吹雪のスキー!INニセコ

 けだるい昼下がり、満腹感から来る眠気と闘っているとき、若から電話があった。
「恒例のスキーツアーを1月の成人式の連休にしようと思ってるんっすよ。場所はニセコ・アンヌプリっす。」
「1月の上旬かあ。その2週間程前にもルスツに行くねんけどなあ。うーん...」
 さすがにちょっと遊びすぎ&金を使いすぎなのではという懸念が一瞬脳裏をよぎったが、「遊べる時に遊んどく。食べられるときに食べとく。」というポリシーなので、「よっしゃ、行くでえ!」と参加することにした。

 毎年、年末年始前後に、いつものメンバーでスキーに行くのが恒例になっているのだ。今回は若が幹事をしてくれるという。ありがたいことである。感謝感謝。今回の参加は10人である。

 ニセコよ、リベンジだ
 実は、いつものメンバーでニセコに行くのは2回目なのである。前回は3年前にニセコ・ヒラフで今回はニセコ・アンヌプリだけど。

 このメンバーが行く先々で、嵐が起き、何か事件がおきるのは当然なのだが、前回もかなりインパクトがあった。行きも帰りも予定どおりに飛行機が飛ばなかったのだ!
 まず、早朝に関空(関西国際空港)から出発するはずの飛行機が悪天候のため欠航となった。これはイカンとなんとか夕方の便を押さえ、かなり揺れながら千歳空港に着き、バスに乗り換え、ヘロヘロになってニセコ・ヒラフに到着したのは夜中、22時すぎであった。

 千歳空港から帰るときも、夕方飛行機に搭乗したのはいいけど、降雪が激しく天候調査中で、機内アナウンスとロビーのアナウンスで
「はい、みんな乗って乗って。あ、あかん、やっぱり、みんな降りて降りて。ん?行けそう、やっぱり乗って乗って。でも、やっぱり..」
と席についたり、ロビーへ降りたりを繰り返した挙句、運行中止!この時点で20時過ぎ。必死で電話をかけまくって、なんとか札幌のビジネスホテルを確保。
 恐る恐る上司のお宅に電話をし、帰れない事情を説明して、もう一日休むことを承諾してもらったのだった。

  また、よしべえ外2名の雪山遭難未遂事件もあったなあ。暗くなったのでホテルへ戻り、晩飯に行くのを待っていたのだが、3人がいつまで待っても帰ってこないのだ。ナイターするとは聞いていなかったたし、おかしいなあと思っていた。2時間近く待っていると3人がゼーゼーハーハー言いながら戻ってきた。
 どうやら、隣の東山で滑っていて、連絡バスが無くなったので、ヒラフまでスキーで帰ろうとしたのが真相のようだ。
「遭難するかと思いましたよ。マジで!」
「真っ暗になってくるので心細かったっす。」
と3人が口々に言う。途中地元の人に会い、「冬の北海道をなめるな!」と怒られたそうだ。

 と、まあこんな大変なことがあったので、今回こそは、ニセコにリベンジなのだ!

池ちゃんおめでとう
 当日みんな荷物をたくさん持って、関空に集合した。年が明けてからみんなと会うのは今日が始めてである。
 実はめでたいことに年末に池ちゃんが昇格試験に合格したのだ。年始の挨拶代わりに、みんなで
「めでたいなあ。これで我が社の行く末もますますわからんようになってきた。いよいよ倒産か?」
等と心から祝福する。どうも試験前日にリラックスするために秘密の某所に行ったのがよかったようだ。よかったよかった。本当におめでとう。

なぜか気合の入るみんな
 
今回はなぜかみんな気合が入っている。と言うか、失敗をしないように気を張っているようなのだ。どうも前回の怒涛の宮古島旅行で旅行中のボケを暴露されてしまうことがばれてしまったようだ。
 若の案内メールにも
なお、今回の旅行の醜態は、全国に発信される可能性がありますので、皆様気を引き締めてご参加ください。」と注意書きされてしまった。これではみんながボケをかましてくれないではないか!

 イカ〜ン!こんなことでは「笑わせたもんが勝ち!」という大阪人の義務がはたせない。やや、焦ったが、まあ、いつものメンバーのことだから、集中しているのも束の間、すぐに馬脚をあらわすだろうと虎視眈々とネタを探すのであった。

ニセコ・アンヌプリはこんな感じ
 天気が良ければ羊蹄山の雄大な姿を見る事ができる。遥か遠方には有珠山、昭和新山の噴煙があがり、その向こうには太平洋が見える。

 ゲレンデの状態はもちろんパウダースノー。滑るとキシキシと音がする。ゴンドラで一気に山頂へ上がるも良し、たくさんあるリフト、クワッドを乗り継ぐのも良し。
 印象に残ったのは、ゲレンデが広いということ。コースの長さはルスツの方が長かったような気がするが、広さでは間違いなくアンヌプリやなあ。

