マイケルジョーダン引退会見(T)

991月、マイケルジョーダンの2回目の引退会見の様子である。

またこれをやるんだね。2回目だ(笑)。妻と「まるで結婚するためにここに来るみたいだ」と話してたんだよ。皆がいる前で、何よりも今真っ先に僕がしたいことがある。今日はマイケル・ジョーダンのための日ではない。世の中では深刻な出来事が起こっている。僕は自分の家族と、そしてできれば皆と一緒に、殉職された警官(19日にシカゴで警ら中の警官が射殺された事件があった)に対し、お悔やみを申し上げたいと思う。彼のお葬式がこの同じ時間に行われている。残念なことではあるが、この出来事は人生が何なのかを考えさせてくれた。僕は9時から5時まで働く生活の人々に、プレッシャーから解放された時間をあげたいと考えながら、これまでバスケットボールをプレイしてきた。ベストを尽くしてきたつもりだ。彼の家族に起こった不幸な出来事に対して、お悔やみを申し上げたい。そして、ここにいる君たちも同じ気持ちでいることに感謝したい。

 さて、私はバスケットボールのゲームから現役引退を発表するためにここに来た。野球や他の発表ではないよ。それぞれ独自の推測をお持ちだろう。それについては後で質問する機会がきみたちにはある。ともかくまず最初に、僕がバスケットボール・ゲームをプレイするチャンスを与えてくれて、シカゴで僕の美しい妻と知り合い、家族をつくる機会を与え、さらにコートの内外でサポートしてくれたノースカロライナの家族をシカゴに呼び寄せるきっかけをつくってくれた、ミスター・スターンとミスター・ラインズドルフに「ありがとう」という言葉を贈りたい。それから全てのシカゴ・ファンに対してもだ。シカゴのみんなは僕がここに来ることを歓迎し、同じシカゴ市民のひとりとして迎え入れてくれた。そのお返しに、僕はバスケットボール・コートに立ち、シカゴの持つ、悪名高き「ギャングの街」というイメージを取り除こうと努力したんだ。僕だけではなく、チームメイトやブルズという組織がシカゴのイメージ・チェンジを期待され、それに成功したと思う。シカゴはこれからもずっとチャンピオンシップの街だと知られるようになってほしい。そしてそれがいつまでも続くように、たとえマイケル・ジョーダンがユニフォームを脱いでも。僕はこれからもシカゴ・ブルズをサポートしていくつもりだ。それになんといってもゲームというものは、マイケル・ジョーダンよりもはるかにスケールがでかい存在なんだ。

僕は先人たちにプレイする機会を与えてもらった。名前を挙げるなら、カリーム・アブドゥル=ジャバー、ドクターJ、エルジン・ベイラー、ジェリー・ウエスト。彼らはマイケル・ジョーダンが生まれるずっと前からプレイしていた。そして、ミスター・スターンがリーグ組織を整え、僕にバスケットをプレイする機会を与えてくれた。僕はベストを尽くしてきたつもりだ。自分にできる最高の選手になるよう、日々努力を重ねてきた。NBAはこれからも続いていく。この6ヶ月間、闘争があった。ビジネスだから必要事項は厳しくチェックしあったけれど、いよいよエンターテインメントである「ゲーム」が始まることになった。ゲームはこれから先もずっと続いていくんだ。

 僕はNBAですばらしい体験をした。サポートしてくれた人たちに十分なお礼の言葉は言えないが、明日から僕の人生は変わることになった。多くの人々は「マイケル・ジョーダンはバスケット・ボールのゲームを以外にはチャレンジするものがない」と言うが、親でいることも大きなチャレンジだ。子どもがいる人なら、わかるだろう。僕はそのチャレンジを迎えいれるつもりで、今からとても楽しみに思っている。バスケットをプレイする子供たちと一緒にこれから生きていくつもりだし、もし子供たちがバスケットをしないのなら、それはそれで支えていくつもりだ。妻も同じ考えでいる。これから親としてできる限りのことをする、これが僕にとっての新たなチャレンジなのだ。実に楽しみだ。

 残念なことに僕の母や兄弟たちは今日はここに来ていない。でも、彼らは今、僕とともにここにいる。そしてシカゴのみんなが僕を受け入れてくれたこと、僕に尊敬の心と感謝の気持ちを見せてくれたことに対して、僕同様「ありがとう」と言いたいと思っているはずだ。僕は今、シカゴに住んでいるし、これからもここに住むことになるだろう。妻はここで暮らしたがっていることだしね。だから僕はこれからもここシカゴで、シカゴのチームを応援するつもりだ。

 これが僕が言わなければならなかったことのすべてだ。2つの単語、「I'm gone」だけを言うことも考えたけれど(笑)、ファンやメディアのことも考え、ここに来ることを決断した。それではジェリー(ラインズドルフ)がデビッド(スターン)の前に何か話したそうなので、マイクロフォンを回すことにする。

・・・・・ジェリー・ラインズドルフ、デビッド・スターンのコメントをはさむ・・・・・