大河ドラマ「新選組!」のツボ

 

正月時代劇 「新選組!! 土方歳三最期の一日」  その2

 
戦いに疲れた様子の指揮官たちが、会議室で榎本を待っています。
そこへ入ってくる、榎本・大鳥・土方。
この時、居並ぶ指揮官たちの向こうに、階段を下りてくる榎本たちが見えるんですよね。
空間が感じられる、本当に素晴らしいセットです。
指揮官たちの前に立つ、榎本と大鳥。
そして、土方が一歩遅れて入ってくるのがいい感じ。


「長い間、ご苦労であった。戦は本日で終わりだ。よくぞここまで戦ってくれた。」
すすり泣きの声が聞こえ始め、一人の士官が立ち上がります。
「ここまできて、降伏するんですか?!」
その声に、堰を切ったように榎本のところへ駆け寄る士官たち。
「我々はまだ、戦えます!」
「薩長の奴らに、降伏しなきゃならないんですか?!」
「総裁! 最後まで戦いましょう!!」

士官たちの必死の訴えに、動揺を隠せない榎本。
その横で、大鳥ががっくりと椅子に座り込みます。
辛そうな表情で士官たちの言葉を聞いていた土方が、そんな榎本と大鳥に視線を投げる。
ここでカメラが土方の目線で榎本と大鳥を映していくのが、上手いです。
肩で一つ息をして、何かを思う土方。
3人とも台詞は全くないのに、その表情で、仕草で、心情が手にとるようにわかってしまう。
素晴らしい俳優さんたちですね。


会議室から出てきた榎本と土方が、廊下を歩いてきます。


五稜郭のセットは、この蝋燭がとてもいいアクセントになっていますよね。
土方が帰営した時にも、燭台の脇を通るショットをアップで抜いていたし、さっきの指揮官たちに降伏を伝えるシーンでも、榎本のアップの横に燭台を映り込ませていました。
スタパで見たのですが、キャストの背丈に合わせて燭台の高さを調整したり、シーンごとに蝋燭の火を点けたり消したりして、スタッフさんたちがすごく手間をかけていたんですよ。
だからこそ、レトロでハイカラで、ちょっと哀愁漂う五稜郭の雰囲気が、よく出ていると思います。


「何も思わないのか。あの声を聞いて。」
立ち止まった土方が、前を行く榎本の背中に問い掛けます。
苦悩の表情を浮かべ、足を止める榎本。
しかし、すでに降伏は決まったこと、と繰り返す。
榎本の言葉を遮るように、「降伏はするな。」と呼びかける土方。
振り向いた榎本に、土方はつかつかと歩み寄ります。
土方の表情が変わりました。迷いがなくなっている。鬼の副長に戻っています。

自分は死に場所のことしか考えていなかった。あんたは降伏しか考えていなかった。ともに大事なことを忘れていた、と話す土方。
その大事なこととは、諦めないということ。
土方の言葉に、榎本の表情が変わります。

「あんたは確かに馬鹿だ。馬鹿な“ろまんち”だ。」

“ろまんち”、きたーーーっ!!
『再会』で、勝海舟が近藤勇に、甲府城で新政府軍を迎え撃つように命じた後、その場にいた山岡鉄舟が、近藤勇に死に場所を与えたのかと訊ねると、
「お前みてぇのをよ、メリケンではさ、“ロマンチスト”ってんだよ。」
「・・・ろまん・・ち・・・?」
と言った、あの“ろまんち”ですよ〜〜。
まさかこの言葉が、続編のキーワードになるとは。(笑)


土方は、今まで自分は、もうひとりの馬鹿な“ろまんち”を日本一のサムライにするために生きてきた。どうやら“ろまんち”とやらに付き合うのが性に合っているらしい。だからこれからは、あんたの夢に賭けることにする、と宣言します。
夢は醒めたという榎本を、夜が明けるのはまだまだ先だ、と説得する土方。
「これは死ぬための戦いではない。これから俺たちは生きるために戦うんだ。」
BGM『誠の志』が、すごく効果的に使われていますよね。
会議室のシーンでは哀愁を帯びた旋律だったのが、ここでちょうど大きな盛り上がりを見せる。
本編でも、近藤たちが心を一つにして芹沢鴨粛清に向かうところとか、大きく心を決めて一歩を踏み出す時に使われていた曲です。

榎本も心を決めたように、口角をきゅっと引き締めると、一言言っておく、と土方の方へ向き直ります。
「“ろまんち”ではなく、ロマンチストだ。変なところで切らないでほしい。」
「知ったことか!」
微笑みあう二人。
上手いな〜〜。
この激しく盛り上がりを見せるところで、この会話を入れてきますか?>三谷さん

「ここは俺に任せてくれないか。」
「中身次第だな。」
「(こくり)」
「まずはどうする。」
「まずは、軍議だ。」
ようやく志を一つにできた喜びが、前に進んでいくワクワク感となって伝わってきますね。
かっこいいよ〜。
なんてかっこいい男たちなんだ。

