紀勢本線紀和駅の変遷 (2005年高架工事はじめから2008年高架化開業まで)  2009110日公開)

 

 紀勢本線の和歌山⇔和歌山市間に紀和という駅がある。この駅は、現在は乗降客の少ない11線の無人駅だが、1968年(昭和43年)まではここが和歌山駅だった。

 なぜ私がこんなにも紀和駅を取り上げるのか。鉄道路線の高架化自体は珍しいことではなく、南武線でも中央本線でもどこでも行われている事である。しかし、紀和駅は前述のとおりかつては県の主要駅であったという歴史もあり、その栄枯盛衰や変遷には20年以上にもわたって関心を抱き続けていたのである。

 

 実を言うと、この紀和駅のコーナーを作りたいと長い間思っていたのだが、最近になってそれを躊躇するような事があった。それは、引っ越し後の私の自宅宛に実家から送ってくる荷物の中にはデジカメ購入以前の写真が大量にあり、1987年に紀和駅の古いプラットホームを取材した時の写真も出てきたのだが、スキャナーでも使わない限りそれらの古い写真をこのコーナーに盛り込む事ができないので、紀和駅のコーナーを作ることを保留にしていたのである。逆に、スキャナーを使い出すと、過去十数年分の旅行記を作りたくなってしまうので、ある程度のところで歯止めをかけたいと思っているのである。とりあえず、高架化の変遷がわかる範囲内で新しい写真を上方にして公開しておく。

 

 

20081230日取材

 和歌山市側から紀和に向けて高架に差し掛かる部分…写真右側の線路は南海本線

 

 国道24号線と交差するかつての踏切部分には古い線路が残っている。写真手前が旧本線、奥が高架工事期間中の仮線路である。

 

 11線の高架駅となった紀和駅

 階段の他にエレベータがある。このエレベータは、1階で扉を閉めると自動的に2階のプラットホームへと向かう仕組みになっている。

 

 高架駅となった紀和駅では、かつての青いベンチは無くなっていた。

 列車到着を告げる自動放送が入るようになっている。

 

 駅の北側では、途中で切断された歩道橋と仮設の線路の一部が残っていた。

 

 さて、和歌山⇔和歌山市間の高架部分において周辺道路の様子も見てきた。確かに交通量が多そうな交差部分が2箇所ほどある。しかし、和歌山⇔和歌山市間の列車本数は少ないし、和歌山市の人口は減少を続けているようなので、巨額を投じて鉄道高架をするほどの必要があったのかどうかには疑問を感じる。よそ者の私が口出しするような事ではないのかもしれないが、気にかかったので意見として公開しておこう。

 

 

2008104日  高架開業

 

 

20071229日取材

 切断された跨線橋が写真中央に見えるが、2007831日から使用中止になっている。この跨線橋はかつて私がこの駅を撮影する時によく使っていた。跨線橋の廃止と引き換えに写真右側の仮踏切が設けられて、2007822日から通行できるようになっている。

 

 

200751日取材

 撮影者の私がいる歩道橋も鉄道高架化と引き換えに姿を消すであろう。

 

 高架化工事期間中の駅前の様子

 

 

200641日取材

 大きな駅舎はすでに無くなっている。線路もプラットホームも、そこへ至る通路も全て仮設である。プラットホーム上のベンチは昔から紀和駅にあった物が用いられている。

  

 

2006320日取材

 紀和駅ののりば変更案内

 2006210日の10時から通路が変更になる事が告知されている。

 (これは和歌山市駅構内の写真です。駅構内設置物や表現物の著作権およびその他の権利を侵すものではありません。)

 

 北側へと振られた線路

 南海本線の車窓より紀勢本線紀和-和歌山市間を望む。阪和線と立体交差する所から和歌山市駅構内の直前まで線路が北側へと振られているのである。線路が北側へと振られている事は、道床の色を見れば判る。

 

  

2005813日取材

 11線の無人駅ながら大きな駅舎を有する事は有名である。

 

 かつての栄華を思わせる広い構内に11線の佇まい、と言いたいところであったが、なんと構内北側(写真左側)に線路が新設されている。どうやら高架化工事らしい。

 紀和駅のすぐ西側に国道24号線の踏切がある。国道の交通に支障をきたさないように鉄道を高架化するとの事である。しかし、この理屈には疑問を感じる。この踏切は信号機が設置されており一時停止の義務が無い。それ以前にここは列車の本数が少ない。この鉄道路線を長い距離にわたって高架化するぐらいならば、紀の国大橋を南伸する形で国道を高架化すればよかったのではなかろうか。非常にばかげた理由の高架化工事であるが、始まってしまった以上は仕方がない。

 

 

 

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