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渓流というものを堪能した北山川支流

 

 台風15号の激しく車体を叩く雨音で何度か意識レベルが上がるが、またまどろむ。ここは下北山スポーツ公園の駐車場。バス釣りで池原ダムに行くときにはここで仮眠を取る。トイレもあり便利なところだ。

 朝5時に目覚ましが鳴るが、前夜到着したのが2時ということもあり、5時半までぐずぐずしてしまった。今回は若が運転してくれて、私は助手席でビールを飲むというありがたいスタートであった。極楽極楽。(注、若は飲めない)

 今回は最近、はまっている北山川支流を若と2人で存分に味わおうというものだ。禁漁まであと一ヶ月、今日は釣りまくるつもりである。
 この水系は長大なので、一日では遊び尽くせない。そのうち完全制覇をするつもりだ。

 まずは、巨大な滝の手前から急勾配の山道を河原まで降り立つ。これを帰りにまた登らないといけないことはとりあえず忘れる。
 この辺はまだ、ダムのバックウオーターで、左岸への吊り橋を渡る途中、下の水面にデカバスが5,6匹見えて、つい興奮する。
「デカっ、40いや50はあるで!」
「マジデカやな、ランカーサイズや」

 心配した台風も問題ないようだ。増水も20センチ程度か。
 良さそげなポイントだらけでどきどきする。胸の高鳴りを抑えながら、竿を伸ばし、餌をつけて振り込んだ。気合い一発「とうっ!」餌はミミズ。
 数投目にアタリが!ピシッとあわせるとぶるぶるっと心地よい引き。水面でパシャっと跳ねる。綺麗なアマゴだ。
 相変わらず魚影は濃いようだが、いかにもというポイントではなく、それなりに攻めないとアマゴの顔は見えないようだ。

この水系のアマゴは体色がやや薄い

一番向こうの筋で出た

釣られてもた

 若もアマゴの顔を拝んで楽しんでいるようだ。順調に釣り上がり、深い大きな廊下状の流れに出た。美しくも険しい渓相だ。
 水が澄んでいるので魚影が見える。ここで何匹か追加。若は大物を釣り上げたようである。
 私も負けじと大物を狙う。すごいアタリがあった。引きを楽しみながら水面まで上げると、魚影が派手だ。もしや?婚姻色の出たカワムツ君だった。ここに来てまでカワムツ君に会えるとは。。。

雄大な渓相  

 ナメ滝を幾つか慎重に越えて、遡行していくが、巨大なプールで行き止まってしまった。こちらからは、岩壁で先が伺えない。泳いで岩に取り付き覗いてみたが、どうやらその先は、ヘボ渓流釣り師の私達のレベルでは遡行不能のようである。
展望台から見た滝。すごかったけどしんどかった。もう行けへん。 とりあえず竿をしまい戻ることにするが、滝への展望台と看板があるではないか。「じゃ、行ってみるか。」と気楽に考えたのが大失敗。日頃の運動不足と若との年齢差を再確認しただけだった。。もうあの展望台には絶対行けへん。

 ゼイゼイ言いながら入渓ポイントまで戻り、下りてきた崖をこれまた、ひーこら言いながら登る。このへんが体力の限界か?「今週も残業の嵐だったのだ。」言い訳しながら若の後を追い、ようやく林道まで戻る。

 滝を過ぎて入渓出来そうなところを見つけて車を止めた。流れまで下りてみると、滝下より川幅が狭まっており、その分流れはきつい。徒渉するのにも緊張が強いられた。若は私より体重がずいぶん軽いので(俺が重すぎるのか)、徒渉にはかなり苦労しているようだ。こんなところで体重が有利になるとは。 

22センチのアマゴ。やはり体色は薄い

一発で出ました

 少し遡ったところでパラダイス発見!深い流れのある所で、水が澄みきっているため、魚影どころか魚体のパーマークまで見える。
 餌を流すとアマゴが流れる餌にまとわりついて、食べようかどうしようか、迷っているのがよく判る。ついに我慢できなくなって食いついたところをピッとあわす。ほぼサイトフィッシングやな。

 ここで2人とも何匹か追加。
「あっ、今のはでかかったのに!」
「くそっ、バラしてもた。」
サイズの良いヤツをバラしたのも数多く、残念である。

 この先は遡行不能だったので、そこから見えてる吊り橋に向かって無理矢理、崖をよじ登る。この吊り橋の怖いこと!所々板が腐って落ちている。ロープも切れかかっていた。私が渡っているとミシッと音がして、がくんと揺れた!ちびりそうだった。

恐怖の吊り橋

上から見たパラダイス

  すぐにまた、河原へ降り立ち、最近のマイブーム、チキンラーメンわさびお茶漬けバージョンを2人で食べて暫時休憩。雨に打たれ続けた身体には美味かった。

 苦労して、右に左にと徒渉し、釣りながら遡行していく。小雨は降り続いている。かなり釣って、時計を見ると、4時。そろそろ谷から脱出しなくてはいけないが、ちらっと見える林道のガードレールは30mぐらい上にある。
 ふと横を見るとシカの死体があったりして気が滅入ったので、帰路に就くことを決意。

 右岸にある道路からの滝のような流れに洗われて、むき出しになっている崖をよじ登ることにした。
 だが、そこに行くには、すんごくきつい流れを徒渉しなければならない。沈み石伝いに行ったが、あるポイントで行き詰まった。
 何度も逡巡しながら、意を決して飛び込む。「うりゃー!」泳いで岩に取り付いてセーフ。
 お助け紐を投げて、気持ち楽にしてあげ、若も泳いできた。後は崖に取り付くのみ。斜度は70度くらい。流れがきつくて、しぶきが激しく、思わぬ所でシャワークライミングとなった。
 手かがりに木を掴むと棘だらけ、「痛ッ」ひょんなことから、タラの木を発見。来春会おうな。

 こうして、無事脱出。車で丹念にヒルが取り付いていないかチェックした後、「きなりの湯」に向かった。
 入浴中、ふとみると右足の中指から出血しているではないか。怪我でもしたか、と思ったがなんとなくむず痒い。やられた!いつの間にヒルのヤツめ!じわじわと出血して、血が止まらない。結局止まるのに一晩かかってしまった。
 若も吸血こそされていないが、家まで御土産が一匹ついていたそうだ。恐るべし、ヤマビル。

 吸血はされたけど、私は20匹程釣ったし(すべてリリース)、若も大物を釣って満足げだ。「この谷は素敵っす。」
 泳いで流れも渡ったし、シャワークライミングもした。正に、これぞ渓流というものを堪能したのだった。

 大物を狙う若

 この水系は日券、2000円也。村内のお店等で購入することができ、ちょっと恥ずかしい程、立派な腕章がもらえる。
 来シーズンは年券買おうかな。

 

 

 

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