君に一つ謝らなければならないと、榎本は土方に言います。
自分の見立ては間違っていたと。
「あんたこそ、筋金入りの“ろまんち”だ。」
榎本の言葉に、ニヤリとする土方。
史実の土方さんはどうあれ、山本土方は“ろまんち”でしょう〜〜。
この人ほど、馬鹿な“ろまんち”はいませんよね?きっと。(爆)



あれから大鳥は、会議室に一人残っていました。
「勝ちたい・・・」
呻くように言って、大鳥は箱館のジオラマに歩み寄ります。
駒を一つ手に取って、作戦を考える大鳥。
その駒を、床に落としてしまいます。
拾おうとひざまずいたところへ、向こうから榎本と土方が。

思えば、武蔵野楼で榎本が降伏宣言をした時、大鳥はワインを呷ってから立ち上がっていた。
あれは実は、大鳥自身は降伏したくない、その気持ちを押し殺すためだったのですね。
榎本が降伏すると発表した後も、それでもジオラマ作りをやめなかった。
土方になぜ降伏するのかと問われた時も、答えながら目が泳いでいた。
すべて、大鳥が実は本心では、戦い続けたいと思っていることを表していた訳です。
改めて見直してみると、吹越さんがそんな大鳥の心情を、細かい芝居で何度も表していたことに気付きます。


「葡萄酒でも飲むかね?」
「今は結構。戦に勝ったら、存分に飲ませてもらう。」
あれ?
「良くもないが」とか言ってた人が、「存分に飲む」んですってよ。(笑)

「もしよかったら、サンドウィッチでも。」
「話し掛けないでもらえるか。」
「失敬。」
なんか二人の性格の違いが出ていて、楽しいですよね〜。

池田屋で浪士を捕縛した時も、そうやって策を練っていたのかという榎本の問いに、自分が全体の策を立て、山南さんが細かい陣割をした。それが新選組のやりかただった、と答える土方。
「では今は私が、その山南さんの代わりを務めるとしよう。」
「・・・無理だ」
榎本さん、がっかり。
笑える〜〜。
二人の表情と、絶妙な間の取り方が最高です。

「いいんだよ。あんたはあんたで。」
誰も、あの山南さんの代わりはできない。
土方にとっての、山南の代わりにはなれない。
それと同時に、榎本は榎本。近藤の代わりにはならないということでもありますね。
最初は榎本を、近藤さんの代わりにしようとしていた土方。
だけど榎本の夢に賭けようと決めた時、近藤の代わりではない、一人の同志として、土方は榎本を認めたのでしょうか。

突然一人、噴き出す土方。
「何がおかしい。」
「いちいちうるさいな。」
わぁ〜い、トシだ〜〜。
すっかり榎本さんに心を許してしまいましたね。
がっかりしている榎本さんが可愛い。
ほんと、この二人のやり取りも愉快ですよ。

さんざん見慣れた地図なのに、死ぬためではなく生きるために見てみると、同じ地図でも違うものに見えてくる、と土方。


「ではこれより、軍議を行う。」
「お願いします。」
すっかり関係が逆転してしまいましたね。

「名付けて、桶狭間戦法。」
“桶狭間”と来ましたか。
それは、今年の大河に敬意を表して?>三谷さん(笑)

「確かに箱館は、守りに関しては万全だ。南には天然の城壁、箱館山。」
うっ、胸に痛みが・・・。
「これだけ守りが固ければ、敵はやすやすと上陸はできない。」
それが、とっくに上陸して、さっきからどこぞの山を登っているようですが・・・。(汗)
明日の総攻撃で、敵は北と西から、帯のように連なってこの五稜郭を攻めてくるだろう。
説明しながら、土方は襟元のスカーフを外します。
そうか、予告でスカーフをしていない姿を見たのは、この時外したからだったのね。

「数に対して数でぶつかれば、少ない方が負けるに決まっている。」
絶対的な兵力の差。それで、桶狭間戦法を選んだということらしい。
「兵が多ければ多いほど、軍勢が広がれば広がるほど、小さな綻びは見えにくくなる。」
おや、スカーフに綻びが。
「俺たちは軍勢の中の、一番弱い一点を突く。」
笄を手にした土方は、スカーフの綻びに笄を突き刺し、破きます。
「信長が今川勢を破った時と同じだ。」
今にもマジックでも披露してくれそうな、土方の手つきです。(笑)

土地の者しか知らない間道を抜けて全軍の背後に回り、富川の本陣に突っ込み、参謀黒田了介の首を取る。
まさに、桶狭間の戦いですね。
「では。」
「50で十分。」
悪巧みをしているような二人の男たちが、素敵ですよ。
黒田の首を取ったら、自分はすぐに取って返して、背後から敵を切り崩す。
榎本には五稜郭から攻め出てほしい。
「これが、あんたの好きなサンドウィッチだ。」
上手いな、土方。(笑)

