全日空(ANA)の新型飛行機就航が大幅遅れ


  全日空(ANA)は2月5日、2010年2月20日(土)より成田=ニューヨーク線に就航予定の新造機(ボーイング777-
300ER)について、プレミアムエコノミーシートの開発遅延により、就航日及び座席仕様を変更することとしたと発表し
た。これは、新ブランド“Inspiration of Japan”として大規模な広報宣伝活動をしてきたANAの目玉商品である。そ
れが大幅な延期となり、就航は4月19日で、しかも就航当初は「プレミアムエコノミーシート」の装着が間に合わず、8月
頃になるという。すでに新サービスを見込んで同線を予約した顧客にはキャンセル料無料で解約に応じるというのだか
らANAの損害は相当なものである。

 なぜこのような事態になったかにつき、同社はプレミアムエコノミーシート(小糸工業株式会社、本社:横浜市)
の開発遅延のため 」と説明している。一体何があったのであろうか?
 実は、小糸工業は、日本航空(JAL)のボーイング777型機9機の国内線ファーストクラスの座席で使われている部
品について、実際に生産しているものとは異なる部品で耐火性試験に合格させていたという事件を起こし、昨年の1月
30日に国土交通省より公表されている。偽装が行われたのは、隣り合う座席の間仕切りに使う炭素繊維「カーボンファ
イバー強化プラスチック」で、予定していた素材が不合格だったが、JALへの納期が迫っていたことから、小糸工業
不合格の状態のまま生産を開始し、不合格の部材を使って量産を続けた。今回は偽装ができずに延期を余儀なくされ
たということなのであろうか?

 JALのシートの偽装が発覚したことはここでも既報している。つい先日、私は国土交通省と小糸工業に電話して偽装
後のシートの交換等の状況について質したところだった。結論からいうと問題の箇所にシールを貼って応急処置しただ
けでシートは交換していないという。航空機の安全は守られていないのではないか?


追記:その後の報道により小糸工業が長年にわたり大規模なデータ偽装をしてきたことが明らかとなった。同社が座
席を納入し、現役として世界の空を飛んでいる航空機はボーイングとエアバスの約千機あるという。世界二十四の国と
地域の航空会社三十二社の航空機の約十五万席ほぼすべてに不正があったとみられるとする報道もある。不正は
1990年代半ばからあった可能性があり、同社は組織ぐるみだったことを認めているという。とんでもない事態である。こ
んな企業が存在していてよいのであろうか。長年こうした不正を見抜けなかった国土交通省の航空行政も大問題であ
る。天下りなどはなかったのか今後追及されよう。



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