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“北上する土方歳三を描いたお奨め小説”をピックアップしてみました。
ただ、小説は好みが分かれると思うので、あくまでも私個人の好みの本という程度に受け止めて、
参考にしていただけたらと思います。
北原亞以子著『歳三からの伝言』 文庫本なので、気軽に読むことができます。 狙撃された近藤が伏見奉行所に駆け込んできたところから始まる小説。 淡々として潔い語り口の中に、女性作家らしいしっとりした色気が漂って、とてもよくまとまっている一冊です。 秋山香乃著『歳三往きてまた』 厚い単行本ですが、一気に読めてしまいます。 王政復古の大号令が発せられてから、東へ、そして北へと追われていく土方歳三を描く小説。 次々と友や部下を失っていく中で、変わっていく土方。 そんな土方と、取り巻く戦友や隊士たちとの関わりを、女性らしいタッチで丁寧に描いています。 大内美予子著『土方歳三』 私が持っているのは1974年発行のものですが、2004年に増補版が出ています。 甲陽鎮撫隊、そして流山からの土方歳三を描いた小説。 “俺”という一人称で綴られる文章は、土方という男の生き様を優しく見つめながら、けして湿っぽくはならず、好感が持てます。 萩尾農著『散華 土方歳三』 2005年5月に復刊されたばかりの作品で、一般書店では販売されていないようです。 芹沢鴨暗殺からを描いていますが、ほとんどが鳥羽伏見以降の、終焉に向かう土方歳三。 土方という男に恋焦がれている著者が、その愛情のすべてをぶつけた小説で、読む人によってはそのあまりの溺れっぷりに、付いていけないかもしれません。 三好徹著『土方歳三 戦士の賦(上・下)』 江戸試衛館にいた頃から始まりますが、流山以降も丁寧に描かれています。 元新聞記者だった著者の、理性的な筆が描き出す土方はかっこいい。 正統派の土方歳三という印象です。 広瀬仁紀著『新選組風雲録(洛中・激闘・落日・戊辰・函館編)』 こちらも京からの土方が描かれていますが、文庫本とはいえ5冊もあるので、北上編もかなりの量があります。 語り口が独特で、嵌まると面白いですね。 盗っ人だった忠助の視線で書かれた土方は、実はとても情にもろい男です。 司馬遼太郎著『燃えよ剣(上・下)』 これはもう、説明するまでもないでしょうか。 多摩にいた時代からの土方歳三を描いた、不朽の名作。 ただ、書かれたのが昭和37年から39年にかけてですので、現在明らかになっている史実とかなり食い違う描写もあります。 岳真也著『土方歳三 修羅となりて北へ』 鳥羽伏見の戦いで敗れ、東へ向かう船の上から始まる小説。 「新選組!」ファンにはセリフがやや時代劇調に感じるかもしれませんが、よくまとまっています。 死んでいった者たちのために戦うという土方の姿勢が、山本土方を彷彿とさせますね。 古賀志郎著『大鳥圭介 土方歳三との出会と別れ』 これは、おまけとしてご紹介。 近藤勇を出頭させた後、市川国府台で旧幕府軍に合流し、北へ向かった土方歳三。 その土方とずっと一緒に転戦していったのが、陸軍歩兵奉行で伝習隊隊長であった大鳥でした。 この著作は、その大鳥の戊辰の戦いを描いたもの。 経歴と、伝わる性格の違いから、仲が悪かったのではないかと言われる大鳥と土方ですが、この大鳥は土方を戦友として温かい目で見つめています。 新しい視点から見た土方像という印象なので、機会があったら一度読んでみてください |
とりあえず、“北上する土方歳三”ということで選んでみました。
他にも、史実の解説書などでも、転戦する土方歳三の変貌と活躍ぶりはわかります。
全部は書ききれませんので、あとはこちらをご覧くださいませ