20 Stories Tour
in なんばHatch
2007.4.14
さあライヴである。 定宿のなんばHatch。
仕事を片付けて電車に乗って乗り継いでなんばまで。
愛馬が修理中でなければ単車で乗り込むのだが・・・・ やや交通の便が悪いのがHatchの欠点である。
到着時には既に開場。
ちょっと血管が切れそうになりながら電話指示を済ませ場内へ。
幾人かと言葉を交わしつつ。
場内アナウンスに騙されると解りつつ席に着く。
TOKIOなんぞを聴きながら・・・ いきなりのCall音に懐かしい松田優作の声。
奥さん出てましたよね探偵物語のBad City。
メンバーが定位置へ。
しばし間の後甲斐よしひろ登場!
1.今宵の月のように
素直にアルバムのオープニングチューンを持ってくるという展開が 意外ですらある甲斐よしひろである(^^;
当たり前といえば当たり前の選曲なのだが。
に、しても・・・・ すみません謝ります。
アルバムを聴いた限り「線が細い」と感じていた 西村さんのギターであるが、
生で聴くと全然違う。太い。
アルバムでは絞っていたのだろうか・・・・
2.歌舞伎町の女王
これもまた意外で当然な選曲。
アルバムよりもリズムがいい。
サイケな曲はリズムが細いイメージがあるのだが、 これは相当に太く強いリズムで。
それでもちゃんとバランスが取れているのが凄い。
ノリのいい展開である。
長袖シャツをちょっと後悔。
3.くるみ
アルバムのまんまに三曲目。
やはりリズムも音の太さも生っぽくてよい。
おとなしい曲ではあるが裏に流れるビートが良い。
両脇の二人が作るリズムがわしの躰を踊らせる。
必要以上の負担、甲斐さんが唄うと必要以上に重いんだってば。
4.ハナミズキ
それでも尚且つアルバム通り。
もしかしてこのまま全曲演るつもりかなぁと。
だからそこ上がるところじゃないでしょ甲斐さんだが、 これ唄いたかったんだろうなあとある意味納得。
5.Swallowtail Butterfly〜あいのうた
座ろうてーるね(^^;
原曲ではもっとフワフワした感じがあるが、
それが無い分よりリズムが良く感じられる。
スタンディングならもっとスペースがあるのになあ・・・
6.接吻 KISS
常夏系のこの曲にはやはり制服で対応するべきだったか。
袖が邪魔くさいなあもう。
7.すばらしい日々
西村さんのギターが圧巻。
そら演りたがるわ、クィーン(爆)
8.I.L.Y.V.M
オリジナルのこれって、ライヴで演ったことあったっけ?
どうもわしはA.G.辺りのブルースヴァージョンしか憶えがないのだが。
あのアレンジでは立ち竦むだけだったが、これは踊る。
9.RAIN
蘭丸いないのに???(@o@
というほど染み付いてはいるが、 西村&大渡両氏のギターで納得。
ここまでオリジナルに忠実なのは20年間皆無だった筈。
これもまたアルバムより太く強い。
10.マドモアゼル・ブルース
元祖カバー。
曲の間中、後半のプログレに期待しっぱなし(笑)
期待以上の出来に大満足。
これは絶対西村&大渡両氏がいるから演ったな?(笑)
11.野獣
松藤さんがジロー@キカイダーみたくギターを背負ってスティックを握る。
何が始まるかと期待大。
畳み掛けるようなオープニングのこの曲。
12インチのDance mixよりもビートが前に出ている。
クラップなんか邪魔くさい。 とにかくリズムに躰を任せるのみ。
12.BLUE CITY
ロッキュで演ったんだっけこれ。
なんだかとっても久しぶりに聴いたこれも例に漏れずリズムよし。
マッチからTOKIOまでで既に20年、かあ。
まあこの辺からほとんど記憶ないんですけどね。
ちょっと入りすぎたかな(笑)
13.三つ数えろ
BIG NIGHTヴァージョンでの三つ数えろ。
大きく頭を振ってアコギを掻き鳴らす松藤さんが印象的。
14.冷血
贅沢を言うのだが、やはりこれは大会場で後ろの方で観たい曲。