「君の話を聞いていると、勝てそうな気がしてきたよ。」
「悪いが俺はこっちに来て、陸の上ではまだ一度も負けてないんでね。」
そう、残念ながら宮古湾海戦では、負けてしまっていますけどね。

「奴らは、薩摩だの長州だの土佐だのが混ざってできた“ヌエ”だ。その化け物を、最後は人が倒す。」
鉄之助との会話や回想シーンが、ここに繋がってくるとは!!
土方は、人が一番恐ろしいと言った山南さんの言葉を、信じるということでしょうか。
「何の話だ?」
「忘れてくれ。」
この時、土方がふっと微笑むんですよね。
小さく舌打ちしたり、ニッと片頬に笑みを浮かべたり、相変わらず細かい芝居が上手いです。>山本さん

「総裁。この戦、勝てる。」
「生きるための戦いだな。」
「あぁ。生きるための。」
・・・・・・。(涙)


確認し合ったところで、土方が出撃した後の全軍の指揮を、大鳥に任せたい、と榎本が言い出します。
どうせあの人は俺の案には乗らないだろう、と言う土方。
「土方くんはそんなことを言っているが、あんたはどうなんだい?」
なぜか、ジオラマに向かって榎本が尋ねると・・・。
そんな下に潜り込んでいたんですか? 大鳥さん。(爆)

「何をしてた。」
「あんたが総裁にろくでもないことを吹き込んだら、すぐに斬り捨てるつもりだった。」
顔を合わせれば、喧嘩?
「そして、これ以上ないというほどの、ろくでもない策を聞かせてもらったよ。」
このあとの展開を考えると、その言葉がイタイです。
兼定の鯉口を切って、大鳥の手元に視線を走らせる土方。
土方に近づく大鳥を、榎本が止めます。
一触即発かと思ったら・・・。

「土方、礼を言う。」
大鳥は土方に、深々と頭を下げました。
「榎本総裁をもう一度戦う気にさせてくれた。」
かっこいいです〜、大鳥さん。(惚)
自分では説得できなかった榎本を、土方が戦いへと引き戻してくれた。
その喜びが、土方を素直に受け入れる気持ちにさせたのでしょう。
頭まで下げて感謝の意を表する、その姿が潔いです。
「守りの固めは俺の専門だ。あとのことは心配するな。存分に戦ってこい。」
さっき落とした駒を五稜郭の前に打って、土方を激励する大鳥。

土方は改めて、大鳥と向き合います。
「総裁が降伏すると言った時、あんた、あそこにいた兵の誰よりも悔しそうな顔をしていた。計算だけの男にはできない顔だった。」
だから土方は、榎本を説得したんですよね。
山本土方は基本的に、すごく優しいから。
自分のため、ではなくて、大切な人の気持ちを生かすために尽くす人だから。
だから、榎本の夢を聞いて、大鳥や士官たちの戦い続けたいという願いを見て、改めて降伏を思い止まらせよう、この戦に勝たせようと決心したのでしょう。

「後は任せた。」
大鳥の気持ちを受け止めて、土方は言います。
頷き合う二人。
「おいおい、ちょっと待ってくれ。私抜きで心を通い合わせるのは、やめてもらいたいな。」
榎本さん、ヤキモチですか?(爆)


新政府軍は、さらに山を登っていきます。(どきどき)


明日の戦に勝てば、薩長の奴らも少しは自分たちを認めるだろう。未開の土地の開拓ぐらいは許すかもしれない。それを足掛かりに、新しい国づくりを始める。
「その時は、晴れて我らが蝦夷の国の誕生だ。」
榎本さん、すっかり気持ちが大きくなりましたね。(笑)
「その国では、近藤勇はもう罪人ではないんだな。」
「もちろんだ。この国の礎となった一人の英雄として、未来永劫、その名は刻まれる。」
榎本の言葉に、幸せそうな顔をして頷く土方。
新しい国づくりが、土方の夢にもなった瞬間ですね。

榎本が土方に右手を差し出します。
「前から気になってたんだ。その挨拶には、いったい何の意味がある。」
と尋ねる土方。
あの万延元年(1860)、ヒュースケンに手を差し出された時から、土方さん、ずっと悩んでいたんですか?(笑)
「土方くん。これからは、これが我らの挨拶だ。我らの新しい国の。」
躊躇いながらも、土方は榎本の手を握り返します。
そして、榎本に促されて、大鳥も手を重ねる。
この時の、目を丸くして榎本と土方の顔を見る、大鳥さんが可愛いです。
さらにその上に、土方が手を重ねて・・・。
榎本の西洋風を、どんどん受け入れていく土方が面白いです。
もし新しい国づくりが実現していたら、土方さんはハイカラなサムライの最先端をいっていたかも?



