大河ドラマ「新選組!」のツボ

 

第22回  屋根の上の鴨

局長・副長会議の場。自分の気持ちを素直に話す近藤に、絶対心の中で突っ込み入れてそうな表情の土方が笑えます。
 近藤「その上様がおられない以上、もはや京へ残る意味はない。」
 土方(・・・また、始まったよ。近藤さんは・・・。)
 近藤「しかし我々が今なすべきは京へ残り、そして会津候のもと、京の治安を守ること。」
 土方(そんなこと、はじめからわかりきってるじゃねぇか。)
正論に捉われ、悩んで迷ってばかりの近藤に、土方はイライライライラ・・・。(^^;;;

 武士になって将軍家を守る・・・。そのために、浪士組に参加して京に上ってきた試衛館一同。芹沢
 鴨一派と一緒に京都守護職会津候お預かりになったまでは良かったが、肝心の将軍家茂は江戸
 に戻ってしまった。宙ぶらりんの壬生浪士組。近藤さんの迷いもわかるけど、江戸に帰っても自分
 の居場所の無い土方さんは、この浪士組にすべてを賭けてる。新選組を大きくして、かっちゃん=
 近藤さんをその大将にする。自分の道はそれしかない。後戻りなんかできないって思ってる。土方
 さんのイライラが伝わってきて、私まで近藤さんにイライラしちゃうよ〜。(苦笑)

“将軍が江戸へ戻っても、会津藩は今まで通り壬生浪士組を預かる”との約束を、松平容保候から取り付けたと近藤は芹沢・新見に報告します。
自分が蚊帳の外に置かれたと思い、大人げなく拗ねる筆頭局長芹沢鴨。近藤さんにはそんなつもりはまったく無いんだろうけどねぇ。(土方・山南両策士は狙ってるかもしれませんが・・・。(^^;;;)
もともと正論をかざす近藤は、芹沢のコンプレックスをちくちくと刺激する存在で、眩しくもあり妬ましくもあり不快にも思っていますから、面白い訳が無い。で、そのもやもやに耐えられなくて、いつも酒と暴力に逃げてしまう。試衛館派にとって、そんな芹沢は既にお荷物状態になってきています。
露骨に嫌な顔をする土方。あぁ、このムカムカしてる表情がいいよねぇ。吐き捨てたいほど嫌そう。
「芹沢のことは引き受けた。」って、新見さ〜ん、いいとこあるじゃ〜ん。
と思ったら、「会津藩のお預かりである限り、商家からいくらでも金を引き出せる」とか、「所詮近藤たちはガキの集まり」とか、すごいなだめ方してる。(笑)

ところで、先日大阪で壬生浪士組と一悶着あった相撲の小野川部屋。なんとか和解ができ、京での相撲の興行を壬生浪士組がお手伝いすることになりました。この壬生村でも興行してもらうことになったので、日頃お世話になっている八木家の皆さんにも、ご恩返しに楽しんでもらいたいと申し出る、近藤・土方・山南の三人。
贔屓にしている黒神関も来るのかと訊かれて、後ろの二人がこそこそやってるのが面白い。
 土方「斬ってないだろうな?」
 山南「名簿にその名前は・・・。」
そして頷き合った後、ニッコリと営業スマイルで 「大丈夫。来ます!」って、あんたたち面白すぎ。

夜、試衛館派、芹沢派、ともに一杯やりながらなんとなくお喋り。試衛館のみんなと一緒にいながら、総司は敢えてちょっと輪の外にいます。所在無さそうに一人ちびちびやっているところが、なんとなくいじらしい。
思春期真っ只中のところへ、前回力士を斬ってしまった時、近藤さんに叱られちゃったのがショックだったんだよねぇ。それも、「嬉しそうに言うことか!」って頭ごなしに言われちゃったから・・・。
別に総司は嬉しそうにしてた訳じゃなくて、どういう顔をしたらいいのかわからなかっただけなんだと思う。同志の野口くんを庇って、初めて人を斬ってしまった。その後味の悪さを、本当はわかってほしかったのに・・・。それなのに一喝されちゃったから、素直になれなくて・・・。
せっかく山南さんが差し伸べてくれた手も振り払って、芹沢に誘われるまま出て行っちゃった。
「総司!」ってたしなめる源さん、「近頃総司の奴、いつも芹沢と一緒だ。」と心配そうな土方、「総司についていってやってくれないか?」と斎藤さんに頼む近藤。
帰ってこいよ、総司〜。みんな心配しているぞ〜。

