アフリカの妊婦と健康 つづき


援助団体がつくった井戸。しかし、水は底にわずかにあるだけ。しかもロ-プが届かない。
出発前に、日本でプリスカの話を聞いていましたが、実際に目でみるのでは印象が全然違いました。
特に水不足は深刻で、井戸のある家もあるのですがそれらは干上がっていて使えません。近くの池は、3〜5km離れていて、そこまで毎日水を汲みにいくそうです。池の水は、動物達も飲みにくるので汚染されていることが多いのですが、見た目で透明だから大丈夫と思ってそのまま飲む人が多いそうです。
最初、村に着いて、簡単な挨拶をし、数グル−プに分かれて現在の生活状況を聞きました。
食事は1日1〜2回,バスケット等の民芸品は作れてもマーケットが無い、車もないから町へ売りにも行けない。男達の言い分は、ダム建設みたいなプロジェクトが来ない、だから職がない、やることがない、と言って何もせずぶらぶらしていました。言い訳ばかりして何もしない人は日本にもたくさんいますが。
AIDSも深刻な問題です。また、親がAIDSで亡くなっていくため、孤児が急増しているそうです。AIDSに関しては、彼らは予防をしっていました。でも、男性はコンドームを使わないそうです。なぜ?
援助に関しても考えさせられました。家庭訪問したときのこと。各家庭にトイレが2つあるのです。なぜ?と聞いたら、まずユニセフが援助の一環としてトイレを建てました。しかし、別の援助団体(名前忘れました)が、やはりトイレを建てたそうです。もう少し柔軟に対応してもよさそうなものですが、援助団体としては「トイレを建てた。」ということで満足しているのでしょう。
もう一つショックだったのは、水不足による畑作業の禁止でした。私は、レクチャーでマネージメントについて話をしました。プリスカから、ここの人達は計画無しでいきなり始めて失敗することが多いので、この件に関し、マネージメント手法を畑作業を例にわかりやすく説明し、みんなが Great, Impressiveと言ってくれました。しかし、私が訪問した地区では、ずいぶん畑が荒れているなあと思ったらなんと畑作業禁止のお達しが行政府からでているとのことでした。私自身、まだなにもわかっていなかったことを痛感しました。

アンダ-5プロジェクトの食料配給と、それを待つ子供達
改善点ももちろんあります。
ひよこを買ってきて育て、大きくして売るチキンプロジェクト。なかなかの利益をだし、これを孤児院運営資金の一部にしています。
アンダー 5 プロジェクト。5才以下の子供を対象に、地方政府が食料の補助をする。フードサプライポイントを設け、そこに子供を集めてスープを配給します。私もいただきました。
太陽エネルギーの利用。ソーラーオーブンとか、他のボランティアの報告では、一部の家庭にはソーラーバッテリーのTVがあったそうです。
このプロジェクトはいろいろ考えさせられるプロジェクトです。(もちろん他もそうですが。)
彼らの生活は貧しいですが、それなりに精一杯生きています。むしろ日本人よりも楽しんで生きていると思います。日本では、蛇口をひねればあたりまえのように水がでます。電気があるのも当たり前。とても快適で便利なのに、あのアフリカの生活を懐かしく思うのはなぜ?
日本に帰ってきて、私が彼らに対し何ができるのか、いまだにわかりません。彼らのことを理解しようとするには、やはり最低1年は住まないとだめだと思います。実際そんなことはできないし。ただ、このまま終わらせるにはあまりにもったいない、貴重な体験でした。
最後の日に、村人達にいままでの感想を書いてもらおうとA4の紙を渡しました。書き終えたあと、なんと彼らは余った余白の部分を切り取って自分の紙にし、書いた部分だけを私達に提出しました。あの光景は忘れられません。レクチャーするどころか、私達自身が教えてもらったことの方が多いでしょう。

私達は目覚しい発展,繁栄を遂げてきました。しかし、これ以上の物質的な発展はもう無理だということをたくさんの人は気がついていると思います。このままだと破綻してしまうということを。 私達の生活スタイルを見直す時期にきています。思っているだけでなく、実行しましょう。物質主義から脱却し、多少の不便はあっても、アフリカの人たちのように明るく楽しく生きていく。 いつの日か、また彼らに会いに行きたいと思います。
神よ、アフリカに祝福を。

主食サザを料理中訪問した家庭

ホ-ムへ前のぺ−ジへ観光地編へ