各陣の指揮官たちを集めて、軍議が開かれています。
無茶をするな。全滅しないよう力を残して、敵を引き付けながら退却してくるようにと、大鳥が指示を出します。
一人、輪の外に座って、目を閉じている土方。


新政府軍は黙々と、ひたすら山を登り続けています。(はらはら)


砲声が聞こえました。
その音に、土方が目を開けます。
北の方角から聞こえたらしい。
斥候を出すよう、指示する大鳥。

新選組本陣にも、砲声は届いていました。
建物の中から飛び出してくる、島田や尾関たち。

五稜郭に斥候が戻ってきました。
薩長軍が赤川台場に攻め込んだと聞いて、大鳥がジオラマの駒を動かします。
それを見つめて、頷き合う榎本と土方。

新選組本陣には、相馬が駆け込んできてその情報を伝えます。
「我々も加勢に!!」と進言する相馬に、「ここで待てというのが、土方さんの命令だ。」と突っぱねる島田。

さらに五稜郭には負傷した兵士が報告に駆け込んできます。
敵が近づき、戦況が悪化してきているのですね。


このシーン、2回目にスタパに行った時に見たんですよ〜。
負傷した兵士が、段につまづいて転ぶシーン。派手に滑り過ぎて、NGになっていました。
床が綺麗にモップがけしてあるから、滑るみたいなんです。
廊下の角を曲がるところも遠心力が付き過ぎて、エキストラさん、ずいぶん苦労していましたね。
という裏話は置いておいて。


四稜郭も権現台場も落ちました。
落ちた陣の兵が間もなく戻ってくるから、すぐに本隊に組み込み、決戦に備えよう、と大鳥が準備のために部屋を出ていきます。
不安そうに土方を見つめる榎本。
「これで、心置きなく突っ込める。」
闘志に燃える土方。

ここまで厳しい戦闘を潜り抜けてきて、肝が据わったというか、簡単には動じなくなったようですね。
昔の土方だったら、こんな時、待ちきれずにイライラしていたのでは?
昔は、一番中央で腕組みして目を閉じて、でんと構えているのは近藤でした。
土方も、それだけの将器が備わってきたということでしょう。

戻って来た兵士たちに、ご苦労だったと声をかける大鳥。
「本当の戦はこれからである!気を緩めるなーーっ!!」
檄を飛ばします。


夜陰に紛れて山を登っていた新政府軍の兵士たちが、どうやら頂上に着いたようです。(ひぇ〜)
黒の被り物は薩摩の指揮官ですね。
運んできた大砲を設置し始めました。
BGMが少しずつ少しずつ緊迫した空気を強めていって、心臓がばくばくしてきます。


敵の動きは速く、既に桔梗野台場まで迫ってきているらしい。
「奴らは総攻撃の勢いに乗り、もう五稜郭しか見えなくなっている。」
あぁ、見えなくなってるのは・・・見えなくなってるのは・・・。(涙)
「これで、黒田のいる本陣は切り離された。」
タンッと、ジオラマの敵本陣のところに笄を突き立てる土方。
「勝負だ!!」
不敵な笑みを大鳥と榎本に投げて、土方は自室に戻っていきます。
あんた、かっこよすぎ。(爆)
榎本と大鳥は託すように、その後ろ姿を見送ります。



山の端から日が昇りました。
窓から差し込む朝日。その光の中に浮かび上がる、土方のシルエット。

自室に戻った土方は、刀架けに兼定を置き、部屋の中央に歩みを進めます。
ゆっくりと見回す部屋の中には、誠の壁掛けや提灯、鬼瓦、だんだらの敷物、鉢鉄・・・。
開いてあった発句帳(栞代わりにあの写真を挟んであるのがまた!)を除けて、文箱の蓋を開けると、大切に仕舞われていたのは、あの会津のお墓の前で二つに裂いた、だんだらの羽織でした。
「近藤さん、悪いがあんたのところに行くのは、もう少し先になりそうだぜ。」
微かに潤んでいる、土方の瞳。
そして羽織をさっと広げると、鉢巻にして額に結びます。
口をキュッと引き結んで、決意のこもった眼差しで。


このシーンをスタパのモニターで見た時は、みんな言葉を無くしていました。
だんだらを鉢巻にっていうのにもやられたし、何より土方の表情があまりにも凛々しくて美しかったから・・・。
(あ、でも、鉢巻が上手く結べなくて、笑いが零れた時もあったけど。)
神々しいとか、荘厳とか、そんな形容詞まで付けたくなってしまう表情です。
でもまさか、土方の言っていた台詞が、こういう言葉だったとは!!