さて飲みに行った先で、「町人上がりがっ!!」と芹沢に殴られてしまった佐伯又三郎。そんな扱いを受けながらも、これからも芹沢に取り入ると言う又三郎に、総司は「近藤さんなら身分のこと、とやかく言わないよ。」と言います。どんなに反抗していても、やっぱり近藤さんのこと尊敬してるんだよね、総司。
次の店に行こうという道すがら、哀れな又三郎は転んだ拍子に芹沢に提灯をぶつけそうになって、無礼討ちにされてしまいます。「立派なサムライになる。」って、総司に自分の夢を語ったばっかりなのに・・・。(哀)
それにしても、一瞬にしてその目に殺意を漲らせる佐藤浩一さん、さすがです〜。
呆然とする総司。理不尽なものに憤りを隠せないでいる、藤原くんの表情も素晴らしい。
「ヤツは取り入る相手を間違えた。この世の中、一つでも間違えば命取りになるってことだ。」 斎藤さんの言葉は、総司に向かって言っているようでもあり、自分に対して言い聞かせているようでもあり、会津藩のお預かりとなって佐幕を貫いたが故に、賊軍として滅ぼされることになる新選組の未来を暗示しているようでもありますね。
ん〜、斎藤一、なかなか奥の深いことを言う・・・。

翌日、会津藩本陣に呼び出された近藤・土方・山南の三人。公用方の広沢様に、又三郎殺害の真相を問い詰められます。
この試衛館派3人のスリーショット、今日はこれで2回目ですけど、本当に好きですねぇ。(*^^*)
大将と、それを補佐する有能な参謀二人って感じで・・・。まさに、人柄の近藤局長を中心に、知恵の土方・知識の山南、二人の副長が両側から支えている図ですよね。
で、広沢様から「芹沢が殺ったという噂を聞いた・・・。」と言われ、返答に困る正直者の近藤さん。
すかさず、「あくまでも噂です。」と土方さん。
「我らの調べではそのような事実はありませんでした。」と山南さん。
笑みを浮かべながらシラを切る二人、さすがです。(爆)
そしてさらに、すべてお見通しの広沢様も素敵です。(爆々)
広沢様のもとを辞したあと、土方と山南は近藤に、芹沢排除を提案します。交互に語る参謀二人は息もぴったり。策士顔が堪りません。あ〜、ツボだわ〜。(*^o^*)

八木家の庭で稽古する力士たち。自分が腕を斬ってしまった力士のことが気になる総司ですが、あの体ではもう相撲は取れないから国へ帰った・・・と聞かされ、動揺を隠せません。だけど「あんたが斬ったんか?」と訊かれて、素直に「はい。」とも言えない。口の中で「すいません。」と呟くだけ。
あ〜、ほんと、そういうお年頃。(^^;;;
そこへ背後から近藤の声が・・・。「人を斬るとはそういうことだ。斬った者の痛み、斬られた者の痛み。それを忘れるな。」と言われて、総司はまたまた条件反射のように言い返してしまいます。「そんなことをいちいち言ってたら、サムライなんてやってられませんよ。」って。ほんとはそんなやけっぱちなこと、思っていないくせに・・・。
それに対して芹沢は、「そりゃぁ、近藤の言ってることはおかしいよ。唯一、人を殺しても悔いなくていい人間、それをサムライって言うんだ。」と言います。でも芹沢さん、本当にそう思っているのかなぁ。又三郎を斬った時も、心のうちを一生懸命隠していなかった?

さらに、「相撲部屋と組んで金儲けするなんざ、あきんどの考えることだ。」と近藤たちを批判します。「悪いが俺は腐っても武士。そんな下世話な真似はできねぇなぁ。」 殊更に身分の違いを強調する芹沢。そういうところに縋らないと、もはや自分を保っていけないんでしょうねえ。
「はい。」と答えながらも、胸中複雑な総司。彼は昔から、近藤や土方が“武士になりたい”と切実に願ってきたのを知っているからね。夢や希望を身分制度に厳然と阻まれて、どんなに悔しい思いを
してきたかをずっと見てきたから。思わず目を伏せてしまったのは、彼の優しさなんだろうな。
それにしても体育座りなんて、おさむらいの子がするかしら?って感じだけど、思春期で揺れる総司にはよく似合ってますね。