曲のスケールに開場が着いていかない。
野獣の時にちらっと三つとこれは演るかなと想ったのだが、 その勘は果たして正解。
個人的にはこの一曲で大満足なのだが。
15.風の中の火のように
ここまで甲斐バンドの曲はわずか二曲、ラストは何かなと考えてはいたが、
残る曲でふさわしいのはこれしかなかろう。
何度も客に唄うよう促す。
行く当てのない熾き火は、まだ熱い。
〜アンコール〜
16.漂泊者
なんだか新しいぞこの感じ。
束の間記憶を辿ってみたけどはっきりせぬままビートに身を委ねる。
案ずるより揺するが良し。 その方がよほど楽しい。
17.きんぽうげ
前奏を二小節だけ弾いては暗転。
こんな展開あったっけ? だがやはり考えている時間は無駄とばかりに。
18.HERO
これは明らかにオリジナルとは違う毛色。
BIG NIGHT前後のアレンジね。
諸事情によりリストに挙げられたそうだが、 もうどうでもいいやそんなこと(笑)
19.ノーヴェンバー レイン
出井くんがいた頃に演ってますよライヴで甲斐さん。
もっとライヴで演って欲しかった曲だが、
FIVE解散やらなんやらで演奏されてないよなあ。
・・・勿体ない
20.GUTS
チキジョ以来かな? どっかで観たような気もするけど。
曲調の割には重いんよな、これ。
いつものようにアヴェ・マリアが流れ、 メンバーが肩を組む。
それにしてもリズムが良いバンドだ。
初顔となる二人も全く違和感無くグルーヴを成していた。
ややもすると甲斐よしひろ自身が一番危うかったかもしれない(笑)
モニタの返りが悪かったのか、音程やリズムに難が見られた。
歌詩も結構飛ばしていたが、これもその一因かもしれない。
カバーのみならず、あまりライヴで取り上げていない曲ということで
歌詩が完璧でない→声が出し切れないorリズムに乗りきれない、という図式で。
まあわしはそんな粗探しはどうでもいい質なのでこれぐらいにしておこう。
それにしても一筋縄ではいかないアーティストである。
勝手なわしの予想をきっちり覆してくれる。
わしは「10Stories」評でも書いたように、
最近ではメロディに傾倒しているものとばかり想っており、
メロディをしっかり聴かせるライヴになるのではと高を括っていた。
だから長袖のシャツで十分だろうと想っていたのだが。
それが始まってみれば全曲ビート/グルーヴに溢れていた。
おかげで汗だくである。
白いシャツは失敗だった(^^;
ただし予想が当たった部分もある。
20Storiesと銘打つだけに、「10Stories」におけるキーワード、
”Streetに生きる”者達の唄に重点が置かれるというのは当然の帰結だろう。
「冷血」、「三つ数えろ」、「レイン」、「I.L.Y.V.M.」、「ノーヴェンバー レイン」など、
これら全て、曲から想像される場面としては”Street”だろう。
甲斐よしひろ自身がStreetに生きている、という感覚が強いのは自明のことだろう。
そういう意味の言葉を幾度と無く繰り返してきている。
当然そのような「Streetに生きる」唄が多いのもまた当然なのだが、
その傾向が著明な唄ばかりが選曲されている。
「10Stories」の曲はメロディばかりでなく、
そのような甲斐よしひろ自身の中にある琴線に触れたからこそカバーされたのかもしれない。
卵とニワトリどっちが先かに陥りそうである。
ちょっと絵解きにしてみよう。
大雑把に言えばこういう図式でこのTourは成立しているのであろう。
全曲オリジナル/アルバムよりもビート感が増していたのも こう考えてくれば必然のことだろう。
Streetを表すにはビート感が不可欠である。
音楽的に二分できるものでもなかろう。
つまり、このTourでは20箇所のStreetを表現しようとした、こうも言えるのではないだろうか。
50を超え娘がメジャーデビューして尚、 甲斐よしひろはStreetに立ち続けようとしているのである。