さらに流れるBGMが、『流山』で近藤と加納が対面するシーンに使われていた女声コーラスで。
あの時も、光の中に浮かび上がる二人のシルエットの美しさに、“天”とか“神”とかというものを感じさせられました。
でもそれが、近藤が死を覚悟し、運命が決まったシーンだったんですよね。(涙)



兵士たちを率いて、土方が出陣していきます。
「目指すは本陣、奸賊薩摩。黒田了介の首ただ一つ! いざっ!!」
「おぉっ!!」
今川義元を討ち取ることだけを目指した、まさに桶狭間のような檄ですね。
颯爽と出て行く土方も、兵士たちも、かっこいいですよ〜〜。


新政府軍は、まさに帯のように広がって、五稜郭へじりじりと迫ってきています。
そして敵の本陣を目指し、間道を駆けていく土方たち。
大砲を組み立てているのは、山上の敵兵たち。
新選組本陣では島田が、敵はまだ遠いが準備を怠るなと檄を飛ばしています。
押し寄せてくる新政府の大軍。
駆け抜ける土方隊。
大砲に弾を込める敵兵。
画面の切り替えが速くなり、その時が近づいてきているのが感じられます。
進軍する新政府軍の向こう、木立の奥を、土方の馬がすれ違うように駆けていくショットは最高でした。

山上ですでに銃を構え、合図を待っている敵の兵士たち。
そして黒熊を被った指揮官が、足元にあったカンテラを蹴落とします。
昨夜、土方が置いていったカンテラ!!
そうです。ここは、天然の城壁のはずの箱館山なんですよ〜〜。(涙)
真下には新選組本陣。そして、箱館の町は一望のもと。
でも、新選組は、背後の敵には気付いていない。
後ろ!後ろーーーっ!!


指揮官の腕が振られました。
一斉に放たれる銃砲。
駆け下りてくる敵兵たち。
「山の上から敵兵が! 不意打ちですっ!!」
相馬の必死の注進。

山の上からどかどか大砲を打ち込まれ、敵兵がなだれ込んできます。
必死に応戦する新選組隊士たち。
隊旗を掲げていた尾関も、銃で狙われる。
その銃弾を除けて、「わぁーーーっ!!」さらに高く“誠の旗”を掲げる尾関。
その心意気が素晴らしいです。
屋根から飛び下り、敵を斬り倒す相馬。
敵兵を投げ飛ばしている島田。
しかし敵に追いつめられた蟻通が、囲まれて斬られます。
助けに駆けつけることもできず、絶叫する島田。

蟻通と山野は、シーン、カットされたんでしょうか。
台詞もほとんど無かったですよねぇ。
時間が無かったのだと思いますが、出演が決まって喜んでいたみたいなので、俳優さんたちがちょっと可哀想でした。



土方たちが、敵本陣の背後に到着しました。
騎馬で進んできた土方が、右手を上げて兵士たちを制止するのが素敵です。
山本さん、手の動きがほんと綺麗なんですよね〜〜(惚)
枝を除けながら見通しの良いところまで進んで、本陣を見渡します。
敵兵はほとんどいません。
これならいける!と思ったことでしょう。

「行くぞ!」
兼定を抜いた時、遠くに砲声が聞こえます。
思わず視線を上げる土方。
「箱館山・・・。」
土方がそこに見たものは、箱館山にいくつも上がる砲煙でした。
瞬間、土方の脳裏に浮かんだのは、昨夜の島田の泣き顔でしょうか。
土方の心を汲もうとした尾関の顔だったでしょうか。
相馬や若い隊士たちの笑顔だったでしょうか。


箱館山奇襲の報は、五稜郭にも届いていました。
「夜中のうちに上陸して、一晩かけて山を越えてきたらしい。」
「信じられん。まるで、鵯越だ。」
鵯越・・・。今度は、昨年の大河へのリスペクト?>三谷さん(笑)

箱館山の新選組は、弁天台場まで退却したらしい。
「箱館の町を取られたら、もう戦は無理だ!!」
敵の奇襲に動揺し、混乱する榎本と大鳥。
榎本は、朝、土方が突き刺していった笄に目を止めます。
「土方・・・。土方はどこにいる?!」


土方は、必死に馬を走らせています。
部下たちには先に、箱館の町へ向かわせたかな?
榎本が五稜郭の外まで飛び出してきました。
そこへ戻ってくる土方。


榎本から、大鳥が箱館に援兵を差し向けたと聞くと、
「それでいい。箱館の町を奪われたら、サンドウィッチになるのはこっちの方だ。」
と安堵して、土方は自分も箱館の町に向かおうとします。
「土方!行ってはならん!!あとは我らとともに。」
土方に駆け寄り、引き止める榎本。

昨夜榎本が、もう誰も死なせたくないと言っていたのは、半ば情であり、半ば信念。
でも今は、友を死なせたくないという迸る感情から、土方を止めているのでしょうね。
けれど、土方は余裕で榎本に告げます。
「計算が崩れた時こそ、俺の出番だ。昔の仲間を助けたら、その足で黒田の首を頂いてくる。」
榎本ではないけれど、土方の言葉を聞いていると、勝てそうに思えてくるから不思議。
「死んではならんぞ。」
「もちろんだ。」

