悪鬼(あっき)

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■補記・考察

 鬼とは伝播もとの中国では先祖の霊のことで、鬼という漢字も「死者の前にかがむ人」を現したものです。
 この鬼と言う単語は、日本に入ると違った意味合いを持つようになります。病気や、自然現象などの古代の人知では計り知れなかった事柄に、当時の人々は恐れ、その見えない災厄に、鬼という言葉を充てました。
 これら鬼の概念は、平安中期に密教の伝播によって激変します。それまで鬼には特定の姿はなく、また特に性格付けもされていなかったのが、密教が力を伸ばしていくにつれ、仏教の敵として、人々に悪さをし、そして僧によって倒される代表的な存在となっていきます。そして、人々の間に悪しき存在と認識されると、今度は武士達が、その武勲を作り上げる際の殺られ役として定着していきます。源頼光の酒天童子退治や、その部下である渡辺綱の茨城童子退治の話は有名です。この頃から、角を生やした異形の大男の姿が定着します。ちなみに鬼が牛の角に、虎の皮のパンツを履いているのは、これら魔物が鬼門、北東の牛寅の方角からくるとされていたことに由来するとか。
 平安時代から鎌倉・室町にかけて魔物の主役を務めた鬼も、時代が進み、医学の進歩や、未開地の開発が進むと共に、その姿を消していきます。

 ちなみに余談ですが、鬼と言えば昔話では赤鬼と青鬼が有名ですが、これは日本に漂着した、白人が元になったと言う説もあります。白人のガタイの大きさと、青白い肌は青鬼に、日焼けで赤くなった肌は赤鬼と言う訳です。確かに古代に白人の姿を見れば、異形の鬼と結び付けてもおかしくありません。

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