一方、街頭で壬生大相撲のチラシ配りをする永倉・原田・斎藤の3人。「よくよく考えてみれば(チラシ配りなんて)、武芸に生きる者にとってはあるまじきこと。」と言いつつも、でも「構わない」と言い切る永倉と原田。「生きるためには何でもしてきたからねえ。」との二人の言葉に、苦笑する斎藤。(斎藤も、借金の取立てとかやくざの縄張り争いの加勢とか、いろいろしてきたからなぁ。(^^;;;)
この3人の会話、前のシーンの芹沢に上手くぶつけていますねぇ。“武士とはこうあるべき”というものをどちらも持ちながら、芹沢はそれを振りかざして暴れることしかできない。永倉・原田は胸に大切にしまって、柔軟に自由に生きている。永倉・原田の方がずっと肝が据わっていますね。斎藤は二人とはちょっと違って、“武士”という定義の中でもっとストイックに生きてる感じ。

屯所では土方の指示のもと、藤堂・野口・島田が壬生大相撲の土産品の製作中。黒神関の代わりに手形を押す島田を見て、「やめておこう。」と反対する近藤。「稼げる時に稼いでおかないと。」と土方に言われて、そのあと「・・・やめておこう・・・。」とちっちゃい声で抵抗するのが可愛い。

大和屋を強請りに行く芹沢さん。「力づくであきんどから金を奪うことが武士のやることですか?!」と近藤に言われて、何も言い返せません。弱い人なんだよなぁ、芹沢さん。
そして近藤に止められても、芹沢についていこうとする総司。さすがに見かねて平助が、「近藤先生の気持ち、裏切らないで下さい。」って止めようとするけれど、今は誰の言葉も聞けないんだろうね。そのくせ、「平助、もういい!」という近藤の言葉にはきっと傷ついてる。突き放されたようで、不安になってる。寂しくなってる。きっと・・・。

そこへ、“呼ばれもしないのに現れる”捨助登場〜。(笑)  捨助を見るなり、気まずそうな表情の
土方さんがいいですね〜。(*^^*)  一応、あの時捨助にした仕打ちは、ちょっとは反省してるらしい。(苦笑)

 確か浪士組が江戸を出る際、土方は捨助から50両巻き上げて、それを、近藤に役を付けてもらう
 ための清川八郎への賄賂に使っちゃったんだよね。捨助は50両渡したからてっきり一緒に連れて
 行ってもらえると思った訳だけど、長男で跡取りであるある彼を一緒に連れて行く訳にはいかない。
 それで仕方なく土方は峰打ちを食らわせ、捨助を気絶させて置いて来た・・・と。(^^;;;  いや〜、改
 めて思い出してみても、多摩の頃の土方さんは、とことん不良のアンちゃんだったよな〜。(今も変
 わらねぇじゃん!という突っ込みは無しで・・・。(苦笑))


「浪士組に入れてもらいに来た。」という捨助に、「それはできん! お前は(滝本家の)大事な跡取りだ。」と言い聞かせる近藤。近藤は幼馴染みの立場を心配して言っているんだけど、そんな理屈は捨助には通じない。「かっちゃんと一緒に刀を振り回したいんだよぉ〜。」と半泣きで捨助に縋り付かれて、近藤はほとほと困った様子。
すると、「いいかげんにしろっ!俺たちは遊びでやってるんじゃねぇんだっ!」 あ〜ぁ、土方さん、
キレちゃった・・・。「ちょっと、あっちに行こう。」とおもむろに立ち上がる。なんか、ムカつく下級生を体育館裏に連行しようとする不良高校生みたいだ。(笑) 
「また二人っきりになったら殴るんだろう?」と怯える捨助。その辺のとこはよくわかってるのね。(笑) そして自棄になって出て行こうとして、相撲の太鼓の音にもう立ち直ってるあたり、捨助は近藤・土方なんかよりずっと逞しいのかもしれないなぁ。
おや、どこにいらっしゃったかと思えば山南さん、今日も受付、ご苦労様です。(笑) ソフトな口調とその笑顔、本当にお似合いですね。(*^^*)