「榎本さん」
行きかけた土方が馬を止めて、榎本を振り返ります。
「あんたこそ、死ぬんじゃねぇぞ。生き延びて、この地に夢の花を咲かせろ。」
榎本に語りかける土方。
「この大地を開拓するんだよ。そして何万頭もの牛を飼って、チーズを作れ。そんなこと、あんたにしか出来やしない。」
遺言?(号泣)
だけど、なんて生き生きとして、明るい表情で笑いかけるのか。

この笑顔を見た榎本だったら確かに、土方について「入室m清風」(土方歳三資料館にある榎本の書)と詠むかもしれないと、強く思いました。
榎本は実際にこの後、明治政府に許されてから、北海道開拓使となっているんですよね。


ちなみにこの日、土方たちが新政府軍本陣を襲おうとしたという記録はありません。
武蔵野楼での前夜からの別宴は、未明まで続いていました。
夜明けを待って榎本たち幹部は五稜郭へ戻り、自分は七重村に出陣するつもりだったと、人見勝太郎は語っています。(『史談会速記録』)
当日の夜明けは午前四時半。
しかし新政府軍の総攻撃は、午前3時をもって、陸海同時に開始されることになっていたそうです。

また、箱館山が完全に無防備だった訳ではなく、一応、尻沢辺に砲兵隊半小隊が、寒川には新選組一小隊が布陣していたといいます。
しかし兵力の差があり過ぎました。
『戊辰戦争見聞略記』には、「数人シテ数百ニ当リ難シ」とあるほど。
奮戦するも叶わず、敗走するしかなかったようです。

箱館市内に布陣していたのは、新選組・伝習士官隊・工兵隊・砲兵隊・神木隊などで、敵の上陸を知り、箱館山の中腹まで登ってこれを迎え撃っています。
しかし山上から銃砲で撃ち落され、新選組では蟻通勘吾が戦死。(中島登の『戦友姿絵』)
市内へと追撃された新選組は、多くの犠牲を出しながら、箱館奉行の永井尚志とともに弁天台場に逃げ込みました。
伝習士官隊は一本木関門へと敗走し(『幕末実戦史』)、援軍に駆けつけた土方と合流したと思われます。




箱館の町へ向かって、単騎駆ける土方。
今回はロケが多くて、本当に良かったです。
広々とした大地。躍動感が違います。

太陽がかなり上ってきました。


ここは一本木関門。(涙)
箱館の町の方から、兵士たちが逃げてきます。
そこへ土方が到着して、兵士たちはほっとしたように土方に駆け寄ります。
「諦めるな。俺が来たからには負けはしない。」
兵士たちを励まして、新選組の消息を訊く土方。
たぶん今頃は・・・という兵の言葉に、表情を曇らせます。

その時、箱館湾の方で爆音が轟きました。
砲弾を受け、爆発炎上して沈んでいく、一隻の軍艦。
長州の旗印が燃えています。
「見ろ! 敵の艦が沈んでいく。あれは我が軍の勝利の烽火だ。今こそ敵の本陣に斬り込む時だ。」

これは、箱館湾で海戦を行なっていた味方の幡龍が、新政府軍の朝陽を砲撃し、弾薬庫に命中させて沈めた瞬間なんですけれど、ちょっと唐突でわかりにくかったですね。
海戦をしていることがわかる描写なり言葉なりが、事前に入っていると良かったかもしれません。
実際に土方はこの時、「この機、失するべからず」と言って味方を鼓舞したと、その場にいた大野右仲は『函館戦記』に記録しています。


「俺といる限り死にはせん! 土方歳三について来い!!」
「おおーーーっ!!」
兼定を抜き、兵士たちに檄を飛ばす土方。
馬を進めようとした、その時・・・。


一発の銃弾が、土方の腹部を貫きます。
え? もう?
ゆっくりと馬から落ちていく土方。
その顔は、何が起こったのかわからないでいるような。そのまま必死に前に進もうとしているような表情で。
ドサリと落ちた土方に、兵士たちが駆け寄ります。

そこへ、敵の銃隊がやってきました。
一斉に撃たれ、斬りかかられる兵士たち。
追いつめられて斬られる!と思った瞬間、敵がバタバタと斬り倒されます。
敵の前に立ちはだかっていたのは、土方。すっげー、かっこいい!!

だけど、ここは、もうワンクッション欲しかったかなぁ。
兵士の後ろにだんだら鉢巻が倒れていて、次の瞬間には敵が斬られていたから。
瞬間移動?とか思ってしまいましたよ。(苦笑)
立ち上がる姿でも、ちらりと映っていた方が自然だったような。


「早く逃げろ!!」
味方の兵士に告げて、敵陣に突っ込んでいく土方。
この時の殺陣は、やはり鬼気迫るものがありましたね。
苦しそうな表情と、肩で息をしているのがとてもリアルで。

「何者だ?!」
誰何されて、
「新選組副長、土方歳三」
この時の表情がまた、最高にかっこいい!!
実は予告で見た時、声が掠れていて、表情も苦しげで、ちょっと不思議だったんですけど、そうか、既に銃弾を受けていたのか。
山本さん、さすがです。

