天増川のチビヤマメちゃんとイワナ君
先輩より釣行のお誘いのメールがやってきた。滋賀県は朽木のまだ向こうに、天増川(あますがわ)という良さそげに思われるところがあるという。それは早速、行かねばなるまい。 天増川は滋賀県の川のくせに琵琶湖に流れ込んでいないという、ひねくれた、いや珍しい川だ。福井県で日本海に流れ込んでいるので、近畿では珍しいヤマメが期待できそうだ。 林道入り口に簡単なゲートがあり、すぐそばの入漁券販売所で日券(2000円)を買うと中に入れる仕組みだ。購入がてら情報収集に励む。 「兄ちゃんらの車やったら、大丈夫やろ。気いつけて。」 車窓から見るに、思ったより規模が小さいが、そこそこ良い渓相で、特に危険な様子もなさそうだ。若と行った岐阜の川に似ているかな。もちろん土砂で埋まってはいないけど。 私は釣行毎に新しい仕掛けで釣ることにしている。前回の古い仕掛けで釣ってて、もし大物が来たのにバラしてしまっては、一年ぐらい悔やんでしまいそうだからだ。 仕掛けを作る間に先輩に先行してもらい、私は1キロ近く戻ってから釣り上がることにした。 強烈な異臭の漂う部分があった。この臭いは何か動物の死体があるのだろうと思っていると、やはりあった。カモシカだ。そそくさと通り過ぎながらも、横のポイントに餌を流してしまう、釣り人根性がもの悲しい。 そのさもしすぎる根性に釣りの神様が憐れんでくださったのか、明敏なアタリがあった。分かりすぎるほどのアタリはほとんどが小物だ、というのがこれまでの経験則である。はたして、水面を割って飛んできたのは、ミノーだった。 |
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シンキングミノーかと思った、プリチーなチビヤマメ |
ヤマメは放流していないって言ってたなあ、ってことはネイティブものか。ふっふっふと一人ほくそ笑みながら釣り上がる。 橋脚付近の流れのよれたところでまた、追加。ヤマメである。サイズ的にはさっきのが幼稚園なら今度のは一年生程度のもの。せめて中学生ぐらいのものはいないのか。 やや川幅が広くなって、水流が何本にも分かれている細い落ち込みを期待せずに流して、上がってきたのはイワナだった。おぉーっ、こいつも今期初物だ。確かイワナは稚魚放流しているって、言ってたな。サイズはやっぱり小学生やな。等と思いながら、撮影し、リリース。 |
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撮影中にぐねぐねと流れに戻って行った |
その後も、忘れかけた頃にアタリがあり、釣果も上がるのだが、全てヤマメとイワナでアマゴは一つもなかった。イワナとアマゴを放流しているはずなんだけどなぁ。 ちょっとした落ち込みの対岸に枝がかぶさっている、いやらしいところがあった。水深は浅いのだが岩がえぐれていて、いかにもイワナが隠れていそうだ。 先輩に追い付いてみると、顔がにやけている。22センチのヤマメが釣れたとのこと。引きを十分に堪能したようだ。結局これが今日一番の大物だった。私は小物ばっかりだったのでうらやましい。 |
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サビは残るが引き味はよかったとのこと |
この川は周囲を尾根に囲まれた閉鎖空間みたいになっている。その山も平凡でハイキングコースにもなっていないので人があまり入らず、自然が色濃く残っているようだ。 |