銀行口座の犯罪収益返金法制が実現



  振り込め詐欺の送金先に銀行口座が使われた場合の口座凍結などの対策は進んでいるが、凍結された口座に残
る犯罪収益が容易には被害者に救済されない現状はすでに述べた(振り込め詐欺口座凍結、その後は?)。

  共同通信によれば、自民、公明両党は13日の政策責任者会議で、振り込め詐欺の被害者を救済するため、振込
先の金融機関口座を凍結し被害金を返還する法案を議員立法で国会に提出する方針を決めた。民主党などの賛同を
得て今国会での成立を目指すという。会議では自民党の「振り込め詐欺撲滅ワーキングチーム」(中野正志座長)がま
とめた救済策の骨子案が了承されたものだという。


  自民党衆議院議員中野正志氏のHPによれば、振り込め詐欺等の犯罪に使用された可能性があるために凍結され
た口座の滞留資金の返還が、手続きの煩雑さや費用、時間の問題などで遅々として進まない現状を受けて、被害者救
済を第一に「簡易的な資金返還の仕組み」を確立するために検討を自民党で進めていたものであり、大まかな内容と
しては、@捜査機関、金融機関の連携で犯罪使用の疑いのある口座を凍結→A一定期間の公告で凍結された口座
の失権手続きを実施→B口座名義人の失権後、一定期間の公告で被害者からの返還申請受付→C被害者に返還と
いう仕組みで、最短3ヶ月での資金返還を目指すものである。

  この問題は、誰がその手続きを行なうのかというところが最大のネックで、日弁連でも議論していた。消費者の利益
などあまり考慮しない銀行がそのような役割を積極的に果すとは思えないからである。読売新聞によると、預金保険機
構などの公的機関がインターネットや官報で、「一定期間内に、口座名義人など利害関係者による権利主張がない場
合、口座に対する権利は消滅する」と公告する。預金保険機構などは、口座名義人などが名乗り出て来なかった場合
に、口座に残る被害金を被害者に返還することを再度、公告する。 2度目の公告期間中に、被害者は振り込みを証明
する資料を添えて金融機関に返還を申請し、金融機関が審査の上で返還を決定する仕組みが考えられているようであ
る。同一口座に複数の被害者がいる場合には、口座の残金を被害額に応じて比例配分する。 

 こうした法案が議員立法で提案されることを高く評価したい。



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