まさに目の前に鬼を見てしまったように、声を無くす敵将と、後ずさる敵兵たち。
土方はさらに斬り込もうとして、腹部を押さえます。
傷を見る土方。この時初めて、死を悟ったのでしょうね。
「榎本さん・・・すまん・・・。」
力尽きて、崩れ落ちる土方。
この時の倒れ方も表情も、すごくリアルで。
倒れた土方を上から撮るアングルも、良かったですね。


土方が最期に「すまぬ」と言って息を引き取ったというのは、函館に伝えられている話だそうです。
助けに行ってやれない新選組隊士たちに「すまぬ」だったのか、送り出した大野たち伝習士官隊に「すまぬ」だったのか、その場でなんとか手当てしようとしてくれている兵士たちに「すまぬ」だったのか。
誰に対する詫びの言葉だったのかと不思議に思っていたのですけれど、三谷さん、それを上手く利用しましたね。
生きて、ともに新しい国を作ろうとしていた、榎本への「すまん」。
三谷さんにやられた〜と思いました。


静寂が訪れます。
目を閉じた土方に差し込む明るい光。
そこへ、誰かの影が近づきます。
土方が目を開けると、そこには覗き込んで見ている近藤の顔が。
「トシ・・・。」
「かっちゃん。」
透明で、穏やかで、明るい土方の笑顔。子どものように無垢な表情で。
時を越え、土方は、あの日の近藤に会えたのでしょうか。
トシ、次は何をしようか?と呼びかけた、あの日の近藤に・・・。

実は最初、この近藤の映像を持ってくるくらいなら、「トシ・・・」は声だけで良かったんじゃないかと思ったのです。
だけど、あの日の近藤に、あの日の香取くんに会えたと考えるなら、この映像でもいいかなと考えました。


一本木関門での土方の最期のシーンは、本当に天の邪鬼の三谷さんらしい流れだったと思います。
よくあるパターンでは、<名乗る→斬り込む→撃たれる>なのに、このドラマでは、<撃たれる→斬り込む→名乗る>の真逆になっているんですもの。(笑)
さらに、いつも「退く者は斬る」だった土方に、そして大野右仲によれば、この時も「吾、この柵にありて退く者は斬らん。」と言ったはずの土方に、「逃げろ」と言わせてしまうのですから、もう白旗を揚げるしかありません。(爆)

自分の身を挺して誰かを助けるのは、本当はかっちゃんの役目だったんですよね。
近藤が勝沼の戦いのあと、「切腹だ!」と言って崩壊が始まったように、逆の役目を果たすことになった時、土方にも終わりが訪れたんだなぁとなんとなく思ったのですけど、それはちょっと深読みのし過ぎでしょうか?(苦笑)



土方戦死の知らせが五稜郭に届きました。
「榎本さん!」
瞳を潤ませる大鳥。そして、
「終わった・・・。」
と呟き、瞑目する榎本。

ジオラマを見つめた大鳥が、突然叫びながらそのジオラマを壊し始めます。
奇襲を受けた函館山を叩き壊し、駒を弾き飛ばし・・・。
あんなに丹精込めて作った作品を。
大鳥が壊すたびに、砲弾に弾き飛ばされる兵士たちが映るのが、より悲しみを誘います。
最後には大鳥は、テーブルごとひっくり返してしまう。
土方の死によって、絶たれた希望。潰えた夢。
子どものように慟哭しながらジオラマを壊す大鳥は、計算だけの男だったとは思えない。
大鳥や榎本との出会いで土方が変わったように、大鳥や榎本もまた、土方によって変わったのですね。
声をあげて泣く大鳥の肩に、そっと手を置く榎本さんが優しい。
3拍子のテーマ曲にも哀れさを誘われて、このシーンには泣けました。

望楼に上り箱館の町を見つめる榎本。
悔しそうに、わずかに顔を歪めて。
この時、榎本の脳裏には、あの土方の笑顔が浮かんだでしょうか。
託された夢の続きを考えたでしょうか。


敵の攻撃に晒されている弁天台場。
「諦めるな! もうすぐ土方さんが助けに来てくれる!」
島田の叫びが悲しいよ〜。
銃弾をかいくぐって、尾関が永井様をお連れしました。
「島田、土方が・・・。」
忍びなく、絶句する永井様の代わりに、尾関が島田に土方の戦死を伝えます。

「嘘だ。あの人は、死んだりしねぇ。」
受け止められない島田の横で、
「間違いないんですか?」
覚悟を決めて、確認する相馬。
頷く永井様を見て呆然とする、その演技が上手いです。>小橋くん
そんな訳がない、土方さんは死んだりしない!と絶叫し、島田は敵の前に飛び出そうとします。
それを相馬が必死に止めて。

「戦はもう終わった! 命を粗末にするな!!」
永井様が叱咤しました。
「生きるんだ!! 生きてお前たちの仕事を引き継げ!!」
この言葉に、「新選組!」のメインテーマ曲を被せてきますか?(涙)
「仕事・・・。」
相馬が呟きます。
永井様は、生きて見届けろと。新選組を受け入れなかった新しい世の中が、どんなものになるのかを見届けろと。土方はそれをお前たちに託したのだと。
あぁ、土方は、榎本に新しい国の夢を託し、そして隊士たちには、その国の行く末を見届けることを託したのですね?


