関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられた毛利氏は、改易は免れたものの所領は山陽・山陰8ヶ国から周防・長門2ヶ国に減封されました。慶長9年(1604)、輝元は召上げられた安芸国(広島県)の広島城に代わり、長門国(山口県)萩に新たな居城を築きました。萩城は指月山に築城されたので別名を指月城(しずきじょう)と呼ばれ、その後幕末まで250年余りに亘って長州藩(萩藩)の居館になりましたが、明治6年(1873)に発布された廃城令により翌年、天守、櫓などの建物が破却されました。昭和26年(1951)に国の史跡に指定され、平成27年(2015)には萩城下町と合わせて世界遺産「明治日本の産業革命遺産」に登録されています。
 20211025日、そこはかとなく秋の深まりを感じさせる穏やかな月曜日、平日の朝10時頃の萩城跡指月公園はまだ閑散としていました。雲の切れ間から時折太陽が顔を覗かせる園内は、殆ど風もなく心地よい散歩日和でした
 公園入口の橋から本丸の石垣を眺めていると・・・半透明の巨大なシロクマが今まさに2体に分離して、石垣を駆け巡っていました。今回はタイムスリップしたわけではありません(5/2/2022)。

・・・勿論巨大なシロクマも私の友達で、見えているのは私だけなのです。名前はハッスルベア、『虫喰の森』の住人なのです。これまででてきた私の友達も皆同様で『虫喰の森』の仲間達です。さて、タイムスリップの冒険もそろそろ終わりに近付いてきました。最終回では、『虫喰の森』とは何か、なぜ私がミレニアムテラを建造しタイムマシンを作製できるのか、その一端を明らかにいたします・・・

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 一見するとありふれた地球の森のようですが、ここは天の川銀河のコアにある『虫喰の森』という異次元世界です。銀河系ではあっても銀河系宇宙ではなく、天の川銀河の成長過程で発生する過剰なエネルギーを制御して銀河系を安定化させる異次元のスタビライザーとして機能しています。
 ここには天の川銀河誕生以来、森を守る愉快な仲間たちが住みついています。ラッキータイガーとハッスルベアは『虫喰の森』の戦士であり、クリーンドラゴンはスカイタクシーで、背中に乗せてどこでも望みの場所まで運んでくれます。トネリー(緑のカブトムシ)は哲学者で、知恵の源です。シュガー(金色)とミルキー(銀色)は陽気な双子のフクロウ姉妹ですが、何を隠そう、どちらも天の川銀河随一の科学者であり、タイムマシンや宇宙船の設計、そしてそれらを建造する異次元プリンターの製造技術等など、私が「虫喰の森」に滞在中、いろいろと教えてもらいました。『虫喰の森』には他にも長老を始めユニークな仲間たちが大勢います(7/12/2022)完。


山口県 長門の海岸 10/24/2021

平井 としお 銀河ファンタジー 虫喰の森 上下巻(つむぎ書房)が刊行されました(第1刷発行日:2025年2月18日)

最終回:虫喰の森と愉快な仲間たち 
the wormhole forest and amusing fellows

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山口県萩市 萩城址 10/25/2021

静岡県伊豆 城ケ崎海岸 4/23/2010

スペースシップ“ミレニアムテラ2”で、半年ぶりに地球から20000光年離れたPerseus Armにある2nd-Terraを旅しました。2nd-Terraと呼ばれるだけあって環が無ければ地球にそっくりな美しく青い星ですが、実は木星ほどの大きさがあります。15の衛星が周回していますが、驚くことにダイノスと呼ばれる7番目の衛星も地球によく似たアクアシステムで大きさも質量も地球とほぼ同じ、勿論、2nd-Terra同様生命が息づいています。誕生して約33億年と推定され、今まさに地球のジュラ紀に相当し巨大竜脚類の全盛時代を迎えています。訪れた高原ではアパトサウルスとよく似た恐竜が群れを成していました。一つの惑星系で地球のそっくりさんが二つあるというのは極めてレアというか、まさに超奇跡としか言いようがありません(12/7/2021)。

以前、試作したタイムマシンの試運転でイギリスのコッツウォルズを訪れたときは約15年の時空を遡りましたが、パラレルワールドに迷い込んでしまいました。遡る時間がどれくらい短ければパラレルワールドを回避できるのでしょうか。今回、検証実験として約一月前の1024日に訪れた長門の海岸にタイムスリップしてみました。

日本海に面した山口県北部の海岸は景勝地が多く、とりわけ元乃隅神社からの眺めは絶景です。あいにくの曇り空は変わりませんが、いきなり何頭ものプテラノドンが大空に舞っていました。地上を眺めると、子供づれと思われるアパトサウルスの家族が観られました。もう一組のグレーからブルーグレーのアパトサウルスも、オスが離れたところにいますがこれもどうやら家族のようです。

私の試作したタイムマシンでは、時空を同時に移動する限り一ヶ月のタイムスリップでもパラレルワールドに移動してしまうようです。それにしても、僅か一月のタイムスリップなのに恐竜時代にまで遡るとは不思議です。更に、中生代ジュラ紀後期(約15,200 ~ 15,000万年前)に生息していたアパトサウルスと中生代白亜紀後期(約8,930 - 7,400万年前)のプテラノドンが同時に生息しているとは、パラレルワールドっていったいどうなっているのでしょうか(11/26/2021)。

―タイムスリップ 3―
デジタルアートギャラリー

前回は日本海に面した山口県北部の長門の海岸にタイムスリップしましたが、今回は太平洋に目を向けてみました。静岡県伊豆半島伊東市の景勝地「城ヶ崎海岸」を候補に選び、訪れた2010423日にタイムマシンをセットしました。

今を去ること約4000年前、大室山の噴火により海岸に流れ出た赤茶けた溶岩石によって形成された断崖絶壁が続く「溶岩海岸」はまさにジオサイトで、伊豆半島ユネスコ世界ジオパーク(2018年認定)を代表する景観の一つとなっています。

今回も「ミレニアムテラ2」を使わなかったのはパラレルワールドへの移動を期待したからです・・・というか、再び恐竜ワールドに入れるかもと、根拠のない希望を抱いていました。ビンゴです。さながらゴジラ対ラドンのようにティラノサウルス(T レックス)とプテラノドンが対峙していました。すわ、バトルが始まるのでは、と一瞬緊張して成り行きをみていたのですが、そんな緊迫感は感じられず、友好的なコミュニケーションを行っているようです。これは推測の域をでませんが、伊豆大島から飛来してきたプテラノドンのボス(?)がTレックスから何か情報を得ているのかもしれません。道を聞いているのかも?ひょっとしたらプテラノドンは渡りの途中なのかな?いろいろ想像を掻き立てられるシーンです。私たちの住む世界では、白亜紀にTレックスとプテラノドンの生息時代は異なるとされていますが、両者が共存するパラレルワールドでこのような友好的な習性が観察されたことは実に興味深いことです(3/1/2022)。

再び2nd-Terraへ