二日目 その4

そのおっさんと話しながら、「そうかぁ〜、オートバイに乗りつつ、なにかテーマを持った旅、っちゅ〜のもアリか」と思う。

旅のスタイルといえば、同室の埼玉君はまた違うタイプ。
聞けば北海道に来ると必ずここに連泊し、何をするでもなくひがな一日過ごすそうな。聞けば今日金曜日休みを取れば2泊3日で来道できる、ということできたそうな。
「明日はばんえい競馬が開幕なのでそれにいくか?それとも喫茶店でぼぉ〜っとするか」と言っていた。
俺が「そんなに好きなら北海道に住めばよいのに」というと「職があればぜひ」と真剣な顔で言っていた。

埼玉君は北海道にはよく来ていて、以前は道東を回りながらとほ宿を利用していたが、「さろまにあん」の雰囲気にすっかりハマってしまい、北海道にくるとココに泊まる以外、ありえないそうだ。

よく、とほ宿を利用する人間は北海道人より本州の人間が圧倒的に多いと聞くし、事実、俺も自分以外に北海道人がとまった時を経験したことがない。本州に住んでいると、特に首都圏なんかで暮らしていると、なんもかんもわずらわしくなってなんのしがらみもないところにきたくなるのかなぁ。手っ取り早く異空間に入り込める、という意味では北海道って、ちょうどいい距離にあるのかも知れない。

で、埼玉君に下の居間での飲み会に誘われたがなんとなくパス。疲れていたのもあるけれど、まだうまく、旅で一緒になった人に心が開けないでいる、そんな自分に嫌気が差して自家中毒気味だった。そんな無視して輪の中に飛び込めば結構楽しめるのに、と思いながら一人布団の中で目を閉じた。

翌朝は曇り。雨がざんざんだったらここに連泊とも思っていたが、少しでも距離を伸ばしたいのでとりあえず移動することに。

オッサンが出発する前に埼玉君、ドリカムペア、宿主さんの奥さんで見送り。オッサンのオフ車はパッキングが完璧で、風防とライトの間を有効活用して三脚とドリンクを入れておいたり、なかなかためになる。

オッサンを見送ったあと、俺もオートバイに荷物をくくりつけて出発。だれも見送ってくれなかったのに少しさびしさを感じるが、それもこれも自分から心を開かなかったことの当然の結果として受け止め、ヘルメットの中で「よし」と小さくつぶやき、一路、斜里を目指す。
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