兵士が、新政府軍の使者が来たと、永井様を呼びに来ます。
「・・・さてと、降伏してくるか・・・。」
まるで、ちょっとそこまで出かけるような気軽さで、降伏を口にする永井様。
降伏が重要ではないのだと、その先の生き方が大切なのだと言っているのでしょうか。
「いやぁーーーっ!!」
尾関が隊旗を高く掲げます。
負けてもなお、掲げる誠の旗。
破れたところから光が差し込んでくるのがいいですね。
尾関を旗持ちに任命した時の、「この旗を守れ。死んでも手放すな!」と言った土方の言葉を思い出します。
それを全うしようとする尾関の心意気。そして、土方の、隊士たちの“誠の心”。

新選組が篭城していた弁天台場が降伏するのは、実際には13日のことです。
でも、新選組の終焉をドラマの中に入れてくれて、三谷さん、ありがとう〜〜。(感涙)
最後のシーンを見ていると、それぞれのこの後の生き様がわかりますね。
京都で剣術道場を開き、西本願寺の夜警を勤め、生涯土方の戒名を身につけていたといわれる島田。
新選組の最後の隊長となり、新島に流刑に処せられ、東京に戻った後、謎の切腹死を遂げたという相馬。



そして、ここにも土方から託された者が・・・。
川を渡り山を越え、走り続ける鉄之助。
箱館の方から響いてきた爆発音に、はっとして後ろを振り返る。
後ろ髪を引かれるような思いでしょうね。土方のこと、新選組のこと。
でも、懐に入れた土方からの包みに手を当てて、再び先へと走り始めます。

山を越え、野を越え・・・。
つまずいて転んで、懐から飛び出した土方の写真。
あの時土方が鉄之助に託したのは、今に伝わるこの写真でした。
慌ててそれをまた懐にしまって、立ち上がり駆け出す鉄之助。


青い空、広がる広野。鉄之助はひたすら走っていきます。
駆けろ、鉄!! 多摩まで走り抜け!!
土方の思いを故郷に伝えるために。
そして100年200年後に、誠の志を伝えるために。

こんなに爽やかで、力強い、新選組ドラマの終焉があったでしょうか。
こんなに「新選組!」のメインテーマが、明るく雄々しく聴こえたことがあったでしょうか。

三谷さん、山本さん、キャスト&スタッフの皆さん、
素晴らしい「新選組!」の第50回を本当にありがとう。



※追記

実際の5月11日の土方の動きについて、簡単にまとめておきますと・・・。

武蔵野楼にいたであろう土方は、総攻撃の開始を知り、五稜郭へ戻ったか、あるいは途中、千代ヶ岡陣屋へ立ち寄って、額兵隊二小隊を率いて出陣します。
弁天台場から駆けてきた陸軍奉行添役・大野右仲は、千代ヶ岡陣屋でこの土方と合流。
大野は馬首を返して、土方とともに箱館の町へと向かいました。
 
土方たちが一本木関門に至ると、ちょうど滝川充太郎率いる伝習士官隊が市内から敗走してくるのに出会います。
土方がその兵たちを立て直そうとまとめている時、辺りに大音響が響き渡りました。
箱館湾で戦っていた幡龍の砲弾が、敵艦に命中したのです。
土方は「この機失すべからず」と大喝し、大野に「吾れ、この柵に在りて退く者は斬らん。子は率いて戦え」と命じます。
そこで大野は土方と別れ、額兵隊と伝習士官隊を率いて市内へと進撃していきました。(『函館戦記』)


関門で戦況を見守っていた土方は、海戦に敗れて回天から脱出してきた荒井郁之助ら乗員たちが、七重浜方面からの敵に襲われているのに気がつき、援護に向かいます。
そして敵を退け、荒井たちを五稜郭へと逃がした後、一本木関門へ戻った時、すでに関門に達していた松前兵に、土方は狙撃されたのではないかということです。(『立川主税戦争日記』)

土方の遺体は、付き従っていた沢忠助ら(たぶん立川主税も)によって五稜郭へ運ばれました。
そして、郭内の一角に埋葬されたといいます。






参考文献:

『新選組全史』 菊地明著
『新選組日誌』 菊地明・伊東成郎・山村竜也編
『土方歳三の35年』 菊地明著
『土方歳三 新選組の組織者』
『子孫が語る土方歳三』 土方愛著
『ふるさとが語る土方歳三』 谷春雄・大空智明
 

 

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