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第7巻 『人間論』

人間の出産、特異体質の人間、天才、偉人、運命、寿命、死、発明、発見等、人間そのものについて記述されている。
インドの怪人種についての記載は、後世の人々に多大な影響を与えルネサンス期まで、インドは怪物の存在する 未知の世界として扱われた。
また、様々な個人のエピソードも豊富で、各種の発明、発見が紹介され文字・武器・時計などの発達、ひげそりの習慣など 読み物としても魅力のある巻。


モノコリ(スキヤポデス) 「第7巻2章」

「インドには、モノコリといって脚が一本しかなく、跳躍しながら驚くべき速力で動く人々が存在する。 またその種族は「傘足種族」と呼ばれ、暑い季節、彼らは地面に仰向けに寝て、 その巨大な足の陰で身を守るからである。」

プリニウスは他にも数多くの怪物人種を紹介しているが、14世紀の宣教師 ジョヴァンニ・ダ・ マニリョリは、このような怪物は詩人や歴史家がでっちあげた絵空事といった。 彼は現地へ調査に赴いたりしたが、存在を確認できなかったと述べている。またスキヤポデスにしても、 インド人が日傘を指している光景を詩人達は足と見間違えたと一蹴している。

しかし、ジョン・マンデヴィル「東方旅行記」を初め、 他の大真面目な本には、怪物の存在が当たり前のように紹介され、彼のような否定派は数 少なかったといわれる。

>備考
博物誌には上述の通りモノコリ(一肢族)と記載されてますが、他の書物では、 スキヤポデス(影足)と表記されていることが多いです。
プリニウスはモノコリとスキヤポデスと同一視していますが、中世では別の存在 として著された例もあり、一体いつから分派したんでしょう?


ピグミー(小人族) 「第7巻2章」

「山脈を越えた彼方には、小人族が住んでおり、彼らは背丈が三スパン(約27cm)を越すことはない。かの詩人ホメロスは彼らは鶴と交戦すると詩っている。 毎年春になると、彼らは山羊に乗り、矢を携え海岸へ行き、鶴の卵や雛を始末する。この遠征は3ヶ月もかかるが、もしそれを行わなければ、成長した鶴が増えて彼らは抵抗できなくなるだろう。」

また、ジョン・マンデヴィル「東方旅行記」にも、鶴と交戦する小人の記載があるが、 その小人は農耕や重労働は普通の背丈の人間にさせるとし、我々(普通の人間)が巨人を怪しむのと同じように彼らは普通の人間を軽蔑しているという。

マルコ・ポーロは珍しく小人の存在を疑問視している。彼は小人というのは、猿の毛を抜いた剥製だといっているが、東方見聞録にはそれ以上に摩訶不思議な世界が描かれているのに何故?という疑問を私は持ちます。

>関連ページ−「第10巻30章 鶴」


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