  日野の古文書を読む会 1998年

 
新選組文庫 書評 図書館閲覧

 

雑誌     

歴史読本  2004年12月号 新人物往来社
 特集 新選組をめぐる女性たち
  浪士組の実像、幕末京都の会津藩と新選組、新選組の史料論、会津秋まつりのレポートなど
歴史読本  2005年9月号 新人物往来社
 特集 永倉新八と『新撰組顛末記』の謎
  永倉新八の再検証、「七ヶ所手負場所顕ス」全解読、『新撰組顛末記』の謎、永倉新八遺品選など
歴史読本  2006年5月号 新人物往来社
 特集 幕末京都志士日誌
  幕末京都 志士の足跡、藩邸日録、史蹟大事典、幕末京都論などのほか、古写真で見る松前城
幕末史研究 No.35 小島資料館
幕末史研究 No.41 小島資料館
日本の100人 No.50  近藤勇 デアゴスティーニ・ジャパン
日本の100人 No.55  土方歳三 デアゴスティーニ・ジャパン
日本の100人 No.73  榎本武揚 デアゴスティーニ・ジャパン
新選組! 前編  NHK大河ドラマ・ストーリー NHK出版
新選組! 後編  NHK大河ドラマ・ストーリー NHK出版
TVnavi特別編集 「新選組!!土方歳三最期の一日」
      メイキング&ビジュアル完全ガイドブック 
   
扶桑社

 
新選組文庫 書評 史料解説等

 

漫画     

風光る (1〜22巻 連載中) 渡辺多恵子    小学館  
月明星稀 さよなら新選組(1〜10巻) 盛田賢司 小学館 2006年 
新選組異録 無頼 (1〜3巻) 岩崎陽子 秋田書店 2004年
新撰組異聞 PEACE MAKER (1〜6巻) 黒乃奈々絵 ENIX 2001年
PEACE MAKER 鐵 (1〜5巻) 黒乃奈々絵 Mag GARDEN 2005年
北走新選組 菅野 文 白泉社 2004年
凍鉄の花 菅野 文 白泉社 2005年

 

DVD    

新選組のふるさと 日野 日野市ふるさと博物館  
風を継ぐ者 演劇集団キャラメルボックス 1996年公演
燃えよ剣 明治座 2004年公演
大河ドラマ「新選組!」 完全版 第壱集 NHKソフトウェア 2004年放送
大河ドラマ「新選組!」 完全版 第弐集 NHKソフトウェア 2004年放送
大河ドラマ「新選組!」 スペシャル NHKソフトウェア 2004年放送
「新選組!! 土方歳三 最期の一日」 NHKソフトウェア 2006年放送

 

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