 ニセコはとっても広いが、大きく分けて4つのゲレンデがある。アンヌプリ、東山、ヒラフ、花園である。これらは山頂までリフトで上って、行き来することができるのだ。

 気温は山頂でマイナス16℃くらい。山麓ではマイナス10℃前後。風が強いと体感温度も下がって、つらい。山頂リフトにフードが無いのはどうかと思う。フェイスマスクは必需品だ。

 二日目は山頂付近は風が強く、ブリザード状態であった。ほっぺたは凍り付いて凍傷になりかけるし、地吹雪でコースが見えないし、苦労した。雪が横から、いや下から舞い上がって、吹き付けてくる。ヒュッテが見えたときは思わず駆け込んでしまった。
 晴天で、風が無ければダイヤモンドダストが見える。陽の光にキラキラと反射して、それはそれはきれいだった。

 ボーダーの割合は、40%ぐらいか。思ったより少ない。スキーヤーが30%、ファンスキーが10%。ちなみに、メンバーでは、3人がファンスキー、それ以外は全員スキーだった。

 宿泊はふもとの昆布温泉である。温泉に24時間入れるのがうれしい。真冬の北海道で露天風呂に入ると髪の毛が凍るというのも興味深い新発見だった。

みんなの腕前
 メンバーの中で上位グループは、カキちゃん、若、よしべえ、イワイだ。その中でも上手なのは、カキちゃんかな。ケツをぷりぷりさせながらも非常にエレガントである。まあ、このグループの差は僅差やな。
池ちゃんはすぐに雪の上で横になってトドのように休息していたが、あの体型では無理も無いことだ。
りえっぴは..マイペース型です、はい。

 ひろ&Kはファンスキーなので単純に比較できないけど、一応どんなコースも滑れる。長板の時代はパワースキーとかガッツスキーとか言われていた。それは今でもあまり変わっていないか。
「まるで滑落していってるかのような力強い滑りだ。」と誉められているのか、けなされているのか、わからん評価だ。
 最上級者限定コースであっても苦にせず、どんどんチャレンジしてしまうので、Kはついてくるのに一苦労のようである。それでも、なんとか休み休みながらついてくるのはエライと思う。

逃げる奴ら
 ナイターをKと二人で滑っていると、「追いつけるものなら、追いついてみな!」と捨て台詞を残してよしべえ、カキちゃん、若が追い越して行った。
 なにー!挑戦は受けねばならん。追いかけたが、タッチの差でリフトに乗られた。すぐ後のリフトに乗りこむ。下り場に近づき、前を見ると3人が猛ダッシュで逃げていく。その格好に大笑いしながらも、二人で追いかける。
 さすがに本気を出されると、この3人は速い。しかも、若は座り込んで余裕で滑っている。それでも追いつけなかった。く、くやしー。


ジャンプ大会
 コース途中にエアをきめるジャンプ台を発見!このメンバーはやたらとジャンプをしたがるので、そく飛びつく。高さは身長よりも高く、傾斜もきつい、本格的なジャンプ台だ。近くで見るとまるで壁!恐怖感もひとしおである。

 早速、みんなで挑戦を始めた。最初は恐々だったが、このメンバーの悪い癖で無難に飛ぼうものなら、
「へたれ!」「全然アカン!」「チキン野郎!」と手ひどい攻撃を受けるので、だんだんと過激になっていった。反面、着地に失敗して爆裂しようものなら、やんやの喝采である。

 その中でも優勝は、池ちゃんだろう。ジャンプした瞬間にみんなが
「こらアカンで!」っていうぐらいバランスを崩し、着地と同時に吹っ飛んでいき、板の先端から何か破片が飛ぶのが見えた。なんと、板の先端が割れている。一体どんな着地をしたのだ。それとも体重に耐え切れなかったのか。

 カキちゃんもなかなか笑わせてくれた。空中でバランスを崩し、コース整備した後の雪だまりに突っ込んで転びそうになりながら、なぜか片足で立ち木に向かって、すごい勢いで爆走していた。本人は気づいていないが、避けようとして手をぐるぐる回している。まあそんなことをしても何の役にも立たないと思うんだけど。
 その後、なんとか立ち木を避けたが、そのまま見物している私達に向かって突っ込んできたのである。ここからが私達の友情の厚いところで、みんなで優しく受け止めてあげるはずもなく、速攻で笑いながら逃げた。
「だってあたったら痛そうで、怖かったんだもん。」

 Kは最初の内はなんとか乗り越えられる程度だった。それでもたいしたものだと思うけど、最後の方は10pくらいジャンプできてた。えらいえらい。
 私は無茶ばっかりしてしまうのでいつもKに
「ええ加減にしいや。ケガしても知らんで。」と釘をさされている。
 この時も飛ぶ前に言われ、ついおとなしめに飛んでしまった。案の定みんなからは「なんやおもろない。いけてないで!」と罵られる。「くっそー」と思い。最終日には「180℃半回転ジャンプ後ろ向き着地」をへっぴり腰ながらしてましたとさ。
 さすがに360度一回転は怖くてできなかったけど、次は是非挑戦してみたい。