とりあえず捨助が出て行ってホッとした2人と、チラシ配りから戻ってきた3人。「(相撲を)覗きに行こうぜ。」という左之助の言葉に、みんな出て行こうとして・・・。おや?一人だけ違う方向向いている人が・・・。(笑) 連れ立ってどこか行くのが苦手な斎藤さんです。(爆)
 永倉「斎藤もたまには付き合え。」
 原田「みんなで観た方が楽しいよ。」
 近藤「斎藤くん。」
とみんなに誘われ、とどめに
 土方「来いよ。」
と土方さんに肩まで抱かれて、戸惑いながらもちょっとニッコリ。たぶん斎藤さんは、ずっと一人で生きてきたから、人と親しく付き合うことを知らないだけなんだよね。はにかんだ笑顔が可愛いです。

おぉっとそこへ、時代劇のお約束? 若旦那に扮した“お忍びのお殿様”登場で〜す♪
慌てて片膝つく近藤たちがかっこいい。(*^^*)
さらにそこへ、さっき「相撲を一番取らせてもらえることになった。」と喜んで出て行った島田さんが、褌が切れた・・・とすっぽんぽんで戻ってきます。島田さんが一生懸命作った偽手形の団扇を使って、源さんが必死に前を隠してあげているのが可笑しい。お城の中ではありえないハプニングにビックリ〜な容保公に、「今のは忘れてください。」と近藤。鷹揚に微笑むお殿様が素敵だ・・・。(笑)

さらに、三度の飯より相撲が好きな(ほんと?)坂本龍馬登場〜。

 近藤と坂本は江戸の頃からお友達の設定で、最初は私も<いくらなんでもそりゃないだろう・・・>と
 突っ込み入れまくっていましたが、尊攘派の動きを説明する狂言回しの役としてはとても有り難い
 存在で、その上、江口洋介さんってばなかなか龍馬にお似合いなものだから、最近はその登場が
 ちょっと嬉しかったりする。(*^^*)


で、本日の坂本さん、長州の進言により大和行幸の勅許が下されることになったとの情報を伝えつつ、会津藩の動きを探りに来たらしい。「その話はまだ、松平容保様のお耳には入っていないはず。」・・・って、そりゃそうだよねぇ。容保様、今そこで相撲をご観戦だもの。(爆)
こんなやり取りがあったから、てっきり坂本とお忍び容保公との接触が有るのかと思いきや、ありませんでした。くぅ〜、残念!!どうせなら、そこまでやらなきゃ。>三谷さん

相撲の観覧の席で、「そこは俺の席だ!」と容保様に絡む捨助。途端に、さささぁーっと駆けつける、広沢様以下黒羽織のご家来衆。捨助はSPに連れ去られ、(この人、何者?)と容保様を訝るおまささんとひでちゃん。いや〜、このシーン、最高っす。

相撲興行は大成功。容保公を囲んで、小野川部屋と浪士組と、和気藹々と酒宴が開かれています。・・・が、この頃お梅さんが芹沢にとんでもないことを・・・。
昼間行った大和屋は主人が留守だったため、金をふんだくれずに帰って来たと聞いて、「近藤さんたちは今日の興行でずいぶん稼いだみたいなのに、比べて筆頭局長さんは・・・。まるでガキの使い・・・。」と、芹沢のプライドをずたずたに。もちろんお梅さん、わざと言って面白がっているんですけど。(おいおい)
このままではいられなくなった芹沢は、一派を連れて再度大和屋へ。主人の留守を理由にどうしても金を出さない大和屋を、打ち壊し始めます。一緒についてきていた総司は、この展開に呆然。おろおろしていると、新見に木槌を押し付けられて・・・。
あ〜ぁ、やっちゃったよ・・・。(^^;;;
総司が芹沢について歩いてるのは三谷氏の創作な訳ですが、まさか打ち壊しにまで参加させるとは思わなかった・・・。(汗)
でも、木槌を振るいながら、総司の顔は今にも泣きそうで。それは、近藤のもとへ帰れない自分に泣きたいのか、こんなことをしてしか自分を保てない芹沢に泣きたいのか・・・。たぶん、両方なんだろうな。(哀)

連絡を受けて大和屋に駆けつける、近藤・土方・山南の3人。蔵を燃やす芹沢たちに、もはや言葉もありません。
屋根の上で、燃える蔵を見下ろしながら酒を呷っていた芹沢ですが、近藤の姿を見るなり、その顔が引き攣ります。何も言わず睨みつける近藤。思わず目をそらす芹沢。心配そうに見上げる総司。
そして、
 山南「これは大きな騒ぎになるな。」
 土方「芹沢、自分で自分の墓の穴掘りやがった。」
策士二人の低い呟きが、今後の展開へと繋がっていくのでした。

 

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